南の子供が夜いくところ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 840
レビュー : 167
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740326

作品紹介・あらすじ

「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。多様な声と土地の呪力にみちびかれた、めくるめく魔術的世界。

感想・レビュー・書評

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  • ワタシはあまり、作家の時系列を考えて読んでないんですが(新作も何も気にしてないし)、この本を読んでいるとき、デビュー当時の作品なのかと勘違いしました。
    少し、今までの恒川さんの作品とは違う感じ・・・です。
    わざとやってるんだろうけど、文章もなんとなく荒削りな感じ。作風も、荒削りな感じ。
    でもやっぱり恒川さんの作品が好きですけれども~♪(笑。
    最後の章が一番好き、かな。

  • この世かあの世か、それとも異世界なのか。不思議な場所と不思議な人が織りなす短編集です。

    日常のすぐそばにある“あちら”っていう感じが上手くて、不思議な雰囲気が好きだなぁ~と思っていたけど
    本作は日常をとっぱらった「あちらの世界」のみな印象を受けました。
    初読みの「夜市」は衝撃的だった。まだそれを越える作品には出会っていません。
    ゆっくり他の作品も楽しもうと思います。

  • 不思議な話。
    短編連作集とも言える。
    なんとなく背筋が寒くなるようでもあり、ほのぼのと暖かさを感じるようでもあり・・・
    不思議な作品。

  • これまでの日本的なほの暗さを感じさせる作風から、舞台を南国へと移して色が変わり新鮮でした。
    湿り気のある南国の空気、悠久の時を刻み続ける煌めきや物悲しさ。
    時空間を超越した物語の数々は読み進める度に奥行きを広げていく。
    それぞれのお話の中にリンクする所もあり、沢山の夢を見ているような気持ちになりました。
    『紫焔樹の島』と『まどろみのティユルさん』がお気に入り。
    最終話のおぞましい夜の闇や絶望を、読み手に最後に光を感じさせて幕を下ろす所も好きです。
    ある話で【オン】の文字が出てきて何故か心が温かくなりました。
    続編希望。

  • いやーやっぱ恒川さんはいいっ。
    この独特の世界観。
    なんとゆーか、目に見えているものは同じでも空気が違うような、
    場所も時代も空間もなにもかもがいっしょくたになって、
    みたこともないような世界が現われてくる感じ。
    なんか、色が、どっちかってゆーと原色っぽくて、
    でもその配色がすっごく独特で、くせになる味みたい。

    一番最後に読んだからやっぱパイナップル頭は衝撃的だったな。
    うわー、喰ってる、おいしいんだっって。
    しかもそのあとアボガド頭になって、
    そうしてそのあとまた帰ってゆくんだからすごい。
    なんなんだ、それは、とゆー感じ。
    本人にしては相当な悪夢だ。

    好きなのはやっぱユナのトイトイさまの話だろうか。
    安穏と生きることは人を弱くするのだろうか。
    生きるか死ぬかの中で生き続けることは確かに強さがなければできないか。
    が、どちらがいいといえば私は前者がいいな。
    でもそれゆえに滅んでゆくのを受け入れることは・・・・できるだろうか?
    うーん。
    魔神はなんだか怖かったな。
    あの海賊と感じが似てた気がするのだけれど関係あったりするのだろうか?
    そしてユナとともに旅をしていた彼は今はどこにいるのだろう。

    南の、という題名にあるからか、
    なんだか熱帯の島の暑さが感じられるような。
    神話のような時代から、現代まで、暗闇の奥の方から眩しすぎてみえなくなるほどの光のなかまで、ものすごい濃い密度のお話を読んだ気持ち。

  • 「草祭り」があまりに良かったので、ついつい比べてしまうけれど、同じ形式(すべての短編の何かがひとつの街でつながっている)であるにも関わらず、「草祭り」とは程遠い完成度としか思えない。この作品の短編に共通する要素は「トロンバス島」という島であり、「ユナ」という女性である。お話の何かが必ずこの2つとつながっており、不思議なお話のすべてがそこにつながることによって、この2つの神秘性を高めるという効果を狙ったものと思われる。「草祭り」では大成功した手法です。でも、ここではそれは失敗しています。なぜだろう?
    まず、あまりにも空想小説すぎる。夢物語というか、出来の悪いおとぎ話というか、妄想すぎるというか、変質的というか、とにかく現実感がゼロ。現実とつながる要素がひとつもない。これ、大きなマイナス。
    そして、この作品で露呈しているのは、恒川さんは登場人物の会話を書くのが下手すぎる。台詞が幼稚すぎる。これは致命的ともいえるマイナス要因だと思うのです。
    無理やりひとつの要素でつなげることなく、それぞれを独立した短編にしてもよかったのじゃないかな?とも思ったり。

  • 不 思議な本だ。民話のようにどこか懐かしくて、SFのようにまったく空想のようにも思える。7話の短編集なのだが巧妙につながっていて、それでいてそれぞれ が独立した世界を持っている。味わい的には筒井康隆の世界にも似ているし、これまでの誰とも似ていないように思える。全体に悲しいトーンに満ちているが決 して暗くもなく、むしろ独特の明るい光を放っている。 

  • いつも新刊を秋頃出されるのに、今回は出ないな~と思ったら2月頃に出ていたという。
    それはさておき、今回も素敵な話だった。
    恒川さんの作品は「非日常が日常として文章に溶け込んでいる」ことに魅力があると思う。
    勿論話の中で非日常は「不思議」として記述されているのだけれども、例えば見た目若いけれども実は120歳のユナが当たり前の「日常」として普通に溶け込んでいる空間――例えばティユル氏が何故そんな姿になったのかという根本に触れることなく、ただそこにいたのを見つけたという非日常のみ描写される空間――ありとあらゆるところに非日常に隠された(読み手にとっての)不思議を綺麗にまとめあげ、且つそれを読み易い文体で記述していくのだから、作品の空気に惹かれるタイプの私にはたまらない。

    100%謎の解明を求めるタイプには一寸不完全燃焼だろうが、童話が楽しめる人ならオススメ。

  • 少し不気味な短編集。場所も時代も飛び越えていくお話し「雲の眠る海」と「まどろみのティユルさん」のラストが好き。

  • 58:ぞわっと鳥肌がたつような、気持ち悪さと不気味さ、不条理感が同居する不思議な世界。南国の島という明るいイメージはごく表面のものでしかなく、あっけなく人々は死んでゆきます。ユナさんとタカシという光の裏側で、島は残酷で、正直な面を露わにする。そのギャップが違和感をもたらし、先へ先へと読み進める吸引力でもあるのでしょう。表題作のラスト「世界の九十九パーセントは想像するしかないものばかり。」が深く、続く短編の根底に流れるものなのかも。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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