お台場アイランドベイビー

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.21
  • (8)
  • (56)
  • (69)
  • (20)
  • (9)
本棚登録 : 367
感想 : 70
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741125

作品紹介・あらすじ

東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後、息子を喪った刑事くずれのヤクザ巽丑寅は、不思議な魅力を持った少年、丈太と出会う。彼の背後に浮かび上がるいくつもの謎-消えていく子供たち、埋蔵金伝説、姿なきアナーキスト、不気味に姿を変えつつあるこの街-すべての鍵は封鎖された「島」、お台場に-!?震えるほどリアルな「明日」の世界に、守るべきもののため全力で挑む人々の姿を描いた、フルスケールの感動ミステリ!第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 冒頭から引き込まれる展開でした!
    直下型大地震で荒廃した近未来の東京の様子はかなりのリアリティで迫って来ます。そんな状況下でのアクションミステリーがとても良いです。と言ってシリアスにならないような笑えるツボもおさえてあり、結構のめり込むストーリーになっており主人公の関西弁が効いてますね。惜しむらくは終盤 明らかにされる事実が私には肩透かしに感じられて尻すぼみの読後感でした。

  • 選評を読んで、善人しかいないと。なるほどです。おもしろかったんですが、そこまで危機感がなかったのはそういうことなんだなぁと妙に納得です。
    最後は悲しくも希望がある終わりでよかったです。

  • 伊与原 新デビュー作

    「月まで三キロ」のイメージとは遠く、
    ハードボイルド長編小説

    お台場を舞台に甘粕事件等
    実在の事件も交えてテンポよく進む

    「全員善人という大きな瑕(キズ)のある作品」という書評もあるが、キャラクター設定はかなり細かく読み応え抜群

  • 伊与原新さん、これまで理数系のイメージが強くあったのですがまた違った感じです。デビュー作ってことですか?面白く読みました。
    北村薫さんの選評の、みどりの同性愛者としての立場についての言及にうなずくものがある。

  • 最後まで、飽きさせない。

  • ★「せやけど――子供を守るためには、ちょっとおせっかいぐらいでちょうどええと思うんですわ」p.351

    【感想】
    ・いかつい見た目の心優しきハードボイルド探偵の冒険譚って感じ(探偵じゃないけど)。
    ・巽丑寅の関西弁が自然。
    ・ただ、とってつけたようなみどりの同性愛者という設定や最後の丑寅の扱いなんかは気になった。いろいろ盛りだくさんなのだけど全体にそれぞれがあっさり記述だけですませてる感じはあった。「実話ダイナマイト」の社長さんなんかは丑寅の相棒役にしてもおもしろかったような気もする。ユリア婆さんなんかももすこし出番あってもよかったかも。

    【一行目】
     眩しい――。

    【内容】
    ・舞台は経済危機とお台場直下を震源とした大震災によって荒廃した東京。
    ・元刑事の巽が偶然助けた九歳の少年、丈太はヤクザ等に追われている。なぜ? 
    ・後輩刑事を殺されたみどりは「震災ストリートチルドレン」の謎を追う。
    ・なぜお台場はかくも厳重に封鎖されているのか?
    ・少しずつなにかに近づいている感覚。そのへんがおもしろさか。そしてある程度まで近づいてしまうと強大なチカラが襲いかかってくるだろう感覚。そのへんがスリルか。
    ・お台場、岩佐都知事、カルロス、丈太。
    ・横溝正史ミステリ大賞受賞。

    ▼簡単なメモ

    【岩佐紘一/いわさ・こういち】東京都知事。四期目の再選を果たした。
    【オオスギ】→カルロス・オオスギ
    【お台場】今はあらゆる橋も撤去され無人島となっている。なぜか非常に厳重な封鎖がなされている。学者による調査ですら認められない。なにかあるのだろう。
    【ガイ】閉鎖された地下鉄駅を根城にしている男。
    【笠間】東京桜林会病院の事務長。
    【兼岡衛/かねおか・まもる】若い刑事。鴻池みどりの部下。巽がチーチェンと思われる少年を見かけたコンビニで殺された。
    【カリモト】サイド・シックスのリーダー。幼く見えるが落ち着き払っている。
    【カルロス・オオスギ】重富といっしよに行動していた。なぜか子どもたちを集めていた可能性あり。緑色の目と音が高低に割れたようなふしぎな声。日系ブラジル人四世。重富に言わせると生まれついての催眠術師。ふつうに考えたらプロローグに出ていた「私」がカルロスだと思われるが?
    【消えた震災ストリートチルドレン】震災直後の都内でおおくみかけられるようになった子どもたちの集団。一般には不法滞在していた外国人の子どもではないかと思われ話しかけても逃げられるだけだった。ある日忽然とみんな姿を消したが最近ときおり見かけられるようになったらしい。個人を特定できた者だけで百一七人。平均年齢九歳前後、男女比六対四。七割はアジア系、次いで南米系。鴻池みどりは、彼らが何だったのか、なぜ消えたのか、どこに行っていたのかを調べようとする。
    【危険区域】無法地帯に近くなっている地域。
    【椚木瑛太/くぬぎ・えいた】岩佐都知事の秘書官のひとり。政治工作専門であまり表には出てこない。
    【健康保険制度】破綻しておりすでにない。
    【公安事案】本庁の公安が担当するということは事件の真相が伏せられるということに等しい。要するに伏せたいなにかがあるということ。
    【荒神会】弱体化が進むヤクザ業界の中で最近勢いがある。岩佐都知事と関係があるかもしれない。
    【鴻池みどり】巽が刑事だったときの上司。眼鏡のお堅い教師のような女性。品川署生活安定課警部。もうひとりの主人公。同性愛者。
    【河野準治/こうの・じゅんじ】品川署で頼りにされているベテラン刑事。鴻池みどりにも目をかけてくれていた。
    【ゴーストコロニー】南青山あたりにある老舗のコロニーで危険区域に指定されている。もともと幽霊ビルが多くは存在していた。若者が多い。、
    【国土復興協力隊】岩佐都知事の肝いりで発足した若者たちによる労働力確保のための手段。今は治安維持にも携わり拳銃の所持も認められている。中でも「教育隊」と呼ばれている連中はサブマシンガンを携行している。
    【コロニー】かつて避難所だったエリアで、住人の出入りによってしだいにそれぞれ特徴が現れてきた。趣味とか生活様式とかで。例として、趣味による「アキバ系コロニー」はネット活用による違法な売買が盛んで、「ギャング系」はドラッグの密売や組織的詐欺、「ハイエナ系」は義援物質や義援金のちょろまかしなどが行われている。もちろん、政府援助のもとの健全なコロニーも多い。
    【コンテナコロニー】「危険区域」のひとつ。元は大規模な避難所だった。アジア系外国人が住人の大半を占めていると言われている。久野によると数人のボスによる共和制という感じらしい。
    【サイド・シックス】アキバ系コロニー。裏の情報が手に入る。第六台場にある。中立コロニーかどうかはわからない。
    【重富孝也/しげとみ・たかや】潮流舎の創設メンバー。脱退している。震災当時潮流舎内の「黒旗」というチームに入っていたようだ。その名称はかつてのアナーキストたちの活動からきていると思われる。現在どうやら服役中。
    【実話ダイナマイト】ペラペラの雑誌。カニ出版刊。セイジいわくこれを読むのは男のたしなみなんだとか。
    【俊】巽の息子。
    【丈太/じょうた】巽がであったふしぎな少年。九歳。いきもの全般がすき。
    【丈太の母】メイという名前らしい。名字は不明。家森美帆(いえもり・みほ)という日本人の名を借りている。「帰りなさい――もう島に帰りなさい」p.188
    【菅谷杏子/すがたに・きょうこ】不就学児童支援ネットワークの代表。
    【セイジ】宇多組の若い衆。鴻池を自宅マンションまで車で送る係。話好き。
    【ソニア】サイド・シックスの住人。父がインド人の美人。
    【タキ】リリコと親しかったつかみどころのない男。
    【ダーウェイ】チーチェンの兄。五反田のコンビニで店長をしていた。
    【高見聡平/たかみ・そうへい】「実話ダイナマイト」に記事を売り込んでいた記者。行方不明になっている。
    【巽丑寅/たつみ・うしとら】主人公。刑事くずれでヤクザの用心棒。本庁のマル暴から品川署の少年課に飛ばされた後にグレて退職。おきらくでてきとーでひとをくった性格。関西弁のおっさん。
    【チーチェン】「消えた震災ストリートチルドレン」のひとり。中国系の少年。
    【潮流舎】正式には「アンガージュマン潮流舎」。ホームレスや外国人労働者の支援をしている団体。
    【鶴丸商会】証明書類の偽造を生業としているプロ集団。
    【帝土建設】日本有数の大手ゼネコン。つねに談合疑惑がある。
    【東京桜林会病院】金持ち向けの病院。完全紹介制。なぜか丈太の母が入院したらしい。その後どこかに転院したが行方不明。
    【東京湾北部大震災】死者・行方不明者あわせて二万二千六百一九名、折からの経済危機と相俟って復興は進まず人口流出が続き東京の人口は七百万人を割った。
    【ネムリ】ファン老人の部下。
    【能見千景/のみ・ちかげ】本庁公安部刑事。端正な女。キャリア。親しいというほどではないが鴻池とはそれなりに会話がある。
    【久野隆文/ひさの・たかふみ】巽が刑事時代に住んでいたマンションの隣のアパートにいた学生。そのアパートは久野以外全員中国人だった。大家の死によりアパートが取り壊され今はコンテナコロニーで暮らしている。
    【ヒデオ】素人を騙すニンベン師。技術はなくただの詐欺師レベル。まっとうな? ニンベン師からはバカにされている。
    【ファン】コンテナコロニーを仕切るボスのひとり。驚くべきことに、巽のことを知っていた。
    【マーク】お台場にいる野犬の一頭で群れのボス。大きくて狂暴だが丈太にだけはなついている。
    【俣野】どうやら帝土建設の裏工作専門社員のようだ。
    【向山/むこうやま】医療福祉監督官。
    【村崎/むらさき】警察を辞めた巽を拾ってくれた、宇多組の若頭。
    【谷津/やつ】特捜検事。能見の友人。
    【ユリア】病院に入院している婆さん。「シャー」p.189
    【リーチネスト】高さ二百メートルを超える危険なビル。だいたい六本木ヒルズあたり。まあ、言われてみれば最初から吸血蛭の巣窟ではあったので。ヒデオがいるらしい。
    【理代子】巽の妻。
    【和達徹郎/わだち・てつろう】帝都工科大学地震研究所の教授。背が低く腹が出ていて、最初に出会ったときは薄い色つきメガネにサーモンピンクのジャケットと、非常に怪しい。

  • 面白かったけれど、マサイ族の息子とかレズビアンとか元刑事がヤクザに身を寄せているとか話を広げられそうな要素をたくさん入れているのにあまり活きていなくて惜しい気がした。科学技術的な描写はこの作者の持ち味なのかも。

  • 初めて読んだ作家さんでしたが合わなかった
    です。
    合わなかった時は結構共通点あって読みづらく現実離れした主人公の名前。最初のふりがな何度も戻りながら
    確認するのは厳しい。
    また作家の描写が頭に浮かんで来ない。。。
    合う作家さんは頭の中に世界が広がるんですよね。
    荒唐無稽な世界だとしても。
    描写一つ一つが浮かばなくリタイヤしました。

  • 伊与原さんのデビュー作。帯は大げさだけど、しっかりした話です。近未来のお台場が舞台の話。

  • 横溝正史ミステリ大賞受賞作ですが、ミステリ要素よりもエンタメ性を感じた。
    初版は平成二十二年九月、何度も確認。震災前に書かれているが、どうしてもよぎりました。

  • 第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作伊予原新氏の「お台場アイランドベイビー」を読了。横溝正史ミステリ大賞は角川がテレ東と組んで作った新人文学賞なのだが、残念ながら選考基準がユニークすぎるのか賞自体の知名度が低すぎるのか、過去の受賞者でのちのち大きく世に出た作家のいないちょっとマイナー賞である。逆に考えると埋もれている面白い作家を探すというところでは役にたつ賞でもあるが。

    お話はお台場付近を震源とする地震で東京は崩壊、都内のそこかしこに危険地帯が出来スラム化しているて、震源のお台場も液状化で崩壊し封鎖されててしまっている街がぐちゃぐちゃの街が舞台だ。そんな中、元刑事で今はヤクザの手伝いをしている巽丑寅(たつみうしとら)は動物の気持ちがわかるという少年・丈太と出会う。丈太に数年前病気で亡くした息子を重ねて見ている巽は、別の組のヤクザに追われている丈太を助けたことをきっかけに巨大な陰謀に立ち向かうことになるといったものだ。

    ネタバレにならぬようミステリーの肝の部分には触れないが、元刑事の巽が権謀術数を駆使する震災後の政治家と組んだ闇組織のたくらみを暴いていく筋書きの中で封鎖されたはずのお台場でみつかる少年少女がなぞを解くカギになっている。

    作品自体の質というと、不必要な人物設定とか震災後なはずなのにこのシーンはないよなといったちょっとひっかかるところは散見されるが(実は本作品は東北大地震前に書かれているのでそういう意味では仕方ないのかもしれないが)、なかなかの求心力をもって読み手を引っ張てくれる文章で構成された高作品だとおもった。

    で、この作者が化けているか?というとこの本が2010年発効なのですでに7年たっており数作出しているようなので、どうだろう。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了後、大学勤務を経てからの作家デビューで各作品ではその理系地知識が生かされている感じなのでひょっとしたらひょっとするかも。。

    そんな不必要に力を持ちすぎ、自分の力を過信しすぎてしまった政治家が暗躍するも最後には粛清されるという近未来小説を読むBGMに選んだのがLee Ritenourの"Captain Fingers"。今聞いてもキレがいい。メンバーがメンバーだからね。
    https://www.youtube.com/watch?v=Fb2ZvknNzjQ

  • 予想外に面白かった。近未来の大地震後。

  • 最近はまっている伊予原新のデビュー作。横溝正史ミステリ大賞受賞作。ミステリ感は少ないけど、どんどんはまる感じがした。最初は読みにくい感じで、やっぱデビュー作だからなーとか思ったけど、中盤から面白くなった。お台場、カジノ、地震。本当にありそうな近未来。巽が死んだのは本当に残念。無国籍の子ども、というのも今まで考えたことがなかった。そういう意味では読めて良かった。結局オオスギは子どもたちを集めて何をしたかったのか。ずっと平和に暮らせると思ってたのか。丈太に乗り移るってのもイマイチ納得できなかった。しかし東京にこんな地震が起こったらほんとおしまいだよな。

  • #読了。第30回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作。首都直下型地震に襲われた東京。震災ストリートチルドレンと呼ばれた無国籍・多国籍子供たちが街から消えた。。4年後、子どもたちは政府により封鎖されたお台場に戻ってきていた。元刑事の巽は少年・丈太に亡くなってしまった息子を重ね、助けるべく奮闘するが。。。読んでいる途中で知ったのだが、震災前に書かれていた本と知って驚いた。リアリティもあり、テンポもよく面白かった。

  • 有りそうで無さそうな設定が読んでいて面白かった、
    ラストの攻防もう少しページをとってもいいなーと思う、前半の内容少し長かった気が知る  
    読むことが面白い本だった。

  • オオスギのくだりはちょっと残念。そして最後が少し悲しくも心温まる。いい作品でした。この人の作品はほかにも読みたい。

  • 大地震後の近未来を予想する東京お台場でのミステリー。
    親の居ない子供達が廃墟のお台場で生きる。
    そしてそのお台場には、10年計画と称された大掛かりな汚職事件が絡み合っていく。
    途中までは良かったのだが、最後の方はあっさりと終わってしまい、ちょっと尻切れ的な感じは否めない。そんなにミステリーという感じではなかった。

    横溝正史ミステリ大賞受賞作なので、今後の活躍に期待したい。

  • まあまあ

  • 横溝正史ミステリ大賞受賞作ということだけど、
    細かい粗が少し目立ってなかなか物語に集中できず苦労した。

    世界恐慌の末に首都直下型地震で街は荒廃し、治安は劇的に悪化、
    国土復興協力隊なる擬似武装軍隊が警戒活動をするという
    首都東京を荒れ果てたディストピアとして
    舞台設定しているはずなのに、
    派手な宝石品を身につけた太いオバさんが
    高級スーパーに洋服を着せた犬のペットをつれてきて、
    子供に犬の洋服を脱がされたことに怒って
    警察呼ぶわよと叫ぶという平時の苦笑すべき光景で始まっていて、
    荒廃したイメージなのか、今とそんなに変わらない状況なのか、
    ここで描かれている東京をどうイメージしていいのか戸惑う。
    やたら「壊滅」という単語が出てくるのに、
    普通の生活の様子もあって
    最後までどういう世界を想像していいかわからなかった。

    テーマが盛り込みすぎて、焦点がぼけていた感じも残念。
    地震の危険性と震災後の東京、子供を亡くした父親の苦悩、
    在日外国人・無国籍児などの国籍問題、
    大規模開発を巡る疑獄事件、アナーキズムと理想郷国家建設、
    動物関連・・・。
    やたらといろんな要素があって、ごった煮の状況で
    変なお腹いっぱい感になってしまっていた。

  • ミステリ大賞受賞作、ということで期待して読んだ。
    お台場付近を震源とする地震で、お台場は崩壊、閉鎖された。
    東京のそこかしこに危険地帯が出来、スラム化している。
    そんな中、元刑事で今はヤクザの手伝いをしている巽丑寅(たつみうしとら)は動物の気持ちがわかるという少年・丈太と出会う。
    丈太に亡き息子を重ねて見ている巽は、別の組のヤクザに追われている丈太を助けたことにより巨大な陰謀に立ち向かうことになる。

    細かいところまで凝っていて面白かった。
    地震の被害を調べている学者先生がいい味を出していた。
    ダーウェイかっこよかった。

  • 重厚なミステリーだ。ラストはイデオロギーの話にまで発展。

    編集担当者が、「涙が止まらなかった」そうだが。私は泣きはしなかったが、まあ、解る気はする。

  • 星10個くらいの良作。

  • 今の日本の根っこにはびこる様々な黒い問題が散りばめられている。面白かった。
    重い内容だけど、巽の関西弁と軽快な動きが緩衝剤となってくれる。ラストはちょっと衝撃だけど、これもまたハッピーエンドなのかな。
    丈太に入れ込んでいく巽の動機が弱いようにも感じたが、そういう衝動は理屈で他人が納得できるものではないのかなとも思う。
    みどりの同性愛者という設定は必要だったのかな。何の伏線にもなってないような気がしたので、その点だけは残念。

  • 横溝正史ミステリ大賞、大賞受賞作。
    早く読みたい。

  • 第30回横溝正史ミステリ大賞受賞。過去に東京直下地震が起こった前提の東京。液状化が進み、半壊したビルが並び。地下鉄はどこも使用禁止。これ、311の前に書かれてて。よく調べてるなとかは思うけど。
    それに不法滞在外国人を絡めてる。子供は国籍なかったりする。そんな子供たちを集めて、お台場に子供たちの王国を作ったのがカルロス・オオスギ。筋少みたい。 丈太に憑依してたり。都知事が巨悪だったり。なんか、がっかりした。 え、こんなオチなのみたいな。
    文章はしっかりしてるし、前述のとおり調べ混んでいるのはわかるけど。
    これがミステリなの?なんで横溝正史なの?

  • 3月-3。3.0点。
    東京都に大震災があり、お台場は封鎖。
    都内に、無国籍子供たちがどこからか頻発に現れる。
    元刑事と無国籍子供の一人が、偶然知り合い事件に巻き込まれていく。
    絶大な権力を持つ、都知事とお台場との関係。。。
    途中、読みにくい部分もあったが、新人にしては良い出来だと思う。
    元刑事は、非常に良い味を出していた。

  • 読み応えがあってよかった。
    普通あれくらいの厚さの本でもスラスラ読んでしまうのだけれど、これはいつものスピードよりもずっとゆっくりだった感覚です。
    小さな男の子とおっさんの組み合わせってすごい好きだなぁと発見。
    なんとなく丑寅さんはTiger&Bunnyの虎徹さんなイメージ。
    幸せなラストだったらもっとよかったのに。
    ネムリさんも好きだー

  • 昨年の横溝正史ミステリー大賞受賞作であるお台場アイランドベイビー。文句なく面白かった。昨年の9月に発刊されたものだが、背景になっている震災と液状化による埋立地の状況などが、東日本大震災を予言しているようで興味深い。
    さて、本書だが、これは映画化されてもおかしくないな と思いながら読んでた。観客動員重視なら巽の役どころは佐藤浩一で、みどりが、天海祐希なんでしょう。まあ、原作に忠実なら、巽は赤井秀和あたりで、みどりは真矢みきってとこか。キャリア管理官に松雪泰子でしょう。
    蛇足だけど、こういう大賞受賞作の巻末には、審査員のコメントが載るのが常だが、ろくに才能のない作家の「上から目線の評価」に、虫唾が走るのはボクだけでしょうか? 

  • 東京を壊滅寸前まで追いやった大震災から4年後、息子を喪った刑事くずれのヤクザ巽丑寅は、不思議な魅力を持った少年、丈太と出会う。彼の背後に浮かび上がるいくつもの謎―消えていく子供たち、埋蔵金伝説、姿なきアナーキスト、不気味に姿を変えつつあるこの街―すべての鍵は封鎖された「島」、お台場に―!?(「BOOK」データベースより)

    イベントがらみで読んだという経緯は抜きにして、退屈はせず面白く読みました。
    ただ私にとっては「横溝賞史上最も泣けるミステリ!!」ではありませんでした。
    タイアップのせいで、

全70件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

1972年、大阪府生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で第30回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。19年、『月まで三キロ』で第38回新田次郎文学賞を受賞。20年刊の『八月の銀の雪』が第164回直木三十五賞候補、第34回山本周五郎賞候補となり、2021年本屋大賞で6位に入賞する。近著に『オオルリ流星群』がある。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伊与原新の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×