水の時計 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 155
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048793018

作品紹介・あらすじ

医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった-。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第二十二回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白くない訳ではなかったけど、印象が中途半端。ファンタジーなのか、医療物なのか、青春物なのか。譲られる方の話が中心だからか、髪が白くなる程の主人公の痛みは描かれてない。

  • よく分からない。読んでいていやな気持ちになることがあった。読み終わったら捨てるだろう、と思った。
    が、読み終わってみたら、捨てることはないと思った。もう1回読むと、嫌悪感なく読めるだろうか?

    負の要素を詰め込みすぎ。書きたいのは、臓器移植の問題なのか、やるせない現実なのか?
    なぜ臓器移植のストーリーに、暴力のストーリーを絡ませるのか?
    葉月に語らせたいものは何なのか?
    とにかくよく分からない。

    もう一度読むことがあるだろうか?

  • ちょっと変わったミステリーです

  • オスカー・ワイルドの「幸福の王子」をモチーフにした現代寓話である。

    僕はワイルドの童話の、救われなさが好きではない。
    たとえばアニメ「フランダースの犬」なんかにも通じることだが、善意の人は死んで天に召されました、という結末を受け入れるのは、キリスト教徒でない日本人には難しいのではないだろうか。

    僕みたいに屈折した考え方をする人間には「自己犠牲なんてくそくらえだ」と思えてしまう。
    この物語で「王子の像」は葉月で、「ツバメ」は昴という名の暴走族の少年である。葉月が文字通り、その身を削って作った贈り物を昴が運んでいくのだ。

    物語は「贈られる側」の視点からオムニバス形式でさまざまな彼らの事情や人生が描かれる。
    うまい構成だと思う。

    ここには「与える自由」と「与えられる自由」という大きな問題がある。
    彼らはドナーを求めている。葉月は自分の身体を提供したいと思っている。
    にもかかわず、それは簡単にできることではない。いや、この現代日本ではこれはほとんど不可能なことだ。
    互いが望み、そしてそれは決して誰にも迷惑をかけず、多くの人の心をも救うというのにそれでもそれは「犯罪」として扱われてしまう。
    もちろん、それを認めてしまったら、それを喰いものにしようという輩が必ず現われ、多くの弱者が虐げられることになるのはわかりきっている。この問題は簡単に「やればいいじゃん」なんて言えるものではないのは誰もが知っている。
    だから、この物語は寓話であり、ファンタジーなのだ。お話の世界だから…葉月の気持ち、昴の気持ちは無駄にならなかったのだ。

  • 暴走族ルート・ゼロのリーダー格のすばるが、警察から追われていた。そこへ老人が助けに入る。老人はすばるを監視していた。何の目的があって?
    冒頭に出てくる「王子の像」の話が印象的で、寂しい気持ちになった。

  • 澄んだ物語だ。臓器移植、暴走族、生と死、扱われているパーツはハードなのだが、主人公たちの願いはどれもピュアで、それ故に残酷でもある。

    自分を犠牲にして他人を助ける、オスカー・ワイルド「幸福の王子」を下敷きに繰り広げられる本作は、現代の寓話と言える。

    オムニバス形式で進みつつ全体としてひとつの大きな物語となる構成で、個々のエピソードは心に染み入るものなのだが、「この伏線回収されてなくない?」や「あれは結局何?」が散見され、ワシは気になってしまった。とはいえミステリ賞の受賞作なので、ワシの読み込みが甘いのかも。

  • 幸福の王子を下敷きにした、ダークファンタジーミステリ。幸福の王子を臓器移植になぞらえた設定は面白いが、そのせいか内容が重く、どう足掻いても幸福な結末にならない感じがあるので読み進めるのはやや苦しい。臓器を運ぶ密命を受けた主人公が、途中で狂言回しの役割を演じ、中盤が臓器移植を巡る個々の連作短編集のような趣になるのは非常に面白く、類を見ない構成だった。重たい物語だが、皆が皆幸福に過ごせるわけではなく、理不尽さから目を背けずにあますところなく描き切ったあたりは好感が持てる。どこか寓意的な雰囲気や、ビジュアル面も良い。

  • よくわからなかった。
    人に臓器を分け与えながら生きる、
    その理由にいまひとつ共感できなかった。
    主人公たちの関係性も。。

    何か意味ありげな登場人物の設定が最後まで
    あまり回収されなかったのが残念です。

  • 脳死の状態で延命治療を受けている少女から依頼を受け、臓器を必要としている人の元へと運ぶ役を請け負った、暴走族の昴。

    うーん、何とも言い難い。伝えたいイメージや書きたい雰囲気はなんとなく理解出来るものの、ここぞ!という所にパンチがないと言うか、色々と詰め込みすぎて熱が分散してしまっている印象。
    昴は一体どうなりたかったのか。進みたかったのか落ちてしまいたかったのか。
    ちょっと惜しい一冊。

  • ハルチカシリーズからこちらへ。
    読んでいて同じ作者であることがよくわかる、良くも悪くも癖の強い文章。私は好き。
    ただところどころガス欠感があり、書きたいことが書ききれなかったのではないか、と推察。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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