ペンギン・ハイウェイ

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 1263
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740630

感想・レビュー・書評

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  • 全編を通じて感じられる
    森や雨の描写などにある瑞々しさ、
    子供時代の懐かしさ、
    お姉さんから漂う切なさ。
    それが全部がごっちゃになったまま迎えたラストの寂しさ。
    絶妙だったと思います。
    ドラえもんが見たくなりました。なんとなく。

  • 何なんなんなんだぁーこのシュールな世界は?!
    やけに理路整然とした小学生アオヤマ君が、ペンギンとお姉さんの謎に果敢に挑むも…ラストはちょっぴり切ない、異次元ファンタジー。面白かった!

  • 京都でなくて、大学生でもない、

    ちょっと賢くて子どもっぽくないのに、子どもらしい真っ直ぐな少年の、ヘンテコな出来事を通した、不思議なお姉さんへの初恋のお話でした。

    いつもの、堅苦しさから醸し出される妙な可笑しさはほとんど無いけれど、

    会話や思考が森見さんらしくて、

    やっぱりすきでした。

    ペンギンを始めとするヘンテコな出来事が、どう転んでどこに収まるのかと思っていたら、

    なんてこった、初恋の話じゃないか!
    そんなん、胸がぎゅっとするに決まってる!

    ラストの甘酸っぱさが、すごく切なかったな。

    なんとなく、漫画版「ドラえもん」を読み終えた時の気分を思い起こしました。

  • 最初小学生向きの話かと思ったけど、最後まで読むとそれだけではなかったなと思わせるものもありました。

  • 独特の世界観。 小学四年生の勉強家な研究少年の視線で、おだやかな日常と、謎をたどっていく。 読んでいる自分も、一緒に冒険しているような~最後は、せつない物語。 やさしく見守り、考えるヒントをくれる父とのやりとりも好き。

  • 子供の頃住んでいた町を大人になって再訪する時、
    懐かしさとともに、こんな景色だっけ、という違和感が心の一部を占める。
    かつて巨大で恐ろしかったスーパーや工場も、
    大人の目で見ると貧乏くさく、迫力がない。
    息を呑むような朝焼けも、夕日に染まる早苗の田んぼも、
    今ではどこかよそよそしい表情を見せる。
    そしてなにより、不気味で仕方ないのに、どうしても惹かれ、
    恍惚と想像を馳せた山向こうの「世界の果て」が、
    大人の僕たちには、もうない。

    『ペンギン*ハイウェイ』は、そうした子供の目にだけ見える「世界の果て」を描いた物語だ。

    理性を信じ、論理を重んじる小学四年生のアオヤマ君は、近代実証主義的人間像を理想として、日々自主研究に励む。
    宇宙の彼方の構造や、相対性理論、地球の誕生に、「頭をキーンと」させながら、あらゆる知識の集積が、いつか偉大な発見に辿りつくと信じている。
    彼の問いの始まりはいつも、この世界の果てを解き明かすこと、にある。
    宇宙や時空から、自分の住む町の最果て、ひいては歯科医院のお姉さんのおっぱいにいたるまで、彼は自分にとって理解の行き止まりとなる謎に、徹底的な観察と記述とで迫ろうとするのである。

    しかし、それに加えて、彼自身も気付いていなかった、もう一つの世界の果てがあった。
    それはいつしか彼の内奥に潜んでいた、「心」という謎だ。

    合理的であるために怒りや悲しみを無意識に抑えてきた彼は、
    お姉さんの持つ不思議な能力を目撃し、お姉さんとの別離の予感を抱く中で、次第に自分の心という最大の謎と向き合っていく。
    それはノートに記録を試みても思うようにいかない、彼にとって未知の対象だった。彼の父親が終盤で述べているように、彼は外ではなく、自分の内側に広がる世界の果てを自覚したのだ。

    この物語におけるお姉さんの正体が、最後まで明確に語られることはない。『夜は短し歩けよ乙女』での李白さんのように、自然を超越した、神的存在といってもいいのかもしれない。
    ただ彼女が悲劇的であるのは、超越した自分の存在を自覚していない(あるいはしようとしていない)ところにある。そこには、李白さんのような仙人的驕慢さも、莞爾と笑う高踏的余裕もない。
    自己の異常さに慄き、優しく諦めているのである。
    お姉さんの絶望は、天才のアオヤマ君でさえ救うことができなかった。

    彼はこの先、以前よりも勤勉に研究を重ね、
    自分の心を見つめ、
    人を信じ、傷つき、大人になるだろう。
    その時、彼にとっての世界の果ては消滅し、
    お姉さんの記憶も忘れてしまうのだろう。

    そうして再び懐かしい故郷を訪れ、
    記憶の中の風景とのわずかな齟齬に戸惑う時、
    二度と戻らない少年時代を嘆きの中に思い返すのだろう。

    喪失を運命づけられ、しかしそれゆえに貴く美しい少年時代。
    『ペンギン*ハイウェイ』はその儚さを正面から描いた良作だと思う。

  • アニメになりそうなファンタジー小説。

    苦にならない平易な言葉使いと文体、おそらく意識して書いたであろうルビをつけない言葉のチョイス。ヤングアダルトまっしぐらの少年のほろ苦い夏の日の思い出ってやつ。エピソード4からの話をまとめる急転直下の展開には爽快感がありファンタジーの醍醐味がある。しかしそのエピソード4に突入するまでの話の土台作りとそのエレメントの数がいささか多いように思う。無理に単行本化して大幅加筆を施したような不自然な長さ(実際巻末を見ると「大幅加筆しました、とある」)。

    物語の根幹は現実感はびこる世界観の中に散りばめられる非現実感、その剥離感を楽しむ作品なのだろう。主人公アオヤマの小4らしからぬ言葉遣いや、それに付き合う周りの大人(父、お姉さん)の言葉遣いは大いに楽しめた。大人を渇望する少年に、周りの大人がその大人であることのほろ苦さを哲学をもって示唆する場面には自分の少年時代、うだる暑さの夏の日が回顧され、そのころ吸っていた空気や香っていたにおいなどがよみがえってくるようだった。年上の女性にあこがれる少年の永遠のテーマともいえる一種の不可思議な感情の表れをファンタジーでもって包み込むとこんな感じの読後感になるんだろう。

    ブラックコーヒーを飲む小4、ノートにこだわる小4、そんな小学生時代がぼくにもあったならなぁ。

  • 街に突然現れたペンギンの大群。
    どうやらペンギンやクジラを生み出しているのは歯医者のおねえさんらしい
    ペンギンと海とジャバウォックとおねえさんの不思議な関係。
    なぞを解くのだ、かしこい小学生のアオヤマくん。

  • お姉さんがとっても魅力的だった。さっぱりしてて活動的で男勝りでおっぱいで(笑)。アオヤマくんがどんな大人になるのか楽しみ。そしていつか、会えると良いなと思う。というか彼ならできそうだ。

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著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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