南の子供が夜いくところ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 840
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740326

感想・レビュー・書評

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  • 最近お気に入り。「夜市」の恒川光太郎の本です。

    今回も先日読んだ「草祭」と同じくひとつの場所を下敷きにした連作短編。
    とある南海の孤島に住む人々とその地の伝説。120歳を自称する呪術師ユナにつれられてその地に住むことになったタカシは。。。

    「南海の」と書きましたが、大体そんな感じというのであってどこと限定されたわけではない不思議な空間。このあたりのさじ加減が絶妙です。その島での過去や現在がいろいろな視点で描かれて、うつし絵のように島の輪郭が見えてくるような気がします。読んでいる時はもうちょっと「ユナ」の前身とか書いてほしいと思いましたが、読み終わってみるとこれでいいのかなとかも。

    個人的にはこの人の本にはずれがないなあ・・・という印象。

  • 不思議な話だったなぁ。
    なんか昔話とか、民話とか、そういうの聴いてる感じ。
    だけど今のお話でもあるので不思議。

    とても日本的なお話に感じました。
    どの話に流れる空気も濃密で、だけどふわふわしてて、
    いつの間にかすっとそっちの世界に引き込まれそう。

  • 南国の楽園のむわっとした空気をかんじてずっと胸が高鳴りっぱなしでした美しい怖い極彩色怖い

  • 感想を言葉に表し辛い酩酊感。

  • 巨額の借金に苦しみ、子どもと共に一家心中を計画する両親。
    立ち寄った屋台で出会った不思議な女性に導かれ、南の島トロンバス島で生きていくことを決意するが・・・。

    幻想小説、和製ホラーの名手、恒川光太郎による連作小説。
    これまでの作品群とは違い、海外である南の島を舞台に異世界へ踏み込んだ少年を主軸に、島の歴史と静かな恐怖がセンチメンタルに描かれる。

    日本で多額の借金をし、どうしようもなくなった両親は、120歳だと自称する女性ユナに咎められ、南の島であるトロンバス島に息子のタカシを預け、別の場所で金策することとなる。
    一人異国の地に残されたタカシは南の島の言葉や習慣に戸惑いながらも、穏やかで異質な世界に馴染みながら成長していく。
    語り手、時間軸は短編ごとに入れ替わり、タカシの置かれる環境がいかに構成されていったか、タカシの世話役のユナがいかなる人物かがリンクし合いながら断片として語られていく。

    どの章も静かで、我々の地続きの世界とは少しだけ異なる幻想的なおとぎ話のように淡々と綴られているが、内容は残酷でもあり、教訓を孕んだ児童書のようでもある。
    すべてが解決し、謎も解けてハッピー・エンドという作品では決してないのだが、読後は南国の避暑地で夜の海を眺めているような、穏やかな気持ちになっている。

    少し視点を変えれば、どんな世界にも見えてくる正気と狂気。
    何処に逃げても変わらない因果。

    作品に登場する島国が居心地よく感じられるのは、自分たちが棲む世界と姿形は変われど本質が変わらないからなのだろうか。


    恒川光太郎 その他の著書

    ・竜が最後に帰る場所
    ・草祭
    ・秋の牢獄

    などなど。

  • 南の子供の住む島は遠いおとぎ話の島のよう。即物的であることを忘れるくらいに飽和状態の中で生まれた自分には不思議でもあり、どこか懐かしくもある。無感覚に耐えられなくなったら南を目指して旅するのもいいね。大切なものはなにかということを常に意識していたい。

  • 世界観が良いですね、登場人物が生きているのか死んでいるのか
    現実と非現実の共存、それがそのまま受け入れられて、
    幸せなのか不幸なのか、わからないけど良い

  • 今までの作品とは違って、物足りない感があります。
    ピンと来ないし、なかなか読み進めません…。
    南の島よりも、やはりダークな世界観が好きです。
    惹きこまれなくて、途中で挫折しました。ちょっと残念な内容でした。

  • 南の島を舞台にした中篇集。
    妖しく不思議で底意地が悪く、でもどこかゆったりと構えている。
    「蛸漁師」と「まどろみのティユルさん」が好き。

  • “「眠れないの?」
    タカシは枕を脇に抱えて頷いた。
    ユナにききたい。お父さんとお母さんは、本当に今生きているのか。あの手紙は本物なのか。でも、夢の中で棺桶を開くことができなかったのと同じく、返答が怖くて言葉が出ない。ただ涙が零れる。
    「どうした」ユナはやさしくいった。
    「嫌な夢を見た」
    「だから泣いているの?大丈夫よ」ユナはハンモックから下りた。「心配したって仕方がない」
    「夜が怖い」
    「困ったわね。じゃあ、ちょっと散歩でもしようか」”

    ファンタジーチックで、少し怖い。
    恐怖というよりは、奇妙な得体の知れなさ。
    今の自分のすぐそこにも転がっていそうな。

    “月に照らされた灰色の雲が夜空を流れている。
    私は自分の頭の中の輝く場所へ意識を集中して、聖域に入った。
    紫焰樹のそばにくるとしばらく放心した。
    トイトイ様が私の横に現れた。
    「みんな大嫌い」
    私はいってみた。
    でも、いってみただけで、本当は誰も嫌いではなかった。
    トイトイ様は慰めるようにいった。
    「時折、寂しくて、寂しくて、仕方がなくなるだろう?」
    私は答えなかった。
    「みんな同じだ」
    トイトイ様は長い手を伸ばして私の頭を撫でると、森の中へと消えていった。”

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年、『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。著書に『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『南の子供が夜いくところ』『竜が最後に帰る場所』『金色の獣、彼方へ』『南の子供が夜いくところ 』『スタープレイヤー』『ヘヴンメイカー』などがある。

「2019年 『白昼夢の森の少女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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