- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048863476
作品紹介・あらすじ
『携帯電波』-少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて…。『未来を待った男』-この時代にタイムトラベラーを呼び寄せる。それが男の目標だった。『やり直したいことがある』のだという。そして、ついにその時が訪れる。『ベストオーダー』-四人の俺が、同じ場所に現れた。自分自身が複数いるこの状況を前に、俺達四人はしばし考えた後、全員で共謀し、『完全犯罪』を企てる。ほか、書き下ろし短編『時間のおとしもの』を含む、時間に囚われた人間たちの、淡く切ない短編集。
感想・レビュー・書評
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時間をテーマにした短編集。
狂ったような物語からほんわかしたものまで品数は多い。
ガツンと来るものは無い代わりにスッと入って来る感じだ、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「未来を待った男」が面白かった。
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短編四編を収録しています。
「携帯電波」は、一人の少女が携帯電話にかかってきた並行世界の自分自身からの通話に出たことで、べつの世界に移行してしまう話。
「未来を待った男」は、過去を変えるためにタイム・マシンを呼び寄せる瀬川と、その友人で時間について研究している佐門の二人の物語。ちょっとした叙述トリックがとりいれられています。
「ベストオーダー」は、並行世界からやってきた三人の自分自身と協力して、完全犯罪をもくろむ男の物語。
表題作の「時間のおとしもの」は、「時が止まればいいのに」というのが口癖の少女が登場する、ボーイ・ミーツ・ガール作品です。
いずれも、時間や並行世界などの道具立てを用いた作品ですが、短編ということもあっておおがかりな設定が準備されているわけではなく、すこしふしぎな読後感があじわえるライト文芸といった印象です。 -
はじめに言うのもなんですけど、伊坂幸太郎さんのファンなので、86頁の
「蜜柑だか檸檬だかは帰ってきた?」
「それは殺し屋の名前じゃないですか。」
これにはなかなか感動しました。入間人間さんも伊坂幸太郎さんがお好きなんですね。
本編は読みやすく登場人物も特徴的で、軽めではあるけど、なるほどやられた~と、にやっとできる物語でした。 -
どの作品も面白い、SF短編集。
「携帯電波」はいかにもSFっぽいテーマ。
時間改変が行われるとき、そのスタートはどこになるのか?
「未来を待った男」にはやられた。
学生、貧乏、独特の語り口調とくると森見登見彦っぽい?と思うのは安直か。
「ベストオーダー」
ドラえもんでこんな話あったな。
「やろうぶっ殺してやる!」「わあ、自分殺し!」のやつ。
全部自分のはずなのに、ちょっとした「違い」が連鎖して……というのがおもしろい。
「時間のおとしもの」
「時が止まればいいのに」が口癖の彼女。
「追いつこうとしたのか、それとも留めようとしたのか」
周囲との時間のずれというか、流れの速さの違いを感じることがあるから、なんとなく共感。 -
何かダメ。 2020.3.10
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時間とはなんぞや。もし時間を操ったら。操るというと違うな、時間を使うというのか。タイムトラベラーは夢があっておもしろかった。左門さんすごいよ。予想外だったよ。4人の俺もおもしろかった。まさか彼がでてくるとは思わなかったから。
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「携帯電波」
携帯の電波に乗せて時を渡る。
無限ループって怖いよね、の一言しか出てこない。
一体全体何が始まりで、何が終わりになるのだろう。
「俺は蝶になりたい」
タイムトラベルしてまで変えたかった過去。
時間を遡って初めて知った情報に驚きと同時にやられたと思った。
この事実を踏まえて、もう一度最初から読み直したいな。
「ベストオーダー」
バッティングセンターで出会った複数の自分。
せめて口裏合わせをしていたら、全ての犯行が上手くいっていた可能性も少しはあるのにな。
自分の性格など色々把握しきった上で、計画を立てなければいくら全員自分でも破綻してしまうのだろうな。
「時間のおとしもの」
時間が止まればいいのにと願う君。
タイトルから予想していた物語とは少し違った物語だった。
戻る事も止まる事もできず毎日進んでいくから、こんな風に思ったりする事もあるのだろうな。 -
「時間」を軸とした短編集。
タイムマシンやらタイムリープ、
パラレルワールドなど、テーマはまぁよくある。
が、入間糸独特の気の抜けたような(失礼!)文体で
重い話もカラッとサラッと読める。
氏の得意とする(と私が思っている)
叙述トリックも健在。
この人の作品は、そのまま映像化できん(^ ^;
どっかで見たことのある探偵も登場(^ ^
花咲太郎シリーズを読んでると、より楽しめます(^ ^ -
タイムトラベルの話
仕方は様々だけど。
色々な変な感覚の話。