人生問題集

  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048850131

感想・レビュー・書評

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  • 自分の輪郭がはっきり見えている人達の会話には
    相槌が無い。

    「見て下さい!こんな大きなシャボン玉をつくりました。」

    「いや、ちょっと待て。俺のほうがでかいって。」
    「連続技も出来ます、」
    「俺のは色付きだぜ。」
    「やりますね、では私は…。」

    なーんてっ♪
    どちらがより素敵なシャボン玉を生み出せるか?
    競い合ってでもいるかの様な会話。
    (…に、思えた。)

    とりあえず話題は人々が抱える悩みや問題について。

    春日さんは精神科医なので、
    これまでたくさんの患者さんを看てきた、その経験から
    なるほど。な、お話を。

    穂村さんは思ったとおり、独特な世界感から自由奔放に語る。面白い。

    「子供は世界を言葉に落とし込むスキルを持たないからね…」って、
    大人だって持ってやしないよ!そんなスキルは(笑

  • 14のテーマを語り合う対談集。
    テーマが「仕事」の回だけ、ゲスト(高橋秀実さん)がいて3人。

    どのテーマもとても面白く読めた。
    なかなかすごいことをしれっと口にしているなという印象。
    頼もしい大人って、こういう人達のことではなかろうかと思ったりした。

    穂村さんはこの本が初(吉野朔実さんのエッセイでは何度か)だったけれど、他の本も読んでみたくなった。
    7年間SEだったという話にはびっくり。
    エッセイとかにその辺の話が書いてあったりするのだろうか‥。読んでみたいなぁ。

    巻末の「煩悩108コンテンツリスト」には分からない単語が結構あった。
    人名は説明がついていても「ふーん」としか感想がなくてつらい。
    「ちくわぶ」に笑った。私も好きです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「女性の関西弁の敬語」
      何故に、、、解明しなくては!(理由をつけないと、読む順番が早くならない)
      と、言う訳でコノ本を図書館に予約します。。...
      「女性の関西弁の敬語」
      何故に、、、解明しなくては!(理由をつけないと、読む順番が早くならない)
      と、言う訳でコノ本を図書館に予約します。。。
      2012/07/13
    • takanatsuさん
      「解明しなくては!」
      1つ1つに理由は載っていないので、解明出来ない…かも…です。ご了承ください…。
      「解明しなくては!」
      1つ1つに理由は載っていないので、解明出来ない…かも…です。ご了承ください…。
      2012/07/13
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「解明出来ない…かも」
      はい。純粋にニヤリとしますね(意味が判ればですけど)。それか、変な解釈をして一人楽しみます。
      「解明出来ない…かも」
      はい。純粋にニヤリとしますね(意味が判ればですけど)。それか、変な解釈をして一人楽しみます。
      2012/07/18
  • 精神科医・春日武彦先生と歌人・穂村弘さんが、「《まっとう》そのものの題材を、あえて真正面から真剣に語ってみ」たという対談集。
    テーマは「友情」「家族」「救い」「愛」などなど。
    穂村さんがこれらのテーマをどのように語るのか、わくわくしながら読み進めました。

    「お姫様を助ける王子様」じゃなくて、「お姫様に助けてほしい王子様」なところが似ているお二人。
    対談の中でも、そんなちょっとヘタレなところが垣間見えて面白かったです。
    それぞれに、世間とチューニングが合わないと感じており、それも踏まえた上で語られる「《まっとう》そのものの題材」のお話には励まされたり、ドキリとさせられたり。

  • 春日武彦(精神科医)。穂村弘(歌人)。
    この二人を知ったのは、吉野朔実の読書エッセイ〔コミック〕がきっかけである。
    だからこの本を読み終わってすぐ、そのシリーズ6冊を再読してみた。

    穂村弘はエッセイ「世界音痴」などで、散々自分の現実社会に対する対応力のなさを書いているので、てっきり私と同レベルのダメダメちゃんだと思っていたのだが、この「人生問題集」を読むと、ちょっと違うんじゃないかと思えてきた。

    春日先生のダメっぷり(変人度)の方が、明らかに上のような気がする。
    いや、そんなはずはあるまい。
    そう思っての再読だったのだが、やっぱり春日先生の方が変、な気がする。

    「人生問題集」というこの対談集では、毎回お題があって、二人がそれについて語り合うというスタイル。
    互いに自分のエピソードなどを紹介しながらテーマに沿って話しているのだが、枝葉末端の話がどんどん広がっていく春日武彦に対して、うまいこと話をまとめ上げる穂村弘。

    それは歌人という、言葉を扱うことを生業としているためなのか、長い会社員生活の賜物なのか。
    真っ当じゃないか、穂村弘。
    と、ちょっとだけザンネンだったりもするのである。

    「不安」
    “春日 他者がどうというより、自分が変なことに陥りやすい人間で、世の中のスタンダードが俺には適用されない気がする。でも一方では、思い上がり感の裏返しのような気もしているんだよね。俺が特別な存在だからこそ、特別ひどい目にも遭うんだ、という。
     穂村 受難ということか。なるほどね。”

    春日先生、あなたは私ですか?

    「言葉」
    “穂村 歌や詩の言葉は本来、世界や神との垂直の関係性のツール、見果てぬ夢に架ける梯子であって、「今日、何食う?」で完璧に意味が通じるような水平方向の言葉とは全然違うんだよ。だけど、現代は水平方向のやり取りだけでみんな疲弊しきっていて、言葉もどんどんフラットになるから、決定的な呪文が書かれた経典を探しに行く『西遊記』みたいな発想はとても持てないんだね。”

    「救い」
    “穂村 今、無根拠な死というのは日常の中にいろいろ形を変えて存在していて、それに対する反応も過剰になっているでしょう。アンチエイジングとか年齢不詳肌とかさ(笑)。それは、老化という現象に対して、アメリカ的に真っ向から立ち向かうということでしょう。
     春日 闘っちゃうと、もう身も蓋もないような救済になっちゃうんだけどね。第一、勝ち続けなきゃならないのは苦しいよ。”

    ランダムにページを開いても、うーむと思わされる言葉が溢れてくる。

    常に世間に対して何らかの引っ掛かりを感じている二人だからこその観察力と、それを言葉に落とし込むことの技術。
    そのうえでさらに存在する世間とのずれ。

    「努力」
    “穂村 だから、石田衣良さんに指摘された時は、恥じ入ったよ。「君のしゃべり方は不自然で気取っている」ということをマイルドに言われてさ。世間一般のイメージから見れば、石田衣良の方が気取ってる人でしょ?でも実際は気さくで、率直なしゃべり方も恐れない人なんだよね。内田樹にやり込められるならまだしも、石田衣良に完膚なきまでにやり込められるなんて、夢にも思わなかった(笑)。現実は深い。”
    滑舌を不明瞭にしてゆっくりしゃべるのがセクシーだと思って、何十年も努力していた穂村氏。
    絶対的にずれてる。

    語りおろしの「読書」と、巻末の煩悩108コンテンツリストは、ページを破って日常的に持ち歩きたいくらい楽しい。
    今度は吉野朔実も入れて、鼎談とかしてくれないかしら?

  • 初読

    穂村弘がちょっと気になるんだけど
    短歌、歌ねぇ…と思ってたところにこの対談集を見つけて。
    春日先生は好きだし。
    と借りてきたところ、ショックだったのが
    「俺、電車で携帯で喋ってる女とか怒鳴りつけるよ」
    との春日先生の弁。
    理由は正義感から。え。なんで「女」限定なの?
    正義感からなら、ヤクザみたいなおっさんが喋ってても怒鳴りつけるんだよね?
    それをしないで武勇伝っぽく喋ってるの超ダサいし。
    やってたとしても、こういう対談で真っ先に上げたのが女。
    電車で携帯で喋る女。うーん。
    まぁでも、今までは私自身、春日先生のちょっとミソジニーというか
    女性軽視的な発言が故に面白く感じてたところがあるんだよね。
    平山夢明との対談とか。
    私自身の感覚がこの数年間で変わったんだろうなぁ。

    精神科の先生トークの
    統合失調症の人は秘密を持てないからエレガントさに欠ける言動をする、
    国や時代を問わず1%弱の人間に必ず発症する、
    統合失調系の人はコンパクトなものが好きで
    「この一冊に宇宙の総てが」「この数式で全部解けます」
    とか言う、諺も好きで「出る杭は打たれる」精神の病気の人は基本的に権威主義的、
    家に誰か潜んでる系妄想は女の方が圧倒的に多い、女と家屋は綿密に結び付いてるから、
    とかは相変わらず面白かった。

    「○○に××っていうのが出てくるけど〜」
    という本トークも吉野朔実の読書エッセイのまんまね!
    取るに足るか足らないかその判断を誤って地獄に落ちるというのが松本清張の世界でしょ、
    関川夏央が「女流」で林芙美子と有吉佐和子を書いてるけど嫌な感じで面白い、
    ロシュフコーの「人は苦しむ以上に恐れるのだ」
    ブラッドベリの翻訳は小笠原豊樹がベスト
    あたり印象的。

    パターンをつかむとかカテゴライズするという能力、
    というのも。

    穂村弘さんについては
    採用の仕事してた時ヘタレは採ってみてやっぱりダメだった、
    大企業ならともかく小さい会社に来る人はダメさレベルが酷い。
    母親が子供を愛するのは自己愛であり愛の種類として下等と言ってた友達が
    大人になった今でも両親と川の字になって寝てる。
    あと何と言っても「君の喋り方は不自然で気取ってる」と指摘されやり込められた
    なんと石田衣良に!というエピソードが面白すぎたw

    「努力をワークと言い切れるならすっきりとした構造だけど
    我々日本人はそうは言い切れない。
    そこに言語化できない成分が宿るのではないかと考えるから
    日本的発想から脱却しきれない」
    も穂村談。

    うーん、一度歌集を読んでみるかなぁ…

  • 言葉についての章がとてもおもしろかった。

    P178
    —穂村さん/歌や詩の言葉は本来、世界や神との垂直の関係性のツール、見果てぬ夢に架ける梯子であって、「今日、何食う?」で完璧に意味が通じるような水平平行の言葉とは全然違うんだよ。だけど現代は水平方向のやり取りだけでみんな疲弊しきっていて、言葉もどんどんフラットになるから、決定的な呪文が書かれた経典を探しに行く『西遊記』みたいな発想はとても持てないんだよね。—


    ここが一番はっとした。
    穂村さんは日々平行の言葉に埋もれつつ、垂直の言葉を探しているのだなあ。


    そしてこれを読んで思い出した話がある。キリスト教における名前だ。
    ——ミヒャエルという名は「神に似た者は誰だ?」を意味する。ミヒャエルは大天使の中で唯一、その名が問いなのだ。悪魔はこの問いに答えられない。これが大天使の剣である。アダムとは「私は似る」を意味する。その私が神の像に似せられて造られたものである。それはエックハルトがいう’魂の火花’なのだ。—————


    普段私たちは言葉の力を忘れがち。
    言葉が持つ呪術的なものは昔から信じられてきたのに、
    「ひらけゴマ」で絶対何も開かないと思っているし、「バルス」で何も滅びないと知ってるし。ビートルズはacross the universe の中で「Jai guru deva, om」とサンスクリットの呪文を唱えている…。
    こういうものに私もリアリティを感じたことはなかったんだけど、お経というものもあるわけだし、長く信じられているから呪文というものはあるのでしょう。今後垂直方向の言葉を意識してみよう。


    すごくピンポイントなとこに注目したレビューになってしまったけど、言葉について、今一度考えたいなと思いました。

    他の章は、「努力」の章はちょっとおもしろかった。
    (努力のスタート地点まで正しくいければ半分くらいはできたようなもの、っていう所)

  • 世界に馴染めない2人が友情や怒りなど14のお題について本人達はいなって真面目に語り合う。
    真面目ながらまっとうな世界からはどこかずれていて、へんな歌人と精神科医の対談集。
    世界と自分とのずれに悩む中高生やなんとなく社会の中で生きにくいと感じている中高生に。
    世界との付き合い方の手がかりになる一冊。

  • もうちょっと深い感じかなあと思って読んだら
    けっこう軽やかな内容だった・・・。

  • 非常にシックな表紙で好きだ。ちょっと難しげな雰囲気を出してるけど、中身は全然。生きづらさというか、『変』という、周りに自分がしっくりしていないという感じを持っているという二人が対談したもの。友情とか努力とか、テーマはいろいろ。こういうテーマに基づいて知り合いと話をしてそれが対談としてまとめられて本になるって、すごいなと思う。改めて。私もそんな仕事してみたい。つーか、それが本になるという価値のある人じゃなきゃダメだろうけど。

  • 人生の中での大きなテーマについて対話する内容。その試みはいいと思うからやってみたい。

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著者プロフィール

1951年生まれ。産婦人科医を経て精神科医に。現在も臨床に携わりながら執筆活動を続ける。

「2021年 『鬱屈精神科医、怪物人間とひきこもる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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