七月のクリスマスカード

  • 角川書店 (2008年6月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (472ページ) / ISBN・EAN: 9784048738538

作品紹介・あらすじ

深い喪失感を抱く少女は、ある初老の男と出会い、互いに何かを見いだそうとした……。横溝正史ミステリ大賞を満場一致で受賞してデビューした実力派が描く、迫真のサスペンス!

みんなの感想まとめ

深い喪失感を抱える少女と初老の男との出会いが描かれたこの物語は、重いテーマを扱いながらも、読後には心に温かさを残します。登場人物たちの複雑な背景や感情が巧みに描かれ、特に主人公が抱える葛藤や成長が印象...

感想・レビュー・書評

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  • これはミステリーだったのか。
    と読み終えて思う。
    良い意味で裏切られた1冊。

    扱うテーマや
    登場人物の抱える問題は重い。
    でも不思議な程に読み終えたあとは
    雨の後の虹のような
    そんな読後感。

  • タイトルのクリスマスカードの意味がとても素敵だった。全体的に暗い話で、楽しく読み進められなかった。だけど後半になるにつれて、どんどん引き込まれていった。こんなに初めの印象と変わった小説は初めてかも。まだ幼い主人公の手袋を買ってきてくれた主人公がもつ最後の父親の記憶と、父親の正体を知った時は衝撃だった。
    子供にして生きることに疲れた小学6年生だった主人公と老人であった丈太郎の出会いは主人公の白黒の人生に色を付けてくれたんだと思う。
    丈太郎の人柄が素敵で、私も人生で一度はこんな年の離れた友人が欲しいと思った。
    1番心が綺麗だったのは、充くんだった。
    主人公を支えてきた薫さんにも幸せになってほしい。
    充くんには幸せな人生を歩んでほしいと強く願わずにはいられない最後だった。

  • 前半は、心が塞ぎ込んでしまうくらいのダークな話の成行きなのに
    先が気になって一気に読み干してしまった。
    読み進むにつれて、登場人物の輪郭が確かとなるにつれて、
    切なく遣る瀬無いのだけれど優しくって、最後は暖かさが残るミステリーでした。

    主人公【杉原美緒】、弟【充】、乳児期に死亡した弟【穣】、アルコール中毒の母【由佳里】、その従妹【薫】、
    もう一人の主人公【永瀬丈太郎】、妻【初恵】、誘拐された愛娘【瑠璃】、・・・

    『過去を引きずり続けることは何も生産しないばかりでなく、
    新たな悲劇を次々に産み続ける。』
    真にその通りであるなぁと、私もこころに刻み付けて置こう。

  • 罪は問わないから、何が起こったのか?本当の事を知りたい。

    この物語に出てくる人と、本を読んでいる人はみんな思ったはず。(私も、正直どうなのさ?と、何回も思った)

    3部形式で、1部と3部は美緒目線。2部は、美緒たちとであった元検事目線。

    美緒は、一番下の弟の事を二番目の弟が殺したと知らされ、二番目の弟を殺す事を考えます。

    一方で元検事の方は、若い時に自分の子供を誘拐されてまだ未解決なまま。

    誘拐された子供はどうなった?一番下の弟を殺したのは、充なのか?充はどこへ行ったのか?

    3つの謎が知りたくて、ページをめくる手が止まりませんでした。

  • 検事の娘は、さらわれ行方不明になった。その後から妻とは別居が始まり、事件は解決しないまま、元検事となった。
    その後知り合いの知り合い、さらに知人などの人が都合よく出て来すぎる感じが違和感を覚える。

    アルコール中毒の母親を持つ美緒。この母親と父親の元に産まれた3人の子どもがいちばん不憫かもしれない。

  • 2020.10.25

    めちゃくちゃ長かったけれど、夢中で2日で読み終えた。おかげで寝不足。
    直前に読んだ『最後の証人』も息子を交通事故で失った夫婦の復讐がテーマの内容だったからケンジ氏の境遇と若干カブるところがありちょっと混乱した。
    伊岡さんの作品は、イヤな女を描くのが上手くて、イヤミスだな、本当にイヤな話だなっていうのが多いけれどこの作品は悲しいけれど、暖かさがあって読後感はよかった。

    初恵さんは瑠璃誘拐の全てを知っていて、竹本に近づいたのだろうか(この辺も『最後の証人』とカブる)。それならなぜ竹本に問い質さなかったんだろう。竹本に惹かれていたんだろうか。

    美緒の父親が小宮関連の誰かなのか、ケンジと何かしら血の繋がりがあるのではと思ってたけれど、予想は外れた。

    死んだと思ってた不憫な充が生きていて良かった。
    最後に両親を赦して良かったと思った。美緒も救われてほしい。なにも悪くないのに。

    そして薫さんは美緒の母の従姉妹というだけで面倒くさい妹弟を献身的に明るく、自分の子供のように面倒を見ていてすごい。薫さんはなぜ美緒親子にこんなに親切なんだろう?生きている瑠璃見た最後の目撃者という負い目?がずっとあって、美緒たちへ優しくすることで自分の傷を癒していたのだろうか。


  • 両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。
    無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。
    弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。
    そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。
    美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、その事件は未だ解決されていないことを知る。
    数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める―。
    (アマゾンより引用)

    ケンジさんの娘の誘拐事件の真相は何かちょっとわけ分からんやったけど、話は面白かった。
    ケンジさんがめっちゃステキな人で、泣けてくる

  • 薫さんがいい人で良かった。

  • 伊岡さんの本だからと、最後まで構えて読んでいたのだが、ラスト近くには思わず涙が…。
    そうだったのか、と思わず唸ってしまった。
    心を揺さぶられる作品。大好きな一冊となった。素晴らしい!

  • 罪と罰、そして償い
    アルコール依存の母を持つ少女と弟と伯母、と、元検事の出会いと少しずつ深まっていく心の交流。
    未解決の、元検事の娘の誘拐事件。
    そして成長した少女が解きほぐしていく誘拐事件の真相。
    心に傷を持つ者たちへの安直なやさしさはここにはない。それぞれがきちんと己の傷と向き合うこと、そしてそれを自らの手でうめていくことの困難さと厳しさを突き付けられる。
    ラストに満ちる、乗り越えていく者たちへの作者のエールを受け取った。

  • いつも読みやすい文体

  • 図書館で、何の前情報もなく、帯や折り返しのあらすじもなく、ただただ立ち読みでぱらぱらとめくって、相性が良さそうに感じたので借りてきた本。ジャンルも何も分からず読んでいたので、最初はミステリだと思わなかった。こういうのは久しぶりの経験かもしれない。内容は、テーマは重い。でも、文章の透明感というか、柔らかさが救いになって、読ませる。三部立てになっていて、一部の話から二部の話に入るとき、少々戸惑ったけれど、二部を読み終えてからは早く結末を知りたくなった。読後も悪くない、ややきれいにまとめてあるけれど、登場人物の色々な思いを否定せず包み込まれていたことに安堵した。

  • +++
    両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、その事件は未だ解決されていないことを知る。数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める―。
    +++

    小学六年生の少女にとってはあまりにも過酷な家庭環境にあって、美緒は心を閉ざし、周りと関わりを持とうとしなくなっている。母の従妹・薫の古くからの知人である永瀬は、愛娘・瑠璃を誘拐されるという痛ましい想いを抱えながら生きている。薫の店で出会った二人は、互いに何か感じるところがあったのか、次第に打ち解け、頼り頼られる存在になっていく。永瀬の娘の誘拐事件の顛末を間に挟み、時間はずいぶん飛ぶのだが、いくら時が経っても過去の事件が尾を引いており、永瀬の身にも次々と災いが降りかかるのがやるせない。美緒は瑠璃ちゃん事件を追いかけ、真相と思えるところまでたどり着くが、それと同時にいままで自分をがんじがらめにしていた家族の真実にも気づくのだった。だがどちらも、真実が判ったからと言って救われることがないのがあまりにも哀しい。この先の美緒の人生を応援したくなる一冊である。

  • 淡々と、うーむ、ちょっとまどろっこしい展開だけど進んでいくが
    全体の体感温度が低い感じ。

    前半の美緒のくだりと、後半の永瀬のくだりが集結する終章は
    からまった糸が静かに徐々に解けて見えてきて、
    ようやくこの辺から興味深くなってきたな、で終わってしまった。

    「いつか、虹の向こうへ」がなかなかに印象的だったので
    ちょっと期待したが、ちょっとに留めてよかったかも。
    でも、嫌いな話じゃない。

  •  主人公の女の子の弟の存在が面白い。
     人間が生きていく上で背負わなければならない「罪」。その過程で誰かの傍らを通り過ぎて行かざるを得ないであろう、あるいは自らもいつかは経験しなければならない「死」、それを通して失うものと得るもの、そして「再生」へと歩かざるを得ない人間の「生」を体現しているような存在。
     何人もの人物が幾世代・幾場所にわたって登場する物語。読者の困惑や好奇の心を掴みながら、最後は解放感を伴った不思議な爽快感が残るのは、彼の存在抜きでは不可能だったと思う。巧みな訴求力に引き込まれてしまった。
     

  • とっても重ーい話なのに、最後は心が温かくなった。

  • 2011年7月27日

    <A Christmas card of July>
      
    装丁/高柳雅人(角川書店装丁室)
    写真/KATSURA KOMIYAMA/「PHat PHOTO'S」/amanaimages

  • 2011.4.25読了。
    3人兄弟の一番下の弟がすぐ下の弟に殺されたといわれ、父が親子を捨てて出て行き、母はアルコール中毒な家の一番上の子として生まれた女の子が、もと検事で、子供を誘拐されそのまま行方不明になり、妻もなくなった男やもめとであい、交友を結ぶ話。

  • たくさんの謎と魅力ある登場人物たちに、グイグイ引き込まれました。

  • 両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、その事件は未だ解決されていないことを知る。数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める―。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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