天地明察

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 9319
レビュー : 1784
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740135

作品紹介・あらすじ

江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること-。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭の満開の桜のごとき絵馬の群れを描いた
    「算額奉納」のシーン。

    壮大な物語の幕開けに相応しい
    ロマンあふれる導入部に
    まず心を奪われました。


    しかし暦と天文学と数学という難しいテーマを
    見事にエンターテイメントに仕上げ
    一気に読ませる技量にはホント脱帽です。

    それにしても江戸時代に
    これほどまでに情熱を持って
    星の動きを研究していた人たちがいたことには
    本当にビックリでした。

    暦を作ることに
    23年もの間命をかける人たち。

    人が命をかけ成就させようという
    強い思いを描いた物語に
    心打たれない人はいないんではないでしょうか(笑)


    主人公は碁打ち衆の一員でありながら、
    算術に生き甲斐を見いだしている
    23歳の渋川春海。


    一瞥即解で難しい算術を解く
    謎の武士、関孝和や
    17歳の若手の碁打ち
    本因坊道策、
    優れた算術の腕を持つ安藤有益、
    会津藩藩主、保科正之、
    豪放磊落な水戸光圀など
    様々な歴史上の人物たちが
    夢を追う気弱な主人公を
    盛り立ててくれるのも
    心躍ります。



    中でも
    関との算方勝負と、

    各地の緯度の測定を行う
    北極出地に向かうエピソードの
    素晴らしさが光ります。

    子供のような無邪気さで嬉々として星を測量する二人の老人、
    観測隊の隊長建部と
    医師の伊藤。


    487日かけて日本全土を巡り
    星々の並びを観測する旅なんて
    想像しただけで
    うっとりしてしまう。



    挫折に次ぐ挫折を経て
    中国の受時暦を日本風にアレンジした
    「大和暦」を
    ついに誕生させる春海。


    自分を信じ愛してくれた人たちが
    次々と志し半ばに死んでいくのを見送りながら、
    夢へと向かう気持ちは
    どんなものだったんだろう。



    暦には、
    明日を信じ
    平和を願う気持ちが込められている。

    何があっても
    明日もこの世は続くのだという事実が
    どれほど心強く
    人々を勇気づけるか。

    そう考えれば
    戦国の世を経た当時の人たちの
    暦に寄せる特別な思いにも共感できました。



    春海にとっての人生の音だった
    絵馬たちの立てる
    「からん、ころん」。


    自分にとっての人生の音は
    何だったんだろう。


    拳が空を切り裂く
    シュッシュッ、

    もしくはギターが奏でる
    ギュイ〜ンか、


    あなたにとって
    それは何ですか?

    • MOTOさん
      読み終えても、永遠余韻が冷めない本は、
      タイトルを目にしただけでも嬉しいものですね♪

      円軌道の外さんのレビューがまた、
      物語の名所の旅へと...
      読み終えても、永遠余韻が冷めない本は、
      タイトルを目にしただけでも嬉しいものですね♪

      円軌道の外さんのレビューがまた、
      物語の名所の旅へと連れていってくれるがのごとく、ツボをつかれていて♪
      いやぁ~、あの満天の夜空の下で感じた、小さすぎる人間の決して小さくはなかった力を懐かしく思い出す事が出来て、とても嬉しかったです!
      ありがとうございました♪

      『天空に音楽あり』って誰か有名な人が言ってましたよね?
      私もその言葉の持つ意味がわかる様な気がしましたよ(^^♪
      2013/07/21
    • 円軌道の外さん

      MOTOさん、遅くなってすいません!

      またまた体調崩しまして(汗)(^_^;)

      また体調崩さないと
      コメント返せる時間がと...

      MOTOさん、遅くなってすいません!

      またまた体調崩しまして(汗)(^_^;)

      また体調崩さないと
      コメント返せる時間がとれないということで(笑)
      ホンマ申し訳ないっス!


      いつも素敵なコメント
      ありがとうございます(^O^)


      MOTOさんが言う、
      「小さすぎる人間の
      決して小さくはなかった力」ってフレーズにグッときたし、

      ちょっとした言い回しや
      表現の仕方が
      いちいちツボで、

      MOTOさんのような文章が書けたらなぁ〜って
      いつも憧れてます(^O^)


      それにしても壮大なロマンあふれる歴史モノを
      わかりやすく読ませてくれるこの冲方さんは、
      気になる存在ですよね(^_^)


      今度は日本人に最も馴染み深い
      水戸の黄門様を描いた
      「光圀伝」を読んでみたいなぁ〜♪


      2013/08/18
  • からん、ころん。全てはここから始まった。
    改暦に全身全霊をかけ勝負した渋川春海の物語。

    当たり前のようにある暦。
    その暦にこんなにも素晴らしい歴史があったとは。
    算術、碁、天文と、全て苦手な分野。けれども文字でこの改暦までの歴史をゆっくり追っていく時間、各シーン、特に観測のシーンを必死に想像するのが本当に楽しかった。

    誰もとの出会いが全て必然的だったと感じずにはいられない。
    誰もが春海を支えてくれた、誰の思いも無駄にしなかった、そんな熱き天と地の間に立っての勝負、お見事だった。

    読んで良かった!その思いで満たされた。

  • 岡田准一・宮崎あおい主演の映画も記憶に新しいが、珍しく映像化ありきではなく本屋大賞だからという理由で買った1冊。

    天体の測量がテーマだが、江戸時代という泰平の世にそのような偉業に挑んだ日本人がいたと知るだけで大変誇らしくなる。

    少し展開はさささっと進む感もあるが、歴史モノとしての読みにくさはなく、冲方丁の文体のリーダビリティの高さが感じられる。

    この本が面白かったので『光圀伝』も読もうとしていた気がするが、文庫化までしたのに未だ手つかず。昔も今も、思考と実行の間には大きな溝が横たわっているらしい。

  • 歴史に疎く、「大奥」や「龍馬伝」のドラマを見て、ようやく歴史に興味が湧いたくらいの知識の私でもスラスラ読めた時代小説。

    もちろん渋川春海という人物がいたこと、算術が流行っていたこと、囲碁と幕府の関係などは知らなかったので、まるで未知の世界に足を踏み入れたようだった。(まぁ、江戸時代に生きたわけでもないから知っていても既知とは言い難い。)

    算術から囲碁、天文学とめくるめく魅惑の知の世界を垣間みる。学ぶことが楽しくなるような渋川春海のひたむきさに、こんな偉人がいたのかと驚く。そして彼を囲む天才たち。特に保科正之の描写には、私まで平伏してしまいそうになった。清廉でありたいと思った。本当にこのような人々がいたのか。先人をみて、先の我が世を想う。歴史を知る事がまた楽しくなった。

    小説から歴史を学ぶことがこんなに面白いとは。
    味気ない教科書に色をさしてくれる時代小説の1つなのではないでしょうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「清廉でありたいと思った。」
      私も「天地明察」を読むまで全然知らなかった人が一杯出てきたので、落ち着いたら読んでみようと思って検索しましたの...
      「清廉でありたいと思った。」
      私も「天地明察」を読むまで全然知らなかった人が一杯出てきたので、落ち着いたら読んでみようと思って検索しましたのが、、、
      中村彰彦「名君の碑―保科正之の生涯」文春文庫
      面白いかなぁ?
      2012/08/01
    • Manabさん
      保科正之の生涯、気になりますね!私も関連書読みたくなりました!
      保科正之の生涯、気になりますね!私も関連書読みたくなりました!
      2012/08/11
  • 【感想】
    正直なところ、天文学関係の専門的な内容は全く頭に入ってこなかったが・・・・
    主人公をはじめとする登場人物の魅力がとても高い作品で、読んでいてとても面白かった。
    歴史を引っくり返すという大きなプロジェクトに生涯を捧げた男たちの物語は、本当に読んでいて胸が熱くなる。

    現在の自分の使命に疑問を感じ、才能がありながらも苦悩する渋川春海。
    彼が己の生涯を賭けるに値するミッションを見つけることができた事が羨ましいなと思った。
    やはり、この世に生まれたからには、己のすべてを捧げないといけないような事業に関わらないといけないなぁ。
    平和で平凡な人生も決して悪くないが、やはりそういった人生も歩みたいなと憧れの気持ちを抱いた。

    登場人物の全てが実在するノンフィクションの作品というのもオツでした。


    【あらすじ】
    江戸、四代将軍家綱の御代。
    前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。
    即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること。
    碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋。

    俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。
    日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!


    【引用】
    p115
    碁は、春海にとって己の生命ではなかった。
    過去の棋譜、名勝負をどれだけ見ても悔しさとはほど遠い思いしか抱けない。
    今の碁打ちたちの勝負にも熱狂が湧かない。

    算術だけだった。
    これほどの感情をもたらすのはそれしかなかった。
    飽きないということは、そういうことなのだ。だから怖かった。
    あるのは歓びや感動だけではない。
    きっとその反対の感情にも襲われる。

    退屈な勝負に身を委ねる方がよっぽど気楽で入られた。
    そうすれば、こんな怖い思いとは一生縁がなく生きていける。

    だがそうなればきっと、本当の歓びを知らずに死んでゆく。
    一生が終わる前に、今生きているこの心が死に絶える、そう思った。


    p276
    保科正之の非凡さ
    「なぜ島原の乱は起こった?」
    「なぜそもそも一揆は起こる?」
    凶作、飢饉、飢餓。調べれば調べるほどそれらが第一原因だと確信した。

    さらに疑問を続け、
    「民のために蓄える方法を為政者たちが創出してこなかった。」
    と過去の治世の欠点を喝破し、
    「凶作と飢饉は天意に左右されるゆえ仕方なしとすれども、飢饉によって飢餓を生み、あまつさえ一揆叛乱を生じさせるのは、君主の名折れである」という結論に達した。

    将軍とは、武家とは、武士とは何であるか?
    「民の生活の安定確保をはかる存在」と答えを定めている。
    戦国の世においては、侵略阻止、領土拡大、領内治安こそ何よりの安定確保であろう。

    では、泰平の世におけるそれは如何に?という問いに、「民の生活向上」と大目標を定めたのである。

    結果、なんと凶作の年にも他藩に米を貸すほどの蓄えとなり、ついには「会津に飢人なし」と評されるに至った。

  • 江戸時代に将軍に使える役人が、暦を改正する物語。実話を基につくられており、算術、天文学、宗教、占星術にも踏み込み、興味深いストーリーであった。話の展開も絶妙で、500ページに及ぶ大作ながらもスムーズにわくわくしながら読み進められた。人の描写が素晴らしく、登場人物の感情表現がうまい。表情、態度がありありと思い浮かべることができ、感動させられた。著者の力量は相当なものだと思う。

  • 歴史ものはちょっと苦手なために、読むのに時間がかかってしまった。
    しかも歴史上に存在した人物といっても、渋川春海なんて人の名前聞いたことないし、日本の暦を変えた人って言われてもピンとこない。
    でも読んでみて、江戸の時代にここまで現代の数学や天文学に通じる考えがすでにあったということに驚いた。世界の中でこんな小さな島国にあって、地球は丸いという事や、地球が太陽の周りを公転しているなんてことを知っている人がいたなんて。
    未知なるものを捕らえようとする探究心。その知識を持って、間違った方向に行ってしまいそうな日本の舵をとってくれようとする人。その改革への情熱。
    いつの時代も、日本にはそんな人がいて、今の日本があるんだなぁと思う。

    春海や周りの登場人物の描かれ方も魅力的だった。
    物語はいくつかの山場である、生涯にわたり春海の人生に影響を及ぼし続ける天才数術師との出会い。北極出地。1度目の暦改革への挑戦。そのたびに、深い挫折や喪失を経験する春海だが、自ら新しい暦を生み出し、最後には政治にまで頭を働かせて、採決させるに成長した姿に感動した。でも、いつもどこか不器用で、情にあつく、涙もろい性格はそのままで。春海の囲碁棋士としての側面や、恋愛部分もおもしろかった。

     最近の読書では、夢を追う人の話が続いているけど、やはり共通して「ひたむきさ」に感動する。夢がかなったかはさておき、夢を追うということだけで、追える夢があるということだけで、一つの幸せな生き方なのだと思う。

  • 人の一生を読んだ…という充足感に包まれております。

    若い頃の心の未熟さ、壮年の頃の疾走感。。。
    壮大なモノを目の当たりにし、胸がいっぱいになって涙がとまらなかったよ。
    託され、託しは世の常ですが、なんとも言えない寂しさと満足感と感動を覚えます。

    生意気なんですが。。。一生をかけるに値する『モノ』に出会える幸福は本当に羨ましいかぎりです。

  • あっぱれーー⭐⭐
    日本にこんな偉業を成し遂げた人がいたなんて知らなかった。囲碁打ちの渋川春海の生涯をかけ改暦に挑む傑作時代小説。春海の情熱的でまっすぐな生き方が羨ましい。
    日本には72の季節があると言われているが、季節と旬を感じ、楽しんで生活したいなと改め感じた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「まっすぐな生き方が羨ましい」
      何かと出会ったら、まっしぐらに進んでいけるのかなぁ~その時のために自分に力を蓄えなきゃね!
      「まっすぐな生き方が羨ましい」
      何かと出会ったら、まっしぐらに進んでいけるのかなぁ~その時のために自分に力を蓄えなきゃね!
      2012/12/20
  • 当たり前すぎて意識していなかった時間や暦の歴史を知りました。改暦は渋川春海さんの多彩な興味が統合されて成せる大事業だったのですね。面白くて4回読みました。主人公をとりまく人たちが皆、志があり優しい人たちで心が温かくなります。

  • なぜだか自分でもよく分かっていないのだが、
    この本は、今、読まなくてはいけない本だった。
    それが昨年でも来月でもいけなかった。
    明確な理由があるわけでもない、でも、それが自分にとって絶対だという
    ことだけは分かっている。

    春海のすごいところは、碁打ちとしてのお勤めを、
    きっちり守ったことにあると思う。
    沢山の偉い人たちに翻弄されながらも、
    ちゃんと自分のやるべきことをやって、
    その上で、やりたいことを大成させている。
    一手一手、悪手でも自分の糧としていく。

    かっこいい、とても。それでいて、愛らしい。

    なんとなく天文学の偉人というとガリレオにはじまる
    西洋の方ばかりに目が行くけれど、ちゃんと
    日本人の中にもやり遂げた人がいるんだね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「悪手でも自分の糧としていく」
      見習うべきコトですよね。
      明日から映画公開!またファンが増えるよ絶対に。。。
      「悪手でも自分の糧としていく」
      見習うべきコトですよね。
      明日から映画公開!またファンが増えるよ絶対に。。。
      2012/09/14
    • なぁやさん
      nyancomaruさん>コメント有難うございます。映画もさっそく観てきました。原作とはまた違った内容ですが、確実にファンが増えること必至!...
      nyancomaruさん>コメント有難うございます。映画もさっそく観てきました。原作とはまた違った内容ですが、確実にファンが増えること必至!でした。
      2012/09/16
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「確実にファンが増えること必至!でした」
      おー私も早く観に行かなきゃ!
      「確実にファンが増えること必至!でした」
      おー私も早く観に行かなきゃ!
      2012/09/21
  • もうめっちゃ面白かった〜〜〜〜!!!


    ★で表したら文句なしの★★★★★です!!!
    渋川春海(またの名を安井算哲)っていう幕府お抱えの碁打ちさんが、なぜか日本の暦を作っちゃうお話です。ザ時代小説ですね!
    この春海さんのキャラがとっても親しみやすく、囲碁以外に算学や天文学に没頭するさまが本当に可愛いwそしてその情熱は本当に見習いたいところです。


    時代小説なので歴史的な用語がたくさん出てくるので、最初は読むの大変かもしれないけどすごく面白かったです。特に碁打ち衆に関する用語がちょっと苦労したかな。
    でもどの登場人物もすごく魅力的で飽きないです。有名どころだと水戸光圀とか出て来たり、結構知った名前が多数出てくるので夢中になって読めます。
    この本のおかげですっかり渋川春海のファンになってしまいました。


    また最初から読みたい♪


    時代小説やっぱいいですね〜。
    今度は時代小説を発掘しようかな〜。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どの登場人物もすごく魅力的で飽きないです」
      大きな仕事が成し遂げられるまでには、様々な人の有形無形の助けがあってのコトなんだと、改めて思い...
      「どの登場人物もすごく魅力的で飽きないです」
      大きな仕事が成し遂げられるまでには、様々な人の有形無形の助けがあってのコトなんだと、改めて思いました!
      2012/06/18
    • cecilさん
      >nyancomaruさん
      コメントありがとうございます♪私も渋川春海のような、やりがいのある仕事してみたいと思った本でした。色んな方にこの...
      >nyancomaruさん
      コメントありがとうございます♪私も渋川春海のような、やりがいのある仕事してみたいと思った本でした。色んな方にこの本を読んでいただきたいです。
      2012/06/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「やりがいのある仕事してみたいと」
      周りの協力が得られれば、きっとkanakoyoshidaさんの創意工夫が活きて、遣り甲斐のある仕事に変る...
      「やりがいのある仕事してみたいと」
      周りの協力が得られれば、きっとkanakoyoshidaさんの創意工夫が活きて、遣り甲斐のある仕事に変るでしょう。
      そのためにも日頃から、仕事について熱い思いを抱いているコトを知って貰うよう頑張りましょう!
      2012/06/19
  • wikiより
    まだコペルニクスの地動説が知られていなかった時代の日本に、天体の運行を観察し日本独自の正しい暦を作り出そうと試みた安井算哲(後の渋川春海)

    時は江戸。4代将軍徳川家綱の治世。一介の棋士(囲碁)ながら会津藩主にして将軍後見役保科正之に目を掛けられる安井算哲(後の渋川春海)は天文・数学にも深い興味を示す好奇心旺盛な男。

    江戸初期に実在した暦の改革者・安井算哲、和算を完成させた不遇の算術家・関孝和、史上最強の棋士・本因坊道策という「知の巨人」と言うべき男たちと、江戸幕府の黎明期を支えた保科正之、水戸光圀といった偉大な名君たちの物語である。

  • 江戸時代、800年前に作られた暦の改変のために人生をかけた渋川春海の生涯を描く。
    実際の人物像は知らないが、まっすぐで、ときに強かで、多くの才能を持ちながら偉ぶらない春海の人物像には好感を覚えた。天球儀はロマンの塊ではあるのだが、星から時を読み、地を読む。今では閏年やら、閏秒、日食、月食も遥か先のことまで予測されているのであるが、その興りは遥かに昔であり、まだコンピューターもなにもない時代から星を読もうとしていた人々がいたというのはほんとうに凄い。さして、関孝和の存在感も凄い。関さんだけでも1冊書けるだろうから、かなり贅沢な脇役である。
    結局数学は好きにはならなかったが、新たな解法を発見するということは、現実のなかから真理を見つけ出すということであり、そんな体験ができるなんて、本当に羨ましい。努力しない人間にいう資格はないが。

  • 藤沢周平以来のヒットかもしれない、、。
    こんなに何度も泣かされると思わなかった。
    本屋大賞受賞作品は外さないと思っていたけれど。
    感動しすぎて、もう一度頭から読み直します。

  • 沖方さんの小説はあまり読んだことがないのですが、ちょっと読んだだけでグイッと引きこまれ、あっという間に読んでしまいました。

    江戸時代初期を舞台としながらも非常に現代的であり、登場人物たちへの感情移入もしやすく描写されています。
    由緒ある一介の碁打ちの若者が、若さゆえの好奇心で算学や天文学に惹かれていき、そうして知り合う種々の重要人物との交流の中で「日本独自の暦を作り上げる」という壮大な事業に乗り出していきます。
    家業を継がず自身の好奇心から新規事業を立ち上げる、まるで20世紀のベンチャー事業のようではありませんか!

    主人公の性格が魅力的で、思わず読みながら応援したくなる、そうしているうちに時代がどんどん流れていく、そういう印象でした。

    是非一度手にとって、とってもかわいくて頑張り屋さんの渋川春海の人生を応援してみてください!

  • 過去があり、明日があり、明後日から先にずっと時が続いていくという、当たり前に思っていたことを歴が約束してくれる。
    登場人物がどれも魅力的で、読んでいて楽しかった。

  • 江戸時代、四代将軍家綱から綱吉の時代。
    御城碁を打つ名門の家に生まれ、父から安井算哲の名を引き継いだ囲碁侍である主人公・春海。己の安泰で穏やかな境遇にあき足らず、父の名を受け継ぎもしたが、自らを渋川春海とも名乗り、算術や天文学など、いろいろな事を学んでいた。
    当時の暦は平安時代から朝廷と陰陽師たちが定めた、古いもの。間違いの多かった。会津藩藩主で、将軍家綱の後見人・保科正之から、新しい暦を作るよう命ぜられる。
    春海の20年にわたる奮闘、挫折。そして喜び。
    師となる者たちとの出会い、仲間、そして恋。
    時代小説だけど、熱い物語。

  • きっと、夢の中で天を抱いて…星を数えながら、逝ったのでしょう


    「星だ!」
    「星だ!」
    そして中天に北極星が見えた
    「天測の開始である!象限儀を整えて読め!」


    「お二人は、歩測と算術で、北極出地を予測されておられたのですか?」
    「うん」
    「うん」
    当然というより無邪気極まりない返答がきた。


    からん、ころん。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「無邪気極まりない返答がきた」
      二人のキャラは最高でした。あんな風に若々しく歳をとりたいな、、、
      「無邪気極まりない返答がきた」
      二人のキャラは最高でした。あんな風に若々しく歳をとりたいな、、、
      2013/01/31
  • すーばらしかった!!

    登場人物が素敵、文章のテンポも心地よい。
    これを書くためにどれだけ勉強されたのかなあ。
    丁寧なお仕事に感動。読書の醍醐味。

    *図書館の貸出

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どれだけ勉強されたのかなあ。」
      確かに!
      囲碁、算術、暦、天文、そして時代背景に人物。凄いよね。。。
      「どれだけ勉強されたのかなあ。」
      確かに!
      囲碁、算術、暦、天文、そして時代背景に人物。凄いよね。。。
      2013/02/15
  • はぁ。おもしろかった。すごいね。
    言葉に対する理解の深さが物語を重層的にする。

    日本の暦を 中国の暦とのずれを
    解明する。
    囲碁で 職を成り立たせながらも
    数学に興味を持ち・・・
    星の位置を知り 日食と月食を予想する。

    コンピュータもないときに これだけのことを
    やり遂げた人物がいたとは 驚きであるが、
    そのことを 深く掘り下げて 物語にした手腕は
    驚くばかりの才能。

  • 天地明察、非常にマニアックな内容だ。
    だけどテンポの良さと登場人物の魅力でぐいぐいと物語にハマる。漫画化や映画化も頷ける。
    正直難しいことは半分も理解していないけど、面白いと感じたし、時には涙もした。
    時代小説を読み慣れていない人でも楽しめる一冊です。
    理系で普段専門書しか読まない知人にお勧めしようと思います。

  • 漫画を読み、どうしても原作を読みたくなり再読。
    漫画と合わせる事によって世界が広がり良さが倍増。
    漫画、まだまだ続くよなー。
    その都度、原作読み返しジーンとするんだろうなー。
    光圀伝読みたい!

    (’12 9/27 読了。 文庫購入。 再読)

  • 時代は江戸時代、徳川四代家綱から五代綱吉にかけて。碁打ちをもって城に出仕する安井家に生まれた二代目安井算哲こと渋川春海が、算術趣味から飛躍して天測従事、やがては世の「常識」となっていた宣明暦の八百年間のズレを正し、失敗を越え、己の丹念な測量と計算によって作り出した暦によって改暦へと導く物語。

    気持ちのよい話を読んだ、というのがストレートな感想です。

    取り扱っている人物から歴史物や時代ものが好きな方には勿論ですが、そうでない方も読みやすいのではないでしょうか。寧ろ2、30代の人には特に共感と羨望を覚える作品ではと思います。

    それは主人公の春海が「己だけの春の海辺」を求めて、将来どこを目指しているのか明確ではないものの自分の出来ることを行い、その結果辿り着いた世界がある、という流れだからです。その点で重要なのは彼の、好きな物はあれども何者になれるかも分からない自分に対してけして悲観的に卑屈にはならない姿。こそこの話を気持ちよいものにしてくれていると感じます。

    好きこそ物の上手なれ、諦めず手放さず弱腰でもいい求め続けよう、と若者を鼓舞してくれているようだと思いました。
    そして、春海に関わる数々の「師」たちの素晴らしさ。それはひとえに天恵であったかもしれません。
    が、こんなに人に恵まれて己だけの春の海辺に立てた春海は、正直、羨ましい。

  • 映画化されるというので、ならば原作をと手にとった。
    久しぶりに気持ちの良い本を読んだという読後感。

    「天の理」である天体の運行を詳らかにし、日本最初の和暦である貞享歴を苦難の末に完成するまでのストーリー。

    何だろうなあ。この気持ちよさ。

  • 暦を変えるという、時代を変えるにも等しい大事業をなした、渋川春海についての物語。

    主人公の春海はもちろんのこと、春海を囲む人々たち皆、個性的で魅力的。

    少し歴史のお勉強にもなりました。

    算学絵馬って今もあるんですかね?

  • 晴海がとにかく愛しくなる物語。読みだしたらとにかく止まりません。つまづいても立ち上がるところがかっこいい。羞恥心やプライドを捨て去ることの大事さを感じ取りました。良い人ばかりが出てくるように感じるのは、晴海の性格からきているのかなと思います。前向きに生きて行きたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「つまづいても立ち上がるところがかっこいい。」
      素晴しいキャラクターでしたね。
      何かを極めるコトは難しいけど、誠実で熱心であるコトは誰にでも...
      「つまづいても立ち上がるところがかっこいい。」
      素晴しいキャラクターでしたね。
      何かを極めるコトは難しいけど、誠実で熱心であるコトは誰にでも出来るコトだから、私もそうありたいです。。。
      2013/04/23
  • やっと届いた。予約してから一年以上経つのではないかな。
    歴史ものなので不安だったけど、お、面白い!!!!!
    さすが…冲方さん♥♥天晴れ!!
    ちょうど映画公開前なので、実にタイムリー。
    今年は日蝕も月蝕もあったので、すごい偶然だと思いながら読んだ。

    内容は所々難しくて…じっくり読みたかったけど、時間が足りなくて後半は流して読んでしまった。


    一番好きな言葉が
    “左手は火足り(ひたり)すなわち陽にして霊。
     右手は水極(みぎ)すなわち陰にして身。

    拍手とは、陰陽の調和、太陽と月の交錯、霊と肉体の一体化を意味し、火と水が交わり火水(かみ)となる。
    拍手は身たる右手を下げ、霊たる左手へと打つ。己の根本原理を霊主に定め、身従う。
    このとき火水は神に通じ、神性開顕となって神意が降りる。”
    (116ページ)

    何かすごく感動した。「日本人で良かった…私」と感じた。

    個人的には無邪気な健部と伊藤が好き。

    『頼みましたよ』 『頼まれました』でジーンときました。

    あと水戸光圀公のイメージがガラガラガラ~と私の中で崩壊した。
    (258ページ)

    歴史、歴史上の人物、神道学など…知識満載。
    自分の読解力が足りないと痛感させられた一冊。あとでまた再読したいな…と思う。

    • まっきーさん
      コメありがとうございます!

      読んでいると一年、待った甲斐がありました。文庫本買ってしまうかもしれません!

      映画の出来が気になりま...
      コメありがとうございます!

      読んでいると一年、待った甲斐がありました。文庫本買ってしまうかもしれません!

      映画の出来が気になりますよね(*^o^*) でも今からとても楽しみです^^
      2012/06/06
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「映画の出来が気になりますよね」
      ホント!期待し過ぎないようにしてますが、やっぱり期待しちゃってます。
      私はマンガまで買ってしまったのですが...
      「映画の出来が気になりますよね」
      ホント!期待し過ぎないようにしてますが、やっぱり期待しちゃってます。
      私はマンガまで買ってしまったのですが、映画を観るまで読まずにいる予定。
      2012/06/08
    • まっきーさん
      こんにちは。

      本当に映画楽しみですよね。
      マンガも読んでみたいし…。

      私、原作本だと表現が難しくて、想像できない箇所がたくさん...
      こんにちは。

      本当に映画楽しみですよね。
      マンガも読んでみたいし…。

      私、原作本だと表現が難しくて、想像できない箇所がたくさんあったので
      映像とかマンガを見ると、分かりやすいのかもしれません。

      映画の配役も(あえて)見てないので、楽しみですねー♪
      2012/07/08
  • からん。ころん。

    かつて、暦とは権威だった。現代人がそんな事を思ったことがあるだろうか。
    明日の朝、金環日食が日本中で見られる予報を疑う者がいただろうか。
    唐の時代より800年に渡り時を刻んだ宣明暦は、既に寿命を迎えていた。
    囲碁侍・渋川春海は、御城碁に出仕した際に観光した金王八幡宮にて、
    一瞥即解の士・関孝和の名を知る。
    真剣勝負が許されぬ、過去をなぞるだけの上覧碁に飽きた春海は
    御城の外で関孝和へ向けた『無術』の遺題を貼り出し、己の浅はかさに切腹を試みる。
    大老酒井の命にて北極出地に従事し、建部、伊藤から大願を託された春海は会津公・保科正之より、改暦の儀を命じられる。
    「安井算哲よ。天を相手に、真剣勝負を見せてもらう」
    「必至!」
    しかし春海が採用を奏した授時暦は日蝕の予報を外し、春海は朝廷に仇をなす不倶戴天の如き扱いを受ける。
    失意の折、関孝和が出題した『無術』の遺題が、春海にひとつの気付きを与える。
    「授時暦を切れ、渋川春海」
    再び立ち上がった春海は膨大な量の観測結果から集大成となる『大和暦』を作り上げる。

    ”勝負がしとうございます”
    道策の身を切るような声がよみがえった。
    「私もだ、道策」
    白い息を吐き、ぐすっと洟をすすって、
    「私も、そうなんだ」

    今生きていく先に、何かを遺していく事ができないような気がして、
    とても焦らされるし、羨ましく思わされる良い物語だった。
    期待を背負う重圧と、屈辱に塗れた己への憤怒。
    誤ってもなお、春海に期待を寄せるのは春海の実直な人柄によるものなんだろうな。
    引用文に登録した、p465の1センテンスがその集大成だと思う。

  • 碁打ちが暦を決める人生へと。
    そこには色々な事があり、色々な出会いがあり…。

    最初から最後まで、何だかわくわくしてしまいました。
    そこに人ひとり分の生涯があったからなのか、それとも
    あまりにも人情味あふれていたからなのか。
    ただそこだけを目指して走るその姿も感情も
    ものすごく共感する所がありました。

    人の一生。
    もちろん駆け足で、なので、ものすごくくるくると
    何もかもがとんとんと始まって終わっている感じです。
    最後の方は、何だかあっけない、というよりも
    さくさくと進んだような気もしますが
    何だか楽しい気分でした。

    ようやく会った、名前だけ知っていた人。
    会わせる、という約束を果たせた人。
    背中を押してくれた人達。
    辛くもあり、けれど支えてくれた人達がいた
    幸せな人生、だったかと。

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著者プロフィール

冲方丁(うぶかたとう)
1977年、岐阜県生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。
『マルドゥック・スクランブル』で日本SF大賞、『天地明察』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞にノミネートされた。『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞。
代表作となる『天地明察』は2011年にコミック化、そして2012年に岡田准一主演で映画化されヒット作となる。2019年1月、『十二人の死にたい子どもたち』が堤幸彦監督により映画化。

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