ペンギン・ハイウェイ

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.89
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本棚登録 : 7843
レビュー : 1263
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740630

感想・レビュー・書評

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  • とてもカシコイ小学生と歯医者で働いているお姉さんの物語。
    ある街に突如ペンギンが現れる。なんでペンギンが?僕はペンギンの謎を解く研究を始める…という話。

    すごく良かった。
    と言っても、森見さんらしい空想、妄想がてんこ盛りなので
    じっくり読み込んだ!
    というよりもふわふわと不思議な空想の中を漂っていた感じ。
    僕(アオヤマ君)のキャラクターも好きだし、登場人物がみんな好きになった。
    飄々としていて、別に悲しい終わり方じゃないはずなのに、読了後に胸をきゅっと、やさしくつかまれたかのような切なさがこみあげてきた。
    他の人にもお勧めしたい。
    この本の良さが分かる人とは仲良くなれそうな気がする。

  • ソーダ水越しに見る景色みたいにキラキラした夏のお話。
    ふわふわしたファンタジー要素と少年たちのかわいさで
    女の子ウケが良さそう。
    私も女だけど、イライラしたらおっぱいの事を考えよう。

    思ってたより切ないラストにきゅんとなった。
    アオヤマ少年が大きくなったら、「黒髪の乙女の研究」を
    やりだすんじゃないかとちょっと心配。

  • 森見ワールドが突き抜けた!
    なんだかとんでもない方向に。

    舞台が京都ではなく、主人公が大学生でもない。
    ストーリーはコメディでもなく、ホラーでもない。

    今回の物語は少年とお姉さんとペンギンの話。

    新興住宅街に住む小学四年生のアオヤマ君は、たいへん頭が良く、論理的思考を得意とし、好奇心旺盛。
    気になることは常に持ち歩いているノートに書き記し、様々な研究、調査を友人のウチダ君と共同で進めている。
    それと、甘いもの、歯科医院のお姉さんと、おっぱいが好きである。

    そんなアオヤマ君が通学途中にペンギンを発見するところから物語が始まるわけです。

    前半は20世紀少年とかスタンドバイミーみたいなジュブナイル色の強い、微笑ましいストーリーなんだけど、後半は何だかこう、ゴールドエクスペリエンス的というか、ちょっとしたSF小説に進みつつも、何故か最後はウルウルしてしまう、そんな話でしたね。

    恐らく、真性の森見ファンの中でさえ、好き嫌いが本当に真っ二つに分かれる作品ですよね。
    オレは大好物ですが。

    ただ、森見節は健在です。

    まず、登場人物。
    主人公のアオヤマ君は言わずもがな、大人たちもすごく魅力的でした。

    カフェのマスター、ヤマグチさんは何やらキザな感じ、アオヤマ君のお父さんは、イメージ的にはトトロのお父さんみたいだし、お姉さんは巨乳だし。

    で、この大人達に共通していたことは、アオヤマ君を子供扱いせず、一人の人間として対等に接していたところなんですよね。
    ここが凄く良い。

    固有名詞のネーミングセンスもとてつもなく冴えまくってました。
    ここが森見作品の一番好きなところ。


    自分が失ってしまった純粋な気持ちに対する懐かしさと、背徳感、年上の女性に感じていた憧れ、未知の出来事に遭遇した時の興奮と虚栄心。
    いろんな感情が混ざりあった不思議な読了感を得られる小説でした。

  • 魅力的なお姉さんとアオヤマくんを中心にすすむ物語であるが、ウチダくんがなかなかいい味をだしている。
    とりたてて頭がきれるわけでも、腕っ節がつよいわけでもないが、周囲に気を遣うウチダくんがいてはじめてみえてくる世界がある。おっぱいの話をしてはいけないという真に小学校4年生なリアクションがいい。
    そういうウチダに私はなりたい。

  • 「4畳半の大学生」を4年生の子供に置き換えただけのグズグズ森見ワールド(理屈っぽくて、おっぱいが気になるところが共通)と思いきや、後半は壮大なファンタジー&スペクタクル。日本SF大賞受賞もうなづけます。akoさん、推薦ありがとうございました。モリミーの印象が変わりました。

  • 2018年にアニメ映画になったらしい。
    狸じゃなくて、ペンギンかぁ ......
    森見ワールド in どこかの新興住宅地。

    ある日、突然、住宅地にペンギンが現れる。小学4年生のアオヤマ君は研究熱心。友達のウチダくんやハマモトさんと協力しながら、ペンギンや ペンギンを研究していて見つけた海や この街の川など、なんでもノートに書いて研究をすすめている。
    お父さんや、歯科医院のお姉さんも協力してくれる。
    やがてすべての謎がひとつに収束されていき ...

    京都の街を乙女を追う話と、構造は似ているかな。
    あちらはもう青春真っ只中で、彼女を追い求めているが、こちらはまだ4年生、自分の初恋にも気がついていないような ..
    いじめっこ集団にやられたりしても、状況を客観的にみて対応するやけに老成したアオヤマ少年のキャラがユニーク。
    立派なはずの大人が、都合の悪い事実を曲げたり隠蔽したりすることに対する すがすがしい皮肉でもあるか。

    夏らしさもいっぱいの、清涼感のあるお話でした。

  • 主人公の男の子とお姉さんや友達との会話のやり取りもすごく面白い。主人公のアオヤマ君も、ちょっと理屈っぽい男の子なんだけど素直ですごくかわいい。
    子どものとき経験した「世界を知る」という経験。私も大した発見でもなんでもないのにこんなにもドキドキしたなーと思い出して懐かしくなった。
    でも後半でアオヤマくんが謎の確信に近づけば近づくほど切ない。最後お姉さんに推理を聞かせてるところもすごく切なかった。

    はっきりと謎の解決はしないのでスッキリはしないけどそれがまたいい感じ。夏に読みたい小説。

  • とても読みやすくて、すんなり物語には入れた。少年の口調も心地好かったし、スッキリきちんとしているものが好きなので、全体的に好みでした。
    でも、ジャバヴォックの自分の想像が怖すぎて夜寝れなくなった。

  • アオヤマ君同様に、「ペンギン・ハイウェイ」という言葉がとても気に入ってこの本を手にした。お姉さんとアオヤマ君のお父さんの関係が気になった。ペンギン、シロナガスクジラ、そして「海」、本来ありえないものが出現しているにも関わらず、アオヤマ君の研究テーマの一つとして扱われて物語は進んでいってしまい、オイラは置いてきぼりにされた。あまり難しいことを考え続けるのは得意ではない。お姉さんが人類じゃないっていうこともそうだけど、ここに登場する大人たちってリアリティがない気がする。子供たちはリアルなんだけど……。小学四年生のひと夏の甘酸っぱくてドキドキワクワクする出来事、大人になってもそんな気持ちは忘れずにいたいものだ。日本一忙しい小学生として生活するアオヤマ君は見習うべきものをたくさん持っている、好奇心とか行動力とか。

  • 「他人に負けるのは恥ずかしいことではないが、昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ」と言う小学四年生の「ぼく」は、好奇心旺盛で勉強熱心。たくさんの本を読み、常に多くの研究課題を抱えて、毎日それを自分のノートに記録している。ある日「ぼく」が住む郊外の街に、突然ペンギンたちが現れた。この奇妙な事件に興味を持った「ぼく」は研究を始めるが、仲のよい歯科医院のお姉さんの不思議な力がその事件に関わっていることに気付く。

    主人公の「ぼく」のキャラクターが何とも言えない。小学四年生でありながら常に冷静沈着、非常に論理的で、周囲の人に少し生意気な印象を与えることもある。しかし、ときに子供らしい純粋で無邪気な面も見せ、憎めない少年なのだ。彼の思考や行動を追うのが面白くて、つい読み進めてしまう。
    そんな「ぼく」が奇妙な事件に遭遇する。解明困難な謎に立ち向かう「ぼく」にそっと寄り添うのが、彼の父親である。父親がノートを買い与え、書き方を教えてくれたおかげで、「ぼく」はその才能をずんずん伸ばすことができた。それだけではなく、「ぼく」が悩み立ち止まってしまったときに解決へと導くヒントをくれる存在でもある。それは「ぼく」が抱える研究に対してだけではなく、人生において大切な言葉の場合もある。程よい距離を保ちながらも目を離さず見守り、迷った時にはそっと手を差し伸べてくれる、素敵な人物だと思う。

    少年は事件を通して、本からは学べない世界の仕組み、人生の理不尽さをも知ることになる。世界には面白いこと、興味深いことだけでなく、悲しいことも手におえないこともたくさんあるのだということを知って、少年はまたひとつ大人へと成長を遂げるのだ。

著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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