- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048740630
作品紹介・あらすじ
小学4年生のぼくが住む郊外の街に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎の研究を始めるが-。冒険と驚きに満ちた長編小説。
感想・レビュー・書評
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こんな男の子が息子だったら、一日中だっておしゃべりしていたい♪
山下和美さん描くところの、天才柳沢教授をぎゅうっとちっちゃくしたような
主人公のアオヤマくんが、とてつもなく魅力的です!
小学4年生にして自分の頭の良さを自覚し、
それでも「昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ」と努力をおこたらず
20歳になるまでの三千と八百八十八日、このまま努力し続けたら
どれだけえらくなってしまうのかと心配するアオヤマくん。
その日その日の発見を、ノートに逐一書きつけ(しかも速記で!)
親友ウチダくんと街を探検しては、自分たちだけの地図を作る。
怒りそうになったらおっぱいのことを考えると、心がたいへん平和になると知っていて
でも、考えるのは毎日30分くらいが妥当だと思っている。
。。。もう、なんて可愛いんでしょう♪
こんな可愛いアオヤマくんが、通学路にペンギンが突如として出現したのを皮切りに
街を襲った奇想天外な事件を、大好きな歯科医院のお姉さんや友達と一緒に
観察し、研究し、走り回って解決へと導く、ひと夏の物語。
コーラの缶がペンギンに変わる瞬間や、森の中に浮かぶ〈海〉の動きが
細田守さんのアニメーションでくっきりとイメージされたり、
事件終盤でのお姉さんとアオヤマくんのやり取りに
『銀河鉄道999』のメーテルと鉄郎のラストシーンが重なったり、
アオヤマくんの最後のモノローグには、
原田知世主演の『時をかける少女』の切なさを思い出したり。
読みながら、なぜか今まで観た大好きな映画やアニメが次々に
心に甦ってくるのが不思議でした。
「海辺のカフェ」でお姉さんとチェスをした、あの夏にはもう戻れない。
仲間とパラソルの観測基地を建てた森の奥の草原には、二度とたどり着けない。
綴ったノートが百冊を超えて、アオヤマくんが大人になった頃
もし再びお姉さんに出会うことがあっても、
『時をかける少女』のラストシーンのように、ほのかな気配は感じても
アオヤマくんにはきっと、お姉さんがわからない。
でも、その時、押入れの中に(たぶん)大事にしまってある古いノートから
キウキウキシキシとペンギンたちの足音が聞こえ、あの夏の風が吹いて
止まっていた時間が動き出し、新しいおはなしが始まる。。。
そんなふうに信じたい、可愛らしくて切ない物語でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理屈っぽくて生意気なんだけれど、本人はいたって真面目。そんなアオヤマくん(小4)が出会った不思議な出来事。
住宅街に突如現れるペンギン、
シロナガスクジラ、ジャバウォック。
森の中の〈海〉をめぐるハマモトさん、ウチダくんとの研究。歯科医院のお姉さんのおっぱい。スズキくんの不器用なラブアピール。
男の子はいつから男になるのかなぁ。小癪なくらい口が立つくせに、おっぱいだけで日々を平和に過ごせるアオヤマくんが可愛い。おっぱいって偉大なんだな。せいぜい大切にしましょう。
ところで何回おっぱいが登場したのかしら…(「恋文の技術」と言い、「夜は短し〜」と言い、森見氏はおっぱい病確定…) -
ふぅ、と読み終えてからぼくは、この小説の星評価をずいぶんと迷った。星3つくらいな気もしたし、星5つくらいな気もしたからだ。そこでぼくは父がアドバイスしてくれたことを思い出し、一枚の紙にこの本を読んだ研究成果を要約して箇条書きのメモを作ってみた。
ぼくはベッドに腹ばいになってそのリストを眺めていた。するとそのうちに、どういうわけかメモが次第ににじんで見えるようになり、よく読めなくなってしまった。ぽたりと涙がメモの上にこぼれて落ちた。
ぼくはアオヤマくんよりももう少し歳を重ねているから、泣いてしまうことがそれほど恥ずかしいことではないことを知っている。この本を読み終えて最後に残った感情はけっきょくのところ、ただただむしょうに切なくて切なくて、ただそれだけだったと気付いたのだ。
そういうわけで、ぼくはこの本に星の評価で5つをつけることにしたのだった。 -
密かに憧れているのに、どうも相性が悪くてハマれない作家さんだったんだけど
でも、この本はすっと読んでみたかったし、きっと読めそうな気がしていました。
苦手意識が強くてねー、読むだけでいささか緊張してしまいました。
毎日、昨日より賢くなるために努力を続けているぼくと謎めいた歯科医院のお姉さん。
突然ペンギンが出現したニュータウン、「海」が浮かぶジャバウォックの森、シロナガスクジラのぶら下がる海辺のカフェ。
夏の幻みたいなやわらかいファンタジーでした。
現実世界の延長上に起こる奇想天外な現象にどきどきしたり、
思慮深く計画性と実行力があり、大人気ない子どものぼくになんだか胸キュンだったり、
背伸びした子どもたちが秘密を共有して冒険する姿にわくわくしたり、
魔法がとけたような、夢から覚めたようなラストが切なかったり。
彼らには大きな未来があって、世界の果てにでも海辺の街にでもどこにでもいけるんだなぁ。
あぁ、読めたよ!おもしろかったよ!
森見氏に敬意を表して☆5を献上いたします。-
仕事の繁忙期と
自分の引っ越しが重なって
返事遅くなってすいません(汗)(>_<)
コレ俺も大好きな作品です!
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仕事の繁忙期と
自分の引っ越しが重なって
返事遅くなってすいません(汗)(>_<)
コレ俺も大好きな作品です!
子供だけで秘密基地を作って
探検したり、
初恋に胸焦がしてた頃を思い出して
読んでる間中
甘酸っぱい気分に浸れましたよ(*^o^*)
まさかあの森見さんに
こんな爽やかな感性があったなんて
ちょっとビックリやったし(笑)
歯医者のお姉さんがまた
凛としていいキャラやったなぁ〜♪
あと少年のお父さんも。
2013/04/08 -
ありがとうございます。
難解な森見節が苦手なわたしでも、雨がしみこむようにするする読めて、ほんと読んでて楽しかったです。
ぼくの家族やク...ありがとうございます。
難解な森見節が苦手なわたしでも、雨がしみこむようにするする読めて、ほんと読んでて楽しかったです。
ぼくの家族やクラスメイトもいい感じでしたね。
大人たちもかわいくて味があって素敵だったな。
また、森見さんの児童文学的作品読みたいです。2013/04/08
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うぅー最高!!!少年の語り口、物事をまっすぐに素直に見つめる姿勢。人を好きになるって素敵なことだなぁ。せつないけれどかけがえのない大切な思い出、そして少年の未来に思いを馳せ涙が出てきた。少年は泣かないって言ってたけどね。
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ファンタジー
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森見登美彦、こんなに素敵なジュブナイルSFを書く人だったなんて!おもしろいけどマンネリ作家だなんて今まで見くびっててすいません。
主人公は郊外の街に住む、たいへんかしこくて理屈っぽい小学4年生の男の子。おとなしいけど考え深い親友、かしこくて勇気のある女の子、いじめっ子、そして気になるお姉さんと、ジュブナイル小説の定石通りのセッティングだが、そこに突然ペンギンが出現して突然消えたり、草原の真ん中に<海>が出現したりと、とても手に負えなさそうな謎がどんどんとふくらんでいく。
すごくいいなあ、と思うのは、主人公の子はとっても理屈っぽいんだけど、だからこそ、目に見えず実証できないもの、<世界の果て>ということをずっと考えている。自分が死ぬということに気づくのは、まさに自分が経験できる世界の果てがあることを知ることなのだ。だからウチダくんが彼にうちあける「誰も死なないのではないか」というアイデアが、物語の最後に大きな意味をもってくる。これぞまさしくセンス・オブ・ワンダーだ。
世界と自分とを意識し、はじめての恋をする、人生のその一瞬とSFのセンスが見事に結実している。ユーモラスでキラキラしてて、ちょっと切ない物語だ。 -
森見作品は大好きなんですが、これは合わなかった。
ひねくれた私は、純真な少年より屁理屈をこねるヘタレ大学生の話の方が好きだ。
でも「世界の果てが見たい」という少年の気持ちは本当によく分かる。
私もいまだにそう思っているから。
著者プロフィール
森見登美彦の作品






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