未来のサイズ

著者 :
  • KADOKAWA
4.00
  • (15)
  • (14)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 169
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048843812

作品紹介・あらすじ

31文字のアフォリズム集。俵万智の新たな旅立ち。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 地域に開かれた高校図書館の入り口に紹介されていた。表紙に15首の短歌が載っている装丁に惹かれて迷わず借りる。第一歌集『サラダ記念日』で鮮烈なデビューを果たした万智さんだ。教師を辞めて出産し沖縄へ渡り、現在は宮崎に住んでいる。子育てを詠んでいる歌が多く、その時期を過ぎた私にはあまり心に響いて来ない。しかし、短歌に馴染みが薄い人らに、身近で平凡な題材を分かりやすい言葉と感性で表現することを教えてくれる。そのスタンスは私にとって心強い味方となっている。短歌を講座で少々かじった時に、厨歌を詠むように心掛けなさいと先生にアドバイスを受けた。背伸びせずに自分の言葉で綴ると再確認させられた。”未来のサイズ”って、中学入学した子供たちの制服サイズを成長期で伸びる3年間を見越して大きめに購入したのを表現してのこと。なんてセンスある言葉の並べ方なんだろう。

    印象的だった短歌

    今日という日を駆けぬけろロマニーの言葉で昨日と明日は同じ

    制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている

    プレッシャーと闘う心 AIの持てないものの一つと思う

    歌集を読みかけの頃、今年の”迢空賞”に本作が選ばれた。
    ”迢空賞”とは短歌の賞。年に1回、すぐれた歌集に贈られる。昭和42年に(1967)創設され、名称は釈迢空 (しゃくちょうくう) (折口信夫の号)にちなんでいる。
    さすがだ万智さん!

  • 万智さんの歌集を読むと、自ずと、「歌を詠まなくては」と思うようになる。創作を少し休憩していても、自分の中に創作の心が戻ってくるというか。そして、多くの「前置き」も見られた。前置き歌をいつか詠んでみたいという意欲が湧いた。

    ここから、我が気に入った歌5首ほどを紹介する。

    ・(「夜の街」という街はない)
    カギカッコはずしてやれば日が暮れてあの街この街みんな夜の街

    ・来年はもう届かない年賀状「近いうちに」と書い   た手思う

    ・健康のためなら死ねるというように平和を守るための戦争

    ・一日を全部自分に使える日 書き継いでゆく牧水の恋


    万智さんの現状から社会生活への願い、警鐘まで、あらゆる範囲を網羅する最高傑作と言えるだろう。

  • 2013年から2020年まで、足かけ8年の間に作った短歌418首を集録した歌集。

    精選した言葉はそのどれもが力強く、ストレートに心の奥に響いてくる。じっくり味わいたいので、寝る前に少しずついとおしみながら読んでいった。
    題材となるのは、思春期の息子のことや移住先の石垣島や宮崎のこと、老いた親のことなど多岐に渡る。私自身の経験を重ねながらしみじみしたり、社会問題をとらえた厳しい視点に共感したり。
    ちょうど緊急事態宣言の最中でかなり鬱々と滅入っていた時期に読んだこともあり、コロナ禍での歌には涙が出た。

    作者の第一歌集『サラダ記念日』の鮮烈な印象は、今でもよく覚えている。1987年とあるからもう30年以上も前のことになるけれど、歌集を買ったのも初めてだったし、短歌を読んで心が踊ったのも初めてだった。
    1ページに3首という贅沢な作りは、たくさんの言葉を並べた小説とはまた別の魅力がある。単行本は図書館派の私だけれど、これは迷わず購入してよかった一冊だ。

  • 好きな詩を三つピックアップ

    制服は未来のサイズ入学の どの子もどの子も未来着ている

    自己責任、非正規雇用、生産性 寅さんだったら何て言うかな  

    別れ来し男たちとの人生の「もし」どれもよし我が「ラ・ラ・ランド」

    • まきとさん
      一首目の句は僕も好きです。
      一首目の句は僕も好きです。
      2021/01/04
    • そう かとうさん
      とてもイメージが湧いて素敵です
      とてもイメージが湧いて素敵です
      2021/01/09
  • やっぱりうまいなあと思う、政治色が強いのはあんまり。

  • 以下のアドレスのブログ記事をお読みください。

    https://sasuke0369.blogstation.jp/archives/36256700.html

  • お子さん、大きくなられたんだな。
    その瞬間瞬間を、瑞々しく切り取るような歌の数々。
    母親として女性として社会人として、さまざまな視点からの歌はどれもグッと胸にくる。
    でも一番俵万智さんに似合うのは、母親になられても、恋の歌のように思う。

  • 第四歌集と第五歌集を読んでいないのだな。子育ての歌が多いのかと思い、ちょうど読みたくない時期だったのだ。今また大きくなった息子さんの歌、もう少し小さい頃の歌、「うんうん」と読めるようになった。恋の歌は少なかったけど、たっぷりあったとして、今の私がすごく「うんうん」となったかどうかわからない。ちょっとお休みしてたけど、また俵万智さんの歌に親しんでいきたい。

    "ありふれたことが、実は奇跡的なバランスの上にあることを、忘れないでいたい。" あとがき

  • 気持ちがふわっとする感覚。文字でそんな気持ちにさせてくれるなんて不思議。

  • 2013年から2020年まで、8年間の歌を集めた歌集。「サラダ記念日」の万智ちゃんは、今もまっすぐだ。特に子育ての歌がいい。「布マスク縫う日が我にも訪れてお寿司の柄を子は喜べり」「沖に出て小さきカヌーとなりながら手を振るものを若者と呼ぶ」「子育ては子ども時代をもう一度味わうものと思う朝顔」「図書館の閉架の棚から呼び出されネモ船長が子に会いにくる」「ヘルメット、ウェットスーツ渡されて子が行くならば母も行くなり」「もう一度行くという子よもう二度と母は行くまい地面はいいなあ」「制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている」
    祝!超空賞。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年大阪生まれ。280万部という現代短歌では最大のベストセラーとなった歌集『サラダ記念日』の著者。同歌集で現代歌人協会賞を受賞。日常で使われる「口語」を用いて、短歌という詩型の幅を大きく広げた。ほかの歌集に『かぜのてのひら』、『チョコレート革命』、『プーさんの鼻』(若山牧水賞)、『オレがマリオ』などがある。近著『牧水の恋』で宮日出版文化賞特別大賞受賞。読売歌壇選者も務める。最新歌集『未来のサイズ』(角川書店)を10月に上梓したばかり。

「2020年 『ホスト万葉集 巻の二 コロナかも だから会わない好きだから コロナ時代の愛なんて クソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

俵万智の作品

未来のサイズを本棚に登録しているひと

ツイートする
×