未来のサイズ

  • 角川文化振興財団 (2020年10月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784048843812

作品紹介・あらすじ

31文字のアフォリズム集。俵万智の新たな旅立ち。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

日常の変化や子育ての喜び、そして人とのつながりを詠んだ短歌集は、心に響く言葉で満ちています。コロナ禍における新たな生活様式や、家族との時間の大切さが丁寧に描かれており、特に子どもとの関わりや成長の瞬間...

感想・レビュー・書評

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  • コロナ禍で私の仕事にも大きな変化が現れた頃、
    「トランプの絵札のように集まって
    我ら画面に密を楽しむ」
    という歌に出合って、ああ変化を愉しもうと思えた。
    俵万智さんの2013年から2020年の短歌選集。
    お子さんの成長とともに?ままならない社会を詠んだ歌が増えている。

    付箋だらけの歌集だけど、自分の心が特に揺れたものは、
    ○子連れオッケー陽ざし溢れるカフェだった
    フェイスブックに廃業を知る
    ○難しくないはずイマジンこの島が
    誰のものでもなかった頃を
    ○「毎日」と人は言うなり
    一日にたった一枚のハガキ書きおり
    ○子のために切り上げることのなくなって
    一本の紐のような一日
    ○二時間後帰国する子を空港に待つ
    四週間と二時間を待つ

    ○最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく
    その連続と思う子育て
    *これは一番印象的。子育ても孫育ても後悔のないようにしたい。

    ○いつかまたいつかそのうち人生に
    いつか多くていつかは終わる

    さらりと強烈だ。
    丁寧に生きていきたい。

    • しずくさん
      まいけるさんのイイネで、もう一度振り返ることができました。
      新たに2首が私の心を揺らしました。

      ♫「毎日」と人は言うなり
      一日にた...
      まいけるさんのイイネで、もう一度振り返ることができました。
      新たに2首が私の心を揺らしました。

      ♫「毎日」と人は言うなり
      一日にたった一枚のハガキ書きおり

      ♬いつかまたいつかそのうち人生に
      いつか多くていつかは終わる

      ありがとうございました!


      2025/04/19
    • まいけるさん
      しずくさん、ありがとうございます。
      息子さんに対する溢れんばかりの愛情がいいですよね。
      いつかまたいつか
      そうならないよう先延ばししないで生...
      しずくさん、ありがとうございます。
      息子さんに対する溢れんばかりの愛情がいいですよね。
      いつかまたいつか
      そうならないよう先延ばししないで生きたいですね!
      2025/04/19
  • 俵万智さんの歌集ですね。
    2013年から2020年まで。足かけ八年の第六歌集です。四百十八首をえらばれています。
     「この間の個人史で一番大きかったのは、住まいを移したことだ。まる五年を暮らした石垣島から、縁あって宮崎へ。息子が中学生になるタイミングだった。おおむねⅡが石垣島、Ⅲが宮崎での歌となる。」とあとがきに綴られています。

        Ⅰ 2020年

     手伝ってくれる息子がいることの
       幸せ包む餃子の時間
     寄せ植えにペチュニア追加してやれば
       転校生のようなおすまし
     夏らしいことしてみたき夏が来て
       カフェフラペチーノ丁寧に飲む

        Ⅱ 2013年~2016年

     子育ては子ども時代をもう一度
       味わうものと思う朝顔
     子のために選ぶ地球儀おおきくて
       まるくて確かなものとしてある
     東京に雪降る午後をこの島は
       タンポポの綿毛空にまきおり
     釣る泳ぐ登る飛びこむ
       がじゅまるの木陰の子らの動詞豊かに
     ヘルメット、ウェットスーツ渡されて
       子が行くならば母も行くなり
     畑よりくっきり虹が生えている
       根本を掘りにいこうか
     
       Ⅲ 2016年~2019年

     子のために切りあげることなくなって
       一本の紐のような一日
     子の髪に焚火の匂い新調の
       ダウンジャケット焦がして戻る
     歳月は沈黙の川
       君といた日々たぐりよせ、さかのぼりゆく
     好きすぎてどこが好きかはわからない
       付箋だらけの歌集のように
     電話なき電話ボックスに花あふれ
       おしゃべりしているおしゃれしている
     ふるさとの母と話せば里芋の
       味少し濃い時間の流れ
     美しい水あれたか繁りゆく
       子の言の葉のクレソンの味
     ポストまで朝の散歩をしておれば
       カバン持つ人みな急ぎ足

     「短歌は、日記よりも手紙に似ている。読んでくれる人の心に届くことを願って、いま、そっと封をします。」
     俵万智さんの、想いを封じ込めた歌集は、封を開くと、元気な共に生きる喜びにあふれていますね。

  • 短歌集。
    コロナ禍により変わってしまった日常が伝わって来る。
    サラッと読めて気持ちもスッキリするので良い。

  • 俵万智さんの第六歌集。

    2013年から2020年までの歌。
    五年暮らした石垣島から息子さんが中学生になるタイミングで宮崎へ移られたようだ。
    子育てを通して、社会のありようへの関心を詠んだ歌が多い印象。コロナ禍での暮らしについても詠まれている。
    あとがきに「短歌は、日々の心の揺れから生まれる」「歌を詠むとは、日常を丁寧に生きること」とあるが、ほんとにその通りだなぁと思う。
    私も俵万智さんのように、小さなことも、心の揺れを見逃さないで生きていきたいなぁ。

    以下、心に残った歌を。
    ○釣る泳ぐ登る飛びこむ がじゅまるの木陰の子らの動詞豊かに
    ○早起きのできない理由「面白い夢が最近多すぎるから」
    ○シンプルなレシピだからこそ大切に手順重ねてゆく仲直り
    ○空欄はゼロではなくて無限だよ やりたい仕事なりたい自分
    ○制服は未来サイズ入学のどの子もどの子も未来着ている
    ○好きすぎてどこが好きかはわからない付箋だらけの歌集のように
    ○わたくしを輪切りにすれば年輪の真ん中にいるはずのおさなご
    ○クッキーのように焼かれている心みんな「いいね」に型抜きされて
    ○プレッシャーと闘う心 AIの持てないものの一つと思う
    ○生きながら死につつもある人間は勝ちながら負け、負けながら勝つ

  • ”プロフェッショナル 仕事の流儀”で俵さんの特集を見てからずっと気になっていた。
    正直なところ『サラダ記念日』や『チョコレート革命』といった過去の勲章が大きすぎて近年はそんなに目立ってはいないのかなと思っていた。
    また、番組内の姿からも、どちらかというと迷い、悩んでいるような印象を持ったものだ。
    そんな中、番組内で紹介された、

    最後とは知らぬ最後が過ぎてゆくその連続と思う子育て

    の歌に胸を打ち抜かれた。

    どの歌集に載っているのだろうとググってみると意外にも近年刊行された本書だった。
    もちろん期待もあったが、さてどんなもんかなというような感じで読み始めたのだが、すぐさま夢中になった。
    素晴らし過ぎる。星10でも足りない。
    何度も「あぁ~」というため息が漏れた。
    例によって図書館で借りたのだが、改めて購入しようかどうしようか悩んでいる。

    3部構成となっていて、1部が「2020年」、主に突如訪れたコロナ禍に揺れ動く世の中の象徴的な場面を詠まれている。
    この1部だけでも俵さんの鋭い感性、場面切り取り力が窺えて「おぉ、面白いし、分かり易い!」と思うのだが、2部「2013年~2016年」、3部「2016年~2019年」が圧巻。

    足掛け8年掛かったという歌集だが、この8年間に俵さんが通過してきた日常を慈しむ日記であり、物語である。
    2部は9つ、3部は15の連作から成っているのだが、そのどれにも強いストーリー性があり、それでいて1首のきらめきがあるものもある。

    特に胸を打たれるのが子を思う母心。
    俵さんは2003年に息子さんを生み、歌人としての活動を続けながらシングルマザーとして育ててきたそうだ。
    東日本大震災を期にそれまで住んでいた仙台から沖縄へ移り住み、2016年からは息子さんの中学進学を期に今度は宮崎へ。
    この移ろいゆく日々の中で捉えた息子さんの愛しい姿、想い出、成長の証、そしてエール、親離れしていくことの寂しさがふんだんに盛り込まれている。
    また、それはそれとして俵さんが持ち続けている女性としての恋心もときに挟みこまれ、絶妙なバランス。

    短歌にはこんな風に心の足跡をスナップショットのアルバムのように残すことができる力があるのだと大いに感動した一冊だった。

    〇上京し発症したる宮崎の母娘の足取りを読む

    〇知らぬ間に鬼かも知れぬ鬼ごっこ東京の人と宮崎で会う

    〇子育ては子ども時代をもう一度味わうものと思う朝顔

    〇転びたるリレー走者を追いついた二人が起こす大運動会

    〇あらかじめ用意されてはいないからつかまる石は自分で探せ

    〇ヤドカリの貝殻いつかきつくなり脱がねばならぬ浜辺を歩く

    〇ふいうちでくる涙あり小学生下校の群れとすれ違うとき

    〇あす会えるあした会えると思うとき子を産む前の夜を思い出す

    〇子のために切りあげることなくなって一本の紐のような一日

    〇子らは今そのあいさつの意味を知る 命「いただきます」ということ

    〇あれはどの冬のできごと「愛人でいいの」の歌を褒めてもらった

    〇お見舞いの後に立ち寄るイオンにはありふれたもの並ぶ眩しく

    〇シンプルなレシピだからこそ大切に手順重ねてゆく仲直り

    〇好きすぎてどこが好きかはわからない付箋だらけの歌集のように

    〇文化祭にドラムを叩く エイサーの太鼓を叩いておりし幼子

    〇クッキーのように焼かれている心みんな「いいね」に型抜きされて

    〇くまモンのイントネーション二つあり「しあわせ」なとき「ミラクル」なとき

    (二年間金魚係の令和(れお)くんの時代はたぶん来ない気がする T・T)←息子さんの歌!?
    〇生き生きと息子は短歌詠んでおりたとえおかんが俵万智でも

    〇プレッシャーと戦う心 AIの持てないものの一つと思う

    付箋を貼った歌以外にも沢山心動かされた歌があった。
    2回目読んだらまた違うところに付箋がつくと思う。

    ”仕事流儀”での番組最後、息子さんとどの歌を歌集に載せるのか選定しているシーンが、本当に仲良さそうで微笑ましかった。
    これだけの場面を一緒に通過してきたのであれば、さもありなんと納得の読後感。

    • fukayanegiさん
      ベルガモットさん、おはようございます。

      ほんともうどの歌に付箋を貼っていいか分からなくなるくらいでした。
      そんな中、「好きすぎて〜」の歌が...
      ベルガモットさん、おはようございます。

      ほんともうどの歌に付箋を貼っていいか分からなくなるくらいでした。
      そんな中、「好きすぎて〜」の歌が出てくるものだからノックアウト状態です。

      是非、図書館で借りてみて下さい!
      レビュー待ってます。
      2023/04/17
    • まいけるさん
      まいけるです。
      はじめまして。
      そうなんです。
      私も子育ての歌、特に「最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく」の歌が一番胸を打ちました。
      後悔のない...
      まいけるです。
      はじめまして。
      そうなんです。
      私も子育ての歌、特に「最後とは知らぬ最後が過ぎてゆく」の歌が一番胸を打ちました。
      後悔のない子育て、孫育てをしようと思いました。
      フォローさせてください。
      よろしくお願いします。
      2025/04/18
    • fukayanegiさん
      まいけるさん

      フォロー&コメントありがとうございます。
      この何を差しおいてもの子どもへの目線がたまらないですよね。
      よくぞこの想いを表現し...
      まいけるさん

      フォロー&コメントありがとうございます。
      この何を差しおいてもの子どもへの目線がたまらないですよね。
      よくぞこの想いを表現してくれたという。
      お子さんであれ、お孫さんであれ、キラキラ輝く未来への世代を見守っていきましょう!
      よろしくお願いします。
      2025/04/18
  • 俵万智さんによる第6歌集。2013年から2020年までの8年間の出来事を歌にしている。

    自分の中では恋愛短歌の印象で止まっていた俵万智さん。しかし『サラダ記念日』から30年以上たち、息子さんの誕生、沖縄、宮崎への移住、と、彼女の生活は変化を遂げていた。この歌集は、そんな彼女の人生の一瞬を切り取るものとなっている。

    沖縄の自然や言葉のひびきの美しさに感動しつつ、島を覆う影に思いをはせる。

    夕焼けと青空せめぎあう時を「明う暗う(アコークロー)」と呼ぶ島のひと
    難しくないはずイマジンこの島が誰のものでもなかった頃を

    進学に伴い別居生活となった息子への思い。

    日に四度電話をかけてくる日あり息子の声を嗅ぐように聴く
    火曜日は燃えるゴミの日 特小の袋で足りる我の日常

    そして、2020年はコロナ禍での生活。
    当時はあまり違和感なく受け入れていたが、今振り返ると緊急事態宣言下のあの時期はおかしなことがいっぱいあった。

    地図上に赤くまあるく人の死の可視化されゆくモーニングショー
    感染者二桁に減り良いほうのニュースにカウントされる人たち

    短歌にすることで、余計なものがそぎ落とされ、ぎゅっと凝縮される感じがする。
    短歌にはいろいろな形があると思うが、俵万智さんの歌は、彼女自身の想いの記録なのだと思う。

  • fukayanegiさんのレビューで気になって出会うことができた本です、ありがとうございます。
    表紙は12首の歌が並び裏表紙の見返し写真は著者撮影。海と空と少年のモノクロ写真が素敵。
    あとがきの「短歌は、日々の心の揺れから生まれる」「歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと感じる」コロナ禍のなかで感じたこと、ぐらぐらしている様子も共有できて「奇跡的なバランスの上にあることを忘れないでいたい」「短歌は、日記よりも手紙に似ている」という著者の言葉を受け取って封を開けているような歌集。『プロフェッショナル』ではご子息との仲睦まじい姿をお見かけしていたので、子育て歌はとても心に沁みる。Ⅰ2020年コロナ禍中心、Ⅱ沖縄石垣島での交流、Ⅲ宮崎での生活を中心に詠った作品。連作それぞれがしっかり歌としても独立していて力強いメッセージ性があり、続けて読むと物語としても読めるという贅沢な内容。難しい言葉は使っておらず、軽やかなリズムで、ほっとできるような優しさに包まれる感じ。読後感は元気になれて歌が作りたくなる。

    ゴミ出しのおかげで曜日の感覚が保たれている今日は火曜日
    ネットでは選べぬ文具があるからと出かけてゆきぬ子はマスクして
    夏らしきことしてみたき夏が来てカデフラペチーノ丁寧に飲む
    地勢図と行政図あり人間は線をひくのが好きな生き物
    君の死を知らせるメールそれを見る前の自分が思い出せない
    誰よりも知っているのにああ君をネットで検索する夜がある
    冷蔵庫のハーゲンダッツ思いきり食べねばならぬ停電の夜
    台風の被害を競い合うように午後じゅう話す島のひとたち
    ヘルメット、ウェットスーツ渡されて子が行くならば母も行くなり
    もう一度行くという子よもう二度と母は行くまい地面はいいなあ
    次に来るときは旅人 サトウキビ積み過ぎている車追い越す
    抱きしめて確かめている子のかたち心は皮膚にあるという説
    試験よくできたみたいだ今日の声「カレー食べすぎちゃった」と話す
    理系文系迷う息子が半日を「星の王子様」読んでおり
    好きすぎてどこが好きかはわからない付箋だらけの歌集のように
    最後とは知らぬ最後が過ぎてゆくその連続と思う子育て
    老夫婦見かけるたびにその老後気になる大きなお世話な私

    • ☆ベルガモット☆さん
      fukayanegiさん、コメントありがとうございます!

      お子さんとの思い出を歌にするのは記憶と記録になりますし、是非挑戦なさってくだ...
      fukayanegiさん、コメントありがとうございます!

      お子さんとの思い出を歌にするのは記憶と記録になりますし、是非挑戦なさってくださいませ。母の子育て歌は良く見ますが、父の子育て歌はあまり見かけないのでブルーオーシャンかもですよ!短歌ください投稿してみては?!
      今月は「縄跳び」なので、お子さんとの思い出ありそう♪
      https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdZcsuMp2sRfAgMkB_MWqHsT_zi-Jt9Ed3PyRxZg2fGVPtjhg/viewform?c=0&w=1
      2023/05/07
    • fukayanegiさん
      ベルガモットさん

      そうか、意外なところにブルーオーシャンがありましたね!!
      そう言われてみると、となんか欲が出てきてしまいましたw
      ちょっ...
      ベルガモットさん

      そうか、意外なところにブルーオーシャンがありましたね!!
      そう言われてみると、となんか欲が出てきてしまいましたw
      ちょっとこそこそ考えてみようかな。
      2023/05/07
    • ☆ベルガモット☆さん
      fukayanegiさん、こんばんは!
      『縄跳び』歌投稿されたということで、ほむほむ大好き短歌会としての活動今後もよろしくです!掲載された...
      fukayanegiさん、こんばんは!
      『縄跳び』歌投稿されたということで、ほむほむ大好き短歌会としての活動今後もよろしくです!掲載されたらぜひペンネーム教えてください♪
      fukayanegiさんも掲載されたら記念すべき短歌ください本になりますね☆お子さんにも自慢できますな!!!
      あ、読書家のお子様達と共作すると素晴らしい作品ができそうな気がします。
      2023/05/12
  • 地域に開かれた高校図書館の入り口に紹介されていた。表紙に15首の短歌が載っている装丁に惹かれて迷わず借りる。第一歌集『サラダ記念日』で鮮烈なデビューを果たした万智さんだ。教師を辞めて出産し沖縄へ渡り、現在は宮崎に住んでいる。子育てを詠んでいる歌が多く、その時期を過ぎた私にはあまり心に響いて来ない。しかし、短歌に馴染みが薄い人らに、身近で平凡な題材を分かりやすい言葉と感性で表現することを教えてくれる。そのスタンスは私にとって心強い味方となっている。短歌を講座で少々かじった時に、厨歌を詠むように心掛けなさいと先生にアドバイスを受けた。背伸びせずに自分の言葉で綴ると再確認させられた。”未来のサイズ”って、中学入学した子供たちの制服サイズを成長期で伸びる3年間を見越して大きめに購入したのを表現してのこと。なんてセンスある言葉の並べ方なんだろう。

    印象的だった短歌

    今日という日を駆けぬけろロマニーの言葉で昨日と明日は同じ

    制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている

    プレッシャーと闘う心 AIの持てないものの一つと思う

    歌集を読みかけの頃、今年の”迢空賞”に本作が選ばれた。
    ”迢空賞”とは短歌の賞。年に1回、すぐれた歌集に贈られる。昭和42年に(1967)創設され、名称は釈迢空 (しゃくちょうくう) (折口信夫の号)にちなんでいる。
    さすがだ万智さん!

  • 具体的なのに普遍的
    もちろんすべての歌に共感するわけではないけれど、ひとつでも心揺さぶられる歌に出会えたとき、あぁこの歌集を手にとってよかったと心から思うことができる。
    子どもができてからは言葉のひとつひとつの味わい方が変わって、思わず涙ぐみそうになる歌も多かった。


    カバーにある作品
    最後とは知らぬ
    最後が過ぎてゆく
    その連続と
    思う子育て

  • 日々の一瞬を切り取った歌、ハッとさせられたり、その時々の世相を詠んだものに考えさせられたり。それぞれの情景が目の前に広がってくるようでした。

    表紙にも載ってるのを一首だけ。海辺でのキャンプの様子を詠んだものだけど、今この時に心に残りました。

    声あわせ「ぼくらはみんな生きている」生きているからこの国がある

  • 宮崎にいた頃の短歌もあって、現在進行形で宮崎に住む私には親しみやすかった。
    短歌の背景とか、理由とか考えるのも面白いけど、俵万智の気持ちももっと知りたいと思った。『青の国、うたの国』ではそれを垣間見えるのでおすすめです。

  • 万智さんの歌集を読むと、自ずと、「歌を詠まなくては」と思うようになる。創作を少し休憩していても、自分の中に創作の心が戻ってくるというか。そして、多くの「前置き」も見られた。前置き歌をいつか詠んでみたいという意欲が湧いた。

    ここから、我が気に入った歌5首ほどを紹介する。

    ・(「夜の街」という街はない)
    カギカッコはずしてやれば日が暮れてあの街この街みんな夜の街

    ・来年はもう届かない年賀状「近いうちに」と書い   た手思う

    ・健康のためなら死ねるというように平和を守るための戦争

    ・一日を全部自分に使える日 書き継いでゆく牧水の恋


    万智さんの現状から社会生活への願い、警鐘まで、あらゆる範囲を網羅する最高傑作と言えるだろう。

  • こどもが成長して、手から離れて行くことに関する歌を読んで、涙が出そうになりました。
    コロナ禍になり、zoomのことまで歌に出来るとは。さすがです。

  • 2013年から2020年まで、足かけ8年の間に作った短歌418首を集録した歌集。

    精選した言葉はそのどれもが力強く、ストレートに心の奥に響いてくる。じっくり味わいたいので、寝る前に少しずついとおしみながら読んでいった。
    題材となるのは、思春期の息子のことや移住先の石垣島や宮崎のこと、老いた親のことなど多岐に渡る。私自身の経験を重ねながらしみじみしたり、社会問題をとらえた厳しい視点に共感したり。
    ちょうど緊急事態宣言の最中でかなり鬱々と滅入っていた時期に読んだこともあり、コロナ禍での歌には涙が出た。

    作者の第一歌集『サラダ記念日』の鮮烈な印象は、今でもよく覚えている。1987年とあるからもう30年以上も前のことになるけれど、歌集を買ったのも初めてだったし、短歌を読んで心が踊ったのも初めてだった。
    1ページに3首という贅沢な作りは、たくさんの言葉を並べた小説とはまた別の魅力がある。単行本は図書館派の私だけれど、これは迷わず購入してよかった一冊だ。

  • 好きな詩を三つピックアップ

    制服は未来のサイズ入学の どの子もどの子も未来着ている

    自己責任、非正規雇用、生産性 寅さんだったら何て言うかな  

    別れ来し男たちとの人生の「もし」どれもよし我が「ラ・ラ・ランド」

    • まきとさん
      一首目の句は僕も好きです。
      一首目の句は僕も好きです。
      2021/01/04
    • そう かとうさん
      とてもイメージが湧いて素敵です
      とてもイメージが湧いて素敵です
      2021/01/09
  • 今年最後の読み終わった本

    自分が感じたことをアウトプットできていいな
    短歌が詠めるのって憧れる


    ✳︎ふいうちでくる涙あり小学生下校の群れとすれ違うとき✳︎


  • 俵万智(1962年~)氏は、早大第一文学部卒の歌人。大学卒業後、神奈川県立橋本高校の国語教員として働きながら発表した『野球ゲーム』が1985年の角川短歌賞次席となり、その奔放で斬新な表現で現代口語短歌のホープとして一躍脚光を浴びた。『八月の朝』で1986年の角川短歌賞を受賞(同年の次席は穂村弘)。翌年に発行した第一歌集『サラダ記念日』は刊行前から話題を集め、歌集としては異例の大ベストセラーとなり(280万部で1987年度ベストセラーランキング1位)、社会現象を引き起こした。その後も、歌集、エッセイなどを多数執筆。
    本書は、『オレがマリオ』(2013年)に続く、2020年発表の第六歌集。俵万智は、2011年の東日本大震災後、仙台市から沖縄の石垣島に移住し、更に、2016年に宮崎市に移住した(2022年からは高齢の両親のいる仙台市在住)が、本書は、3部構成となっており、第1部は2020年のコロナ禍を受けた歌、第2部は石垣島にいたときの歌、第3部は宮崎の歌となっている。また、この間、2003年に生まれた息子が、小学生から高校生になり、息子の成長や息子と共に過ごす時間の歌が多数含まれている。
    私は、数年前から短歌に興味を持ち、好きな現代歌人の歌集はいくつか持っているが(自ら新聞歌壇にたまに投稿もする)、俵万智の最大の魅力は、日々の生活に密着した心の揺れを、誰にでもわかる言葉・表現で的確に詠んでいることだろう。『サラダ記念日』が切り拓いた口語短歌という意味で、上の世代とは一線を画しつつ、歌のテーマは極めて私小説的(近代短歌的?)で、2000年代以降に出て来た若手歌人とも明らかに異なる。私は、若手歌人のホープ・木下龍也などの歌もとても好きなのだが、俵万智の歌はやはり心にスムーズに入って来るので、読んでいて心地よいのだ。(私は歳は俵万智とほぼ同じなので、そのせいなのかも知れないが。。。ただ、同じ同年代の穂村弘の歌は正直よくわからない)
    老いも若きも、男性も女性も、短歌を詠む人も詠まない人も、幅広く共感を得られる、俵万智らしい歌集と思う。
    (2024年5月了)

  • 子育ては子ども時代をもう一度味わうものと思う朝顔

    サラダ記念日を教科書で読んで以来の出会い。
    結構政治的な歌も詠んでいるんだという驚きと、政治こそ生活だという当たり前のことに気づかされた読書体験。

  • 31文字で表される世界。一つ一つにドラマが見えてきますね。

  • 国語の教科書で好きになった万智さん。ずっと歌集を読んでいるので、ああ息子さん大きくなったなと思ったり。前作(歌集の場合って「作」って言うのかしら)『オレはマリオ』でキラッキラの笑顔で石垣の空の下を走っていた男の子は、

    昼食のカレーうどんをすすりつつ「晩メシ何?」と聞く高校生

    になった。大きくなったし、大人になっていく様子が読んでいて嬉しい。引っ越しをして、違う環境で元気に生きてる様子が嬉しい。髪染めたくなったり、インスタ始めてたり。

    生き生きと息子は短歌詠んでおりたとえおかんが俵万智でも

    は、ちょっと清少納言を思ってしまって、ぷっと笑った。清少納言は歌詠みの家に生まれたプレッシャーが、というようなエピソードを枕草子に描いていた気がするんだけど、万智さんの息子さんはそんなの気にせず楽しんでいる様子が素敵だし、ちょっとした対比が浮かんだところも楽しい歌だった。

    ドキっとした歌も、グサグサくる歌も、泣きそうになる歌も。あとがきに、歌は日記より手紙に近いというのが、その通りだなと思う。一首一首に心が動く。

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著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

俵万智の作品

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