千年ジュリエット

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 587
レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048742276

作品紹介・あらすじ

新感覚青春ミステリ“ハルチカ”シリーズ最新作。
惜しくも普門館出場を逃したハルタとチカは、息つく暇もなく文化祭に突入した。だが、吹奏楽部、アメリカ民謡部、演劇部と次々に問題が持ち上がり……。

感想・レビュー・書評

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  • 「教えて欲しいんじゃなかったのか?」
    「な、なにをですか?」
    「ハードロックにきまっているだろうっ」


    日常ミステリ"ハルチカ"シリーズ、第4弾。
    吹奏楽部で全国を目指す真面目な青春ミステリの皮を被って、どこまで本気で読めばいいのかわからない不条理ギャグが本質と思わせて、
    オチは重めのテーマでしんみりずっしりさせる異色ミステリです。
    爽やかな表紙は詐欺です。トラップです。

    今回は文化祭を巡る連作短編。

    一番アホだと思ったのは「失踪ヘビーロッカー」。
    ハードロックで人生を表現するアメリカ民謡クラブの部長が、本番直前失踪した!
    彼はタクシーの運転手にこう告げていた。
    「そのまま法定速度を守って、俺がいいというまでこの街をぐるぐるまわるんだっ」
    部長の身になにが起こったのか!?
    …アホです。

    トリックについて考えるのが面白かったのは「決闘戯曲」。
    右目が見えず、左手が使えなかった三人の決闘者。
    彼らは如何にして勝利したのか?

    締めの「千年ジュリエット」は最もアホさがなくてじっくり楽しめてこれが一番好きかな。
    大学病院の一角で密かに集まりを開く5人の入院患者。彼女たちが始めたネットでの恋愛相談。
    その1人が南校の文化祭を訪ねてくる。
    トリックは、もうちょっと引っ張って欲しかったかも。

    ――キョウコが座るばしょには、紫色のバッジとイチゴミルク味の飴が置かれていた。

  • ロミオとジュリエットの舞台となったイタリアの都市ヴェローナには、ジュリエットのモデルになった女性の生家がある。
    そしてこの家には、毎年何千通とジュリエット宛の「恋愛相談」が届き、それを「ジュリエットの秘書」と呼ばれるボランティアが返信をしている。

    イタリアらしいこんなエピソードを冒頭に挟んで、表題作「千年ジュリエット」は始まる。
    ある病棟に集まった5人の女性たちは、「ジュリエットの秘書・はごろも支部」というホームページを開き、恋愛相談を受け付けることに。五色の虹をかたどったバッジを持った「五色の虹のジュリエット」たち。

    そして、時間は流れて。
    清水南高校の文化祭を訪れる一人の訪問者。五色の虹のバッジを持ったその人の目的は……

    「退出ゲーム」から続く清水南高校の吹奏楽部を舞台にした「ハルチカ」シリーズの4作目。連作短編ミステリですが、今作はどちらかというとハルタとチカよりも、周囲の人に焦点を当てたもの担っています。
    舞台は高校の文化祭。前作までに集まった吹奏楽部の面々と、関わった他の部の活動があったりお祭りらしい作品になっています。

    表題作「千年ジュリエット」は、やっぱりそう来たかぁと思うようなトリックですが、個人的には題材が大好き。
    ジュリエットの秘書たちの五色のバッジを持った訪問者が背負った思いが感じられて素直に感激しました。
    「決闘戯曲」は過去作の「退出ゲーム」同様、演劇部の戯曲を用いた作品。右目が見えず、左腕を怪我した男が銃での決闘に勝つ方法は? という謎を抱えた芝居を演じます。
    「エデンの谷」「失踪ヘビーロッカー」の2作も、小気味よい短編。

    4作とも、今までハルチカシリーズを読んでいる読者向けの作品なので、これだけ取り出してお薦めするわけにはいかないですが、ウチはかなり好きですね。

  • 東京X!!!

    ラストで、努力しても何者にもなれない事もあると言うハルタに対して「打ち上げられなかったらただの玉だよ。」と答えるチカちゃん。黒玉でもいい、打ち上がることが大切なんだよね。いいこと言うなあ。
    これは青春小説ですね。

  • いつになったら普門館への扉は開くんだ?と心配になるくらい部活動から離れてしまってるw。が、今回は以前より、特殊な知識を必要とする謎解き率がグッと下がり親しみやすく、文化祭で盛り上がったので許そう。甲田さんとトモちゃん(笑)実はこっそり上手く行きますようにと願うww。

  • ハルチカ高校2年の文化祭。吹奏楽部の熱血編は
    少し休憩の刊ですかね。全体的にここまでに
    登場した濃いキャラ(アホの子たち)が文化祭で
    再登場したりします。全編通して、もうニヤニヤの
    面白さ。多分、高校2年の文化祭って...一番楽しいん
    だろうね。自分は未経験ですがw。

    新たなキャラ「スナフキン(女性)」も颯爽と登場し
    ピアニカ片手に颯爽と吹く姿は...かなりカッコいい。
    今後の吹奏楽部にとっても関係して来そうな
    重要キャラで楽しみ。文化祭本番では、君臨する
    高スペック生徒会長。演劇部のアイツ、初恋ソムリエのアイツ。
    3年生にして新キャラのアリス・クーパーな人...。続々と
    アホの子たちのキラキラが堪らない。

    そしていつもながらの表題作の素晴らしさ。
    キラキラだけではない十代の痛みも、でも
    それ以上に広がるその先の希望も引っ括めての青春。
    このシリーズの全てのテーマが詰まってます。
    しかも4編の短編を総括する落としドコロ!
    冴え渡ってますね。

    全くの蛇足ですが作中にバカボンのお巡りさん
    (目が繋がった本官さんね)の引用がありますが、
    実はアノお巡りさんって...個人で勝手にお巡りさんの
    商売をしてるんですよねw。交番を個人経営してる
    事業主なんですw。

  • 静岡の20数名の吹奏楽部を舞台にした小説第四弾。
      顧問草壁の師の孫娘山辺真琴(スナフキン)が、師の遺品鍵盤ハーモニカに似た
     クラビエッタを持って登場。彼女もまたベーチェット病による弱視で音楽をあきらめる
     ことになった。吹奏楽部コーチに就任。
      文化祭でハードロックを演奏する予定の甲田。アリスクーパーばりに巻きつけようとした
     蛇を先輩に借りたが毒蛇が混入。タクシーで学校に向かうが毒蛇の存在により騒動に。
     甲田が卒業して人数不足となる残4人は吹奏楽部と掛け持ちすることに。
      文化祭、演劇部とのドタバタ。・・・あまり内容が無く読み飛ばす。
      大学病院に入院する年齢のバラバラな5人。イタリアで「ジュリエットの秘書」と呼ばれる
     スタッフが恋愛相談を受ける。その支部を立ち上げるが次々に亡くなっていく。
     最後は?誰の話か、この小説に何の関係があるのかよく分からなかった。

  • 今回は学園祭編。
    最後のお話が一番面白かった。いわゆる叙述トリックってやつかな? 詳しくないから分からないけど。

  • 米澤穂信の「氷菓シリーズ」と同じく日常青春ミステリーではあるが、登場人物が多彩であるのと吹奏楽部の成長ストーリーとしても面白い。今回はほろ苦い物語が多かったように思うが、肝心の普門館への道は次作になるのかしら。

  • 清水南高校の文化祭での4編。「ありがとう日野原さま。文化祭開催はあなたさまのおかげです。 清水南高生徒一同」の校舎の垂れ幕にのっけからずっこけました。徒会長の日野原さまの手腕がビシビシ発揮されてます。今回は吹奏楽部は脇役で他の文化部にスポットが当たってますがおもしろかったです。草壁先生の過去が明らかになるのかと思いきや残念でした。千年ジュリエットのさようならの回数には本当に泣けました。スナフキンの「青春という名の旅にゴールはないの。成長を諦めたひとが勝手につくってしまうものなの。」 耳が痛いです。

  • ハルチカシリーズ第4弾!シリーズ物は、冊数が増えていく度にマンネリ化することが多い気がするけれど、ハルチカシリーズは、一人一人のキャラクターが濃く、お話も面白さや切なさなど、様々な要素があって飽きません。4弾は、個人的に、失踪ヘビーロッカーと千年ジュリエットの接点がポイントだと思いました。早く第5弾が出てほしいです。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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