ジェノサイド

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741835

感想・レビュー・書評

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  • アフリカ・コンゴ、アメリカ、日本を舞台にしたアクション×サスペンス×エンタメ群像劇!
    これは人類の「新・出アフリカ」記か。

    人類の脅威となりうる「何か」がコンゴで<生まれた>。それを火種に、米ホワイトハウスから物語が動き出す。「何か」に付けられた暗号名は<ヌース>。そして作戦名<ネメシス作戦>。

    アメリカ政府機関、アフリカ紛争の内実、世界情勢、理系基礎研究、軍事、諜報、人類学などの緻密な描写が説得力と重厚さを生み、物語のスケールを支える。

    約500万年前にアフリカで生まれた人類。約20万年前に現生人類が「出アフリカ」し、何万年もかけて地球上に広がった。
    ここから、ふたたび人類が始まるのか。それとも、終わりの始まりか。

    大統領以下の政府高官、科学者、傭兵、日本の大学院生まで、それぞれの信念と思惑が絡み合う。
    デッドライン(文字通りの)があり「逃げながら闘う」2つのストーリー。
    急流のような話の流れに、丹念に張られた伏線。それらが回収されたときのカタルシス。

    人間の本質、戦争の非人道性などテーマは軽くはない。
    しかし、活劇としての純粋な面白さと、知的好奇心への刺激を感じられる傑作だ。
    あっという間の590ページでした。





    作者の、意味不明(?)な日本人下げと たまに挿入される思想的スタンスはすこし引っかかるが・・・おいておこう。
    あのラストを描いてくれたのだから。

    • Tomoyukiさん
      shintak5555さん
      推しごとのプロの方がいた….笑。
      シングルトン推しとかいってスンマセンでした!
      shintak5555さん
      推しごとのプロの方がいた….笑。
      シングルトン推しとかいってスンマセンでした!
      2024/03/04
    • かえさん
      私はギャレット推しでした
      かっこよすぎました
      私はギャレット推しでした
      かっこよすぎました
      2024/03/22
    • Tomoyukiさん
      かえさん、長編読破おつかれさまでした!(^^)
      ギャレット、イケおじでしたね。
      かえさん、長編読破おつかれさまでした!(^^)
      ギャレット、イケおじでしたね。
      2024/03/22

  • 元グリーンベレーの傭兵 イエーガーは、不治の難病を抱える息子の命を救うために大金が必要だった。そこへ、多額の報酬と最高ランク機密の作戦任務の依頼がくる。イエーガーは『暗殺任務』ではないかと考えたが余命一ヶ月となった息子の命を救うため承諾する。イエーガーは選りすぐりの精鋭である3人の仲間と共に訓練を受け、第一次アフリカ大戦真っ只中のコンゴ民主共和国に潜入。そこで行われる「ガーディアン作戦」とは、危険な感染症が蔓延したピグミー族の住人たちを『一斉駆除』すること。そしてもう一つ、【これまで見たこともない生物】を見つけた場合、直ちに殺せという謎の任務だった。

    専門分野を薬学とする大学院生の古賀研人は、父親の葬儀を終え、自宅のパソコンに届いた一通のメールを見て驚く。それは急死した父親からのメールで、父親が死亡してから5日後に送信されたものだった。そこには「不治の病を治療する新薬開発を、極秘に一人で完成させろ」「しかし、身の危険を感じた場合はすぐに放棄しろ」と書かれていた。父親の残したメモから、実験用のアパートと 創薬ソフトの入ったパソコンを手にした研人。そして、研人の携帯電話にかかってきた『今すぐあなたの部屋から逃げろ』という音声変換されたメッセージ。このソフトを手にしたことで、何者かに自分の命が狙われていると気づいた研人。しかし、病に冒された少女との出会いと 韓国人留学生の正勲の協力のもと、少女の命の尽きる前に新薬開発を成功させようとする。


    『人類滅亡の可能性
    アフリカに新種の生物出現』


    何の接点もないイエーガーと研人。アフリカと東京のアパートの一室で同時進行する二つの物語。それを繋ぐ鍵は、現生人類の存続を脅かす『驚異的な知能を持つ生物』。

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    疲れる読書だった。
    何日かけて読んだのか。薬学の知識など難しい箇所では何度も寝落ち。

    戦争の残虐なシーンでは心が折れるどころか粉砕し一旦やめる。

    けれど、最後の研人とイエーガー、そして人類の命が危うくなるシーンがグルグル変わりながらやってくる展開に、そこからは心臓バクバクさせながら一気に読みきった!!「逃げきれー!」「新薬届けー!」と心の中は大騒ぎだった笑

    研人と正勲の勇敢な青年の物語がなければ最後まで読み進めることは出来なかったかもしれない。

    「戦争がこんなに怖いものだとは知らなかったんだよ」というピアーズ。本当にそう。人間が人間に対してこんなにも酷いことができるのかと。特に子供兵のページは心臓握りつぶされたように痛かった。また戦争からの帰還兵がPTSDを患うのも当たり前かとも思った。銃を持った子どもたちを敵にして殺し合う。まともな精神でいられるはずがない。

    核のボタンを持つ大統領の愚かな決断を聞いた時は、ルーベンスの「この思い上がった下等動物を殺せ!」という心の声に「そうだ!そうだ!」と賛同しそうになった。
    ジェノサイドを繰り返すのが人間だというハイマンズに、ルーベンスが「互いを思いやる心を持ったヒトの方が僅かに上回っているから、現生人類は滅びていないのでは」と反論するところも良かったな。

    研人が アキリに言った言葉。「もう安心だよ。ここには戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争しないと決めたんだ。」

    子どもたちの未来の為に、自分たちの命を顧みず闘った研人と正勲の言葉をアキリはどう受けとめたのか。

    いまだに戦争をやめない私達を見て、アキリは人類に失望し見切りをつけないで欲しいと願うばかりです。

    そして今度こそは間違えずに「グレイヴディッガー」を借りてこれますように(*ノ>ᴗ<)テヘ 笑

    • ゆーき本さん
      いっきゅーさん疲れた…。
      いっきゅーさんもお仕事お疲れ様。
      やっぱりそのくらいボケないとダメかー笑
      明日あたりまたジェノサイドのレビューあげ...
      いっきゅーさん疲れた…。
      いっきゅーさんもお仕事お疲れ様。
      やっぱりそのくらいボケないとダメかー笑
      明日あたりまたジェノサイドのレビューあげてみるか笑
      2024/01/19
    • 1Q84O1さん
      明日、ジェノサイド再レビュー!
      「グレイヴディッガー」を読んだ時もジェノサイドのレビューで!w
      明日、ジェノサイド再レビュー!
      「グレイヴディッガー」を読んだ時もジェノサイドのレビューで!w
      2024/01/19
    • ゆーき本さん
      書くことなくなるわっ!笑
      わたしのレビュー読んだだけで、ほぼお話読んだのと一緒くらいになっちゃうよ笑
      書くことなくなるわっ!笑
      わたしのレビュー読んだだけで、ほぼお話読んだのと一緒くらいになっちゃうよ笑
      2024/01/19
  • 2020/08/30読了
    #このミス作品43冊目

    高度な知識を持った新人類の誕生に
    恐れを抱く現人類の国を興した抹殺計画。
    学生に委ねられたタイムリミット付きの
    難病ワクチンの創薬。
    2軸で進む壮大なストーリー。
    とにかく頭フル回転で読み進めたい。

  • 長かったー!
    でも最後まで楽しめた!
    作者はこの作品を作り上げるために
    どれだけの時間をかけただろうか。
    作家という仕事に改めて尊敬の念を持った。

    残虐な戦闘シーンは少し読み飛ばし、
    国を超えた友情に涙。

    人間よりももっと高度な生物の存在。
    それは決して絵空事ではない気がしてくる。
    いつか訪れるかもしれないそんな時代を思うと、
    怖いような、なんだか複雑な気持ちになる。

  •  これはすごい。なんとスケールの大きい作品。万城目学の書評として、この本の帯に「これを書いた人はどういう脳みそをしているのか」と書かれてあったけど、確かにそう思う。

     まったく別々の3つのシーンが同時進行で展開していく方式で書かれているので、頭を切り替えて読むのがなかなか大変だったし、薬学の専門用語がばんばん出てくるので、序盤は読むスピードがなかなか上がらなかったけど、研人くんが警察の追及を逃れて自分のアパートから逃走して、新薬を作り始め、イエーガーたちが、ガーディアン作戦に着手したあたりから、もう、早く続きが知りたくてたまらなくなった。
     
     ただ、研人たちの日本シーンはともかく、イエーガーたちのコンゴシーンは残虐な描写が多くて、すごく怖かった。これ、現実?これが人間のすること?って何度も思った。
     ヒトは同属を大量に殺す唯一の生物であると書かれていた。おろかでちっぽけで、それを認めることもできない生き物。食欲と性欲から逃れられないのに、それを理性で制御できていると思い込んでいる生き物。なんて、悲しいことなんだろう。
     殺戮の描写、レイプの描写が出てくるたびに、「こんなの本の中の話だから」と現実逃避する自分が出てきたけれど、それは、私が知らないからにすぎない。実際にコンゴやルワンダでは、こういったことが起きており、何も悪いことをしていない人を、同属である人が殺しているんだろう。

     コンゴの大激闘を終えて、仲間を殺して失って、そんなイエーガーが「オレ何やってんだ。これって正しかったのか?」と考え、困惑して泣くシーン。つられて仲間4人全員が泣くシーン、私も泣けた。アキリまでもが泣いて。
     お願い、アキリ。お願いだから、人間に絶望しないで。自分と、そして自分以外の他者の命も大切に思ってほしい。

     人間は殺し合うけど、助け合うこともできる。見返りなく他者のために動くことができる、面もある。私はそう信じたいんだけど、それは甘い考えなのかな?人間まだまだ捨てたものじゃないって、思われたいし、思わせたい。私はそんな人間でありたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人間まだまだ捨てたものじゃないって」
      私も同じように思ってます。きっと作者は同じ思いの仲間が増えるコトを願っている筈です!
      「人間まだまだ捨てたものじゃないって」
      私も同じように思ってます。きっと作者は同じ思いの仲間が増えるコトを願っている筈です!
      2012/09/19
  • 創薬学を専攻する大学生と、暗殺任務と思わしき作戦に参加する特殊部隊の男、交互の視点で話が展開し、途中から目的の重なりをみせる。
    特に、詳細を明かされない極秘任務という辺りから引き込まれていった。
    どちらも読んでいて人間らしさがあり、娘に関してはハッピーエンドであり、全体的には面白かったのだが、後半は少しダレてきたりと、話が長編すぎた感も否めない。

  • 急死したはずの父から届いた一通のメール。それがすべての始まりだった…

    人類絶滅の危機とか思いがけない話でびっくりしながらも巻き込まれるように読んだ。専門用語と文字数に苦戦したけど面白かったな。
    オススメ!

  • 今、この瞬間を切り取った先100年。
    ほとんどの人間は存在していない。

    それでも人は殺さずにはいられない。

  • 世間の話題にたがわず、面白かったです。これぞ、エンターテイメント小説!読んで絶対に損はさせません。
    多分、読書の楽しみを知らない人は、こういう本を読んだことがないのでしょう。お気の毒に。
    何しろ、話の展開も広がりも多岐に渡っていて、飽きさせません。当初、読み始めた時とは、全然違う方向にあれよあれよという間に引き込まれて行きます。
    ちょっと、中だるみと発散的なところもありましたが、結果オーライ。
    昨年のベストワンを総ナメしたのも頷けます。
    読むべし、そしてエンタメ小説の世界に君もハマるのだ。
    この面白さに匹敵する小説など、まだいくらでもありますから・・・

    読んで、語って、楽しみましょう。読書が趣味で良かった。

  • アフリカで生まれた、人間の知能をも超越する超人類の3歳児。彼を巡って、アメリカ政府、アメリカの民間兵士、日本の薬学専攻の大学院生という3つの側面から物語が展開されていく。
    とてもスケールが大きく、人類滅亡の題材を扱っていることはハリウッド映画を想起させた。

    私が注目したいのは、「登場人物それぞれの超人類への対応の仕方の違い」である。
    アメリカ政府は彼を今の生活を脅かす脅威として抹殺しようとし、科学者たちは彼を研究対象として関心を寄せた。民間兵士たちは彼と共に行動するうちに愛着をもち、物語のラストでは惜別の思いを吐露している。

    ここまで、この3歳児の超人類への対応が違うのには、彼らの今までの人生や価値観、立場が影響しているのだと思う。見ている対象は同じなのに、誰が見るかという主観的な判断によって、その生物の良し悪しが決まるのである。もし今回の物語のように、時の権力者の主観によって「異生物の排除」という決定がなされたのなら、これは間違いなく争いに繋がる。争いになったときに、本書の部族のように別々のコミュニティに争いの当事者同士が移り住むことができたら、争いが起こらない世界を作り出せるのだろう。しかし、グローバル化が進んだ現代においては、別々のコミュニティに属したからとって、絶対に顔を合わせないという保証はない。だからこそ、現代社会で近年盛んに言われている「多様性の共存・尊重」ということが大事なのだろう。
    異生物との共存を許したことで、私たちの生存が脅かされることになったとしても、それは自然や地球の当然の摂理として受け入れて、むしろさらに優位に進化した存在を喜ぶべきなのかもしれない。
    こんなふうに広い心で、他者と向き合うことができたのなら、争いや戦争、虐殺はなくなるはずだ。

著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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