西巷説百物語 (怪BOOKS)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.05
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本棚登録 : 1359
レビュー : 178
  • Amazon.co.jp ・本 (609ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740548

作品紹介・あらすじ

上方には上方の仕掛けあり。「これで終いの金比羅さんやで」巷説シリーズ、新機軸の第五弾。

感想・レビュー・書評

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  • 長く続いているこのシリーズは、実はあんまり好きではなかったんだけど、この西版は上手にまとまっているな…と思いました。

    人間、どんなに良い人に思われていても、やっぱり心に闇はあるわけで…。
    闇のない「良い人」なんて、場合によっては単なる内面的キャパの狭いおバカさんだったりするしね。

    人によっては世間の尺度からすると「かなり」悪いことをしてきても、そこから目をそらして平気で生きようと自分を欺瞞して暮らしているのだねぇ…。

    で、そんな自己欺瞞によって満ち足りない暮らしをしている方々が外側の皮を剥かれ、自分が自分と対峙せざるを得ない状況になったとき、人はけっこう自ら死を選ぶのだな…と思いました。

    でも、自己欺瞞から不満な日々を送り、そのまま死ぬのとどっちがいいんだろ?
    いろいろ深いお話ばかりだったよ。

  • 京極堂より巷説派です。


    西は巷説シリーズ第5弾!
    西というくらいなので舞台は上方、大坂。
    西の主役は靄船の林蔵。
    又市の悪友であり小悪党の仲間です。


    個人的には唯一のハッピーエンドの豆狸と
    一番救いようのない鍛冶が嬶が好きかなー
    あとは自業自得というかなんというか・・・・
    鍛冶が嬶は怖い。
    自分が八重だったらほんと怖いと思う。


    久しぶりにシリーズを読み返したくなりました。
    ラストの野狐がぼんやりと巷説(1作目)を
    思い出させるからでしょうか。


    シリーズの中では1作目の巷説百物語が
    一番面白いと思い、やっぱり一番好きです。

  • タイトルどおり、大坂での物語。靄船の林蔵が活躍します。決め台詞「これで終いの金毘羅さんや」ってのが妙に気に入りました。最終話にはあの人やあの人が登場するのも、シリーズファンとしては嬉しいところ。
    お気に入りは「鍛冶が嬶」。恐ろしいってのもありますが。何とはなしに、悲しい気分にもなりました。あの人はきっと、本当に一生懸命だったんでしょうね……そりゃもちろんやりすぎだけど。深刻に悩みながらも、自分でそれに気づけなかったということが、とても可哀想に思えました。
    悪人に報いを、という作品がほとんどの中、ちょっと違う趣向の「豆狸」も良かったな。こういう仕事もしてるんですね。ほんわかします。

  • 今回の巷説は上方が舞台で以前も出てきた靄船の林蔵がメインとなると聞き、はてメインとなるような人物だったかなと思いましたが、するりと人の懐に入ってくる存在感があるのだかないのだかというのが魅力に思えました。
    これはミステリでいうところの「倒叙もの」の手法ですね。犯人側の視点で物語が紡がれる。犯人というとしっくりと来ないものもありますが、犯人やら加害者が事件や世間や社会や人々をどう見ているのかが描かれています。
    その視点は悪党のものであったり下衆のものだったりもしますし、世間とのズレに気付かなかった故の悲劇であったりもします。その事を起こしてしまった側の理屈や視点と世間の視点を繋ぐものとして怪異や妖怪があるのでしょう。あちら側に行ってしまった人の前に己の姿を映す鏡として妖怪が現れ、それでいいのか、こちら側に戻って来いと問いかける。そんな物語構造が美しいのです。
    そしてこれはある種のキャラクター小説なのでしょうね。それぞれ得意技をもった人々がチームを組んでプロジェクトに取り組む。その痛快さも楽しみました。

  • 巷説百物語シリーズ又市の義兄弟である靄船の林蔵含む上方一派の話。 又市やおぎんさんの江戸訛りが少ないのは寂しいが、林蔵たちの見せる仕掛けは又市たちと引けを取らない。又市とは仕掛けのアプローチの仕方は違うが、実に鮮やかである。 最終話「野狐」は又市、百介の友情出演で又市と林蔵の共同仕掛け。 野狐は林蔵の過去につながる話で、結局は彼の心に傷を残したまま終わる。 又市の「林蔵、お前大丈夫だろうな?」という台詞が胸に残った。

  • 実は我が家の本棚には、特別なハードカバー・西巷説百物語がおいてある。
    精神的に特別だというわけではない。物理的な話だ。京極夏彦先生のサイン入りなのだ。
    自慢かと思われる方も多いだろう。
    自慢なのである。
    我が家の数少ない家宝である。
    もしこの本を汚すような輩が現れれば、そいつは金属バットを構えた私と遭遇することになるだろう。
    どうして私なんぞがそんなものを持っているかというと、とあるご縁でサインをもらうという僥倖に行き会ったことがあるのだ。
    かねてより大ファンだったワタクシはテンションが振り切れた状態で、真新しい西巷説百物語を購入し、サインをいただいた。
    そんなきっかけで購入した本ではあるものの、内容もこれまた安定の面白さであった。
    今回はシリーズ主役又市の縁者・林蔵が主役だ。番外編という扱いになると思う。
    中でも鍛冶が嬶が一番好きだ。

  • 京極夏彦氏が林蔵という仕舞人というか仕事人とでも呼べばいいのか、彼に持ち込まれる厄介な問題を人が持つこの世の物ではない物達への恐れを巧く利用して人の心のそこにある嘘を暴きだし解決へと持って行くというお話7編を集めた小説『西巷説百物語』を読了。彼が事がすべて済んだときに一言残す『これで終いの金比羅さんや』という締めの言葉が妙に格好よいので、WOWWOWあたりで是非ドラマ化してもらいたいものだ。京極夏彦作品は余り読まないのだが、昔の日本の人々の暮らしや文化、習わしなどがきちんとリサーチされている感じがするのは少ないが今まで読んだ作品に共通している。いい編集者がついているのか、いいチームがいるのか。西というタイトルがついているところを見ると東ではないにしても関連する小説がありそうなので探してみよう。クールな江戸の仕事人のお話なかなかでした。

  • 前巷説百物語で謎を残していた、「西のねずみ」にまつわる物語。
    前巷説での林蔵さんは、格好いいイメージが残っていなかったのですが、関東版とは違った小又潜りもとい、靄船の操り方で、夢と現が逆転するのかしないのか、どっちなんだという緊張感の中で読み進めました。
    最後の、又市さん・百介さん登場にも、うれしい誤算。
    数年、十年あけてもよいから、巷説シリーズの続き出てくれないでしょうかね。

  • 京極夏彦版必殺仕事人但し人殺しなし、です。1話完結ながら、重層的でどんでん返しのある展開。各話とも「後」で種明かしとフォローがある至れりつくせりの構成です。久々に堪能。

  • これで終いの金毘羅さんやー

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著者プロフィール

’94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。’96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞受賞。この二作を含む「百鬼夜行シリーズ」で人気を博す。’97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、’04年『後巷説百物語』で直木賞、’11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞を受賞。’16年遠野文化賞、’19年埼玉文化賞受賞。

「2020年 『文庫版 今昔百鬼拾遺 月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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