球体の蛇

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 286
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739849

作品紹介・あらすじ

1992年秋。17歳だった私・友彦は両親の離婚により、隣の橋塚家に居候していた。主人の乙太郎さんと娘のナオ。奥さんと姉娘サヨは7年前、キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。どこか冷たくて強いサヨに私は小さい頃から憧れていた。そして、彼女が死んだ本当の理由も、誰にも言えずに胸に仕舞い込んだままでいる。乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷で、私は死んだサヨによく似た女性に出会う。彼女に強く惹かれた私は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込み、老主人と彼女の情事を盗み聞きするようになるのだが…。呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない-。青春のきらめきと痛み、そして人生の光と陰をも浮き彫りにした、極上の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない――。

    キャンプ場で起こった火災により大火傷を負い、その後自殺したサヨ。その死に誰もが負い目を感じていて、お互いに相手を想うあまり嘘をつく。結局、どれが真実だったのか分からないまま。
    それぞれの登場人物が皆いい人なのに、心から幸せになれない展開に切なくなった。

  • 青春という種は嘘に埋れて、芽生えようとしているが、結局最後には花になれなかった。

  • これまで読んだ道尾作品とは違い、とても文学的な感じを受けました。とは言っても、私自身文学に精通している訳では無いので、感覚的なものでしかありませんが…。 始めに受けた印象としては、”私”という人物と、”ともちゃん”という名前。 この二つに今回も騙されるのでは?と疑心暗鬼の中で読みました。 冒頭で文学的と書いたのは、これまでとは違って騙されなかったことにあるのかもしれません。 この小説はトリックとかでもなく、直球で勝負した作品なんだろうと勝手に考えました。 しかし、丁寧に小説を書く人ですね、道尾秀介さんは。

  • 嘘が嘘を呼び、罪の意識を抱えて生きていく、という、話。結局本当のの真実は誰にもわからない、だから結末はこれで良いのだと思う。大どんでん返しはなく、終始鬱屈とした雰囲気は純文学的。エグさとどうしようもない文章の美しさは毎回ながら素晴らしいです。

    人の持つ普段は目を逸らしたくなるような残酷な負の面を容赦なく抉り出してくる話が多いので、読み手を選ぶなと思います。

  • 道尾君は「自分の本に出てくる登場人物は全部大好きだ。」と言っていたけど、許せる部分と許せない部分、見える部分と見えない部分を上手く絡ませて人物設定をしていると思った。
    スノードームの存在が奥深い。自分の殻にこもるのも、日本人だからと思うのも、世界が一つだと感じるのもスノードームの中にいる私。結びの傘もいいなぁ。傘って、何かを守るという感じがする。道尾君は本当は優しい人なのかもしれない。

  • 「向日葵~」とは雰囲気が違って読後感がよかった。人間は皆それぞれ心に多かれ少なかれ心に隠し事をもって一生懸命に生きている。 
    その嘘や秘密は他人への優しさや思いやりゆえだったりするから、それを知ったときの驚き、せつなさ、受け止めていこうとするこころの変化に感動した。

  • あの人は泣いているのだ。
    おそらくは床にーいや布団に、顔を押し付けるようにして。
    あれほどまでに聞く人の胸に抉るすすり泣きを、私は聞いたことがない。

  •  高校生友彦は乙太郎と次女ナオと3人暮らし。乙太郎との仕事中に出会った智子に惹かれる。しかし智子の高校時代
    にキャンプ場で投げ捨てたタバコによりテントが火事になり妻逸子が焼死、火傷跡を気にした長女サヨが自殺。
    智子にその事実を告白し、智子は自殺。東京の大学に出た友彦は後でナオからその事実を聞く。
     サヨの自殺、智子の自殺、乙太郎やナオとの関係に悩みながら最終的にナオと結婚した友彦は、ある時ナオから
    告げられた智子の自殺は狂言かもしれないと思う。が結局ナオとの生活を送る事になる。
     煮え切らないような内容の小説だった。

  • 読了日2010/11
    久しぶりの道尾作品。
    この作者の心理描写はすごいなぁと思う。
    それに、小説の中の独特の神秘的な世界観が好きだなぁ。
    しかし、道尾作品らしく驚きはあったけど、恐怖というか戦慄は薄くそこは少しがっかり。
    最近の道尾作品は少し変わってきた感じがする。最初の方が好きだなぁ・・・

  • 17歳だった友彦は、両親が離婚し、隣の家で乙太郎とその娘ナオと暮らしていた。ナオの母親と姉のサヨはキャンプ場で起きた火事で亡くなった。友彦は乙太郎とともに白蟻駆除をしていたあるとき、近くの家に住む、サヨに似た女性に心惹かれる。しかしその女性にはある秘密があった。思い違いや嘘に塗れた過去と現在。何が本当なのか。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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