ペンギン・ハイウェイ

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.89
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本棚登録 : 7852
レビュー : 1264
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740630

感想・レビュー・書評

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  • こんな男の子が息子だったら、一日中だっておしゃべりしていたい♪
    山下和美さん描くところの、天才柳沢教授をぎゅうっとちっちゃくしたような
    主人公のアオヤマくんが、とてつもなく魅力的です!

    小学4年生にして自分の頭の良さを自覚し、
    それでも「昨日の自分に負けるのは恥ずかしいことだ」と努力をおこたらず
    20歳になるまでの三千と八百八十八日、このまま努力し続けたら
    どれだけえらくなってしまうのかと心配するアオヤマくん。

    その日その日の発見を、ノートに逐一書きつけ(しかも速記で!)
    親友ウチダくんと街を探検しては、自分たちだけの地図を作る。
    怒りそうになったらおっぱいのことを考えると、心がたいへん平和になると知っていて
    でも、考えるのは毎日30分くらいが妥当だと思っている。
    。。。もう、なんて可愛いんでしょう♪

    こんな可愛いアオヤマくんが、通学路にペンギンが突如として出現したのを皮切りに
    街を襲った奇想天外な事件を、大好きな歯科医院のお姉さんや友達と一緒に
    観察し、研究し、走り回って解決へと導く、ひと夏の物語。

    コーラの缶がペンギンに変わる瞬間や、森の中に浮かぶ〈海〉の動きが
    細田守さんのアニメーションでくっきりとイメージされたり、
    事件終盤でのお姉さんとアオヤマくんのやり取りに
    『銀河鉄道999』のメーテルと鉄郎のラストシーンが重なったり、
    アオヤマくんの最後のモノローグには、
    原田知世主演の『時をかける少女』の切なさを思い出したり。
    読みながら、なぜか今まで観た大好きな映画やアニメが次々に
    心に甦ってくるのが不思議でした。

    「海辺のカフェ」でお姉さんとチェスをした、あの夏にはもう戻れない。
    仲間とパラソルの観測基地を建てた森の奥の草原には、二度とたどり着けない。
    綴ったノートが百冊を超えて、アオヤマくんが大人になった頃
    もし再びお姉さんに出会うことがあっても、
    『時をかける少女』のラストシーンのように、ほのかな気配は感じても
    アオヤマくんにはきっと、お姉さんがわからない。

    でも、その時、押入れの中に(たぶん)大事にしまってある古いノートから
    キウキウキシキシとペンギンたちの足音が聞こえ、あの夏の風が吹いて
    止まっていた時間が動き出し、新しいおはなしが始まる。。。
    そんなふうに信じたい、可愛らしくて切ない物語でした。

  • ふぅ、と読み終えてからぼくは、この小説の星評価をずいぶんと迷った。星3つくらいな気もしたし、星5つくらいな気もしたからだ。そこでぼくは父がアドバイスしてくれたことを思い出し、一枚の紙にこの本を読んだ研究成果を要約して箇条書きのメモを作ってみた。
    ぼくはベッドに腹ばいになってそのリストを眺めていた。するとそのうちに、どういうわけかメモが次第ににじんで見えるようになり、よく読めなくなってしまった。ぽたりと涙がメモの上にこぼれて落ちた。
    ぼくはアオヤマくんよりももう少し歳を重ねているから、泣いてしまうことがそれほど恥ずかしいことではないことを知っている。この本を読み終えて最後に残った感情はけっきょくのところ、ただただむしょうに切なくて切なくて、ただそれだけだったと気付いたのだ。
    そういうわけで、ぼくはこの本に星の評価で5つをつけることにしたのだった。

  • 密かに憧れているのに、どうも相性が悪くてハマれない作家さんだったんだけど
    でも、この本はすっと読んでみたかったし、きっと読めそうな気がしていました。
    苦手意識が強くてねー、読むだけでいささか緊張してしまいました。

    毎日、昨日より賢くなるために努力を続けているぼくと謎めいた歯科医院のお姉さん。
    突然ペンギンが出現したニュータウン、「海」が浮かぶジャバウォックの森、シロナガスクジラのぶら下がる海辺のカフェ。
    夏の幻みたいなやわらかいファンタジーでした。

    現実世界の延長上に起こる奇想天外な現象にどきどきしたり、
    思慮深く計画性と実行力があり、大人気ない子どものぼくになんだか胸キュンだったり、
    背伸びした子どもたちが秘密を共有して冒険する姿にわくわくしたり、
    魔法がとけたような、夢から覚めたようなラストが切なかったり。
    彼らには大きな未来があって、世界の果てにでも海辺の街にでもどこにでもいけるんだなぁ。

    あぁ、読めたよ!おもしろかったよ!
    森見氏に敬意を表して☆5を献上いたします。

    • 円軌道の外さん

      仕事の繁忙期と
      自分の引っ越しが重なって
      返事遅くなってすいません(汗)(>_<)


      コレ俺も大好きな作品です!

      ...

      仕事の繁忙期と
      自分の引っ越しが重なって
      返事遅くなってすいません(汗)(>_<)


      コレ俺も大好きな作品です!

      子供だけで秘密基地を作って
      探検したり、
      初恋に胸焦がしてた頃を思い出して
      読んでる間中
      甘酸っぱい気分に浸れましたよ(*^o^*)


      まさかあの森見さんに
      こんな爽やかな感性があったなんて
      ちょっとビックリやったし(笑)


      歯医者のお姉さんがまた
      凛としていいキャラやったなぁ〜♪

      あと少年のお父さんも。


      2013/04/08
    • tiaraさん
      ありがとうございます。

      難解な森見節が苦手なわたしでも、雨がしみこむようにするする読めて、ほんと読んでて楽しかったです。

      ぼくの家族やク...
      ありがとうございます。

      難解な森見節が苦手なわたしでも、雨がしみこむようにするする読めて、ほんと読んでて楽しかったです。

      ぼくの家族やクラスメイトもいい感じでしたね。
      大人たちもかわいくて味があって素敵だったな。

      また、森見さんの児童文学的作品読みたいです。
      2013/04/08
  • 森見登美彦、こんなに素敵なジュブナイルSFを書く人だったなんて!おもしろいけどマンネリ作家だなんて今まで見くびっててすいません。
    主人公は郊外の街に住む、たいへんかしこくて理屈っぽい小学4年生の男の子。おとなしいけど考え深い親友、かしこくて勇気のある女の子、いじめっ子、そして気になるお姉さんと、ジュブナイル小説の定石通りのセッティングだが、そこに突然ペンギンが出現して突然消えたり、草原の真ん中に<海>が出現したりと、とても手に負えなさそうな謎がどんどんとふくらんでいく。
    すごくいいなあ、と思うのは、主人公の子はとっても理屈っぽいんだけど、だからこそ、目に見えず実証できないもの、<世界の果て>ということをずっと考えている。自分が死ぬということに気づくのは、まさに自分が経験できる世界の果てがあることを知ることなのだ。だからウチダくんが彼にうちあける「誰も死なないのではないか」というアイデアが、物語の最後に大きな意味をもってくる。これぞまさしくセンス・オブ・ワンダーだ。
    世界と自分とを意識し、はじめての恋をする、人生のその一瞬とSFのセンスが見事に結実している。ユーモラスでキラキラしてて、ちょっと切ない物語だ。

  • なんて素敵なボーイ・ミーツ・ガール...いや...
    ボーイ・ミーツ・お姉さん...な作品なんでしょう!
    そしてなんて素敵なペンギン小説なんでしょう!
    ド名作なんじゃないでしょうか!? 正直言って
    今作が書店大賞じゃなかった事に、大きな疑問を
    感じてしまいます。内容、装丁(表紙のペラも外して
    確認してね)も合わせて本当に素晴らしい!!
    自分は特に森見作品に特別な感情がなかったのですが
    今作は凄い! はっきり言って...全てがチャーミングで
    そして切なく、そして前向きで強い。全てのページから
    夏の匂いや情景を感じられ、この世界観に引き込まれて
    いる自分がいました。

    主人公のボクとお姉さんとの切ない関係とラストが
    最初から漂っていながらも、ボクの精一杯の強がりと、
    その強がりを支える努力と成長が涙ぐましくて、
    可愛くて堪らないです。そんなボクを支えてくれる
    シャイだけど心優しい「ウチダくん」、大人びているけど
    お茶目で可愛い女の子「ハマモトさん」、そして何よりも
    最高に頼りになるし、ボクの全てを理解してくれる
    「お父さん」達を持つ「ボク」は幸せ者だよ。
    「ボク」の初恋にして最大の恋は終わっていない。
    人生を賭して成就させるその恋の為に日々を大切に、
    そして目標を持って、文字通りに一日づつ大人になっていくんだね。

    そして...
    ペンギンの可愛さは神がかってますw。
    ペンギン・イズ・ルール!

  • 森見作品では賛否わかれるようだけど好き
    四畳半〜 夜は短し〜 とは違った淡々とした文体も非常に魅力的。それはきつねのはなしからも分かっていたけど今回も引き込まれた。
    もっと早く読んでおけばよかった

    --------------------
    すこしネタバレ





    森見さんがひと夏の純粋な恋を描くとこうなるんだと感動
    生きていくことや死んでいくことについて考えてたこどものころを思い出した
    アオヤマくんはきっとこの先の人生でお姉さんをとても好きなこと、また会いたいと思っていることについて嬉しくなったり悲しくなったり果てしない虚無感に襲われたり暖かい気持ちになったりするんだろう
    アオヤマくんがこれこらの人生の友として道連れにしていくもの。そしてなお広がる人生への希望が輝かしくて、がんばれと言いたくなる。

  • ブクログで見つけて文庫本で購入しました。毎日ちょこちょこ読んだのもあるけど、読み終えるのに1週間くらいかかりました。娘と同じ小学校4年生のアオヤマ君が主人公。さわやかな季節にぴったりなファンタジーな世界です。

    ブログにて詳しいレビューしています。
    http://egaodekurasu.jugem.jp/?eid=839

  • 最後がいい。なんか小学校ってどんなだったかなって思い出したりして懐かしくなった。宇宙の果てとか、家族も自分もいつか死ぬこととか、最初の生き物はどうやってでてきたのかとか、無ってなんなの、とか小学校の頃いっぱい考えて違和感を持っていたことを思い出させてくれた。夜中に宇宙の広がりの番組を見て怖くなってお父さんとお母さんを起こして理由も言わず大泣きした日を思い出しました。頭でっかちに知識をつめながらも無理矢理納得してきたことをもう一度子供の視点でかき回されてすごく不安になったけれど、ひとつひとつ読んでいくうちにすっきりしていく。アオヤマくんのお母さんとお父さんが偉大です。

    世界の果てを見るのは悲しいことでもある。

    世界の果てなんか知らないけどそれでも、すとん、と落ちてくる言葉。泣かないと決めた大人びた少年がお別れのときさえ泣かない様子はなんだか代わりにこちらが泣いてしまいそうになった。歯医者さんも海の街も海辺のカフェも素敵だなぁ。

  • 森見登美彦節を残しつつ、でも小学四年生らしく、らしからず、風景や風やその情景が伝わってくる丁寧な描写がとても柔らかく、好きな文体です。
    好奇心旺盛で努力家でそして少し鈍い小学生の男の子と、不思議で、ずるい大人で、魅力的なお姉さんの間に流れる時間が羨ましくてたまらないです。
    アオヤマくんは実に素敵な仲間に恵まれていて、ラストのシーンなんて映画みたいで疾走感がすごくつたわってきてスズキくんが「走れ!」っていうところなんて!映画のジャイアンがいい奴になる展開じゃないか!と(笑)
    少年よ、そのまま大きくなれ!とおおきな声で叫びたくなるすがすがしさ、そして恋の、純粋な想いの無垢な気持ちがひしひしと伝わってくる最後の文章にぐっと胸が苦しくなりました。

  • 好奇心旺盛な小学校4年生の少年の物語。
    彼の研究方法は、極めてシンプル。
    研究対象を自分のノートにびっちりまとめていく。
    ある日、突然ペンギンが現れたことから、彼の研究対象に「ペンギン」が加わる。
    最終的に、彼の様々な研究対象がひとつに繋がっていき、謎が解明されていくとともに、少年の「お姉さん」への恋心?も淡く描かれている。
    お姉さんと少年のさわやかなやり取りもほほえましい。
    この少年、やたらおっぱい好きなんで、むっつりスケベなのです(笑)

著者プロフィール

森見登美彦(もりみ とみひこ)
1979年奈良県生まれの作家で、京都を舞台にした作品が多い。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2006年に『夜は短し歩けよ乙女』で本屋大賞2位、山本周五郎賞などを受賞し注目を集める。2010年『ペンギン・ハイウェイ』で2010年日本SF大賞、2014年『聖なる怠け者の冒険』で第2回京都本大賞、2017年『夜行』で第7回広島本大賞をそれぞれ受賞。2010年に『四畳半神話大系』がTVアニメ化、2018年8月に『ペンギン・ハイウェイ』が劇場アニメ化された。2018年11月に『熱帯』を刊行し、第160回直木賞、2019年本屋大賞にノミネートし、第六回高校生直木賞受賞。

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