霧の塔の殺人

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739818

作品紹介・あらすじ

岩手県の太平洋岸にある小金牛村から、県庁所在地である盛岡市まで向かうには、いくつかの峠を越えなければならない。その峠の一つ、雲上峠にある展望台の朽ちかけたベンチに、男性の生首が置かれていた。被害者は年商総額三十億にのぼる食品加工会社などを経営する実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰なのか?次なる惨殺遺体も発見され、海辺の村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員を殺害するという予告が。全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪へと発展したこの事件は、思わぬ方向に急展開をみせて…。29歳、普段はクールな若手新聞記者の一方井将棋が真相に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 藤田警部補シリーズ3作目。のはずなのだけど前作でも出ていた新聞記者の一方井が今回はメイン視点。
    霧の峠の展望台で地元名士の生首がごろり。さらに関係のある村の人間が次々と惨殺されていく。横溝的閉鎖世界で謎解きが進むと思っていたら犯人と思える人物が途中から浮かび上がって逃亡したりヒロインが拉致されたり直接対決があったりアクティブ。過疎化地域の若者の鬱屈とか社会問題も提示されていているけどどうもそれぞれがうまく噛み合っていない印象。真犯人は意外な人物で伏線もあったのにそのせいか驚きが少なく残念。

  • ふーん

  • 岩手を舞台にした伝承ネタミステリシリーズ。3作目、かな?
    今回は山というか、峠が舞台でした。
    飢饉とか金山とか、岩手ならではだよねー。
    真犯人は最初っからうさんくさかったから驚かなかったけど、実行犯はびっくらしたー。
    伏線きっちり引いてあったのにw

  • シリーズ三作目。

    この方のミステリーは集落を舞台にしたモノが多いですが、
    毎回 そうした地方が抱えている問題をいろいろなトコロ
    切り込んでいくんですよね。
    今回も都会への若者の流出と地方の過疎化の問題何かが
    描かれていて結構考えさせられました。

    犯人の動機も何処か分かるよぅな気もして
    最後はグイグイ引き込まれて一気に読めましたね。

  • ■岩手県の太平洋岸にある小金牛村から、県庁所在地である盛岡市まで向かうには、いくつかの峠を越えなければならない。その峠の一つ、雲上峠にある展望台の朽ちかけたベンチに、男性の生首が置かれていた。被害者は年商総額三十億にのぼる食品加工会社などを経営する実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰なのか?次なる惨殺遺体も発見され、海辺の村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員を殺害するという予告が。全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪へと発展したこの事件は、思わぬ方向に急展開をみせて…。29歳、普段はクールな若手新聞記者の一方井将棋が真相に迫る。

    ■■藤田警部補が好きなんですが、あまり出てこず。出てきたら出てきたで・・・かわいいお人だ。今回視点がものすごく動き回るので、途中誰が誰なのかわからなくなる。相変わらずこの人のお話では人が死にまくりますね。つか、最後の最後でおまえはそこで死んどけよとおもわなくもないキャラが・・・なんか生きてるみたいで正直がっかり。犯人は途中でちょっと見えてくるんですが、全体的な事件の規模が大きいんで、オチにぎゃふんと思わされる。しかし、ちょっと犯人が悲しかった。

  • 岩手県を舞台にしたシリーズ第3作。
    峠の展望台で地元名士の生首が発見されたことを皮切りに、村の人間が次々と惨殺されていく。さらには岩手選出の国会議員に脅迫状が…
    横溝正史風の土俗的な雰囲気を取り入れながら、現代の過疎化した地域社会の問題点を掘り下げるという作風。タイトルからも若者の自己実現が大きなテーマと思われるが、今回は色々詰め込みすぎて散漫な印象で終わってしまったような。次作に期待。

  • 一応最後までいっきに読めた。霧の中、峠のベンチに置かれた生首。なんてゆーか救いがないなあ。作中に語られるいわゆる現代の若者のどこにもいけない絶望感がひしひしと。結局認められたかっただけなんだけどね。人の心って簡単にすれ違うよなあ。でも最後の最後でちょっといってたけど、要は小さなことでもいいからそこに自分が幸せ、希望を見出せるかどうかってことなんだよな。下ばっかり向いてたら気分も落ちちゃうことってあるから、嘘でもいいから上を向いてみることが大切。あと村の閉鎖的考え方ってちょっとわかる。でもあの見下し感はキライだ。記者の一方井、ちょっと飄々とした感もありつつ、時々言葉遣いが若くなるのがなんか微妙な違和感?があったような・・・。あと岩清水だっけ?あの警部?の暴走ぶりが意味わからん。あの人いったい必要だったのかしら?自分の希望を叶えるため誰かの怒りや恨みも利用する。それもまた人、か。

  • その日、魁時新聞社釜石通信部の若手新聞記者・一方井将棋(いつかたいまさき)は朝からついていなかった。
    それが兆候であったかのように次々と起こる事件に巻き込まれてゆく。
    はじまりは岩手県の太平洋岸にある小金牛村にある峠の一つ、雲上峠にある展望台の朽ちかけたベンチで男性の生首が発見されたという報せ。
    被害者は地元の名士である鬼怒川義勝。
    そして次なる惨殺遺体も発見され、海辺の村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員を殺害するという予告が。
    全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪へと発展したこの事件は、思わぬ方向に急展開をみせて。。。

    そこまで期待を寄せている!という感じではないのですけど、なぜかデビュー作からこの3作目まで読んでしまっている大村さん。
    自分でも何でなのかよくわかっておりません。

    そして今回もまた、もうちょっとなんだけどなぁ、な印象。
    事件が次々起こり、これまでより伏線もうまいこと回収し、ラストもなかなかよかったのです。
    なのにどうも冗長というか、テンポが悪く感じられてしまいまして。
    探偵役である一方井のふにゃふにゃした感じがどうも。こう「事件を解いてやる」的な熱意が感じられず、そのあたりが居心地の悪さにつながったのかなぁ。
    ラストの謎解きと対決がよかっただけに、それまでがダルく感じられました。

    それと今回もでていた地方の諸問題。高齢化や都市との職業格差など。
    問題提起したいのはわかりますが、あまりうまく絡められておらず浮いている印象でした。
    横溝賞出身ということでつい横溝作品のことが思い出されるのですけど、横溝作品で舞台となった地方の村々も、いまだったらこういう諸問題で悩まされているんだろうなぁ、とは思いました。

  • 犯人の動機が悲しすぎた。思わず感情移入してしまった。

  • 2010/03/22読了。

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著者プロフィール

1965年岩手県生まれ。中央大学文学部卒。2007年『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、作家デビュー。他の著作に『死墓島の殺人』『共謀』『存在しなかった男』『奇妙な遺産 村主准教授のミステリアスな講座』などがある。

「2016年 『梟首の遺宝 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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