- 本 ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048739917
作品紹介・あらすじ
骨に染みいり血が滲む、絶壁のような険しい孤独。追い詰められた魂。私は愛してはいけない人を愛してしまったのか――。能楽のストーリーにインスパイアされた物語3篇をつむぐ傑作恋愛小説集!
感想・レビュー・書評
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最近精力的に読んでいる中山可穂さんの作品。
とにかく一つ一つの作品にズドン、と打たれる。人の心を見事に抉ってくると言うか、読むうちにその重圧に泣きそうになる作品というか、もうとにかく3つの作品すべてが重々しくも美しくて、またこの人にはまっていく自分に気がついた。
ホントにすごい。 -
真実の愛しか欲しがらずに、頑なに尖り続けて、
誰かの愛を邪魔しないために。そんなふうに
生きていったら、いつか折れてしまうだろう…。
幻想と幽玄のなかに濃密な愛の姿を描き出す
全3編。 -
特に「隅田川」が良かった。存在したとおおっぴらに言えないものを残そうとする(わたし)切迫感、忘れないで弔い続ける人(薔薇の騎士)。
題材はたいていいつも同性愛なのだけど、私は中山可穂の「おおっぴらに言えないもの」への執着の描き方が好き。そこを読みたくて読んでいる気がする。性愛だけではなくて芸術が絡んでいる設定の方が引き込まれる。 -
作者中山可穂さんは確かゲイというかレズの恋愛を描いてきた作家だと思っていたが、今回は女と女、男と男、男と女と様々な恋愛模様を描き出そうと短編集に挑戦している。すべてに共感できた訳ではないが、いくつかぐっと来る短編があり面白く読めた。愉しめるという小説ではないが、悪くないかな。
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図書館で借りて読みました。
隅田川で自殺を図った女子高生2人をゲームセンターで見かけた元写真家の卵だった女性が、自殺したうちの1人の父親と出会う話「隅田川」、リゾートマンションのべランダで雷に撃たれて変死を遂げた小説家の伝記を書くために、亡霊が出ると噂のその部屋に住み始めた女性ライターが小説家の最期を生活にふれる「定家」、一家心中を図った作曲家の弟子だった主人公の24歳男性・博雅が、助かった5歳の蝉丸と10歳の姉・逆髪の心の支えとなり、音楽で関わりながら、それぞれの叶わぬ愛を描いた「蝉丸」の3作品。
テーマは重たいけれど、一人の人への強い思いと、その愛を貫くって素晴らしいなと思える話でした。 -
3つの話が入ってる短編集
中山可穂はやっぱりすごい 圧倒的に素敵 すごすぎる
あんな空気のなかにいたい
20110928追記
隅田川
エロティシズムと水の冷たさと火傷しそうな熱と壊れそうなぎりぎりのバランスの上の愛 泣きたくなるような美しさ
定家
激しい雨と雷の音のなかで やわらかな薄い布にくるまれる 愛は辛くて悲しいのに少しも冷たくない -
中山可穂の登場人物のネーミングのセンスにはまれないことが多い。それで、今回も気分を殺がれて残念。
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3つの短編。
読み終えるとタイトル通りどこか悲しみ、または開放的な気分が広がってくる、カタルシスを感じる物語。
非現実的な描写もあるけど、話の流れに馴染んでいる。
読み飽きる事なく最後まで読み終えた。
著者プロフィール
中山可穂の作品





