秋の牢獄

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738057

感想・レビュー・書評

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  • 「牢獄」にまつわる3つの不思議

    「秋の牢獄」11月7日から抜け出せない女子大生の話。何度も繰り返す日に次第に順応していく様子が面白い。たくさんの仲間を見つけ、どうせまた7日を繰り返すのだからと好き勝手に1日を過ごすが最後には…

    「神家没落」ある不思議な家に迷い込んだ青年の話。その家は日本の各地を移動しているらしいがある規則性があり、それを悪用する男も現れて…
    この話も青年が神の家に住んでいるうちに順応していく様子が面白い。1話目同様にある意味冷静な若者です。途中から殺人の絡む話になるのですが、この話が1番面白かった♪

    「幻は夜に成長する」山奥で幻術を使う祖母と暮らす少女。謎多き暮らしと時々訪れる男性…予想外のストーリーで読んでいるこちらも惑わされているような展開。



    囚われるという3つの不思議な物語は恒川さんらしい作品でした〜♪


  • 秋の牢獄。まさにその通り。しかしかなり、カラっとした語り口。

    同じ日を繰り返す系の話しに恐怖がある。メンタルが弱まると、きまって、大学の時の恋人とやり直すことができるチャンスを得られるという夢を繰り返し見る。嬉しい、でも何か忘れてる!あぁ私には息子がいた!っていうところで気が付いて、目が覚めるけど、気が付かなかったら、同じ夢にもどるのかなぁ。汗をかいている。ここ5年ぐらい、ずっと見ている。この夢から出たいような、出たくないような。そう思ってしまう自分も怖い。

  • 抗えぬ力 に「囚われる」幻想譚3編のオムニバス。 ある特定の1日、旅する古い屋敷、異能の所為という異界牢獄は、抑えた描写なのに奥行きがあり深い印象を与える。『神家没落』は日本人が古くから語り継いできた民話のような、ここではない何処かへ読む者を連れ去る朴訥とした幻影は懐かしさを感じるほど。仄かな郷愁と寄る辺なさ、木々や野山の冷んやりとした佇まい、不穏なざわめき、茫漠とした無常観、諦念、閉じた世界の静けさ、それらが優美に調和されている。

  • 3つの牢獄。個人的には神家没落が面白かった。逃げることもできたのに戻ってきてしまう。あ~、わかるなぁ。どれも結末はないけど良し。

  • 11月7日に読み始めた、11月7日を繰り返す人々を描いた標題作など三作の中編集。全体としてはホラーというかサスペンスというか、じわじわと真綿で首を絞められる様な息苦しさを漂わせる。どれも不思議な設定ながら、分かりやすさと納得感のある作品。1日をひたすら繰り返す、そう言葉にするとよくあるループもののようだが、そのエアポケットに落ちた市井の人々の心理を丹念に描くことで、もし自分がそうなったら、という想像を読者にさせてくれる。他作も同様。読み終えたのは11月8日だったので、ワシは無事に「その日」を超えたようだ。

  • いつも思うが不思議なお話。
    いろいろな形の牢獄
    後味は最高に悪いけど、でも話の中の主人公たちは救われたんだろうな。

  • なんとか無事に8日に到着したようです( ゚∀゚)ノシいや7日に欠片が残っているかもしれないけれど…(--;)久しぶりに読んだ「秋の牢獄」だったけれど、この雰囲気好き(^^)さて後は、現在一人で部屋にいるけれど普通に外へ出る事ができるかな?(^^;)いずれにしろ、食料と本があれば生きていけそう(^^)v

  • そこまで怖くないな、と思いながら読んでいたけれど、自分がその状況にあったら絶望的かも…と思った途端に急に不安で孤独で怖くなった。
    短編3作品どれもそんな感じで、派手ではないけれど好きな雰囲気のホラー。
    また読み返したい。

  • なんらかの形・状況で閉じ込められた人をテーマにした3篇の中編を収録した1冊。

    最初に配されている表題作が良かった。何度も何度も同じ11月7日を過ごす主人公、しかし11月7を過ごすのは主人公だけではなかった…。11月7日の描写がすごくいいねんなぁ。閉塞感がありつつも美しく、繰り返す同じ日々に苦しみつつも何とかやり過ごし、来る11月8日を待望する主人公たち。

    考えてみたら、俺たちの現実も閉じ込められた世界である(2020年4月19日現在)
    外に出るな、人とは会うな近寄るな、密閉空間にいるな…。
    仕方のない事とはいえ、かなり奇妙な閉じ込め方をされている。さてこの現実に、俺はどう対処していこうか?

    この小説の登場人物たちのように、少し乾いた態度で、葛藤しつつできることをやりながら、脱出を図ること。何よりもパニックを避けることだろうなぁ。

  • 生活の中にあることばにするのが難しい薄ら寒さ、怖さ、が小説に。ふむ。おもしろい。

著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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