波打ち際の蛍

著者 :
制作 : 日端 奈奈子 
  • 角川グループパブリッシング
3.50
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  • (165)
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  • (38)
  • (10)
本棚登録 : 1159
レビュー : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738736

感想・レビュー・書評

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  • 『波打ち際の蛍』…なんてきれいなタイトルでしょう。。。
    読んで良かった…と思える一冊でした。

    タイトルの蛍は「蛍」なんですね。
    =世界の終りみたいな夜=
    海でのあのシーンがタイトルを見るたびに思い出されます。

    今までの島本作品とはちょっと作風が変わったと思いました。
    磨き抜かれた言葉がキラキラしていて、何度もうっとりしました。

    胸がキュンとなったり、ぎゅーとしめつけられたり
    切なくなったり、暖かくなったり、印象に残る作品です。

    恋人のDVによって深く傷ついてしまった麻由の心。
    一度失ってしまった「人を信頼する心」を取り戻すのは大変だと思う。
    他人も自分を信じられるように信頼関係を再構築してゆく静かな再生の物語だと思いました。


    いつか蛍に触れて、触れてもらえ、お互いに気持ちがつながる事ができますように。。。
    二人が一緒に手を取りあって、歩んでいけますように。。。と、神様にお願いしてしまいました。


    カウンセラーの先生の言葉がとても印象に残りました。
    =自分自身を信頼する=
    =あなたがあなた自身を支えること=100ページ

    『自分で自分を支える』・・・一番大切なことだと思う。これが出来ないと他人を愛すること、触れる、触れられることが出来ないから。一番響いた言葉でした。

    「あとがき」も力強いメッセージがあって、読んで良かったと素直に思いました。これから島本さん、ますます楽しみです♪

  • すきなのに、身体と心に触れることができない。そんな主人公の話。この話でも男性の暴力からの心の傷によって、主人公の中はどこか湿っていて、暗い。
    固くなった主人公をそれを少しずつ溶かしていこうとする蛍。この2人はゆっくりゆっくり進んでいく。そんな感じ。
    個人的には蛍よりさとる君のキャラが濃いような気がした。でも、嫌いじゃない。『生まれる森』がすきならばこの話も気にいるんじゃないかと思う。

    (203P)

  • 読んでいて何度も切なくなった。麻由が抱いている感情は、大なり小なり誰もが持っているもので、それを完全に、全部拾い上げるなんてことはこの世の誰にも出来ないんだと思う。
    以前読んだナラタージュは、ひとつの恋のある終着までを描いていると思ったのに対して、麻由と蛍の恋はきっとこれからなんだと思った。

  • 波打ち際という境界線に
    ただよう ほのかな光を放つ 蛍

    遠い砂浜から波打ち際を見る 真由は
    砂という個体と 海という液体が
    せめぎ合う場所で
    蛍に近づき たわむれることができるのかしら

    きっと 足を海にひたしながら
    見る蛍はきれいで気持ちよく、心が満たされる
    と 想像しながら この小説の先を 祈った

    また泣かせるかもしれないけど
    会いに行きます

  • 宮下奈都さんのエッセイ集を読んで、手に取った。島本理生さんの作品は初読。繊細な恋物語。揺らすと壊れてしまいそうな危うさのある主人公・麻由と、その恋の相手である蛍、ふたりの恋。でも、大丈夫かな、この先もっとつよくなっていけるかな、という希望が見えるラストだったのではないかと私には思えた。たとえそれがふたりの恋が続くことを意味しないとしても。いつかまた変化したお互いとして会える、たぶん。ふたりとも孤独ではないから。さとるくんや紗衣子さんをはじめとした色々な人とつながっているから、絶望的に危うくはない。

  • 誰か、これが愛ではないと教えてくれ。
    そして私をここから逃がして。

    相談所で知り合う主人公と精神的に脆いところがある蛍との恋愛模様が描かれている。主人公が過去のDV経験から恋愛に対して消極的であるが蛍は配慮が足りない面もあれどたいそう優しく主人公に接するってのが・・・少女マンガの理想の男性ってかんじで・・・

    主人公が精神を病んだのは自業自得の面もあるので同情はできない。元彼によっぽど恋していたんだろう。むしろこっちの話が読みたい。


    何はともあれ従兄弟がかっこよすぎてそれだけで★3

  • とても 読みやすかった。
    でも この作家の小説に登場する主人公(女性)が
    私は あまり好きじゃない
    うじうじしていて、なんか、イライラしてしまう。
    魅力もないし。
    ストーリーは よくても 主人公にイライラしながら読んでいる。
    イライラしながらでも 読んでよかったと思ったけど。

  •  人は、程度の差こそあれ、傷つきながら
     生きていくものなんだよなあ。

     そして、時には損なわれている自分に
     少し安心していることすらある。
     酔っている、の方がしっくりくるかな。

     なんでだろうね。悲しみや苦しみは
     たとえ解決しなくとも、誰かと共有する
     ことで、その重みはずっと減る。
     でも、そうしない人はきっとたくさん
     いるんだろう。なぜかね。

     主人公の場合は、たとえ暴力でも、
     「彼から与えられている」というのが
     なんというか、しばらくそこに留まって
     しまった理由なのかなと思う。

     もしかしたら無視されるよりいいのかもしれない。
     何かをもらうっていう意味においてなら。
     もちろん正しくなんてないけれど。

     しかし、その与えられるっていう受け身な
     姿勢がアウトー!な気がする。
     愛情を求めて待っていたのだろうか。
     でも受け身って、対等じゃない気がするの。
     与える、与えられるっていう力関係は、
     支配と服従を意味する気がする。
     相互にならいいのだろうけれど
     考えすぎか。

     それにしても蛍みたいな人いるかな?!
     男の人にしちゃめずらしいタイプだと
     思うのだけれど。
     静かで淡めで安らげるかもしれないけれど、
     いとこの方が好きかも、その強引さに
     救われる気がする。
     ただ、こういうヒーロータイプは独り占め
     できないんだろうなあ…
     
     ああ、妄想が広がってしまった。

  • しっとり重かった。
    ずっしり、じゃなくて、しっとり。

    なんだか曖昧な輪郭の本。

    今の私には、少し苦しかった。

  • こんな風に甘過ぎる恋愛小説は苦手。

    だけどそれは、彼らのように素直に好きを伝えられない自分の、嫉妬心からきているのかもしれない。

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著者プロフィール

島本 理生(しまもと りお)
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。小学生のころから小説を書き始め、1998年15歳で「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、年間MVPを受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第128回芥川賞候補、第25回野間文芸新人賞受賞(同賞史上最年少受賞)。2004年『生まれる森』が第130回芥川賞候補。2005年『ナラタージュ』が第18回山本周五郎賞候補。同作品は2005年『この恋愛小説がすごい! 2006年版』第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」第1位、本屋大賞第6位。2006年『大きな熊が来る前に、おやすみ。』が第135回芥川賞候補。2007年『Birthday』第33回川端康成文学賞候補。2011年『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞受賞、『夏の裁断』で第153回芥川賞候補。『ファーストラヴ』で2回目の直木賞ノミネート、受賞に至る。

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