舞台芸術 22 〈劇場〉の現在形 「拡張」と「拡散」の間で

制作 : 京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター 
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048765015

作品紹介・あらすじ

特集「〈劇場〉の現在形―「拡張」と「拡散」の間で」に対して3つの視点から渡邊守章、きたまり、宮沢章夫、黒瀬陽平、蔭山陽太、三浦基らが発言。他にアジアにおける演劇教育(平井愛子)をはじめ論考多数を収載。

感想・レビュー・書評

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  • 岩城京子さんの論文が載っているということで、購入。
    特集 〈劇場〉の現在形ー「拡張」と「拡散」の間で


    以下、付箋を貼った部分

    □ 岩城京子「ベルリン・劇場の現在ーフォルクスビューネ問題を中心に」より

    (…)美術史家のクレア・ビショップに出会い、近年、主に英語圏の大型美術館で、ダンスなどのパフォーマンスを上演する流れが台頭していることを、かなり遅ればせながら知ることになった。美術館で上演されるダンスという新形式の表現を、ビショップは「ダンス展覧会」と命名。「実験演劇の「ブラックボックス」とギャラリーの「ホワイトキューブ」が遭遇する、新たなパラダイム形式としての「グレー・ゾーン」」に、これらパフォーマンスは位置付けられるという持論を、(…)


    この「批評的空洞」は、何もフォルクスビューネだけでなく、助成団体やプロモーターばかりにへつらい、地元客への視線が失墜した劇場やフェスティバルで最近頻繁に目にする。つまりよく言われるように、演劇市場のグローバリズム化により、一握りの作家たちがジェットセッターとなり、「今日はベルリン、明日は東京」と、世界中の都市を匿名化して飛び回るようになった結果、観客達も顔のない匿名集団として扱われるようになってしまったのだ。しかし古代から特定の社会に根ざす形で栄えた劇場は、とりあえずまだ現時点では、URLアドレスではなく郵便住所に紐付く観客との対話を重視する。つまり国際市場の数値化された観客の扱いに完成・地域性がものを言うフォルクスビューネという劇場で、同じように観客を「非人称化」してしまった点にある。


    □ 蔭山陽太x森山直人「100年続く小劇場は可能かー京都「シアターE9」という挑戦」

    少し話が大きすぎるけれど、明治維新以前の日本における文化芸術で、民間が果たしていた文化と呼ばれるような、商人が芸術を支えていたこともそうですし、そこからもう一度、今の社会の中で成立する芸術支援の環境はなんなのかを問い合わせていくと、何か新しい時代の可能性が見えるのではないかと思いましう。それは今、シアターE9京都の資金集めのプロセスでも、実感しています。

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