嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)

  • 角川書店 (2001年6月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784048836814

作品紹介・あらすじ

1959年、マリは家族とプラハに移り住み、ソビエト学校で刺激的な学校生活を過ごす。30年後、音信の途絶えた親友達を訪ねあてたマリが遭遇したのは、母国の国政に翻弄された親友達の厳しい現実だった……。

みんなの感想まとめ

多様な社会問題を扱いながらも、読みやすく引き込まれる作品が描かれています。1959年にプラハに移り住んだ少女マリが、30年後に音信不通だった親友たちとの再会を果たす過程を通じて、厳しい現実や変化を見つ...

感想・レビュー・書評

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  • こんな人生を歩んでいる人達がいるんだなぁ。

    日本から出たことのない自分の見解の狭さがよくわかった。

  •  ものには順番がある。私が遅れて出会ってしまった『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(2001)は、故・米原万里の代表作と呼ぶべき、壮大なノンフィクションにして置き土産だった。
     同じ作家による『心臓に毛が生えている理由』(https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4043944365)に興味のある方は、先に『嘘つきアーニャ』を読むのが◎。『心臓に毛』にあるのは事後解説。

     タイトルトラック「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」をまん中にして「リッツァの夢見た青空」「白い都のヤスミンカ」の3色が載っている。

     ギリシア人のリッツァ、ルーマニア人のアーニャ、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。親世代の複雑な身上を背景に、60年代チェコの首都でロシア語教育を施された学友たちは無事なのか?
     政変下で音信不通になった3人の身を案じて、マリは異国へ飛ぶ。かつて知ることのなかった友たちの“真実”に向かって。



     子供たちが祖国を離れたところでくり広げた<お国自慢>。ほほましく映るのは、そこだけがフィクションだからだ。友達は友達だ。心に国境ひけますか。愛国精神というのは悪ではないはずだが、こじらせやすく、扱いが難しい。
     友人たちは政局にふり回されながら大人になった。その厳然たる事実は、本人たちの価値観にも影響していて、解釈の単純化を拒む。

     ブルジョア娘の圧倒的な勝ち組エピソードを読んだ直後、わき起こったのは苦い感情だった、が……。ほかの2人を苛んだ動乱に、身のすくむ心地がしたそのとき。
     2人がどれほど不本意か、彼女だけは言う立場にない、と激しい抵抗感を覚えつつも、白々しいはずのあの科白が思い出された。

     出自は、人間の本質にとっては、大したことではない。

     もちろん米原の書く通り、連綿と続く背景史を全リセットした人間は空虚。だが、ああ言ったのが誰かを問わなければ一理ないだろうか? 本棚におき、いましばらく考えたい。
     先のみえない世界で愛国殺人が重ねられる今こそ、読まれるべき一冊だ。

  • この本を授業の一環で読書すれば、中高生の社会科に対する興味は俄然湧くのではないでしょうか。たくさんの方に読んで欲しい本です。
    一冊に様々な社会問題を詰め込んであるのにも関わらず、読みやすく、ぐいぐいと話に引き込まれます。自分の話であるかのように没頭して読んでしまいました。読後、あたたかさ、嬉しさ、虚しさ、悲しさ、怒り、いろんなものが心に渦巻いて、気付いたら涙が浮かんでました。

    3話からなる本ですが、それぞれの話のタイトル、さりげなく青と赤と白、色を入れています。おそらく意図されたものだと思います。そのセンスにも参りました。北斎の赤富士の浮世絵が浮かびました。

    • 夢で逢えたら♪さん
      kaorikurodaさんはじめまして。
      タイトルの色の件は(赤しか)気付きませんでした。
      言われてみれば青い空と白い都がくっきりと印象...
      kaorikurodaさんはじめまして。
      タイトルの色の件は(赤しか)気付きませんでした。
      言われてみれば青い空と白い都がくっきりと印象に残っています。
      本当に素晴しいセンスですね。
      2014/02/09
    • kaorikurodaさん
      >> 夢で会えたら…さん
      はじめまして。コメントありがとうございます。レスが遅くなり、ごめんなさい。

      いい本は二度三度と読み返したく...
      >> 夢で会えたら…さん
      はじめまして。コメントありがとうございます。レスが遅くなり、ごめんなさい。

      いい本は二度三度と読み返したくなりますが、この本もそういった作品だと思います。ひと時も文章から目が離せない、そんな本でした。
      作者の米原さんはもう亡くなられているので、新作が読めないのがとても残念です。忙しい通訳の仕事をしながらの執筆にもかかわらず、こんなにハイレベルな内容。『伝えたい』という意志の強さをとても感じました。
      2014/04/25
  • ロシアのウクライナ侵攻を機に積ん読本だった本書を読む。
    この本が出版されたのが2001年。ルーマニアのチャウシェスク政権が崩壊したのが1989年。ソ連崩壊が1991年。ユーゴスラビアの内戦が同1991年と激動の最中の東欧で、30年前に別れた同級生を探す著者。
    無謀とは思うが、いても立ってもいられなかった心境は押して図るべきだ。
    1960年代の少女達はさまざまな変貌を遂げていた。
    社会主義国家同士の軋轢、同志といいながら生活水準の大きな格差。
    彼女達を取り巻く環境を著者はどう見たのか。
    現在の状況と比較しながら読むと、なかなか興味深い。

  • お父さんが日本共産党の幹部で60年代にチェコに赴任したため、9才から14才までをプラハにあるソ連運営のエリート学校に通った米原万里のノンフィクション。米原が帰国した後、ソ連崩壊と紛争を含む東欧諸国の政治の激動があった。その後90年代をむかえ、音信不通となっているかつてのクラスメートを探す物語。
    読みどころは大きく分けてふたつ。ひとつは、学校に通っていたときには気づくことのなかったクラスメートの秘密が解明されること。高度に政治的な学校だったのだろう。大人になりクラスメートの家族や関係者と話すことで、いいことも悪いことも真実が少しずつ明らかになる。
    ふたつ目は、年を経たクラスメートの変わったところと変わっていないところの対比。米原はクラスメートの特徴やエピソードをよく覚えている。共産主義こそが至高の社会体制として教育された女性たちが、東欧諸国の政治体制の崩壊を生き抜くなかで、何が変化し何が変化しなかったかを知ることができる。
    本書を安心して読むことのできる明確な理由がある。米原のロシア語の能力の高さの所以であるかもしれないが、彼女はプラハで受けた教育を大切にしている。そんなことが文章から感じられる。ひとは平等であるべきだし、祖国は誇るべきものだし、信念は貫くべきものであると。共産主義の理想は敗れたが、当時信じていた思いを間違いにしたくなかった。とくにアーニャとの再会で生じた葛藤に、そんなことを思ったのではないだろうか。

    (古書店で購入しましたが、よく見たらサイン本だと気付いて得した気分になりました。)

  • 米原万里さんの本を初めて読みました。
    まず読んでいて、これって外国の小説を訳したような文章だな~と思いました。
    読み進めていって納得。
    作者は子供の頃、プラハのソビエト学校に通っていた。
    これは、その時知り合った友達のこと、大人になってその人たちと会った時のことが書かれたエッセイです。

    ここで出てくるのがリッツァとアーニャとヤースナという3人の女の子。
    リッツァは明るくて勉強嫌いで・・・というこの中では普通の女の子。
    アーニャは優しくて人気者だけど、たわいない嘘をつく女の子。
    ヤースナは優等生で何でもそつなくこなす一見冷たく見える女の子。

    彼女たちとの出会い、作者との会話によって異国の文明や考え方が分かるのが楽しかった。
    表面的にこの国はこうだろうと知識で分かっていても、実際にそこに住んでないとこういう言葉は出てこないだろうな~と。

    またタイトルにもなっているアーニャの話ですが、実話だけどうまく書かれているな~と感心しました。
    共産国家で、どこも同じノートしか売ってないのにアーニャが手にしていた黄色いノート。
    それは近所の店で売っていたと嘘をつくアーニャ。
    何故彼女はそんな嘘をつくのか、そこには思った以上に深い理由があって、なるほど・・・と思いました。
    誰に嘘をついても、自分さえそうだと真実をねじまげて思いこんでも、心の深い部分の自分だけには嘘をつけない。
    真実はやはり自分の中にあって・・・。
    矛盾しているけど、だからこそ彼女は嘘をつくのだと思いました。

    また米原さんという方は誠実な方だな~と思いました。
    友達が心配だからといって情勢が不安な国に赴くなんて中々できることじゃないです。
    今度はこの方が異国で暮らしていた目から見て日本のことを書かれた本を読んでみたいと思いました。

  • ミニコメント
    東西冷戦時代(1960年代)のプラハのソヴィエト学校。そこに集う、世界50ヵ国の子供たち。そこで、少女時代を過ごした著者の経験に基づく稀有なドキュメンタリー。
    表題にもなっているアーニャ(ルーマニア人)のほか、リッツァ(ギリシャ人)、ヤスミンスカ(ユーゴスラビア人)といった個性的なクラスメートとの微笑ましいエピソード。そして、30年の時を経て、彼女たちを探す旅に出る。
    冷戦終了後の大きな時代のうねりに翻弄されながらも、それぞれの人生を生き抜く彼女たちとの再会は、なぜかほろ苦い。
    実話とは思えない劇的な人生、そして、友情の大切さが心に染みる作品です。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/445917

  • ずっと前に友達に借りて読んだのを最近になってもう一度読みたくなって購入 日本という島国の戦争を知らない世代の自分の小ささを思う。

  • マリの父上は戦前から共産党員で十数年地下生活し、戦後その父から与えられた屋敷と財産を党に寄付しアカハタの海外通信員になった剛腹な人。少女時代ルーマニア各国共産党駐在員(社会主義圏大使も)の子女の通うロシア語学校の同級生3名に、ソ連崩壊後、大忙しとなった同時通訳者の著者がNHK番組企画で再会してはじめてわかった「真っ赤な真実」。
     見たこともない祖国の地中海の景色を絶賛していたギリシャ人のリッツァの父上は、’68ソ連軍のプラハ侵入を批判し自己批判も拒否し党除名、西ドイツに住んで反共の論説員となる誘いも拒否し「運び屋」正直が取り柄で繁盛
     地元ルーマニアのアーニャは、男子も敵わないほど運動能力抜群でクチも立つ。彼女の父は建国の英雄で

  • 共産主義と民主主義の争いにもまれて育った著者の体験に基づいていると思われる。
    大人になった友人たちは、子どもの頃よりも客観的で冷静になっており、ただ基本的な性格は子どものままで、感動の再会を果たす。ただし、ハッピーエンドな再会とはいえない人も。

  • 1991年前後までの東欧の実態を知る良書。実際に過ごした子供時代から、その後の紛争中の状況まで、自分の子供時代の友人の消息を追い、実際に再会を果たしていくなかで語られている。非常に興味深く、息つく暇もなく、一気に読み切ってしまった。
    脱東入西、かつての日本の脱亜入欧に通じるものを、東欧に見いだした。悲しいことである。

  • チェコのソ連学校同級生を訪ね歩く足取りに、思い出を絡ませながら、当時は分かり得なかった”真実”を見つけ出してゆくノンフィクション。
    一個人の体験と見聞だけでこれだけの壮大な謎解きが構成できるとは、米原万理さんという人はまったくすごい。同時代人でいられたことがうれしい。

  • 今まで多数の本を読んだけど初めて泣いたかも。マリへの別れのメッセージで、ヤスミンカが描いた絵にヤスミンカの姿がなかったが、それを見て、マリは「そうか、ヤースラの姿はすぐに目に浮かぶようだから、描かなくてもいいのか」というシーンで、少女達の強く切ない友情が、私の胸を熱くした。
    自分の少女時代と比べようもなく、マリやヤスミンカは背景に背負うものが大きく、また人としても成熟しており、思いやりの心を持った少女たちだったんだなと感じた。

  • ヤスミンカの言葉に心うたれた。ユーゴでの思い出とともに、ブログに長い感想書いた。
    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-670.html

  • 産まれた国や時代によって自らの立ち位置を決められる悲しみや喜び。そこしか知らない不幸せや幸せがきっとあるはず。

  • 世界には、複雑な社会情勢に振り回されて生きる子供達に胸が痛む。それでも学校生活を楽しんで逞しく成長していく彼女達はすごい。

  • 2007/1/27

  • ラジオ番組「高橋源一郎の飛ぶ教室」で紹介されていて読んだ、2001年の本。旧共産圏の激動の時代に翻弄された少女たちのその後を追ったドキュメンタリー。読んだことのないタイプの本だった。子どもだった時に謎だったことが次々解き明かされ、興味深く一気に読んだ。著者はたしかに昔テレビに出ていたのを見ていた記憶があるが、こんな本を書いた人だったとは知らなかった。女性の生き方を読むという点でも興味深い。アーニャの話が切なくなった。本人はそう気がついていなくても。

  • ソ連の支配下で、やむなく嘘をついてる、というストーリーかと思いきや、そうではなかった。
    共産圏の国の話が、歴史ではなく、身近な過去に思えた。

  • 何かで知った本で読んでみようとお気に入りに入れたは良いけど、なんでだか忘れて、とりあえず読んで見れば

    読後に少し調べて、
    やっぱり著者さんのノンフィクションなんですね、

    時間が経って遠く離れていると関係が薄くなる所、数ヶ月ですが留学してた私にも当てはまり、仲の良かった友達が何人か思い浮かんだ

    当時のロシアや東欧の情勢の中の色んな人の人生が分かりやすい目線で書かれてて、遠い世界が近く親しみあるものに感じれて、
    だからこそ、悲しい辛い空気もあって、

    3人の友人よりも会いに行ったマーリー本当かっこよくて素敵な人だなあ、

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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