- Amazon.co.jp ・本 (611ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048740548
作品紹介・あらすじ
上方には上方の仕掛けあり。「これで終いの金比羅さんやで」巷説シリーズ、新機軸の第五弾。
感想・レビュー・書評
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良く覚えていないんだが、おもしろかった記憶はそこそこある。
このシリーズはやっぱり良いな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
長く続いているこのシリーズは、実はあんまり好きではなかったんだけど、この西版は上手にまとまっているな…と思いました。
人間、どんなに良い人に思われていても、やっぱり心に闇はあるわけで…。
闇のない「良い人」なんて、場合によっては単なる内面的キャパの狭いおバカさんだったりするしね。
人によっては世間の尺度からすると「かなり」悪いことをしてきても、そこから目をそらして平気で生きようと自分を欺瞞して暮らしているのだねぇ…。
で、そんな自己欺瞞によって満ち足りない暮らしをしている方々が外側の皮を剥かれ、自分が自分と対峙せざるを得ない状況になったとき、人はけっこう自ら死を選ぶのだな…と思いました。
でも、自己欺瞞から不満な日々を送り、そのまま死ぬのとどっちがいいんだろ?
いろいろ深いお話ばかりだったよ。 -
久々の京極作品。だいぶ積んだままでした。文庫落ちまでしていたのですね。
そろそろお盆も近いので雰囲気で読んでみる。
見たくなくて思い出したくなくて隠していること騙してることを、日本文化の枠組みからは外れないけれど非常にロジカルに分解してみせる真理分析医のような林蔵一派。このころ宗教という装置をこのように分解できた人はいたのでしょうか?
妖怪と現代的な手法の奇妙な同居が特徴的。
最後に東の又市とも絡む編が収められています。懐かしい。
単行本だったので、シリーズ徹底解説書がついてました。もう一度通して読んでみるかな。 -
京極堂より巷説派です。
西は巷説シリーズ第5弾!
西というくらいなので舞台は上方、大坂。
西の主役は靄船の林蔵。
又市の悪友であり小悪党の仲間です。
個人的には唯一のハッピーエンドの豆狸と
一番救いようのない鍛冶が嬶が好きかなー
あとは自業自得というかなんというか・・・・
鍛冶が嬶は怖い。
自分が八重だったらほんと怖いと思う。
久しぶりにシリーズを読み返したくなりました。
ラストの野狐がぼんやりと巷説(1作目)を
思い出させるからでしょうか。
シリーズの中では1作目の巷説百物語が
一番面白いと思い、やっぱり一番好きです。 -
タイトルどおり、大坂での物語。靄船の林蔵が活躍します。決め台詞「これで終いの金毘羅さんや」ってのが妙に気に入りました。最終話にはあの人やあの人が登場するのも、シリーズファンとしては嬉しいところ。
お気に入りは「鍛冶が嬶」。恐ろしいってのもありますが。何とはなしに、悲しい気分にもなりました。あの人はきっと、本当に一生懸命だったんでしょうね……そりゃもちろんやりすぎだけど。深刻に悩みながらも、自分でそれに気づけなかったということが、とても可哀想に思えました。
悪人に報いを、という作品がほとんどの中、ちょっと違う趣向の「豆狸」も良かったな。こういう仕事もしてるんですね。ほんわかします。 -
他シリーズ同様面白い。構成的に仕掛けられる人が誰なのかわかるけど、読んでいくうちにどんどん歪さが明かされていってゾクゾクする。仕掛け後の種明かしを堪能できるのも面白い。百介さん出てきた時は歓喜した!
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大坂随一の版元にして、実は上方の裏仕事の元締である一文字屋仁蔵の元には、数々の因縁話が持ち込まれる。いずれも一筋縄ではいかぬそれらの筋道を心づくしの仕掛けで通してやるのは、あの又市の悪友にして腐れ縁の、靄船の林蔵。二ツ名通り、死人が操る亡者船さながらの口先三寸の嘘船でそれと知れぬ間に彼らを彼岸へと――連れて行く。「これで終いの金比羅さんや――」
(2010年) -
シリーズではちょい役だった上方の林蔵たちが中心の物語だが、シリーズ主人公の又市、百介まで登場は嬉しい(*´∇`*)
畳みかけるような(きっと前のめりの早口の)百介のしゃべり方も懐かしかった。
月の魔性、供養を怠って発狂、夜の楽屋での浄瑠璃人形同士の争い…などなど、巷説の妖怪譚も深い事情があった。
妖怪を使って相手を揺さぶった後、現実に引き戻して逃げられない状況へと追い込み、そして責任を追わせる。妖怪には妖怪の、鬼には鬼になった事情があるというものの。
「今際の際に、親族に有り難うと言えなんだ、その一言のために人は迷う」