鬼の跫音

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 1431
レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739115

感想・レビュー・書評

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  • 久々の道尾秀介作品。短篇集なので少し物足りなさはあるが、私が道尾作品に求める物はこういう感じなんだと再確認。
    集中力途切れることなく一気読み。

  •  道尾秀介初の短編集。

     十一年前に山中に埋めた友人が発見され、警察からの尋問を受ける私。歳月がすべての証拠をかき消し、私の犯罪を知っているのは、木の陰でわびしく鳴いていた鈴虫だけかと思っていたのだが…「鈴虫」

     部屋から窓の外を覗き、バランスをくずして転んだ僕は、その拍子に椅子の足を折ってしまう。椅子の足の付け根に刻まれた奇妙なメッセージ。猟奇的な殺人を犯した少年が刑務所で刻んだ文字だとわかった僕は、彼の意図を探るべく彼の故郷に向かう。「ケモノ」

     若い時分、友人にそそのかされ、祭りの夜に犯してしまった過ち。それを忘れるためにいったんは故郷を出た私だったが、仕事で祭りの取材をするために気のすすまぬまま、故郷にもどる。そして、そこでいるはずのない少女に出会い…「よいぎつね」

     作家としてデビューしたものの、思うように筆が進まず困っていた僕のもとに、見知らぬ青年がやってくる。突然現れたその青年は、二月(ふたつき)前に、僕の部屋に入り、貯金箱を盗んだというのだが…「箱詰めの文字」

     Sに薦められ、神社で大願成就の達磨を焼くことになった私。家事で両親を失い天涯孤独の身になった私を訪ねてくれ、ともに過ごすようになったS。私のたったひとつの願いも叶い、幸せのはずだったが…「冬の鬼」

     4年生になり、僕を執拗にいじめるようになったS。誰にも打ち明けることができないツラさに耐えられなくなったとき、僕は見知らぬ女性と出会う。彼女は深緑の布に包まれた不思議なものを出し、僕の上にそっとかざすと「もう、大丈夫よ」と言うのだった。「悪意の顔」

     初の短編だ~!と思ったら、道尾さんにとっても初だったらしく…ホラーなので、おもしろかった~とかはならないけど、どんどん裏切られる感覚は悪くない。もうひとつ、もうひとつ…と、ついつい読んでしまいました。

     個人的には、ラストの「悪意の顔」が印象的でした。真相は、はたしてどちらだったのでしょう。
     

    • zakkuuさん
      道尾秀介は短編集もいけますね。
      Sという共通項があるものの、それぞれが独立した短編はどれも読みごたえがあって僕も好きです。
      グイグイ読ま...
      道尾秀介は短編集もいけますね。
      Sという共通項があるものの、それぞれが独立した短編はどれも読みごたえがあって僕も好きです。
      グイグイ読まされました。
      道尾秀介・・・いいですよね。
      2010/05/08
    • なぎさん
      fukurooさん、コメントありがとうございます。すごいスピードで読まれていらっしゃって、びっくりです。

      道尾さん、最初に読んだ「向日...
      fukurooさん、コメントありがとうございます。すごいスピードで読まれていらっしゃって、びっくりです。

      道尾さん、最初に読んだ「向日葵…」が書評とは裏腹に微妙な感じで、残念だったのですが、TVで道尾さんをお見かけしてから、また興味をもって読んでいます。
      明るい内容でないことはわかっていても、ついつい手にとってしまいます。ペースは遅いですが、これからもどんどん読んでいこうと思っています。
      fukurooさんの感想を楽しみにしています。
      2010/05/09
  • 背筋をひやりとしたものが走る短編集。
    キーマンとしてSという人物が出てくるのが共通点。

    中でも「冬の鬼」はよかった。
    春琴抄を思わせる作品だった。火事ですべてをなくした女が、それでも「愛している」と言ってくれた男性のためにあるお願いをする。

    「一生私の顔を見ないでください。達磨みたいに醜く焼け爛れた私を見ないでください」

    なんと残酷でかわいらしいお願いでしょうか。そして相手の男性はそれに答え眼球を摘出する。

    この作品だけでも読む価値有りますよ。

  • 「透明カメレオン」で話題の作者の短編集陰気な話が多くこれを手放しで褒める人は少なそう。鬼の跫音(うわっ変換しにくい)ってタイトルだけど同盟の短編はなく「冬の鬼」に鬼の跫音という言葉が出てくる。

  • 日常に潜む狂気、自分の心にある狂気、負の感情、闇。

    道尾さんは「向日葵が咲かない夏」以来です。

    鴉とか蝶とか虫とか、小物の使い方が巧で、ぞわぞわ~。
    『犭(ケモノ)』が一番好きです。
    スッキリ分かりやすかった。

    静かな迫りくる恐怖感…は相変わらず。
    でも私はどうしても恒川さん系が好きです。

    Sがどの章にも出てくるけど、意味がよくわからなかった。
    「よいぎつね」と「箱詰めの文字」でちょっと関係性が
    あるのかな…と思ったけど、もっとじっくり読むと
    こわさが倍増し、関係性が分かるのかもしれない。

  • 連続短編集。
    ミステリとホラー両方の要素がある。
    ホラーが苦手だが、この人のホラーは気持ち悪くないので夜中でも読むことができた。

    とにかく、この人の才能は素晴らしいと思う。
    初めて読んだのが、『光媒の花』だったのだが、とても面白かったので、すぐに直木賞受賞作品である『月と蟹』を読んだ。

    まだまだたくさんの作品があるので、これから読むのが楽しみである。

  • 11年も前の殺人が大雨で露わになる鈴虫だけが見ていた完全犯罪「鈴虫」
    刑務所作業製品の椅子に隠されたメッセージを追う少年の物語
    「ケモノ」
    それぞれヒタヒタと忍び寄る静かな狂気の足音の6篇を収録した短編集。

    この作家の描く少年は特に怖い。
    純粋で率直、故に残酷。なんて言葉では抱擁できない。
    6篇に登場するそれぞれの主人公は年齢も職業も異なるが、ストーリーの進行と共に内なのか外なのか解らないところから、それでも確かに近づいて来る鬼の足音を感じさせる状況、状態は同じだ。

    過去に読んできた同作家の作品に比べると和のテイストが強く、幻想小説のような趣。和製ホラーとも。
    特に「よいぎつね」「冬の鬼」には片田舎の祭事が描かれ、華やかでも何処か薄気味の悪い雰囲気が嫌というほどイメージできる。

    基本的に得意の叙情トリック、ミスリードを撒き散らした構成になってはいるが「向日葵の咲かない夏」同様、何処で騙されているか予想もつかないけれど物語を追う手が止まらず、結末に呆然とさせられる。
    怖いもの見たさで突き進んでしまう肝試しのように、終着点に置かれた何かを求めて歩を早めてしまう。

    悪い人が出て来ない小説は多々あるが、誰が鬼なの全く解らない疑心暗鬼小説は珍しい。キャラクターとして安定感があるはずの警察や母親さえも信じることが出来ない。
    全編主観のため、語り手の心情だけを追うと自分がとんでもない犯罪者になっていたりもする。
    後味の良い話など存在しない。
    ただ、ヒタヒタと忍び寄る鬼の足音が近づいて、肩に手をかけるのを待つ。
    そんな短編集。


    道尾秀介 その他の著書

    ・月と蟹
    ・光媒の花
    ・龍神の雨

  • 不気味な短編集。
    六編それぞれに人間の想い・性というテーマがあってただ怖いだけではない。
    不気味な雰囲気が漂う中で人間の感情の恐ろしさを存分に味わえる。
    抜群の出来です。

  • 道尾先生の短編集でふ。
    私好みの作品ばかりでふ。

  • 「ケモノ」と「冬の鬼」が強烈。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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鬼の跫音 Audible版 鬼の跫音 道尾秀介
鬼の跫音 (角川文庫) Kindle版 鬼の跫音 (角川文庫) 道尾秀介
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