県庁おもてなし課

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.09
  • (1616)
  • (1980)
  • (950)
  • (105)
  • (19)
本棚登録 : 12661
感想 : 1759
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741828

作品紹介・あらすじ

地方には、光がある-物語が元気にする、町、人、恋。とある県庁に突如生まれた新部署"おもてなし課"。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む-いったい何がダメなんだ!?掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける苦しくも輝かしい日々が始まった。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ◎ ブクログ夏の特別座談会 “「県庁おもてなし課」を読んで行政を語ろう?”

    高知県庁観光部に新設された『おもてなし課』を舞台に主人公・掛水が高知県の観光活性化に奔走する姿を描いた有川浩さんの傑作「県庁おもてなし課」。この作品を読んだお二人で、その内容を語り合ってもらおうというのがこの企画。ブクログきってのにわか読書家にして感想家でもある一般人・さてさて氏が、大学時代の友人で現在某県庁にお勤めのさて夫さんとともにこの作品を読んで語り明かしてくださいました。司会は、ブクログ編集部のさて代が務めさせていただきます。では、今回も行ってちょんまげ!

    さて代〈今日は、ブクログの座談会企画にご参加いただきありがとうございます。ブクログ編集部のさて代です。よろしくお願いします。さてさてさんにはブクログの特別企画に何度もお越しいただきありがとうございます〉
    さてさて〈いや。こちらこそ。定期的に呼んでいただいてありがとうございます。今日は、友達を呼んでいいということだったので、大学時代の悪友、いや、親友のさて夫に声をかけさせてもらいました〉
    さて夫〈悪友って何言うてんねん、お前が悪友やんけ。あ、すんません、さて夫です。今日はお招きありがとうございます〉
    さて代〈今日は事前に有川浩さんの「県庁おもてなし課」をお読みいただきました。この作品を元に、この国の行政のあり方を語っていただきたいと思います〉
    さてさて〈私は行政なんて語れないので、某県の県庁に勤めるさて夫に来てもらった次第です〉
    さて夫〈匿名やからな。某県やからな。言うたらあかんで。写真もお断りしますから。上司にバレたらヤバイから〉
    さて代〈ご安心ください。ブクログ編集部は、口が固くて有名ですから。では、行数がないのでさてさてさん、まずは口火をお願いします〉
    さてさて〈はい。今、さて夫が、上司にバレたらって言ってたけど、この作品でも、『上司に鬱陶しがられ』たという清遠和政(きよとお かずまさ)が閑職に追いやられてしまうところから物語は始まるんだよね〉
    さて代〈二十数年前の出来事として、高知県と高知市がそれぞれに動物園の整備を進めようとしていた時に、当時、観光部の若手だった清遠が『パンダ誘致論』を主張します。でも、あまりに力説しすぎて、保守的な庁内の声を前に、閑職に追いやられてしまうんですよね〉
    さてさて〈そもそも動物園の整備をするのに、いきなり『パンダ誘致論』ってのも強烈な気がするけど、県庁ってやっぱりこの作品みたいな雰囲気の場所なの?〉
    さて夫〈時代もあるんやろうけど、せやな、ウチもこんなもんやろな〉
    さてさて〈そんな冒頭の後、それから二十年後の県庁が実際の舞台になるんだけど、『観光立県を目指し、県外観光客を文字通り「おもてなし」する心で県の観光を盛り立てよう』という発想で、いきなり『おもてなし課』って部署を設けるんだよね。高知県。センスは凄いと思うけど。さて夫の県もこんな大胆な名前の課ってあるの?〉
    さて夫〈ウチにはないかなあ。そもそも『おもてなし』って、なんかオリンピックみたいやん〉
    さて代〈お・も・て・な・し、ですね〉
    さてさて〈さて代さん、ノリがいいね。今までブクログ編集部の人って言ったら、さて美さんとかさて子さんとか、固い人ばっかりだったから、今日は良かった。ゆっくり話せますね〉
    さて代〈いえ、それはダメです。引き継ぎを受けています。さてさてさんはすぐに感想が長くなるので気をつけるようにって〉
    さてさて〈げっ。バレてるのか。もしかして、編集部ではまだ感想の上限文字数を設定して、私から言葉を奪おうとか酷いこと考えてたりするの?〉
    さて代〈さあ、それは秘密です〉
    さてさて〈げ、やめてくださいね。そんなことしたら、読書メーターに引っ越しちゃいますよ〉
    さて代〈大丈夫です。さてさてさんが上限255文字で感想を書くなんて絶対できないですから〉
    さてさて〈そうかなあ。制限があればあったで燃える性格なんですけどね。最近、ブクログの新機能・ブックリストで短くサクッとまとめることにも燃えてるんですよね〉
    さて代〈さてさてさん、たくさん書いてらっしゃいますもんね。ありがとうございます〉
    さて夫〈お前ら、何、脱線してんねん。はよ、進めよやー〉
    さて代〈し、失礼しました。では、進めましょう。この作品では、その『おもてなし課』の一番の若手職員であり主人公の掛水史貴(かけみず ふみたか)が、県の観光特使に就任してもらった作家の吉門喬介(よしかど きょうすけ)からアドバイスを受けながら県の観光活性化に走り回る姿が描かれていきますね〉
    さて夫〈ウチの県でも似たような制度があるんやけど、こんなに色んなこと言ってくれる人おらんと思うで。作家ってこんな感じなんかな?〉
    さてさて〈というか、もう一人の主人公を作家にするっていう設定が面白いよね。しかも舞台が高知県。男と女という違いはあるけど、まるで有川さんご本人みたいだね〉
    さて代〈さてさてさんは、有川さんのことを男性って思ってらしたんですよね〉
    さてさて〈どうしてそれを〉
    さて代〈だって、「図書館戦争」の特別対談企画で自分からバラしてるじゃないですか〉
    さてさて〈えっ、あれ読んだんですか?〉
    さて代〈当たり前です。ブクログの企画なんですから〉
    さて夫〈おまえ、人を名前だけで判断したらアカンで〉
    さてさて〈二人揃ってうるさいなあ。でも、もし気づかずに読んでたら、この吉門って作家は有川さんそのものだ、とか感想に書いて恥を書いてたかもしれないから、危なかったよ〉
    さて夫〈まあ、そこはプロやし、有川さんクラスになると、性別なんか関係なしに、どんなシチュエーションでも書けるんちゃうか〉
    さてさて〈ちゃうか…で思い出したけど、この作品では登場人物が高知弁バリバリで語るのが、個人的にはちょっときつかったかな〉
    さて夫〈何でやねん?〉
    さてさて〈いや、読みづらくて、それでなくても有川さんは漢字が大好きな作家さんだから、漢字だらけで読みづらいのに〉
    さて夫〈漢字?例えば?〉
    さてさて〈”敵愾心”とか、”穿って”とか、”孕んで”とか、こんな漢字というか言葉使われてもね。“てきがいしん”、”うがって”、”はらんで”って、さて夫は読めるのか?私はふりがながなくちゃとても読めないし、そもそもふりがながあっても意味がよくわからない…〉
    さて夫〈なるほどな。確かにオレも読めへん。感覚で飛ばしながら読んでたんかも知れん〉
    さてさて〈だろ?難しい漢字だらけの文章の中に方言まで入るから、読書スピードが全然上がらなくて、読んでいてかなりストレスを感じたのは事実かな〉
    さて代〈さてさてさんは読書スピードが早すぎるんじゃないですか?一年ほど前までは毎日レビューをアップされてましたよね〉
    さてさて〈まあね。あの頃は毎朝レビューをアップしなくてはと使命感に駆られていて、毎晩徹夜で読書をして、朝に寝ぼけながら必死でレビューを書いていたから、正直きつかったですね〉
    さて夫〈お前、大学の時もそんな感じやったな。めっちゃ凝り性や、それでいて飽き性。よく今日までブクログのレビュー書き続けてるなあ〉
    さてさて〈いやあ、フォローいただいている皆様に楽しんでいただきたい、それだけを考えて生きています!〉
    さて夫〈何カッコつけてんねん。アホちゃうか〉
    さて代〈ゴホン!お二人とも脱線してますよ。行数が無駄に多くなっています〉
    さてさて〈すみません。進めます。それで、とにかくこの作品、文庫本で460ページもあることもあって、読み終わるのに凄い時間がかかってしまいました。方言がとにかくキツかったです。『あたしは喬兄の何をどれだけ知っちょったがやろう』とか、『高知のことで本を書くのが一番直接的に、広報的な意味で貢献できるがやないろうかと』とか、読んでいて引っかかりまくりというか。読書のリズムが非常に作りづらい作品だったのは間違いないです〉
    さて夫〈何言うてんねん。方言で書いてあるから味があるんやないか〉
    さてさて〈まあ、さて夫の方言は慣れたけどさ〉
    さて夫〈何気取ってんねん!〉
    さて代〈あのー。また、話題がそれてしまっているような…〉
    さてさて〈す、すみません。そうでした。ところで、この作品で面白い言葉が出てきました。『外貨』っていう言葉の使い方〉
    さて夫〈『観光で「外貨」を稼ぐこと、それが観光発展の最終的な目的のはずだ』っていうやつやな。ウチの県もそやけど、他県からどれだけ来てもらえるかっちゅうか、どれだけお金を落としてもらえるかって、話は庁内でもよう出るで〉
    さてさて〈やっぱりそうか。そもそも、国自体が外国からの観光客を増やせ!増やせってやってたしね〉
    さて夫〈新型コロナで吹き飛んだけどなあ〉
    さて代〈それで、この作品の主人公である掛水の後押しをする役割で登場するのが、二十年前に『パンダ誘致論』を推進して、結局退職に追い込まれた清遠さんでしたね〉
    さてさて〈さて代さん、強引に脱線を戻しましたね(笑)〉
    さて代〈だから、行数が長くなると、読者の皆さんが読み飛ばしちゃうんですよ。それじゃあ、頑張って座談会企画をやっても悲しいじゃないですか〉
    さて夫〈編集者さんって、怖いねんな〉
    さて代〈何か?おっしゃいましたか?(キリッ!)〉
    さて夫〈あわわわ。すんまへん。なんも言うてません〉
    さてさて〈だから、何、二人で行数使ってるんですか。編集部の人も当てにならないね〉
    さて代〈ごめんなさい。進めてください〉
    さてさて〈はいはい。この作品では、作家の吉門が『お役所体質』に浸っていた掛水に鋭い指摘をしていくところが面白いと思いました。ところで、さて夫の視点では吉門のどの指摘が”あるある”だった〉
    さて夫〈せやなー。『タテ割り・縄張りでぐじゃぐしゃ揉めてんの?』という指摘は、きっつーと思ったわ。役所って、どうしても部署の壁っちゅうのが高いねん。これは簡単には越えられへん〉
    さてさて〈吉門の具体的な提案はどう?〉
    さて夫〈パンフレットの指摘が面白いなあ。お役所が作ったパンフレット類を『読者不在』と一刀両断にするところ。『相手を想定していない編集やレイアウトが多すぎ。客に手に取らせようって意欲がないんだ、このパンフ』って、ドキッとしてる同僚の顔が浮かんだわ。確かにお役所って、それを誰かに読んでもらおうっていう視点が足らん気がする。小ちゃい字で、こっちが言いたいことを山ほど書くことが多いねん。県民から突っ込まれたら怖いから、細かいとこまでくどくど書くからっちゅうのもあるんやけど〉
    さてさて〈まあ、編集のプロじゃないから仕方ないんじゃないの〉
    さて夫〈まあそれもあるけど、パンフレット類の置き場所の指摘が、せやなーって思うた。『県庁以外では実際どこに置いてあるの?』と吉門に聞かれて『観光施設とか主要な交通機関の案内所とか。各地域の支所とか、県外なら出先機関でも手に入ります』って掛水が答えてるけど、『俺ならそんなとこにわざわざ足運んだり問い合わせたりしないんだけど』ってバッサリ切られて、掛水はタジタジになるやろ。そう言われたらせやなーって思うた。観光に行った先で、役所の支所とかにパンフレットなんかもらいに行かへんもんな〉
    さてさて〈有川さんって他の作品もそうだけど、リアル世界に容赦のない切り込み方をする人だからね。エッセイの「倒れるときは前のめり」も鋭かったし、最近読んだ「アンマーとぼくら」では、高知の『はりまや橋』を日本三大がっかりだ!ってぶった斬りをしてますからね〉
    さて夫〈オレも読んだけど、こんなに高知県を馬鹿にしてもええのか?って思うたけど、よう考えてら、有川さん、高知県出身やん!って思い直して読んだら、ものすごい高知愛を感じたで。ああやって、落としているように見えて実は高知県を宣伝してんねんな〉
    さてさて〈なるほどね。その視点から見たら、この作品なんて、もう高知県のPR本と言ってもいいかもしれない〉
    さて夫〈せやせや。こんな本書いてくれる作家さんがウチの県の出身者にもおらんやろか〉
    さて代〈確か、さて夫さんの県にお住まいの作家さんだと、みなと…〉
    さて夫〈あわわわわ。言うたらアカンって。県の名前がバレてまうやろ。あんた編集部の人やのにしっかりしてんか〉
    さて代〈し、失礼しました。口が滑りました〉
    さてさて〈まあ、さて夫も方言丸出しだから、どこの県か、かなり絞れてると思うけどね〉
    さて夫〈ヤバイなあ〉
    さてさて〈大丈夫だって〉
    さて代〈有川さんは、「明日の子供たち」もそうですが、こういった社会問題を扱うような作品も定評ありますよね〉
    さてさて〈そうですね。有川さんならではの切れ味の鋭さが生きてる気がする。例えば、この作品では『おもてなし課』というネーミングは評価したものの『配属された職員は、よくも悪くも公務員であった。ー悲しいほどに』なんてキツい!書き方で容赦なく公務員を落としてるからね。さて夫は、公務員の側でそんな風に言われて怒らないの?〉
    さて夫〈まあ、ちょっと煽りすぎやとは思うけど、否定はできへんな。もちろん、オレはちゃうけど〉
    さてさて〈お前の課の人に聞いたら、結局みんなそういうんじゃない。自分は違うって〉
    さて夫〈偉そうなこと言うな。お前やって変わらんやろ〉
    さてさて〈いや、そんなことないね。お前とは違う〉
    さて夫〈なんやて!いつからそんなに偉なってん!〉
    さて代〈まあまあ、お二人とも喧嘩で文字数を取らないでください〉
    さてさて・さて夫〈結局、それかい!〉
    さて代〈はい!読み飛ばされたらこんな企画意味ないし、さてさてさんをフォローしてくださってる人がフォローの解除ボタンを押しちゃいますよ!〉
    さてさて〈や、それはヤ、ヤバイ。せっかく繋がってくださったんだから〉
    さて代〈じゃあ、無駄口はやめて続けましょう。この作品は確かに”お役所改革!”という内容で展開する物語ですが、実際には、二組のカップルの恋愛物語とも言えますよね〉
    さてさて〈そうですね。最初そんな風には思わなかったんだけど、途中からどんどん二組のカップルの愛の行方に光が当たるようになって、やっぱり有川さんだなあと思いました〉
    さて代〈なんだか恋愛に不慣れで初心な二組って感じですよね。好きってハッキリ言えばいいのに、もったいぶる感じで〉
    さてさて〈でもこれこそ有川さんって感じがしないですか?いきなり、おおおっ!っていう濡れ場が登場したりしたら、有川さん、どうしたのって思うだろうし〉
    さて代〈そうですね。私、佐和の内面描写でとても気にいった表現があるんです〉
    さてさて〈どんなの?〉
    さて代〈ちょっと長いんですがいいですか〉
    さてさて〈ダメって言ってもあなた編集部の人なんだから〉
    さて代〈はい、では紹介しちゃいます。『頼りない糸の端を指に絡めて、何気ないふりを装って過ごしながら、糸をなくさないように必死で握り込んできた。もしかしたらその糸は、いつか指から離れて見失っていたかもしれない。お互い積極的に糸をたぐり寄せようとはしなかった』っていう箇所です。なんだか切なさで胸がキューっとなってきて、思わず佐和を応援したくなっちゃった〉
    さてさて〈佐和さんって、物凄く気の強い女の人ってイメージだったからその裏返しで心の内をこんな風に見せられると効果抜群だよね〉
    さて夫〈そうそう、その盛り上がった先、結末に喬介が佐和に言うんやったな。ストレートに、好きや。帰っ…〉
    さて代〈ダメーっ!ストップー!ワーワーワー!〉
    さて夫〈なんやねん。急に大っきい声出して〉
    さて代〈さて夫さん、今、二人が結末にどうなるかを話そうとされましたよね〉
    さて夫〈せやけど。何が悪いねん〉
    さてさて〈”ネタバレと二度漬けは禁止ですからー!”〉
    さて代〈キャー!〉
    さて夫〈なんやねん。うるさい奴や〉
    さて代〈だって、さてさてさんが特許を申請されてる有名な決め台詞の登場ですよ!生で聞けるなんて、私、し・あ・わ・せ!〉
    さて夫〈あんた、その言い方好きやなー。さてさて、お前、関西人でもないのに、なんで関西人みたいなネタを使うねん。ズルイやん。この人キャーキャー言ってはるし。目がうっとりしとるで〉
    さてさて〈ハハハハ。先に言ったもん勝ちよ。長いブクログの歴史で、こんなことレビューで書いたの私だけだから〉
    さて夫〈特許申請中って、それって特許ちゃうやろ〉
    さてさて〈商標登録を申請したなんて言ってもぴんとこないからね。ネタってことで〉
    さて夫〈お前、そんなキャラやっけ?〉
    さて代〈まあまあ、お二人とも、またこんなことで文字数を取ってますよ。さてさてさん、皆さん画面を閉じちゃいますよ。知りませんよ、私〉
    さてさて〈あなたが、キャー!とか言うからでしょ。そもそもね。ブクログは文字数無制限だからいいんですよ。読書メーターの255文字制限のストレスでブクログに逃げてきた人もいるんだから〉
    さて夫〈はあ?どこにそんな統計あんねん?〉
    さてさて〈いや、それは…想像で…モニョモニョ〉
    さて夫〈なんやねんそれは。適当なこと言うたらアカンで〉
    さて代〈まあまあ、さて夫さん。そのへんで。ところで、今日はさてさてさんの決め台詞も久しぶりに登場して、読者の皆さんも満足されていると思うのでもう座談会を締めてもいいんじゃないですか?〉
    さてさて〈まあ、そうですね。じゃあ、いつもの通り最後はしっかり締めさせてもらいます。「県庁おもてなし課」という高知県庁に実在する部署の職員たちが、従来型の『お役所仕事』から抜け出して、地元に観光客を呼ぶことに邁進していく様を見るこの作品。高知県出身の郷土愛に満ち溢れた有川さんが、同業とも言える作家をもう一人の主人公として登場させ、職員たちに刺激を与えながら展開する物語は、『水を出しっぱなしの蛇口はまだ締まっていないような気がした』と、職員たちに気づきの機会を与えることによって、自らが持っている本来の力を引き出す役割を果たしていく姿を見るものでした。どこの組織にも大なり小なり存在する縦割り意識、『求められたのは創造性や柔軟性よりも硬直性だ』という旧来型の組織が変わっていく様を見ることは、読者それぞれにも問いかけがなされているのではないか、決して他人事ではない組織のあり方を考える機会をくれたのではないか、そんな風にも感じました。物語の中に展開される二組のカップルの愛の行方を有川さんならではのキュンと切なくなるような演出を絡めながら展開する物語は、とても読み応えのある恋愛物語という側面も併せ持っていたと思います。そして、この作品によって間違いなく魅力を増し、認知度を増したのが高知県でしょう。そう、この作品は郷土愛に満ち溢れた有川さんが、そんな故郷の高知県を盛り上げるために書き下ろされた作品。有川さんの郷土愛の深さに読者が圧倒され、高知県ってこんなところなんだ、高知県って楽しそう、そして、高知県に行ってみたい!と、知らぬ知らぬの内に読者はすっかり有川さんの術中にハマってしまっていることを知ることになるこの作品。一流の作家さんの故郷への愛の力と筆の力の凄さを思い知った、そんな作品でした〉
    さて代・さて夫〈………〉
    さてさて〈あれ、どうしたの二人とも〉
    さて代・さて夫〈………〉
    さてさて〈私、変なこと言いましたっけ?〉
    さて夫〈いや、なんちゅうか、お前、すごいやん!オレ、感動したわ。めちゃくちゃカッコええやん!〉
    さてさて〈お前が褒めてくれるとは。素直にありがとう、って言った方がいいね〉
    さて夫〈何、カッコつけてんねん。さて代さんなんか泣いてるやん〉
    さて代〈さてさてさんのレビューの締め括りっていつもグッとくるんですよね。生で聞けて嬉しいです!〉
    さてさて〈あ、ありがとうございます。光栄です〉
    さて代〈光栄だなんて。私、私…〉
    さて夫〈ありゃりゃ。またグダグダになる前に締めたらええんちゃうか?編集部のさて代さん!〉
    さて代〈あ、そ、そうですね。そう、今日はお二人ともお忙しい所ありがとうございました。さて夫さんには、わざわざ兵庫県からお越しいただきありがとうございました〉
    さて夫〈あ、言うてもうたやん。なんで最後にさらっと県の名前を言うねん!”ネタバレと二度漬けは禁止やん!”〉
    さて代〈関西弁の決め台詞!ぜいたくですねっ!〉
    さてさて〈特許だって言ってるでしょ。親友でも勝手に使うなよ。そもそも、お前の出身地はネタちゃうやん〉
    さて夫 orz orz orz
    さて代〈なんだか、グダグダで、締められなくなってきた…もう、勝手に締めちゃおうっと。では、皆さん、またお会いしましょうね!〉

    またね~ (_´Д`)ノ ))フリフリ !!

    • アールグレイさん
      さてさてさん
      今回は趣向を凝らしてありますね~(^_^)
      私も前に読んだ本です。なのに最近いいねがよくついています。
      これ からも期待してい...
      さてさてさん
      今回は趣向を凝らしてありますね~(^_^)
      私も前に読んだ本です。なのに最近いいねがよくついています。
      これ からも期待していますよォ~
      ☆good night☆
      2021/07/17
    • さてさてさん
      ゆうママさん、いつもありがとうございます。
      定期的に企画もののレビューを入れています。有川さんの作品は、企画ものがやりやすいなあと感じていま...
      ゆうママさん、いつもありがとうございます。
      定期的に企画もののレビューを入れています。有川さんの作品は、企画ものがやりやすいなあと感じています。500ぺージもあるのに一気に読ませる構成力、本当に上手い作家さんだと改めて思います。引き続きよろしくお願いします!
      2021/07/18
  • 共感した、おもしろかった、やる気になった。いい視点で、いい成長ぶりが描かれていて、読んでいて楽しかった。思わず映画を観にいった。

  • 恥ずかしながら、初 有川浩作品。めちゃくちゃ面白かった。こんな素敵な作品を書く作者さんを今までスルーしていたなんて、私のばか。

     今まで民間企業を舞台にした作品って何冊か読んだことあったけど、公務員を主体とした作品を読んだのはこれが初めて。しかも、これは実際に有川さんが体験したことから端を発しているという。実際に、お役所ってこうなんだよなあ。民間との温度差!!「良くも悪くも公務員」という絶妙の表現!!
     私自身も公務員なものだから、掛水くんが、吉門さんに、「あのさぁ・・・」ってグダグダにやられてる場面なんか、私がやられているのかと思うくらい感情移入してしまった。

     たしかに、公務員には、時間が金になるとか、商品を手がけている、といった発想がない。親方日の丸にあぐらをかいて、革新的な考えは持たず、問題を右から左に受け流し、いっぱい給料をもらって生きている。そりゃ、民間との温度差にグダグダになるわよなあ。
     だからこそ、掛水君が、研究を怠らず、清遠さんの指南を水を吸うスポンジのごとく受け入れて成長していく姿に目を見張った。彼の成長がまぶしかった。
     そして、吉門さんが佐和さんに本心を打ち明けて自分で築いた壁を壊した勇気、これも感動した。、ていうか、萌えた。

     公も、民も、そして個人も、努力を怠ってはならんのだな。人を喜ばせたい、誰かを笑顔にしたい、というおもてなしマインドを忘れてはならんのだな。そのためには、金。足りない分は、知恵と工夫。
     よし、実生活に行かすぞ。

    • bluebird-ryuryuさん
      こんばんは。私もこの本、読み終えました!!
      多紀さんの知恵、そして、掛川くんの工夫が本当に良かったですよね。

      私も、有川さんがマイブームに...
      こんばんは。私もこの本、読み終えました!!
      多紀さんの知恵、そして、掛川くんの工夫が本当に良かったですよね。

      私も、有川さんがマイブームに今後なりそうです。
      そして、ayakoさんの有川さんの本のレビューを読むのがすごく楽しみです!!
      2012/11/19
    • HNGSKさん
      ブルーバードさん>>よみましたか。この作品!!私、この作品は、有川作品の中でも1,2位を争う作品なんです。2012年下半期ベスト5には入りま...
      ブルーバードさん>>よみましたか。この作品!!私、この作品は、有川作品の中でも1,2位を争う作品なんです。2012年下半期ベスト5には入ります!!
      2013/01/30
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「おもてなしマインドを忘れてはならん」
      仰言る通りですよね!
      今から映画を楽しみにしているのと、映画公開で再び、ズシンと心に留める公務員さん...
      「おもてなしマインドを忘れてはならん」
      仰言る通りですよね!
      今から映画を楽しみにしているのと、映画公開で再び、ズシンと心に留める公務員さん達が現れ増えるコトを願っています。。。
      2013/04/08
  • 面白かった!
    題材が素晴らしいね、この題材を選んだ時点で勝ち確ですよ
    ただの恋愛小説で終わらない
    簡単に言うと勉強になったというかそう良い知識が頭に入ったかなという
    そしてちょっと高知行きたくなったよね

  • この小説の舞台は高知県です。高知県庁に実在する「おもてなし課」は、観光資源しかない県をどう盛り上げていくか・・・過程の面白さと行政の壁にぶつかり合いながら、恋愛も盛り込んだ作品で大変興味深く読ませて頂きました。高知県に行って見たいと思う反面、僕が在住する和歌山県はどうかという事も考えさせる作品でした。

  • 主人公、掛水の成長具合がとても良い!話の展開もおもしろかった!!
    彼らは実に、悲しいほどに、どこまでも「公務員」であった。
    その後出てくるエピソード、わかるわかる、と大笑いしてしまった。

    観光立県を目指す目的に、まさに合致している一冊。日曜市と仁淀川、馬路村が気になっています。ぜひぜひ、高知県に行ってみたい!

  • だいぶ前に買ったものの、有川さん的恋愛描写が心臓に悪そうなので寝かせていた。この度自虐心が高ぶったので解禁。

    高知から大学進学を機に京都へ出てきた友人が2人。2人とも大学卒業と同時に高知県内最大手の新聞社に就職。関西にひょっこり来たと思ったら、手土産は「カツオ人間」グッズ。なんなんだ、彼らの地元愛は。

    有川さんも高知出身、「空の中」で高知弁をガンガンアピールしたと思えば、次はこの「県庁おもてなし課」である。しかも堀北真希ちゃん、錦戸亮くん、高良健吾さん、船越英一郎さんで実写映画化。なんなんだ、この高知推しは。

    有川作品と言えば、恋愛きゅんきゅん要素過多で少女漫画並にかっこいい男性を描くことにかけて、定評があると思う。でも油断した。この作品には男女の愛だけでなく、家族の愛、なにより高知への愛が詰まっていた。

    お節介な人だらけだ。掛水ら県庁のお役所感覚を指摘する由門も、清遠も、多紀も、佐和も。でもお節介されないと事態は動かないし、素直になれないし、くっつかない。

    現実はじれったい人がいたとしても、見て見ないふりや個人の自由という名の放置で、進展しないまま、恋愛も事態もタイミングを逃してしまうのだろう。お節介の有り難みに気付く一冊。

    • hetarebooksさん
      amicakeさん

      はじめまして☆コメントありがとうございます♪
      なんと、、amicakeさんも高知から上洛組なのですね。ポン酢会社...
      amicakeさん

      はじめまして☆コメントありがとうございます♪
      なんと、、amicakeさんも高知から上洛組なのですね。ポン酢会社の回し者と疑われるほどの郷土愛!

      私は大阪の人間で大阪推しのつもりでしたが、彼らの高知推しに比べれば郷土愛が薄かったと思いました。。。笑

      でも同時にそこまで愛せる地元というものが羨ましくもありました。

      (※大阪にも「旭ポン酢」というものがありましてこれはたかじんさんもお気に入りの絶品ポン酢です。一度ご賞味ください☆)
      2014/02/04
  • とっても面白かったです。

    私は今、大学1年ですが、就職のための講習会が大学内であり、何度か行っています。
    そんな私にはとても勉強になった一冊でした。
    まだ公務員になるのか、民間の企業に就職するかはわからないけれど、社会人として当たり前のことが詰まっていました。
    時間がどれほど大事か、名刺とは何なのか、とか。
    有川先生は作家になる前は普通に企業に勤めていたと聞いたので、だから妙にリアルというか、勉強になることばかりなんだな、と納得しました。
    仕事をする、社会人になる、ということについて書かれているのは、この本以外に、『シアター!』や『フリーター、家を買う』などがありますよね。
    それらや、この本を読んでしみじみ思うのは、有川先生ってお仕事の出来る人なんだろうなあ、ということです。
    私も社会人になった時には、そうなっていたいなあ、と思います。

    掛水さんと吉門さんの掛け合いがとってもかわいすぎて萌えました。
    掛水さんのどんくささ萌え。
    多紀ちゃんの「フットワークが軽くて、気が利く奴」っぷりがすごすぎました。
    彼女自身は努力だと言うけれど、すべき努力を見つけて、その努力をすること自体が尊敬できます。
    私も見習いたいと思います…。

    高知に行ってみたいです。
    この本を読んで、そう思ってしまいました。
    有川先生に乗せられてますね(笑)

  • この本を読んで高知に行きました。

  • ──彼らは実に、悲しいほどに、どこまでも「公務員」であった。



    という、実在の高知県庁おもてなし課をモデルに書かれた、地方観光再生の物語。


    自然以外になんにもない高知県という田舎をどうすれば観光立県として盛り上げられるか。
    ひいては外貨収入を増やして自治体破綻を回避し、先細りの見えている現状を打破出来るか。
    頭の固いお役所に、それをさせるには、どうすればいいのか。

    ちょっと緩めのプロジェクトX的お話でした。

    これが面白いかっていうと、面白い。
    まず語り口が上手い。
    やはり有川浩という作家は上手い。

    前半の、お役所をボロボロにけなしながらも次々とその代案が出てくる展開は、主人公に感情移入してしまって苦しくなるけど、こうなればいいのに、が実現していく楽しさが溢れていて凄く好きです。

    後半はもうちょっと先まで描いて欲しかった。
    成果が出るところまで行ってないので消化不良です。
    現実のほうに合わせると仕方なかったのかも知れませんが。
    これが小川一水だったら最後の「夢」のところが実現した上で宇宙人が現れて地球テーマパークプランくらいまでやってくれるのになあ…。

    現実的なところが面白いところといえばその通りです。
    これ、全国の田舎県でこぞってやってくれないかな。
    パラグライダーやってみたくなりました!


    以下役体のない愚痴。





    吉門さんが有川浩をモデルにしてると思うとちょっとなんだかなあと思ってしまったり
    「パンダ誘致論」が有川浩のパパの発案だと2回も言っちゃったりだとか、
    この人、もうちょっと裏事情は隠しておいてくれないかな…。
    あと主人公がBL思考なのが…。

    • アールグレイさん
      初めまして、数年前にこの本を読みました。
      私が本の中で、1番印象に残っているのが、
      パラグライダーなのです。憧れますね!
      初めまして、数年前にこの本を読みました。
      私が本の中で、1番印象に残っているのが、
      パラグライダーなのです。憧れますね!
      2021/03/08
    • palebluedotさん
      初めまして、こんにちは。
      パラグライダーのシーン良かったですよね。
      読んだの10年近く(!)前ですが覚えています。そして10年も経つのに...
      初めまして、こんにちは。
      パラグライダーのシーン良かったですよね。
      読んだの10年近く(!)前ですが覚えています。そして10年も経つのにあこがれのままになってます…いかん。
      2021/03/08
全1759件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

有川浩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×