諜報員たちの戦後 陸軍中野学校の真実

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048839273

作品紹介・あらすじ

陸軍中野学校は、日米開戦前夜の昭和十三年、諜報・諜略などの秘密戦要員を養成する目的でつくられた。卒業生たちは、大陸や東南アジアで諜報活動に従事したが、終戦とともに組織は解体された。しかし、終戦後GHQに潜入を試みた者、自衛隊調査学校や内閣調査室の創設に携わった者、そして戦後最大の未解決事件「下山事件」と関わった者-関係者の肉声を丹念に拾い、戦後日本社会に中野学校卒業生たちの果たした役割を解明する力作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 2007年刊。

     スパイ養成機関として名をはせた「陸軍中野学校」。
     存続が僅か7年間でしかない該学校の卒業生は、戦後、平穏な市民生活を送った者の他、諜報活動の関与者もいた。
     本書は、著者が中野学校卒業生を丹念に追跡することを通じ、彼らの戦後の道程の一端を知らしめようとする書。

     官界・法曹界・実業界と多方面に戦後の道を歩んだ卒業生だが、諜報活動に身を投じた者の追跡は、謎を追求していくミステリーの如きである。
     が、戦後未解決事件の王ともいうべき「下山事件」との関連やGHQへのスパイ潜入という、えっと驚く事実が開陳。
     そして一部は、自衛隊業務学校(旧自衛隊調査学校)の教官などとして戦後を処してきた。

     そこ、あるいは卒業生の証言及び著者に新たに提供された中野学校の教材を見ると、小説「ジョーカーゲーム」の如く、「捕虜になることを恐れるな」の厳命(自決は御法度)、「国体と天皇とを切り離す政治学教育」、「カフェに入り世相と男女関係を知る」教育等が頻出し、彼の作品の元ネタではないかと思わせるほどだ。
     もちろん殺人を一切拒否するというわけではなく、また陸軍士官を多数採用ということで全く同じではないが…。

     本書自体は短くて簡明ではあるが、労作。ただ、まだ道半ば。それゆえ頑張れ著者。そう思わせる良書である。

  • 情報機関の戦後はいまだに表にでることが極めて少ない。そこに筆者は切り込もうとする。

    小俣洋三は中野学校で16ヶ月の訓練をうけ、その後東部ニューギニア戦で台湾の高砂族で構成されるゲリラ部隊を率いた。負傷し内地に帰還し中野学校の教官をつとめた。戦後の一時期小俣は死亡したことになり、戸籍を抹消した。そしてマッカーサー司令部の経済科学局(ESS)に就職し4年間働いた。

    筆者は中野学校OBが戦後のマッカーサー司令部ではたらき下山事件にかかわったという感触をえる。

    しかし調査はそこで潰える。

  • 『中野は語らず』の陸軍中野学校の卒業生、生存者を追った話です。やはり核心の部分は取材出来なかったのでしょうか大分不覚まで追求してますが少し物足りない気がします。しょうが無いですけども…

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著者プロフィール

斎藤充功(さいとう・みちのり) 1941年東京市生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退。陸軍中野学校に関連する著者が8冊。共著を含めて50冊のノンフィクションを刊行。近著に『陸軍中野学校全史』(論創社)。現在も現役で取材現場を飛び回っている。

「2023年 『日本の脱獄王 白鳥由栄の生涯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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