- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048740326
作品紹介・あらすじ
島に一本しかない紫焔樹。森の奥の聖域に入ることを許されたユナは、かつて〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった……。呪術的な南洋の島の世界を、自由な語りで高らかに飛翔する、新たな神話的物語の誕生!
感想・レビュー・書評
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舞台は架空の島・トロンバス島。南の島や港町ときくと陽気で開放的なイメージが頭に浮かぶけれど、恒川光太郎は孤島の影の部分にスポットライトを当てるので、いくつもの妖魔の姿が暗闇に浮かび上がる。
一つひとつの作品は短く、次やその次の作品に少しだけ重なるように構成されている短編集。読み終えた後にまた初めから読み直し、全体でひとつの環のように読むのも楽しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絶妙な面白さでした。
トロンバス島での色々な話
凄く好きな世界観でした。
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ワタシはあまり、作家の時系列を考えて読んでないんですが(新作も何も気にしてないし)、この本を読んでいるとき、デビュー当時の作品なのかと勘違いしました。
少し、今までの恒川さんの作品とは違う感じ・・・です。
わざとやってるんだろうけど、文章もなんとなく荒削りな感じ。作風も、荒削りな感じ。
でもやっぱり恒川さんの作品が好きですけれども~♪(笑。
最後の章が一番好き、かな。 -
この世かあの世か、それとも異世界なのか。不思議な場所と不思議な人が織りなす短編集です。
日常のすぐそばにある“あちら”っていう感じが上手くて、不思議な雰囲気が好きだなぁ~と思っていたけど
本作は日常をとっぱらった「あちらの世界」のみな印象を受けました。
初読みの「夜市」は衝撃的だった。まだそれを越える作品には出会っていません。
ゆっくり他の作品も楽しもうと思います。 -
今ひとつ、、、南の島の雰囲気は分かったが、、、
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夢の中で旅してる様な不思議な小説。
島に関する短編集が7編あり奇妙に繋がっているけど結構なにも分からないような眠りの浅い夢を見ていたような感覚が残った。 -
なんか、世の中の事を、結構知っているつもりでいても、実は、何も知らないのではないか。この小説を読んでいると、何が正しくて、何が正しくないか、分からなくなる。いや、むしろ、そういった概念自体、的外れなのかもしれない、等と思ってしまった。
面白かったです。 -
子供のころ、世界はとても不安定で、夜は果てしなく深く未知のものだった。もっと有り体に言うと、自分は何時まで、保護下に置いてもらえるのだろうか。何らかの心変わりで置き去りにされやしないか。頭の中はそんな風な最悪のシナリオを描いたりもした。恒川さんの小説に触れると、子供時代の怯えから来る漠然とした心のざわめきが蘇る。どこかゆったりとした南国情緒の濃密な空気をまとった中に、しっとりとした情感や、神話・伝承とシュルレアリスム様々なものを織り交ぜた、魔法や夢想に彩られた幻想譚という感じです。
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不思議な話。
短編連作集とも言える。
なんとなく背筋が寒くなるようでもあり、ほのぼのと暖かさを感じるようでもあり・・・
不思議な作品。 -
これまでの日本的なほの暗さを感じさせる作風から、舞台を南国へと移して色が変わり新鮮でした。
湿り気のある南国の空気、悠久の時を刻み続ける煌めきや物悲しさ。
時空間を超越した物語の数々は読み進める度に奥行きを広げていく。
それぞれのお話の中にリンクする所もあり、沢山の夢を見ているような気持ちになりました。
『紫焔樹の島』と『まどろみのティユルさん』がお気に入り。
最終話のおぞましい夜の闇や絶望を、読み手に最後に光を感じさせて幕を下ろす所も好きです。
ある話で【オン】の文字が出てきて何故か心が温かくなりました。
続編希望。
著者プロフィール
恒川光太郎の作品





