左近の桜

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738279

感想・レビュー・書評

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  • チラリズムの絶妙な塩梅。
    第ニ作も読みたい。

  • 友達の紹介で読みました。
    男同士の情事を目的に逢瀬を重ねる者たちにとっての憩いの宿、「左近」。そんな宿屋「左近」の長男(16歳)桜蔵はあらゆる状況で異界のもの、妖のものを惹き付けてしまう魅力を持つ。それは本人が気づいていない、また認めようとしないが、魂は女である故に。
    桜蔵の隙だらけで自分の本性に気づけていない初々しさに性別を超越した魅力があるだと感じました。文体や言葉のセンスが耽美、幻想的、古典的で、堅苦しくない程度の日本語の重厚さを感じることができる作品です。知識不足で理解出来ていない世界観もあるのですが、古典や日本史好きの方なら好ましく感じる世界が広がっているのではないでしょうか。

  • 自分の気持ちとは裏腹に異界の男を拾ってしまう桜蔵。
    拾う、というより勝手に異界の男になつかれてしまう質のようで…。

    長野さんは初読み。
    連作短編全体の妖しい雰囲気にぞくぞくしてしまう。
    「女の子はだめだよ。女性は現実的だから、魂のありかなんて見えない」には思い当たる節あり。
    『骨箱』『瓜喰めば』『海市』が特に印象に残った。

    異界のBLもの…いまいち気持ちが入りにくかった。
    物語がBLでなければもっと読み込めたのかも。
    文章や描写が美しかっただけに残念。

  • 「海市」、その次に「骨箱」「秋草の譜」が好み。

    「海市」は、読みながら眼前に広がるイメージの美しさに恍惚となった。金銀御殿、宴の喧騒、純白の花嫁衣裳、盃から溢れる桜の花びら。身に纏い付く花びらの重みすら感じられた。本の世界を「体感」できたのは久しぶり。
    映像化してほしいが、映像ではとても表現できないと思い直した。

    残念なのは帯。「交わりを求めてくるのは、あやかしの者ばかり。その気はないけど、ちょっといい感じ?!」って…。作品の情緒をぶちこわす軽薄な文句に、鼻白む。

  • 少年×怪しい×怪しい。謎が気になる。

  • 文章が美しく、読んでいて引き込まれました。不思議な雰囲気が好きです。
    続編が気になる…。

  • 以前の作者に比べると難しい漢字を使わなくなったなぁという印象があった。あやかしに捉われてあちらの世界へ足を踏み入れてしまう桜蔵の描写は映像で見てみたいと思うような雰囲気をまとってるけど、まぁ無理だろう…。

  • ある種の男をひきつける何かを持つ少年。肝心なところのぼかし方がとても巧み(笑)。今のところ良い様にされておりますが、それはそれで満足なのか桜蔵・・・。弟も利発で可愛くて良いですな。文章がとてもきれいで読んでいて気持ちいい。

  • ざっくり言うと、主人公の桜蔵が無意識・無自覚に<男>を拾って
    色々戸惑いながらも色々されちゃう話。
    出会い頭は奇妙な<男>達に戸惑い抵抗するんですが、コトに対してもう少し抵抗があっても良いんじゃないかと思う程、桜蔵は冷静。うーん…桜蔵にとってはやっぱり男でもキスはなんでもないようなことなんだろうか。所々に花や香りがあるのもまた妖しい空気を醸し出してます。長野さん独特。

    物語における女性の存在も気になります。なんだろう…彼女たちの彼らに対する寛大さは…。もしかして女将や遠子達はカッコ付きの<男>なのか…。

  • 夢と現を行ったり来たり。
    短編集で繰り返されるそれは、春に酔っているような感覚がある。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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