- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048839556
作品紹介・あらすじ
文学に流されず、文学に損なわれず、文学を読む自分を勘違いせず、正しく文学と出会い、正しく文学を読む十講。
感想・レビュー・書評
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大塚氏の文学評は、ご自身の小説作法と繋がって非常にわかりやすい
ただ社会評も相まって、「その持論は別でやってよ」感がちょっと残念
文学は社会ときっても切り離せないということなのかもしれないが詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「本の読み方」というものを今まで意識したことが無かったのでとても興味深い内容であった。
この本で紹介されていた本も読んでないものが多かったので、それらを読んでから再度読みたい。 -
0160
2019/11/20読了
文学はお堅いイメージがあってとっつきにくいと思っていたけど、100年ほど前でも同じことを考えている人たちがいたことの確認ができるものだと気づいた。
西洋から 私 という概念を取り込んでしまったために今の私たちは苦しんでいるのかな…。今だと自分について考えないことのほうが考えられない。
2004〜5年のイラク戦争のころに書かれたものだが2019年にもズシリときてしまうところが辛いなあ。変わってないなあ…。2004年からも、1945年からも。 -
高いところから俯瞰してみた文学への視点や考え方を教えてもらえて、強く影響を受けました。
改めて何度も読み返したいな。
紹介されている作品もすべて読んでみたいです。
自分では真似のできない大局観という視点を、垣間見させてもらえて感謝です。
どっぷり主観でしかものが見えない自分を痛烈に感じてとても痛かったです。 -
(2010:渡辺正人先生推薦)
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文学に溺れないために。
しかし、文学から学ぶために。 -
文学を政治という枠にはめて読み取ろうとする試みです。今、大塚 英志のなかでは、「政治」がはやりなのだと思います。
もうちょっと詳しく書くと、「右翼的なものの考え方の脱却」かな。
政治というものさしがしっかりしている分、評価はぶれない。
だから、紹介している文学をほとんどすべて、ぶった切っています(笑)認めているのは、安部 公房と大江 健三郎ぐらい。
それ以外は、三島 由起夫も、太宰 治も、井伏 鱒二も、全部、ぶった切られています。
えー、それなら、わざわざ「読め」って、紹介しなくてもいいじゃん(爆)安部 公房と大江 健三郎だけ読んでいたらいいじゃないか。
まあ、多分、大塚 英志が思ったのは、
「初心者が文学を読んだとき、文学に騙されない」*1
ためのガイドなんだと思います。
まあ、物語の読み方はそれぞれなので、もちろん、こういう読み方も悪くないと思います。でも、それを「初心者」に「ガイド」するというところに、大塚 英志の悪意……というか、作為を感じます。
そういえば、わたしが大塚 英志の本で最初に読んだのが、「<まんが>の構造」でした。
これは、マンガを民俗学的という枠のなかで読み取ろうとする試みで、ものすごくスリリングで楽しく読んだ記憶があります。
多分この「<まんが>の構造」も、本書も、同じ仕組みをもつものなんだと思います。
でも、民俗学は、ある意味、物語を読み解くためのものなのですが、政治というのは、物語を読み解くために適当かどうかというと、ちょっと疑問です。
最終的に、江川 達也の「日露戦争物語」の様に、物語否定になったら、ちょっとイヤだと思いました。
でも、三島 由紀夫も、太宰 治も、大江 健三郎も、もう1回読んでみようかなという気になりました。
安部 公房だけは、なんとなく物語があんまりにも作為的すぎる気がして、避けたい気持ちですが。でも、ある意味、作者の強烈な作為がないかぎり、「物語らしさ」、「物語としての整合性」という枷は、「気持ちいい」方に、右翼的な方に、傾いてしまうのかもしれません。
でも、それは、思想的には正しくても、物語としておもしろいのか? -
作品の解説としては、あまりに面白さに欠けるのではないだろうか。良くも悪くも「教科書」であると感じた。
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これも2006年末に読んだ本。「文学」は、「現実逃避」するものであったり、「政治」の「外側」にあったりはしません……というのはある意味ジョーシキだと思うんですが、どうも世の中的にはそうではないみたいです。そのへんのことを、具体的な作品を取り上げながら教え諭してくれる本です。ある程度以上のブンガク好きの方には、ぜひ薦めたい一冊。「作品世界にのめり込む」とか「美しさを味わう」とか、そーゆーのとは違う「読み」のあり方を、こんなにもわかりやすく示してくれる本は、なかなかないんじゃないでしょうか。(20070115)
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近現代の作品を切り口にした文学論。
この分野にほとんど触れたことがなかったから(か?)、着目点がとても新鮮に感じた。
著者が繰り返し語っていた「文学の危険性」について、あまり意識したことがなかったけど、私も一時その甘美な危険性のトリコだったような気もする。
エンターテインメントとして「読書」というのはとても面白いけれど、それを冷静に見つめられる自分も育てていかないといけないんだな、と思った。
(060913)