歌集 人魚 (まひる野叢書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048764292

作品紹介・あらすじ

「この作者は、明らかに凄みを増している。このような表現者がいることを、同い年の作家として心強く思う。」中村文則-2011年第1歌集『あの日の海』によって注目を集めた著者の第2歌集。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルの『人魚』に引き寄せられて読んでみました。  一句の歌を複数個集めて一つの詩のように表現されていて、俳句や短歌だと難しくて敷居が高い歌も、共感しやすかった。   ★  (以下。帯の表記引用) 日常にある締念、倦怠、欲求、狂気を日本語の素晴らしさを大いに生かしながら表現し、日常の殻を破り少し表面に突出する瞬間も、作者は冷静に見つめ言葉をつむぐ。人の表面と内面の薄皮の間をたゆような歌集は、全てで一つの物語の様にも感じる………。

  • 染野先生!
    図書館のビブリオ紹介本の中に並んでいたのを偶然発見、これは借りなければ。

    教師の時の生徒に真摯に向き合い葛藤苦悩した様を痛々しい感情ではあえて直接表現はしていないが、日常の歌では感情をあらわにしてその差に驚く
    余韻を残すためのリズムや結びの言葉選びが心地よい
    ひらがなが効果的に使われる例がありお手本にしたい

    好きな歌
    手袋が手袋のまま落ちていた校門を出て右に曲がれば
    妻の炊くかぼちゃの湯気がやけに濃い生徒を叱り過ぎた火曜日
    ぼくの知らぬ過去が散らばる 教室の後ろでふいに筆箱落ちて
    すでに老いて父の広げる間取図のセキスイハイムの「キス」のみが見ゆ
    君でなきひとに会うにもバス停にひかり浴びつつ待たねばならぬ
    怒りにて冷えた身体を浴槽に沈める 怒りのみ濡れていく
    海を見にいきたかったなよろこびも怒りも捨てて君だけ連れて
    鳴りやまぬ拍手のごとく湯の沸けば電気ケトルを傾けにけり
    年賀状に家族写真を載せるのはもういいやめろあてつけかと言わず
    先生が恋は罪悪と言いしときのざいあくのアクセント知りたし

  • 『人魚』は染野太朗氏の第二歌集。第一歌集『あの日の海』の強いいらだちとなまな現実から大きく舵を切った歌集となった。(野口あや子)

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著者プロフィール

1977年茨城県生まれ、埼玉県に育つ。
歌集に『あの日の海』(本阿弥書店、2011年)、『人魚』(角川書店、2016年)、現代短歌クラシックス『あの日の海』(書肆侃侃房、2021年)がある。
短歌同人誌「外出」「西瓜」同人。短歌結社「まひる野」編集委員。

「2023年 『初恋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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