昭和二十年夏、僕は兵士だった

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 112
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048850216

作品紹介・あらすじ

南方の前線、トラック島で句会を開催し続けた金子兜太。輸送船が撃沈され、足にしがみついてきた兵隊を蹴り落とした大塚初重。徴兵忌避の大罪を犯し、中国の最前線に送られた三國連太郎。ニューブリテン島で敵機の爆撃を受けて左腕を失った水木しげる。マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄海上特攻を生き延びた池田武邦。戦争の記憶は、かれらの中に、どのような形で存在し、その後の人生にどう影響を与えてきたのか。『散るぞ悲しき-硫黄島総指揮官・栗林忠道』(大宅壮一ノンフィクション賞)の著者が綴る、感涙ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 金子兜太(俳人)、大塚初重(考古学者)、三國連太郎、水木しげる、池田武邦(建築家)の戦争の記憶。それぞれが誰かの死を抱えて長い戦後を生きた。ぼくだったらニューギニアの原住民と仲良くなる水木しげるの真似をしたいが、毎日殴られるのはイヤだな。

    当然といえば当然だが、戦争を賛美したり、非戦闘員を殺した記憶を語る人は出てこない(仲間を見捨てた人は出てくる)。敵を殺した記憶もほぼ語られない。そんな話は誰もしたくないし、聞きたくもない。思い出を語る人は、ひどい目にあったり、戦友が殺されたり、みんなが被害者だ。でもみんながみんなそうだったら、戦争にならない。ひどい目にあったぶん、ひどい目に合わせた人がいるはずなのだ。そういう人は語らない。誰が悪いわけでもないけれど、そうやって戦争のイメージは歪んでいくのかもしれないな。

  • 戦争。体験。『小泉今日子書評集』にて。戦後それぞれの分野で活躍を続けてきた五人の戦争体験を著者が聞き書く。女性版もある。

  • 5人の元兵士へのインタビューは、どれも印象的でした。
    特に三國連太郎さんの話は特別でした。
    作者も、書き上げるのが大変だった思う。

  • 916

  • ずっと読みたいと思いつつ機を逃し続けていた本書をようやく読むことができた。そして今さらながら、私の戦争観は単眼的だったなぁと、読み終えて初めて気付かされた。
    子どもの頃から、原爆や沖縄の悲劇ばかり訴えては日本はダメだ、戦争で何があったか、何をしたか、きちんと教えてくれないのは元軍上層部の自己正当化や保身のせいだ、とずっと思っていた。けれどこの本にあふれる、戦争を様々に「生きた」人たちの言葉に触れて、なぜ今まであまりに多くのことが語られないままだったのか、少しだけわかった気がした。
    ここで語られる戦場には、武勇伝も美譚もない。あるのは悩み、苦しみ、飢え、時に木の葉のように扱われる、夥しい数の死と、生き残った者の計り知れない無念さ。その極限を体験した者たちに、敗戦後の世論は手の平を返したように蔑視の目を向ける。何も語るまいと思う人がいても無理はない。彼らは語る代わりに、ただ必死に「死んでいった仲間のために」、残された自分の命を尽くした。戦後の日本の復興と高度成長はその結果なのだと気付かされた。
    欲を言えば侵略や虐殺などの事実をもっと伝えて欲しかった気持ちは残るが、それらの罪はもとより戦争そのものがどれだけ愚かなものか、あの時兵士として生きて死んだ命を通して静かに語る一冊だと感じた。

  • 三國連太郎の章が、すごく印象的だった。

    戦争に美学を求めることはできないのだなぁ。

  •  多くの方に一読して、感じて貰えたら・・・・と思いました。

  • 俳人・金子兜太氏の話が臨場感あって読み応えあった。

  • 5氏全ての話に惹かれましたが、特に徴兵忌避した(でも捕まっちゃった)三國連太郎さんや、現地の人と厚く交流を持った水木しげるさんの話が印象的でした。個人的に輸送艦上で祖父を亡くしているので、最後の池田さんの話が一番胸に響きました。戦争体験を読むことによって、少しでも祖父の気持ちを知りたいと思っていたのですが、色々な文献を読めば読むほどわからなくなっていきます。いつか近付ければいいのですが。

  • 一口に「兵士」といっても、いろんな立場あって、望んで軍人となった人もいれば徴兵されてなった人もいる。置かれた立場もさまざまで、前線で生死をさまよった人もいれば、そういう意味での危ない目には遭わずに済んだ人もいる。十把一絡げにしがちなんだけど(私だけ・・・?)今さらながらに改めてそういうことを思い知った。

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