雛鳥トートロジィ (メディアワークス文庫 し 3-5)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.42
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本棚登録 : 321
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048869010

作品紹介・あらすじ

ある晩、仕事を終えて帰ってきた僕を待っていたのは、見ず知らずの女の子。中高校生と思われる彼女が言う。「あの、私…も、すみません、上野蔦夫、さんの、子供、なんです…けど」。夢にも思わなかった異母妹の発覚。平凡な僕の日常に、さざ波が立ちはじめた…。唯一の身内である叔母が突然海外留学へ。「実は、父親が生きているからそこでしばらく世話になれ」と言われ、訪ねた先で出会ったのは、腹ちがいのお兄さん。でも彼は、私のことを何も聞いておらず…。

感想・レビュー・書評

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  • ある晩、いきなり訪れてきた腹違いの妹と名乗る少女。兄の目線からと、妹の目線から語られます。こんな妹たまんねー!あまあまにあまやかしてしまいなさい!柴村仁さんは、どこか少女小説の香りも漂わせる作者だと思います。他のもやっぱり読みたい。

  • 突然告げられた父の愛人と腹違いの妹の存在。
    重い話のはずが淡々と進む物語のおかげで割と楽に読めました。
    ただこういう物語ならもう少し内容に重みがあってもよかったのでは、とも思ったりもしました。

  • 仕事から帰るといきなり、腹違いの妹です。と言われ、混乱する鷲介。
    母親から、お父さんに隠し子がいたとは聞いていたが、何故俺のところに…。
    とりあえず、実家の行き方を説明して出勤。
    でも、鴾子はお金を持ってなかった。
    歩いて行けるかと思ったけど、バス電車乗り継いで2時間の道のり…。
    鷲介を頼って戻るも、鷲介も状況を把握できてなくて鴾子に家に帰れ。という。

    鴾子は小さい頃から祖母に育てられ、祖母が亡くなってから3年間、叔母の元で暮らしていた。
    その叔母が、鴾子が寮のある高校に行くから、3日で荷物まとめてね。といきなり通告。
    でも寮にはまだ3年生が住んでいるからはやく入寮なんてできない。
    一時は友達の家にいたが、友達の親がスキャンダルに。
    叔母が鷲介の父の連絡先を手に入れたと聞いて行った先が鷲介の家。
    父の名前が蔦夫だから間違えたのかもしれない。

    そして父に言及すると、鴾子の父親は本当はわからない。
    だけど可哀想だから俺の子にしとく。
    じいさんは遊び人だったから、もしかしたらじいさんの子かもしれない。

    という二面小説でした。

  • 終盤の鷲介さんはなんかもうお兄ちゃんというよりお父さんのようでほほえましかった。小塚さんは大丈夫なのだろうか…ずいぶん寂しい生活を送っていた様子なので、彼女の事が気がかりです。
    読みやすいストーリー展開だったのですが、複雑な家庭事情はもう一押し欲しかったなと思ったのが正直なところ。

  • パッとしない青年、ぼんやりしてるけどどこか冷めてる普通の女の子、こういうの大好きだあ〜

  • ある晩、仕事を終えて帰ってきた僕を待っていたのは、見ず知らずの女の子。夢にも思わなかった異母妹の発覚。平凡な僕の日常に、さざ波が立ちはじめた。

    普通の人のちょっと普通じゃないことが起こった日常。
    さらっとストーリーが入ってきて、読みやすかったです。ストーリーも破綻なく、地に足がついた印象。ただ、もう少し読みたかったです!まだ中盤かな、と思ったら、もう終盤でした。もう一波乱あってもいい感じです。

    でも、この人の書く日常は好き。

  • トートロジィ【tautology】
    1、同語反復。2、命題論理で、要素となる命題の真偽がいかなるものであっても、常に真となるような論理式。恒真式。(大辞泉)

    友人からのお勧め本その三。鴇子ちゃんかわいいですね!かわいい!
    僕こと上野鷲介は、突然母から父の隠し子の存在を伝えられる。困惑しながらも仕事を続ける彼の自宅に、その隠し子である大塚鴇子が訪れて――というお話。
    トートロジィ、という言葉を寡聞にして知らなかったのですが、きっとこの物語の構成のことを示しているのだと思います。鷲介の視点で描かれただけでは見えてこなかったものが、鴇子の視点で明らかにされていく。くどさを感じないのが、やっぱりすごい。
    隠し子、異母妹。重くなりそうなキーワードを抱えてなお、気持ちよく読み終えることができました。プシュケを描いた柴村さんですから、もっと鮮烈に描き出すのかとびくびくしていたんですが、心地よく裏切られた気分です。
    鷲介も鴇子も、周りを見回せばすぐそこに存在しているような人物。だからこそ、その心の声が真に迫ってくるのかもしれません。彼らはきっと、戸惑いながら、それでも生きていくんだろうな。ちょっとずつ助け合いながら、ちょっとずつ救われていけばいい。

  • 同じ場面を他の登場人物の視点で記述し直すというようなスタイルって流行ってるの?(少なくともMW文庫界隈で)と思ったり。
    ただ、いかにも短いというか、これでよく一冊になるもんだなぁと感心するわけで、なんというか、ふつうなら導入部だよね?というところで話は終わる。終わらせるために、単にその程度のことと思ったであろう場面に、こんな、他の意味があるんだよ、という視点を重ねる感じ。
    とはいえ、やっぱり絶対的にボリュームは少ないので、なによりすぐに読了してしまう。正直、一時間かかりませんから。
    でも、柴村仁って好きだけどね。

  • すごく短時間で読めました。文章がまず引き込まれます。
    平凡でつまらない生活を送っていた青年に異母妹がいたことが発覚といった内容。前半は、押しかけられる青年側、後半は妹側の思考回路で物語が展開していきます。人生って嫌なことって続きますが「ずっと」じゃないのかもなーって思えるお話でした。

  • 2部構成で、2人の心情が細かく分かるような構成になっていました。

    2部の鴇子ちゃんのほうは「です」「ます」調で、鴇子ちゃんテイストを加えたんだと思いますが。個人的にはちょっと鬱陶しかったです・・・。

    ですが、最終的にハッピーエンドで、軽く読みたいときにお勧めです。

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著者プロフィール

第10回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し、受賞作の『我が家のお稲荷さま。』(電撃文庫)でデビュー。本作はシリーズとなりアニメ化される。主な著書として『プシュケの涙』シリーズ(講談社文庫)、『おーい!キソ会長』シリーズ(徳間文庫)、『オコノギくんは人魚ですので』シリーズ(メディアワークス文庫)、講談社BOX『夜宵』シリーズ、などがある。

「2020年 『虫籠のカガステル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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