おそろし 三島屋変調百物語事始

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • / ISBN・EAN: 9784048738590

作品紹介・あらすじ

17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて…哀切にして不可思議。宮部みゆきの「百物語」、ここに始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 怖かった度★★

    というわけで始まりました魁ホラー塾
    どび島平八郎塾長とみん大人(ミンターレン)教官に導かれた一号生筆頭剣メロ太郎が怖かった度を★1〜5で振り返りながら苦手なホラー克服を目指します

    第一弾は宮部みゆきさんの『おそろし 三島屋変調百物語事始』です
    まあ、第一弾ですからね、題名からしておそらく短編集であろうここいらから初めてみましょうかね、軽くね
    なんて思ってたらめちゃめちゃ分厚いやないかーい!というね

    とある事情から叔父の三島屋に預けられることになった娘おちか、人との関わりを避け自らを罰するように生きるおちかに叔父の伊兵衛が命じたのは不思議な物語の聞き手となることでした…

    という、いかにもな始まり
    ただね、それぞれの物語は怖いというよりは哀しい物語でした
    とてもとても哀しい物語の数々でした
    人間の業とでも言うべき避けられない哀しい物語の中に怪しげな「何か」が潜んでいてその「何か」とおちかの対決は今後も続いて行くのかぁなぁという感じでした
    百物語ですからね

    自分が一番気になったというか好きだったのは、おちかの叔母お民です
    摩訶不思議で得体の知れない闇に包まれた中で独り朗らかに笑い飛ばす人であり、おちかたちを心から心配したり、ともすれば忘れられさられそうな人たちからも目を離さない愛情深い人であります
    この不思議な物語の中にあってしっかりと大地に根をはった現実世界の象徴して描かれているのじゃないかなと思いました

    ホラー克服とは別にしても追いかけたいシリーズにまた出会ってしまいました

    さあ、次はなににしよう!?
    強烈な一冊を教えてくれる新たな教官も募集中です( ̄ー ̄)ニヤリ

    • みんみんさん
      ビデオデッキの時代終わって良かったね…
      テレビの砂嵐って今あるのかな?
      あ〜映画のリング思い出しちゃった。゚(゚´Д`゚)゚。
      ビデオデッキの時代終わって良かったね…
      テレビの砂嵐って今あるのかな?
      あ〜映画のリング思い出しちゃった。゚(゚´Д`゚)゚。
      2023/05/27
    • 土瓶さん
      かかったな。
      実は「あんじゅう」の4話「吼える仏」は怖いんやでぇ~。
      と、いうように、一冊で不思議系だったり、ほっこりだったり、せつなか...
      かかったな。
      実は「あんじゅう」の4話「吼える仏」は怖いんやでぇ~。
      と、いうように、一冊で不思議系だったり、ほっこりだったり、せつなかったり、怖かったりといろんな味を楽しめるのがこのシリーズの特徴です。
      お好きな時にどうぞ^^
      2023/05/27
    • ひまわりめろんさん
      『リング』はパチスロ「リング」が超恐いよ!
      手がいきなりガシャーンて落ちてくるの
      『リング』はパチスロ「リング」が超恐いよ!
      手がいきなりガシャーンて落ちてくるの
      2023/05/27
  • 背筋がゾクッとくる話は大好物。面白かった。

    ある事件を境に心を閉ざした主人公 おちか。身を寄せた叔父夫婦のもとで、訪れるお客から聴かされることになった数々のふしぎ話。

    おちかと一緒に夢中になって耳を傾けている気分だった。

    次第に明らかになるおちかの心に巣食うもの、客たちのふしぎ話に自然と心を寄り添わせながら、おちかが自分の心に向き合っていく姿は哀しくもありながらもひきこまれた。

    嫉妬や憎しみ、心の傷なんていとも簡単に生み出されるのに、それをなくすにはどれだけの時間が必要か…人の心ほど厄介なものはないな。

    曼珠沙華の季節に読めて良かった。

    • けいたんさん
      おはよう(^-^)/

      おちかさんと一緒に耳を傾けているくるたん想像できるわ(*≧艸≦)
      この話私も好きだけどまだまだ先が長いよね。...
      おはよう(^-^)/

      おちかさんと一緒に耳を傾けているくるたん想像できるわ(*≧艸≦)
      この話私も好きだけどまだまだ先が長いよね。
      そう思うと先に進めなくて(〃∀〃)ゞ
      どの話も登場人物がいいよね。
      くるたんはどんどん読んでいくのかしら?
      2019/10/07
    • くるたんさん
      kanegonさん♪おはようございます♪

      うん、たしかに…なかなかの怖いお話でしたよ(笑)。
      でもほんのり温かさもある世界、良かったです✧...
      kanegonさん♪おはようございます♪

      うん、たしかに…なかなかの怖いお話でしたよ(笑)。
      でもほんのり温かさもある世界、良かったです✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/10/07
    • くるたんさん
      けいたん♪おはよう♪
      共読うれしい♡

      そう、登場人物温かさがあって良かったよね♪♪
      怖い人、家もいたけど。
      人気シリーズなのもわかる気がし...
      けいたん♪おはよう♪
      共読うれしい♡

      そう、登場人物温かさがあって良かったよね♪♪
      怖い人、家もいたけど。
      人気シリーズなのもわかる気がしたよ♪
      とりあえず年内に第弐を読みたいなってとこかな(*≧∀≦*)
      今、図書館本に追われて焦ってる毎日よ(๑•﹏•๑*)
      2019/10/07
  • 三島屋のおちかは、主人の不在時に訪れた藤兵衛より不思議な話を聞く。三島屋の主人は、代わり百物語として、人を招き入れ、おちかに話を聞かせていく。そのことが、おちか自身が抱える問題と向き合うことになっていく。
    物語の話し手の流れに引き込まれていくと、ゾッとさせるという怖さがあった(自分がビビりなとこもあるんですが)。ワッとくるものもあれば、ジワッとくるものもあり、怖さを感じさせるための表現がすごいと思う。
    3篇の招かれた客の話とおちか自身の話、それらに出てきた人を巻き込んで、最終話が用意されている。話の余韻が次の話に続くことで、一つの話とも取れるのもおもしろい。さらに、不穏な要素を残しているところも、今後につながって気になっていく。
    また、風景やちょっとした態度での描写も、ハッとさせるような美しいものがあったりする。フレーズに登録したところも前段階で触れられていた描写と絡めて、きれいにまとめられている。
    続巻も多いので、引き続き読んでいきたいと思う。

  • 三島屋 黒白の間で語られる世にも恐ろしい百物語

    実家で起きた悲しい事件が全て自分のせいだと思い込み、心を閉ざしてしまった17歳のおちかは、江戸の三島屋という店を営む叔父夫婦の元に身を寄せ、女中として働く

    叔父伊兵衛は、おちかに江戸中から集まってくる人々の抱える不思議な話を聞くという仕事を与える
    不思議話の主役は、生きながら心を閉ざす者、心を残しながら命を落とした者、心の闇に巣食う人外のもの

    客は語り手、おちかは聞き手。おちかが水を向けて聞き出そうとする一方、客は語ることに努める
    その挙げ句に引き出された話がどれほど醜悪なものであろうとも、おちかはそれを受け止めねばならない。それが決まりだ

    おちかは、客の話に耳を傾けることにより、次第に自分が怖がっているものの正体がわからないまま、闇雲に恐れ、逃げ回るよりもその正体が何なのか知ろうとするようになる

    伊兵衛は、おちかに百物語の聞き手を勤めさせることにより、世の中には恐ろしいことも割り切れないことも、たくさんある。答えの出ないこともあれば、出口の見つからないこともあることを分からせたかったのだろう
    そして、おちかが誰かにすっかり心の内を吐き出して、晴れ晴れと解き放たれる時が来ることを望んでいたのだろう

    語られた話は、恐ろしくも人間の身勝手さや追い込まれた心情から生まれた悲しい哀れな話ばかり

    しかし、おちかが話を聞くことにより、生きていた時にしでかした愚かな過ちへの後悔や胸の痛みに苛まれていた亡者たちも救われ、解き放たれるのである
    聞いて、わかってくださった。我が事のように悼み、心て涙を流してくださったと

    1〜4章に出てきた亡者たちが、最終章で全て登場して、あの世に引きずり込まれそうになるおちかを救い出そうとする場面は、スペクタクルファンタジー映画を見ているようで、若干軽い気がした

    自分の意思に反して人を殺めてしまった心情、そういう風に追い込んでしまった側の心情描写がさすがだなあと思った


  • 久しぶりに再読。

    宮部みゆきさんの時代小説はどれも好きなのだが、読んでしばらくすると、歳のせいか登場人物が頭の中でこんがらがってしまう。
    おちかの話だったかな?お初の話だったかな?
    という具合に…。

    「おそろし」三島屋おちかシリーズの一冊目
    おちかは、器量良しの17歳。自身におこった恐ろしい事件のために、実家の川崎宿を離れて、江戸の叔父夫婦が営む飛ぶ鳥を落とす勢いの繁盛店、袋物屋三島屋に身を寄せることとなった。
    辛過ぎる記憶を封じ込めようと、女中として身を粉にして働くが、その記憶は一時も頭を離れることがない。
     ひょんなことから、叔父の代わりにお客のお相手をしたことで、この変わり百物語の聞き役をすることになる。
    そして、様々な人の身に起こった悲しいことや、恐ろしいことどもを聞くうちに、おちかの心にも変化が現れ始める…。

    忘れていた人物関係や、話の順番があやふやになっていたことが、くっきりと思い出せてスッキリ。
    どうにも松太郎さんが気の毒でならない、という思いは変わらなかった。2019.11.15

    • やまさん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
    • ロニコさん
      やまさん
      コメントありがとうございます。
      やまさんの本棚にメッセージを書きましたので、お時間があればご覧下さい。
      やまさん
      コメントありがとうございます。
      やまさんの本棚にメッセージを書きましたので、お時間があればご覧下さい。
      2019/11/17
  • 広い世間には様々な不幸と様々な罪と罰があり、それぞれの償い方があるので、自分一人だけ辛い暗いものを抱えていると合点して塞ぎ込んでいる'おちか'に叔父が仕掛けた策が風変わりな方法。それは、他人には明かせない怪しい妖しい体験談の持ち主からの話の聞き役だった!
    第1巻は5話構成で成っていて、実はそれぞれが連なっている。
    装丁も凝っていて巻頭 巻末に挟んだ千代紙風と言い たまに挿入された絵草紙擬きと言い、よく出来ておりました♪

  • いやーこれは怖かった。
    このところミステリーにハマりぱなし。

    中山七里を読み続け、怖いものなぞないとおもってた。
    湊かなえ、真梨幸子、ぞぞぞとはまた違う怖さ!
    怖さにいろいろありますね。

    時代物のせいか、
    さすがに夜中のトイレがこわいなんて!

  • 再読
    第一話
    「悲しみは相通じる」そうなのですよ。喜びとは比べられない程、悲しみは相通じると思います。喜びが勝ってくれるといいのにね~
    第二話
    変調百物語の始まりです。おちかにこれから何か起こる?怪奇の予感
    第三話
    「物事は何が白、何が黒ということはなく、見方を変えれば色も変わり、実は曖昧」おちか、良助、松太郎、誰が白で誰が黒と言い切れない。殺めた松太郎が悪いと言い切って終われない。そうか、だから部屋の名前が黒白の間!碁をする間は表向きの理由だったんですね
    第三話
    「亡者に命を与えるのは私たちのここです」そう、なので松太郎の登場です
    お民が、宗太郎とお吉を気に掛ける話がいいですよね。おちかにとっての良助
    最終話
    「松太郎を許さんと自分を許せない。全部あなたの都合」キツイ言われようだなあ
    でも自分を許せてからでないと良助を想えないと思います

  • ★語りの極致★流れるような語り口はまるで落語のよう。と書きながら、落語の語りがそんなに秀でていたのかと改めて感じた。怪談でありホラーなのかもしれないが、肝を冷やす怖さではない。悲しみと切なさの物語が絡み合って展開するのも構成の妙。
     三島屋の主人が、姪であり訳ありのおちかにいくつもの不思議話を聞かせるべく一人ずつ呼び込む。自分よりもつらい思いをしている人もいるのだと知らせるためだけではない、とおちかが分かっていることも互いが機微に通じている。
     著者がライフワークとして続け、このほかにたくさん話を読めるのは素晴らしい。

  • 知り合いにお勧めされて図書館で借りる。
    最終話の伏線回収が凄かったけど、忘れてる人とかいてある程度イッキ読みが必要かなって思った。結構ハイペースで読んだんだけどなー歳取るってやーね。
    久しぶりの一般書籍ですが、1ページの文字の密度がラノベと違ってて、その点が読むの大変だなって思う。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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