水の時計 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048793018

作品紹介・あらすじ

医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできない、残酷すぎる運命に囚われた彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった-。透明感あふれる筆致で生と死の狭間を描いた、ファンタジックな寓話ミステリ。第二十二回横溝正史ミステリ大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 臓器移植をテーマにしたファンタジーミステリー。
    脳死と臓器移植をテーマに救われなかった人と救われた人と家族の物語がオムニバスで描かれていて、読み進めるうちに物語のピースが揃っていく作品。

    大切な友人に勧められ読了。

    臓器提供のテーマは重く、正解不正解は当事者が感じること。

    与える自由と与えない自由、
    貰う自由と貰わない自由。

    この言葉の通りに。

  • 展開が早く面白いんだけど・・・
    なんだか入っていけなかった。
    仕事とか忙しくてブツキリで読んだから、設定を忘れながら読んでいたのがいけないんだけど。

    昴の内面や心境ももやっとした感じ。もうちょっと葛藤とか知りたかったな。

    最後もなんだか、うむうーといった感じ。
    悪くはないんだか。

    ただ、「カンボジアの孤児達を」「余生のキャンバスを塗るための絵の具代わりにするんだったら・・・」というくだりはドキっとする。
    こういう人が多いから。
    どの世界でも承認欲求のかたまりみたいな人だらけ。

  • 10数年ぶりの再読。

    あらすじを見ると暴走族の元リーダーと脳死状態の女の子の交流、、、イロモノのように聞こえる。しかし読んでみると淡々とした文体で、惹き込まれた。

    以前読んだ時は代理ミュンヒハウゼン症候群の話が記憶に残っていた。今回読んでみると第4幕の心臓病の元教師の話が、この教師と奥さんの心理描写に共感したせいか、一番心に響いた。

    最後が少し安易かなーと思ったが、主人公の辛かったこれまでを考えると、最後くらいご都合主義でもいいじゃない、とも思う。

  • ハルチカシリーズのほろ苦い話を一冊ぶんにしたような感じ。思っていた以上に読みやすかった。2000年代初頭に執筆された本だから、どことなく石田衣良っぽさもある。カラーギャングとか、暴走族とか、今となってはナニソレ?って文化だけど、読むぶんには好きだなー
    はづきが主人公にシンパシーを抱いて、同じような境遇の人がいることを支えにしていたことを知り、そんな些細なことだからこそ逆に腑に落ちた。ただ、はづきの事故の原因も実は主人公が若干関わっていて、そのやるせなさが切ない…。はづきは臓器移植ができず母を亡くし、子一人で志望校にも入れず、猛勉強して先生になろうとしていた矢先不慮の事故で死ぬことも生きることもできなくなり、直前に見たカラスと月のせいで臓器移植と月光のもとでだけ話すいびつさを持ち……
    主人公は兄が気を病み、子一人で志望校に入れず、グレにグレまくって喧嘩三昧……こうしてみると同じ不幸の中でもはづきは苦しみのなかにいる。ひたすら使い走らされたツバメはエジプトに行けず亡くなるのか?それとも1000万を手に歩き出すのか?

  • 面白くない訳ではなかったけど、印象が中途半端。ファンタジーなのか、医療物なのか、青春物なのか。譲られる方の話が中心だからか、髪が白くなる程の主人公の痛みは描かれてない。

  • よく分からない。読んでいていやな気持ちになることがあった。読み終わったら捨てるだろう、と思った。
    が、読み終わってみたら、捨てることはないと思った。もう1回読むと、嫌悪感なく読めるだろうか?

    負の要素を詰め込みすぎ。書きたいのは、臓器移植の問題なのか、やるせない現実なのか?
    なぜ臓器移植のストーリーに、暴力のストーリーを絡ませるのか?
    葉月に語らせたいものは何なのか?
    とにかくよく分からない。

    もう一度読むことがあるだろうか?

  • 高村昴
    暴走族『ルート・ゼロ』の幹部。

    芥圭一郎
    元新聞記者の医者。

    葉月
    脳死状態で閉鎖された南丘聖隷病院にいる。

    中谷
    昴の二つ年下。原付ばかりよく盗む。

    高階稔
    ルート・ゼロの幹部。広域指定暴力団の傘下の美緒興産とつながっている。

    室井広志
    ルート・ゼロの幹部。

    室井可奈
    室井広志の妹。

    堀池
    生活安全課の巡査部長。

    澤登
    医者。四十代半ばぐらい。

    須藤貴子
    北陽高校バレー部。神社で喧嘩を目撃する。

    玲子
    貴子の育ての母親。

    さなえ
    貴子の妹。入院している。

    美和子
    貴子のクラスメイト。

    苅谷
    バレー部顧問。一年の保健体育を受け持つ学年主任。軍曹。

    仁村
    さなえの担当医師。

    笠原克也
    小さな出版社を辞めた。フリーの編集&ライター。

    仲西聡美
    三十三歳。文房具を扱う商社の事務職。慢性腎不全。

    丘本
    斡旋業者。

    由比忠彦
    腎臓移植斡旋詐欺で刑事告発された「トーワ・コーポレーションを事件発覚直前に退社。高村の上司。

    高村誠
    笠原とは大学時代の同期。トーワ・コーポレーションに入社。志村病院精神科分室療養所に入院している。

    ムロイ
    高村誠の隣の部屋に入っている。交通事故を起こした。

    森尾哲朗
    冠状動脈硬化症。

    レン
    カンボジアの女の子。十一歳。

    律子
    森尾の妻。

    香織
    二十五歳。律子の遠縁。

    牧村
    警察。

    境大助
    境フラワーショップ主人。堀池とは小学校のときの同級生。

    下妻加世子
    三十六歳。急性リンパ性白血病。

  • 少し文章が自分に合っていないのか状況が分かりにくかった。特に抗争らへんで出てくる人物名が多く、誰が誰なのか混乱した。

    代理ミュンヒハウゼンの話は面白かった。

  • ちょっと変わったミステリーです

  • 暴走族ルート・ゼロのリーダー格のすばるが、警察から追われていた。そこへ老人が助けに入る。老人はすばるを監視していた。何の目的があって?
    冒頭に出てくる「王子の像」の話が印象的で、寂しい気持ちになった。

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著者プロフィール

1973年静岡県生まれ。法政大学卒業。2002年『水の時計』で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。著書に『1/2の騎士』『退出ゲーム』がある。

「2017年 『ハルチカ 初恋ソムリエ 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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