道徳という名の少年

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.24
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本棚登録 : 1090
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740586

作品紹介・あらすじ

「愛してるわ!ずっと昔から…。子供の頃から、愛していたわ!」町でいちばん美しい、娼婦の四姉妹が遺したものは?(1、2、3,悠久!)、黄色い目の父子と、彼らを愛した少女の背徳の夜(ジャングリン・パパの愛撫の手)、死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ(地球で最後の日)、-桜庭一樹のゴージャスな毒気とかなしい甘さにアーティスト野田仁美が共振してうまれた、極上のヴィジュアルストーリー集。

感想・レビュー・書評

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  • 『道徳という名の少年』再読。
    久しぶりに読んだ。するする読める大人向けのお伽噺といったところでしょう。前回読んだ時は思わず家系図を描いてしまったな…笑
    桜庭ワールド全開。気持ち悪さも兼ね揃えた血縁の呪縛と家族観。いろいろとやばいね〜こわって思うような感じ。

    2022.5.25(2回目)

  • 本の造りやデザインが子供の頃に読んだ童話のようで、また話の書き方進み方も童話のようだった。内容は少し大人っぽいが…。短編集なのですぐに読めた。
    不道徳な美しい女から産まれた四姉妹(名前が「1、2、3、悠久」と変わってる!)と弟から続く一族の話。なんだか切なくなるような話だった。

  • 装丁や中の絵がとても美しい。
    お話の内容はよくわからなかったけれど、
    親から子へ親から子へと
    主になる人が変わっていく。
    なかなか面白かった。
    この作品テーマ的なことはよくわからなかった。
    これが桜庭一樹ワールドというものなのだろうか。
    桜庭一樹は伏以外は読んだことなかったのでこれから読んでいくことになるかも。

  • ジャングリーナさんは血塗られた己の手のひらを幻視し、笑い、むせび泣いた。そうしてまた、殺すことも、犯すこともなく、できることといったらせいぜいちょっとしたものを盗むぐらいの、世にはびこる善人ども、幸福な羊のようなくだらない人生、己の敵たる、いわゆる糞ったれの道徳の奴隷どもをあざ笑うように、歌い続けた。血を吐くように。助けを求めるように。死にたがるように。
    (P.91)

  • 装丁が素敵。
    途中挿絵も挟まれていますし、文章はそんなに長くありませんが、美術書でも読んでいるような気分になります。

    町一番の美人が立て続けに娘を4人産む。名前は1.2.3.悠久。子供に数字の名前を付けるのは凄いと思いますが、4人とも母親に捨てられ娼婦になる。

    そして悠久は弟と恋に落ち、子供を産む。

    不思議な物語ですが、美しい話です。

  • 町一番の美女が父なし子を次々と産み落とす。その子孫にまつわる短編5話。

    父親は誰かと聞かれたたきの、「死んだわ!」がなんかツボ。
    文章に癖があるけどそれがいい。

    字が少ない短編なのですぐ読める。

  • おとぎ話みたいだった。ジャングリン・パパの愛撫の手が面白かった。装填が素敵すぎる!カバーだけじゃなく、中身まで凝っていた。野田仁美さんの絵をもっと見てみたいと思った。

  • 一人の美しい女が生んだ子供、そのまた子たちが紡いでいく物語。
    連作短編集で、掲載された媒体が各話で違うみたい。よくもまあ、チャレンジャーなことをしたなあと思った。単品で読んでもなんだかわからないって印象を受けないかしらん。

    苦手。
    だからなんなの?という話が多い。一族ものが好きなのもわかるのだけど、うーん。あいまいすぎて、よくわからない。
    桜庭一樹の小説はときどき空を駆ける的な話になることがあって(赤朽葉家とか傷跡とか初期の少女ものとか)、現実を描いたほうが好きなのになあ。
    その中で好きだったのは幼馴染と夫婦になるが、腕を無くした彼の世話にずっと憧れていた彼の父も一緒に生活することになる。黒子のような父。現れるのは性交時で、父の手によって、女は快楽を与えられるという話。なんだか官能的。
    そして何ページかごとに挿入される見開きの絵。美しいんだけど、桜庭一樹の文はしみじみ読むものではないから、読むリズムが崩れそうで、絵は素通りしてしまった。絵を小さめにするとか、方法はなかったのかな。

  • 絵と短い文章で構成された一冊。サド侯爵の「ジェローム神父」に近いかも知れない。
    だが、彼女にはその短い文章の中で美を描くには要領不足だったように思う。
    伝えたい筈のものが伝わって来ず、美しさを描き出すにはあらゆる方面で、描写の不足を感じる。
    絵本程に意味の籠った作品に仕上がらず、小説と言うには絵に完全に呑まれて仕舞っている。

    朽ち果てる美、子に受け継がせる為に、親は枯渇して往く。美と云う流行は次々と訪れては去って往くが、各々の美は紛れも無くひとつしか存在し得ない。

    桜庭一樹特有の「血の呪い」を完全に出し損ねている上、あらゆる官能美は一時的な描写として流される程度にしか描かれていない。
    題材は良くとも、作品は明らかに不出来だ。

    挿絵はモノクローム仕上げにも拘らず、美しいと思った。
    会田誠やその他の有名所の作家には到底敵わないが。

  • 繊細なビジュアルと、耽美的・背徳的なニュアンスの物語がからまりあってできた大人のための絵物語、という感じでした。独特の、飾り気無く純粋だけれども濃厚な官能にひたされた文章が、シンプルな物語によってより浮き彫りにされた印象です。
    あからさまにエロティックではない挿絵ですが、かもし出されるのはやはりそれで、物語と良いバランスがとられています。
    面白いとかいうより、このまったりした毒気にあてられてぼおっとなりました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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