からまる    

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 386
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741736

作品紹介・あらすじ

もがき迷いながら"いま"を生きる7人の男女たちが一筋の光を求めて歩き出す-。視点が切り替わるごとに、それぞれが抱える苦悩や喜び悲しみが深まってくる。からまりあう男女を描いた、7つの連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 表題と表紙の通り、見事に絡まり合った人間模様。
    自分で自分を追い込み一人で捻れてがんじがらめになった、不器用な男女7名の連作短編。

    付き合い下手で感情を表にさらけ出すことが苦手。
    だからつい感情を抑えて自分の内面を誤魔化して笑ってしまう…そういう時って私もあるある、と共感した。
    そしてこの不器用さがとても愛しく思えた。
    悩める7名が自分の中で、各々の納得のいく答えを見つけていくラストの爽快感がたまらない。
    私も華奈子のように情熱的なフラメンコを踊りたくなった。
    千早さんのこの手の連作短編はとても好き。

  • 角度が、立場が変わると全然違って見えてくる。当たり前なのに、日々の中ではなかなか気づけない事。客観的に見せてもらって色々な事に気付く。
    実際自分が置かれる状況ではなかなか出来ないかもしれないけど、せめて違う角度があるという想像力だけは失わないようにしたい。

    人生のステージ的なものが一緒なのか、おじさんの章に一番揺さぶられた。

  • 連作短編。

    地方公務員武生と彼が拾った女の話…まいまい
    派遣社員田村は、武生を想う…ゆらゆら
    武生の上司と、妻の浮気相手の娘の話…からまる
    武生の姉と、バイト先の客篠田の話…あししげく
    金魚を殺しちゃった小学生蒼真の話…ほしつぶ
    田村の友人、蒼真の家庭教師華奈子の過去…うみのはな
    総合病院の女医葛月と患者の大原さんの話…ひかりを

    見事にからまっています。笑
    つかみどころのない各主人公たち。
    でも、話はとてもきれいで、好感が持てる。
    男性は、ゆるっとしたタイプが多く、女性は、気が強く、自分で生きていこうとするタイプが多かったかな?
    (田村はちょっと違ったけれど)

    初読みの作家さん。
    とっても気になりました。
    他の本も読んでみたいです。

  • 読み始めたら、想像していた以上に惹きつけられました。連作短編集。複雑に登場人物が重なりあい、時間軸も絡まりあっていた感じでした。短編自体は、登場人物の抱えている心の闇のようなものを軽くする話が多かったです。筒井と蝸牛をペットとしている女性の話が一番印象的でした。「まいまい」と「ひかりを」が好きでした。

  • ひととひとって目には見えないけど複雑に絡まりあってる。年齢も性別も違う7人が複雑に絡まりあう短編集。うまく感想を書けないけど、心地良い文体で非常に読みやすくすらすらっと読めた。華奈子が好き。2012/019

  •   主人公の天窓のあるベッドルームにやってくる女性。空を見ながら横になれるうれしさがよくわかる。彼女の生死と向き合う難しい姿勢は前半で描かれた
    ものからすると意外なものだった。
     
     ふたりの再会のシーンがとてもいい。

     何に対してもどうでもよくて、深くかかわりたくないと思いながら生きてきた男性が、
    その女性に再会することで変わったところに心がじんわりする。
    そこは他の人の語りだけで、直接のシーンがなかったのが残念。
     

  • 短編がそれぞれ絡まって一つの物語が出来上がっている。
    視点を変えてそれぞれの過去、思いが上手いことつながっていて面白かった。

  • 短編全部が複雑に絡み合っていることから、千早さんの発想に改めて驚いた。

    私は田村に似ている部分があったので、すごく共感しながら、時に涙しながら読んだ。そして田村の周囲にいる人間も私の友達によくいるタイプが多く、彼らはそういうことを考えていたのだなあと知ることができた。特に華奈子の「誰にでも優しくできるのは、誰にも興味がないから」という言葉にもずしりと来るものがあった。

    大原さんの存在も印象的だった。金魚を殺めたと言う蒼真や葛月への救い方がとても温かいものだった。私も葛月のように人の命とかそういう類いのことをあれこれと考え、自分の意見を持つタイプだ。だからこそ、葛月の元恋人の発言に葛月と共に傷ついた。

    あれこれと書いてしまったがまとめると、登場人物全員に対し、「もっと知りたい。あなたのことをもっと教えて。」と思える作品だった。千早さんの文章も『男ともだち』からずっと好きなので、これからも読みたいと思う。新作の短編集も楽しみだ。

  • 己を分かったようなつもりで日常を過ごしていても、私たちはどれだけ自分を覗き、正直に振舞っているのだろう。千早さんの凛とした、でも柔らい文章の中で足掻き、装い、振舞う人物たちの心の底の寂しさが、最後は素敵に見えて頁を閉じる。誰かと関わりが欲しい。肌ざわり、温もり、関心、存在、どれも本当は愛おしい。でも自分に自信が持てず、他者との対立や拒否が怖くて、大丈夫と強がる。無関心を装ったり、自己完結してしまう。からまってもいいから、誰かと一緒にいたい。深く呼吸をして、まずは自分と繋がりたい。見える風景が変わるかも。

  • 「君も学校や社会の中の無数の人間のひとりだ。もちろん、私も。この広い砂浜の砂のひとつぶみたいなものだよ。わかるはずがないんだよ、私たちには。自分がどうなるかも、自分が何であるかも。だから、私たちは祈るしかない。命が大切であって欲しいと願うしかない。でもね、君はこうして星の砂に出会えた。きれいだって思えただろう。小さな痛みも死も知ることができた。今はまだ何が正しいかわからなくても、君の胸は痛んだ。それが大切なのだと、私は思うよ」
    (P.188)

     花は咲く。人は踊る。たとえそこに歪んだ想いがあったとしても、偽の美しさだとしても、偶然、誰かの心を癒すこともあるかもしれない。
     これからもわたしは鮮やかに笑って、踊り続けるのだろう。誰よりも優雅に。
     わたしはそんなわたしが好きなのだから。
    (P.231)

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2019年 『夜に啼く鳥は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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