歌集 20÷3

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048843065

作品紹介・あらすじ

「角川全国短歌大賞」(2019年)大賞を受賞した大学生で、歌歴は15年。5歳から15歳まで10年間に詠んだ264首をまとめ、人間として劇的に変化した10年間の成長を短歌を通してたどる画期的歌集。

感想・レビュー・書評

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  • お祖母さんの影響で5歳から短歌を作り始めた彼女の5歳から中学3年生、15歳までの作品集。
    興味の移り変わり、意識の変化、歌を読み進めるうちに、1人の少女が浮かび上がってくる。
    なんでこの題名なのかと思ったら、小学4年生で何気なく詠んで、これ以降、周囲の評価を意識し始めた一首ということらしい。
    忘れてしまっていた記憶がよみがえるような短歌たち。
    なんでだか、切なくてグッとお腹に力をこめる。

    りおのはら もういたくない よかったな
    これからすぐに プールにいくよ

    かん字はね むずかしいのが あるんだよ
    たとえば勝つとか 負けるとかだよ

    はがぬけた 六本目だよ いたかった
    くるくるポロッと きれいにぬけた

    お年玉今年はいくら集まるか
    ヘビのぬけがらにお祈りしよう

    さみしくて泣きそうなとき
    勉強で 気をまぎらわす 20÷3

    真っ青な海を両手ですくったら
    透明な水 指から逃げた

    人生は「ゲーム」なんだとカッコつけ
    結局負けたらどんな顔する

    プスプスと冷たい体に穴があく
    冬の空気が針さしてくる

    どうしても伸びない記録五十走
    だれのせいにもできない私

    地理の授業 終わったあとは
    何見ても 大笑いできる 幸福な午後

    歳をとることはいやがる人間が
    年明けるのを盛大に祝う

    水槽に飼われた金魚の幸せは
    世界の悪を知らない幸せ

    でもだってしょうがないじゃん
    だってでも
    テストが難しすぎただけじゃん

    雪の色何色かって聞かれたら
    白と答えない人になりたい

    五年前ノートにメモした字を見つけ
    微笑んでいられる自分になった

    地球って丸いから前にあるものが
    後ろにあるって言えるんだよね

    大人にはなりたくないし子供とも思われたくない
    今を飛びたい

    なんでもない顔で座っているけれど
    誕生日なの ちょっとにやける




  • 作者の小学1年~中学3年までの短歌を収録。
    いろんな意味ですごい。
    年代ごとに違う人たちが詠んだ短歌を集めるというのはあるかもしれないが、ひとりの人物の成長を追っていくというのははじめて読んだ気がする。
    小学校1年生のころもかわいらしいけどはっとさせられるのに、どんどんそれが磨かれていってるのがわかる。
    これはいま小学生の子に読んでもらいたいな。
    個人的に小学校低学年の頃の短歌がかわいくてしょうがないし、虫に向けるまなざしが愛らしい。
    これは一緒に短歌の集まりをされていたえみちゃん(作者のおばあさま)も、作者さんがかわいくてしょうがなかっただろうな。

    好きな短歌がいっぱいあるんだけど、小学生の頃の短歌から3つ。
    ・もうすぐね がっこうなんだ たのしみだ ともだちいるか しんぱいなんだ
    ・えみちゃんが 春まきのかわ かいわすれ でもおつかいに いきたくないな
    ・八十字 ぜんぶならった 一年の さいごにならった かん字は音だよ

  • すごくよかったから、本田さんへの誕生日プレゼントにした。「カーテンがかぜといっしょにあそんでるたのしそうだねリオもあそんで」「さみしくて泣きそうなとき勉強で気をまぎらわす20÷3」「ことばで伝えられないことがあるだから猫ちゃんおひざへおいで」

  • 小学校3年生から急に文がしっかりしてきたり漢字がだんだんと増えていってかわいい
    だんだん自然や虫についての描写が減ったり直接感情を表さなくなったりしていく様子が面白かった
    そしてどの年代もその年らしさが共感できるくらい出てるのが良い

  • 著者が年長さんから中学3年生までの短歌集。
    感情が、五七五七七のリズムが自然と口から溢れだして、それはとても自然なことで日常だったんだろうな。
    一年生の可愛い短歌。
    ・がっこうで うさぎかってる なまえはね
     プッピーという くろしろもよう
    中3の歌 
    ・春休み寝ても覚めても眠ってるどの学年にも属さない日々              
     (これめっちゃわかる!)

  • 現在大学生の作者が5歳から15歳の10年間に詠んだ作品をまとめた歌集。タイトルは、小学校4年生の時に詠んだ「さみしくてなきそうなとき勉強で気を紛らわす20÷3」から取ったという。成長著しい10年間の軌跡をぜひ体感してみて。
    (一般担当/あほうどり)令和2年1月の特集「紅白の本」

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著者プロフィール

早稲田大学文学部生。祖母の影響で5歳から短歌を始める。中学3年時に歌会始・NHKジュニア大賞・NHK短歌年間大賞を受賞。「第10回角川全国短歌大賞」(2019年)の自由題部門で大賞受賞。「第7回角川全国短歌大賞」(2016年)では最年少(当時16歳)で自由題部門で準賞を受賞する。

「2019年 『歌集 20÷3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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