- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048740623
作品紹介・あらすじ
現代私小説の最高峰!誰もが共感する、この孤独…平成の私小説家・西村賢太の渾身作。
感想・レビュー・書評
-
西村賢太の最新作。
6つの短編からなる。
さすがは西村賢太、ぜんぜんブレがない。
青春時代の人間関係をつづった表題作「人もいない春」と「二十三夜」。
同棲相手の秋恵との生活を描いた「乞食の糧途」「赤い脳漿」「昼寝る」など、どれも力作。
どの作品も素晴らしいと思うのは、文章のリズム感。そして、同棲相手と過ごすアパートで繰り広げられる、天国と地獄。
世間の片隅にあるアパートの一室が、無限の広がりを見せる。
日常の些細な出来事が、西村賢太の筆にかかると、滑稽であり、悲しくもあり、愚かでもある。
立川談志が言った「落語とは、人間の業の肯定である」を彷彿とさせる語り口に圧巻。
もっと読んでみたいし、もっと生きて欲しい。
さらなる飛躍に期待します。
女性の中には反感を持たれる方もいるかもしれませんが、是非読んでいただきたいオススメの作家です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「昼寝る」が割と好きかな。貧乏くさくて人間くさくて。
-
数少ない(唯一?)の創作『悪夢――或いは閉鎖されたレストランの話』収録。
言わば太宰にとっての『走れメロス』だが、描く世界は真反対ともいえる陰惨な世界。 -
主人公の貫多=作者の投影の描き方がとてもいい。そのクズっぷりは胸がすく感じではあるが、ラストの性善説を思わせる人間臭さがほんとうの「人間の業」を誇張やカッコつけすることなく表現できていて、文学を読んだ感じ。貫多はオレなんちゃうかな、とおもう性根の曲がった様の見事な描きっぷりに、久しぶりに自己投影させながら物語というものを味わうことができた。
-
西村賢太さんのたくさん読んだけど、これもすごく好き。
貫多らしさもあったし、貫多の弱い部分とか、秋恵への想いとかね。
ニ十三夜
赤い脳漿
昼寝る
がおもしろかった。
赤い脳漿。。気持ち悪い。
しばらく私も麻婆豆腐とミートスパゲティ見て思い出さないようにしなきゃ。
しかし、貫多ー。酷いな!
でも憎めないな〜。
後から反省するからかしら? -
ここまで数冊読んだ中では一番好きな作品集。
無骨で不器用でありながらも秋恵への愛が伝わってくる「昼寝る」がいい。後半の展開には笑った。
「悪夢ー或いは「閉鎖されたレストランの話」」〜「乞食の糧途」〜「赤い脳漿」〜「昼寝る」はサブシーケンスとしてサイコホラーのような雰囲気もそこはかとなく漂っていて、ショートムービーー四部作で構成したオムニバス映画にしてもイケるのではないかと思った。でも、おれには無理。誰か作ってくれい。 -
本作は他のに比べ、大学生への妬みや恋人への罵詈雑言の勢いが少し弱く感じた。複数の本を読むことで著者の悩める気持ちや自問自答がより分かる気がする。とは言え最低の男であることに揺るぎはない。
-
北町貫多の痛々しい日々。捻くれたリアリズム。悪癖を撒き散らしては自己嫌悪に陥る悪循環。
鬱々とした彼を最悪ととるか最低ととるかは読者次第であり、自分に跳ね返ってくるかもまたそうである。 -
2012/12/28購入
2014/8/2読了 -
正直に生きれば生きるほど自分のどうしようもない人間性に日々うちのめされるが、見捨てられない自分。ぐっときて非常に良かった。文章が小気味良く読んでいてネガティブにならない。傑作です。