消失グラデーション

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 1333
感想 : 322
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048742566

作品紹介・あらすじ

私立藤野学院高校のバスケ部員椎名康は、ある日、少女が校舎の屋上から転落する場面に遭遇する。康は血を流し地面に横たわる少女を助けようとするが、少女は目の前から忽然と消えた。監視された空間で起こった目撃者不在の"少女消失"事件。複雑に絡み合う謎に、多感な若き探偵たちが挑む。繊細かつ大胆な展開、"真相"の波状攻撃、そして驚愕の結末。最先端で最高の青春本格ミステリ、第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 学内の死角で女の子をとっかえひっかえ、教師とまで怪しい仲…遊び人の椎名康。実は、女子バスケのエースで現役モデルの網川緑に片想い中…

    学内に何者か(ヒカル君と命名済み)が忍び込み、制服が盗まれる事件を追うため、隠しカメラを仕掛ける樋口真由。
    康はひょんなことから樋口に協力し、ヒカル君を追う羽目になる…

    屋上から突き落とされた網川緑がそのままどこかへ消えてしまい、安否も分からず、康たちは真相を探ろうと色々推測するのだが…

    はじめて読む作家さんだからか、えらく読みにくい。妙な違和感があり、あえてこんな書き方をして読者を惑わせようとしていることにはすぐ気付いたけど、それでもまずお話の仕掛けを思いついて➡そこに無理やり物語をはめた感が…。オチもそこから予想してしまいました。

    色々特異な設定だなぁ。どんな学校だよ!

  • バスケ部の試合や練習風景がリアルで迫力があり、スポーツ青春ものとしての瑞々しい魅力。そこへ加わる虚構的な異分子。スパイスとしてのファンタジックな要素は、メインを引き立てる意味で「あり」だと思います。ミステリとして突っ込みどころが無い訳ではないけれど、面白かったからいいんです。

    バスケットボールの名門、藤野学院高校。
    カメラさばきと編集技術がプロ級の、放送部の「マユたん」こと樋口真由。そして「エッチ依存症」で部活を抜け出し、女生徒との逢瀬にふける素行不良の椎名康。二人は校内に出没する謎の不法侵入者「ヒカル君」を追うべく、独自に調査を進めるうちに事件に巻きこまれることとなる。

    物語のメインを張る男女の微妙な距離感。
    そして樋口と椎名に負けず劣らず「いい味」の登場人物たち。
    椎名にゾッコンで「背後に深紅の薔薇の幻影が見える」男子バスケ部主将の鳥越裕一。超高校級で女子バスケ部のエース、そのうえ雑誌の読者モデルも務める網川緑。網川をサポートするキャプテンの関戸、ライバル心むきだしの柴田。元気いっぱいのマネージャーや、元プロ選手の監督らを交えた爽やかなだけじゃない青春。

    読み返してみると、なるほどよく出来ています。
    突っ込みどころが云々などと書きましたが、虚構の隙間から垣間見える真実というのもある訳で、僕は充分満足しました。
    現在、続編『夏服パースペクティヴ』が待機中。
    これも楽しみです。

  • ──このミステリーはなかなか面白い!!

    第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
    カバー裏で綾辻行人や北村薫氏ら選考委員が絶賛しているので、どんなものかと読み始めたが──。
    本当に面白い作品だった。

    主人公、高校生の椎名康が女生徒を呼び出し、校内にもかかわらず、その制服の下に手を入れ……。
    という官能小説的なファーストシーン。
    同じバスケ部でモデルもやっている美少女網川緑が、ある日、屋上から転落。
    転落した彼女を見て、椎名は彼女を助けに向かい、何者かに襲われる。
    椎名が目覚めたとき、彼女の姿は消失。彼女はいったい何処へ?
    自殺か? 他殺か?

    面白くて先が読みたくなるのだが、読んでいる途中、なぜか理由の分からない違和感を時々覚える。
    背中が痒いというか、その痒いところにどうしても手の届かない苛立ちを感じるのだ。
    この苛立ちは何だと思いながらラストに辿り着き、ようやく明かされた驚愕の事実によって、ああ違和感はここから来ていたのかと分かる。
    いわゆる○○トリックだったのだ。なるほどね。
    多少、やりすぎの感もなくはないが、ここまで引っ張られたのだから私の負けです。素直に認めます。
    ところどころ瑕疵は見受けられるものの、デビュー作でここまで読ませる筆力はなかなかのものである。
    次作が楽しみだ。
    ただし映像化は絶対不可能でしょう。
    だって、どんなにいい役者を使っても、最初のシーンでネタバレになってしまうもの(笑)

  • 第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。高校を
    舞台にした学園ミステリ。かなり熱をもって
    バスケを題材とした高校生の部活を巡る
    ミステリです。

    作品全体になにか違和感を感じていたんですが
    その違和感は終盤に明らかになるのですが
    もう、書きようがない程ネタバレになって
    しまいそうなので、感想が難しいw。
    主人公とその探偵役、そして事件の中心となる
    モデルもこなす天才バスケプレイヤー...etc
    登場人物の多くが、ネタバレに関する重要な
    ポイントに絡んでいて、さすがにこんな
    学校はないでしょw?と思ってしまいます。
    一瞬コレってバカミス!?? と思ってしまったw。

    事件としてはその天才バスケプレイヤーが
    チーム内で孤立していく事でリスカを繰り返すなど
    精神的に追い込まれていく。その彼女が学校の
    屋上から転落するも、落ちた筈の彼女の姿が
    こつ然と消失していた... 。という謎を
    主人公の「コウ」と放送部員の「樋口」が
    追っていく...。
    この「樋口」のキャラは秀逸です。
    あまりに探偵として出来過ぎなのが気になりますが
    よく出来たキャラです。次作にも探偵として
    登場するようのでそちらも手を出す予定。

  • 勇気あるなあ~。が、率直な感想。
    ここまで「コレ」を羅列することは、並みの書き手ならさすがに躊躇する気がする。
    が、それでも「面白い」と思わせたのは、トリックもさることながら、やはり「人物たちの心」が謎を作り上げていたからだと思う。

    バスケットに打ち込み、打ち込まざるを得ず、そして自分を追い詰めていく少年少女たちの姿がとてもよかった。

    が、「ヒカルくん」はイマイチ。
    彼だけチープなラノベみたいだ。最後の最後にあんな感じで出てきちゃうのもどうだかな。
    続編にもしや彼は出てくるのかな。

    樋口クンの続編があるのね。ちょっと読みたい。
    あと、網川さん不死身か。ちょっと笑ってしまった。

  • 使い古された感のあるどんでん返しだがまんまと一杯喰わされた。バスケ部の青春ミステリーにしては話がそちらに進まないなあと思っていたらなるほどと言う感じのオチの付け方。強引すぎてリアリティと言う意味ではかなり厳しい部分もあるが、小気味のいい会話とスピード感ある展開は良かった。

  • どんでん返しが続くと、もういいよ…となってしまう堪え性の無い人間なので、
    この作品はすっきりしていて読みやすかったです。
    脱力系主人公とSっ気のあるクールな探偵樋口という、
    ありがちな設定なのですが、最後の数十ページで、
    ああそうだったのか…!と、
    気持ちよく騙されていたことに気付きました。
    面白かったです。

  • これはネタバレしないと感想が書きづらいので、ネタバレします。
    未読の方はご注意。





    物語の軸となるのは、校舎の屋上から転落した網川緑が姿を消してしまった事件だが、読んで最も衝撃を受けるのは、やはり主人公椎名康が実は女性だったという、男女の性別を誤認させる叙述トリックだろう。
    性別を誤認させるなんて、使いふるされた、手垢の付きまくった手法であるにも関わらず、見事に騙されてしまった。
    それはなぜかというと、康の友人であリ、探偵役である真由が、女性と思わせておいて実は男性だったという、逆の叙述トリックを仕掛けていたから。
    実はかなり早い段階で康は女なんじゃないかという疑いは抱いたのだが、真由の存在があったため、その可能性を否定してしまった。なので真実が明らかになった時の衝撃は大きかった。
    女の名前で康はどうよ、という不満はあるが、それ以外は大いに楽しめた。
    康...コウ...柴崎コウみたいなもんか...

  • (No.12-2) ミステリです。第31回横溝正史ミステリ大賞・大賞受賞作。

    『藤野学園高校、バスケ部。女子バスケ部は強豪チームで当然部員数も多い。男子バスケ部ははっきり言って弱小チームで部員数も少ない。そんな両者だか仲は良く、お互い相手のことはよく知っている。
    女子バスケ部のエース2年生の網川は3年生の前主将伊達が引退してから、部内で浮いた存在になっている。網川の能力がすごすぎて、3年生が抜け残った部員が網川を抑えられなくなりチームとして機能しなくなってきたから。
    男子バスケ部の椎名は網川が気になっている。友達の放送部員樋口とは試合のビデオ撮影をしたりして、よく一緒に行動する。ある日校内で樋口に呼び止められ、緊急事態の網川の危機を一緒に救った。
    そして起きた事故、事件?網川が校舎屋上から転落、椎名が駆けつけたときには倒れていた網川。椎名は直後に何者かに気絶させられ、他の人が駆けつけたときには網川の姿はなかった。
    彼女はいったいどうなったのか・・・・。』

    題名が「消失グラデーション」なので、なんていうか密室トリックのような消失トリックが中心のミステリかと思ったのですが、違いました。私にとっては嬉しい誤算。鍵穴をどうかしたり、滑車を使ってとか、現実離れしたトリックはそれほど好きではないので。

    それより、ここで取り上げられているテーマは私の好みど真ん中。つい最近も新聞で連載特集がありじっくりと読ませてもらったテーマです。
    読んでいて世界陸上の事件を思い出しました。その時「一般の人とスポーツ選手を比べると、こういうことになる比率がスポーツ選手のほうが高く、それもトップ選手のほうがより高い」とありました。当然だろうなとその時思ったものです。あの選手はどうなったんだろう。
    読み終わって思ったのは、大事なのは「消失」よりも「グラデーション」の方だったのかということ。そうなんだよね、こっちかあっちかではなくグラデーション。

    網川に関しては、私はかなり正解に気が付いていました。で、謎は押えたぞという気でいたら、あららここにも~こっちにも。
    そうかあ、あちこち細かいネタが仕込まれてたのね。これはもう一度読み直さなければ!

    ただ他の方のレビューにもありましたが、ヒカル君という存在が都合よすぎる上に放り出されて、こういうことは今後はやめて欲しいと思うわ。

    ミステリとしてはそれほど高度とは思わないのですが一気に読ませる力があり、読後いろいろ考えさせられ感動しました。

  • なるほど、と言う感じ。
    何度も何度も、ページを前に戻して読み直しながら先に進みました。
    すっかり騙されてました。

    青春ミステリー、面白かったです。

    実は、鳥越くんが一番普通だった…

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著者プロフィール

新潟県生まれ。2011年『消失グラデーション』で、第31回横溝正史ミステリ大賞「大賞」を受賞しデビュー。双葉社、集英社、東京創元社などで作品を発表。青春ミステリから最近は社会派ミステリへ執筆の幅を広げている。社会派ミステリの著作に『ダークナンバー』『月夜に溺れる』などがある。

「2020年 『龍探 特命探偵事務所ドラゴン・リサーチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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