真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか―

著者 :
  • 角川書店
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048837781

作品紹介・あらすじ

三島由紀夫と同じ11月25日にわずか27歳で自殺した東大法学部学生・山崎晃嗣。彼はなぜ死ななければならなかったか?昭和史の第一人者が、隠された真実を解き明かした書き下ろしノンフィクション巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 1948年に発生した「光クラブ事件」を掘り下げていくノンフィクションです。

    三島由紀夫『青の時代』のモデルとなった、東大生の山崎晃嗣について、自著や当時のメディア記事、関係者へのインタビューなどから、その思想・信念と人となりを浮き彫りにさせていく内容です。

    わたしはオウム事件をはじめ、高学歴者による犯罪というものに関心を抱いてきました。勉強「だけ」できることの虚しさ、葛藤、周囲の無理解への反発、等々に共感できるからではないかと思っております。

    本書が伝える山崎晃嗣の「思想」なるものも、実に中二病的なところがあります。P.147「時間用途表」に似たものをわたしも作っていた記憶がある。"人生は劇場だ ぼくは自分で脚本を書き、演出し主役を演ずる"という妄想じみた考えも、多くの人が10代のころにぼんやり抱いていたものだと思います。"一、権利のための闘争だ"から始まる「ひかり戦陣訓」は、もはや時代や世間に対するイヤガラセのように聞こえます。

    しかし、この山崎晃嗣の思想を育んだ原点に、軍隊における悲しい事件と、横領罪で逮捕され、一人で罪を被ったという経験があったことは注目すべきところです。単なる中二病として片づけられない、歴史の犠牲者なのかもしれません。逆に考えると、山崎晃嗣は実は卓越した人物ではなく、ごく普通の凡庸な秀才が、たまたまこうなっただけではないか、と受け取ることもできます。

    著者はさすがにベテランだけあって、構成も取材もかっちりとまとめています。多くの読者が抱くであろう「三木仙也はどうなった?」という謎も、エピローグでささっと回収してくれます。同じエピローグにて、ニーチェを引っ張って論じるところもおもしろい。着眼点の妙だと思います。

    (2014/3/24)

  • ほしみっつ

  • 山崎晃嗣という、1人の東大生を追った本。
    ・・・とは言っても、戦後直後に今で言う「闇金融業」を始め、その後事業への責任という形で自殺してしまったので、人やメディアを使って山崎という人間を追ったドキュメンタリー。
    戦後の乱れた情勢の中、何らかの形で自分を証明しようとした人なんじゃないかと思う。世間をなめてる姿も見えるし、安直な部分も感じられる。でも、それ以上にメディアがいかに単純で面白いものに囚われるのかがわかった気がする。
    メディアは今も昔も変わらないものなのかもしれない。

    実は戦後、三島由紀夫とも同級生だったらしく、「青の時代」という本に三島由紀夫は山崎をモデルにした登場人物を描いている。「青の時代」も読んでみたいと思った。

    今の時代に生きていたら、また違った道が開けたのかもしれないと、思わせる人。

  • ヤミ金融、というかマネーゲームの話。
    三島由紀夫との接点を仮説とするところが面白い。

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著者プロフィール

歴史家、評論家

「2019年 『昭和史 七つの裏側(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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