本日は大安なり    

著者 :
制作 : さやか 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 742
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741743

感想・レビュー・書評

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  • 11月22日。世にいう「いい夫婦の日」
    連休、そこに大安までもが重なったその日に、結婚式場が忙しくないワケがない。
    老舗ホテルの結婚式場「アールマティ」もご多聞に漏れず、その日4組の結婚式が予定されていた。

    一世一代の賭けに出た、美人双子の結婚式。
    悪気はないのだろうけれどワガママ放題のクレーマー新婦。
    大好きな叔母が結婚してしまう、小学2年生の男の子。
    何か秘密を抱えたまま今日のこの日を迎えた新郎。
    そして、この式場で働く、一人のウェディングプランナー。
    それぞれ思惑を抱えている彼らのことを時は待ってくれず、大きなうねりのように、式が執り行われていく。

    双子の結婚式には「ヤラれたー」と思ってしまった(途中もちょっと混乱してた)し、ゴールドルームの新郎には女性として眉を顰めてしまうけれど、大安吉日の、幸せな人たちの笑顔に彩られた場所で起こった出来事。
    ウェディングプランナーさんにも自然な笑顔がこぼれる後日談。

    幸せのおすそ分けを貰ったということで、これはこれで良しとしましょう。

  • 老舗の結婚式場を舞台に、4組の結婚式/披露宴を描く。
    双子姉妹が新婦に仕掛ける企みは?
    かつて結婚を約束した男を奪っていったクレーマー気味の新婦と、ウェディングプランナー。
    叔母にあこがれる小学生の男の子の取った行動は?
    自分の結婚式を自分の手で中止しようとする男。
    それぞれの抱える問題を描きつつ、同時進行で最後のまとまりへと。
    この人も幸せになってしまうのか?と少々思ったが、結婚式だし、大安だし、ハッピーエンドということで何より。

  • ややこしい美人双子姉妹…相馬家・加賀山家、とんでもないクレーマー新婦…十倉家・大崎家、叔母の結婚に色々な思いをお腹にしまった小学生…東家・白須家、誰にも言えない秘密を抱えた新郎…鈴木家・三田家、それぞれの思惑を胸に、結婚式は進んでいくが、なんと式場が火事の影響で中止となり、式場から式のお金は無料にすること、式をやり直したい人は無料でやり直せることが告げられた。
    その時恋人たちが選んだ結末は…。面白かった。

  • 本日は大安なりと言う題名通り、全ては丸く綺麗に収まりましたな〜。
    辻村さんのお話だと最後まで何が起きるか分からない分すごくドキドキして、もしバッドエンドだったらどうしよう・・・・と、思っていたけどタイトル通り全ては丸く収まってよかった。

    複数の思惑が複雑に絡み合って進んでいく結婚式の「ある大安の日」をとてもうまく綺麗に一つにまとめることの出来る辻村さんはやっぱりさすがでした。

  • 日本一有名な結婚式場「ホテル・アールマティ」。
    11月の大安の日、そこでは4組の結婚式が予定されている。

    過去、自分から婚約者を奪った女のウェディングを仕切る羽目になったプランナーの山井 多香子。
    プロとして胸を張るために、いい式を作ろうと決意するが――

    「どうしても自分を選んで欲しい…鞠香ではなく」
    その願いから姉と入れ替わり、花婿に挑戦をしかける双子の妹、妃美佳。彼は客席から本物の花嫁を見つけられるのか。

    「りえちゃんは不幸になっちゃうの?」
    叔母のりえが選んだ彼氏は、ぼーっとして頼りない。祖母と母の悪口に心を痛めた少年・真空は結婚式を阻むため、小さな体で奔走するが・・・

    「俺が悪いんじゃない!」
    結婚している事実を偽り、軽い気持ちで始めた浮気。
    しかし彼女が強引で、いつの間にやら「結婚式を挙げる」ことに・・・このままでは重婚だ――鈴木 陸雄

    以上4組。波乱万丈の大安の行方は――?

    面白いです。辻村深月は前々から気になっていたので、今後も読みたい。

  • 久々辻村さん(「名前探し(略)」以来読んでいなかった)。
    幸せで華やかそうなタイトルと装幀の色遣いだが、中心にいる女性はなぜかちょっと翳があり冷めた目をしている。本文を読み進めていくうちにこの来る神の女性が思い浮かんだ。あるホテルで繰り広げられる4つの結婚式を中心にしたヒューマンドラマ。
    作者の転換期に書かれた作品といった印象。

    あらすじ;
    女性が憧れる結婚式会場の上位に選ばれる、ホテル・アールマティ。大安のこの日は結婚式の予定でびっしりだ。
    結婚式を行う妹・妃美香と姉の双子ゆえのやっかいな問題、ウェディングプランナー多香子の過去、彼女が担当する玲奈の挙式、伯母の結婚式を心から祝えない真空少年、曖昧な態度をとってきたせいで結婚式を挙げる羽目になってしまったことを後悔する陸男。
    それぞれが各々の親族やホテルの従業員を巻き込んで歪なドラマを展開させ、それはホテル全体を包んでゆく。
    大きな買い物となる結婚式は大安に行っても果たして本当に掛け値なしに幸せなものなのか――。結婚に問題を抱える人々や関係者の気持ちが左右する。

    初めの方に書いた通り、作家辻村深月のキャリアの中でも転換期に書かれた印象がある。結構普通の人たちが多いし、ズレた美人や王子様的イケメン、超能力も出てこないんだもの。双子ちゃんたちはやはり辻村さんと言った感じで少し笑えたけどね。
    多香子の嫌々感は嫌な客だからという理由以上にマイナスなイメージだったが、とある事実が打ち消してくれるのは巧い。こういった後々に響く伏線というのがいくつかでてくる度に、小さな驚きを与えてくれる。これは推理小説作家としてデビューし、数々の作品を生み出してきた彼女の手腕が輝いてるからだ。
    それぞれの人物たちが関わる式について少々。
    玲奈:この手の客って多いんじゃないかと思ってしまう。玲奈の性格は決して褒められたものではないし、振り回されるたびに腹が立ってしまう気がするがどこか憎めない。いるよいるよ。一方で多香子には嫌いなら嫌いと言え、と「いい子ちゃん」な内心に少し反発を…。玲奈と多香子の事情で難産になった結婚式だが、多香子のマリアヴェールのエピソードなどを交え、何か信頼関係が築かれていく過程に微笑を浮かべてしまった。困難を乗り越えた時の達成感はやはりいいものだ。
    双子ちゃん:一番いないだろうな、というのがこの二人だった。ここまで「ややこしい」人たちはなかなかいないだろうに。姉の執着は恐ろしいほどだ。想像しやすい展開だが、やはり面白い。
    真空君:伯母さんの結婚に反対している理由は、東君は本当はちがうからだ、というもの。少年の思考回路は想像がつくが、それに起因しているのは――。幸せな結婚式を迎えるためにはやはり両親や親族からの祝福っていうのは最上位事項だ。真空少年の思考まではいかなくても、周りの人の話を聞いて影響を受けることはある。結婚という一大イベントを舞台に、核心的なところにも触れている。
    陸男:ダメ男参上。ミステリ的な展開と陸男の不穏な計画。馬鹿じゃないのか、と何度心の中で罵倒したことか…。馬鹿な陸男だからこそその後の展開にはやれやれといった微笑ましさも付きまとうのだが。馬鹿野郎よかったじゃないか! 大切にしろよ!

    デビューからは少年少女の繊細な心理描写が評価されていた作者だが、大人が読んで放たして楽しいのだろうか、という疑問を抱いていた。ところが数年前からより幅広い世代へのアピールを続けているなという気がしてきた。私自身は彼女の作品から「卒業」してしまってからは数年間、読んでいなかったのだが大きくなっているだろう予感と装幀に惹かれて本書を手に取ってみた。
    辻村さんは確かに成長していたと思う。
    美少女や美少年や超能力や殺人なんて起きないけれど、繊細さからなにか骨太さそして温かさがある。この本ではまだ少しもがいている感じがしたけど。
    万人に受けるストーリーを丁寧に編んできたからこそ、直木賞受賞までつながったんだろう。そんな感じ。

  • ホテル・アールマティのウェディングサロン。
    ここで働くウェディングプランナー。
    そして、大安のその日、式を挙げる4組のカップルたちの群像劇。

    お互いを意識しすぎている双子の姉妹。
    クレーマーでトラブルメイカーの新婦。
    疑惑の新郎と白雪姫の新婦。
    どうしても式を挙げたくない新郎。

    結婚式ってただでさえ大変なものなのに、ここに集まったカップルたちはややこしい人たちだらけ。
    幸せなハレの日のはずなのに、溢れ出す色んな負の感情。
    怒り、苛立ち、疑惑、嫉妬…。


    双子姉妹と映一さんの物語が好きでした。彼女たちよりもややこしいって彼には一体何があったのでしょう…(笑)
    後日談で彼女たちのこりない様子を読んだ時には、映一さん以上にこっちが「勘弁してよ」でしたが。


    色々あったけれど、結婚式ってちょっといいなぁと思いました。
    2人は来てくれる招待客のことを思って大変な準備をして、お金もかかって。招待客たちは2人の幸せを祈って…。


    お客さまたちは、料理や飲み物にお金を出してるわけじゃない。自分の満足や、これからの誓いをこめて、目の見えない「縁起」に払っているんだ。
    高価なドレスも豪華な料理も節目の儀式だから。それが慶事にかける人間の願いだから。
    というプランナーの言葉に、確かにそうかもなぁと思った。

  • 図書館で借りました。タイトルと装丁に惹かれて。久しぶりに、心から面白いと思える本に出会いました、これはもう本当に、文句なしに面白かった。わたし自身は独身で結婚の大変さは友達から聞くぐらいしか分からないけど。でも、それでも、ああなんか分かる、と共感してしまうところもあった。ウエディングプランナーさんもすごく大変な仕事なんだなあと。でもそのぶん、貰うものも大きいんだろうなあ。このお話に出てくるそれぞれの人たちがみんな良い。うまい具合にそれぞれが重なって、触れ合って、また離れて、最後にはきちんと絡まっていく。プランナーの山井さんと玲奈のエピソードには思わず涙目。山井さんに感情移入。こんなんされたら泣く。玲奈はどうしようもない女の子だと思ったけど、結構良い子。ワガママだけど、そのぶんちゃんと自分を持ってる。そして映一さんがすごく素敵だ。もう、映一さんにきゅんきゅん。わたしが映一さんと結婚したいわ!と心の中で叫ぶ。最初はどうしようもなくてなんだこいつって思うキャラクターに、ちゃんと救いを与えてくれて良かった。なんだよそういうことか!ってほくほく。陸雄くんにはほんとがっかりしたけど、ちゃんと罪を償ったようで良かった。2年後のエピソードが素敵。山井さんと岬くんにもほっこり。これ映画にしたら絶対面白い!と思ったけど、もうドラマ化してたのかな?キャスト見たけどわたしのイメージには合いませんでした(笑)しかもオリジナル入れちゃってる。ダメすぎる。もっとちゃんと映画化すべきだよこれは。ドラマで何週もやるより、時系列でいっきにやるべき。そんなことを妄想しながら読んでました。とにかく面白かった。面白くて2日ぐらいで読みました。

  • エピローグできれいにまとめたけど、幼稚な人間だらけ。盛りすぎで胸やけの結婚狂想曲。

  • 加賀美姉妹の姉妹感、すごくわかる!
    世界一大切だし、大好きだけど、憎らしくもある。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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