ドラフィル! 2 (メディアワークス文庫 み 3-4)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.79
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本棚登録 : 292
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048869980

作品紹介・あらすじ

『お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない』相も変わらず、竜ケ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』でコンマスを続けていた響介。しかし急にかかってきた父・統からの電話と唐突なその物言いに、響介のヴァイオリンの音色は大きくかき乱される。そんな彼に発破をかける七緒だったが、彼女の元に送られてきた『ある物』により事態はより混迷を極め-!?商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場。

感想・レビュー・書評

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  • 母は、家にお客様がみえると、
    父の歌に私のピアノ伴奏で、音楽のおもてなしをさせるのが好きでした。
    若い頃、声楽を習わせてもらったと言う割に、リズムが全くとれないひとだったので
    音楽に人一倍、憧れがあったのでしょうか。

    私も小学生くらいまでは、母に言われるまま張り切ってピアノを弾いていたのですが
    中学生くらいになると、反抗期も手伝って、
    お客様みんながみんな、音楽が好きな人ばかりじゃないのに、と
    いやいや演奏することが多くなってきて。。。

    ある日、父に言われたのです。
    「おまえの伴奏、この頃歌いにくいぞ」って。
    そうですよね、いやいや弾いている伴奏で、気持ちよく歌えるわけがない。

    両親との仲が劇的に悪くなる、というようなことはなかったけれど
    この言葉が若かりし頃の私にはかなりトラウマになっていて
    父の歌の伴奏をすることは長い間ありませんでした。
    でも、実は数年前、故郷の小さなホールで、
    父の歌に私のピアノ、娘のクラリネットで、三世代のコンサートをしたのです。

    離れて住んでいるので、父との合わせ練習はたった1日しかできなかったけれど
    亡くなった母の写真をポケットに入れて歌う父の声と私のピアノが
    本番のステージで重なった瞬間、過去の「音楽のおもてなし」に纏わる
    いろんな拘りがほどけて、音楽でまた家族が繋がった、と思いました。

    そんなことを思い出した、今回の『ドラフィル!2』。

    モンタギュー家とキャピュレット家のごとく、寄ると触るとケンカする
    祖父たちを仲直りさせようとするけなげな孫がいたり
    (あちらの孫娘へのほのかな下心があるあたりも、まるでロミオとジュリエット♪)
    同じフレーズを840回繰り返す、サティの珍曲『ヴェクサシオン』を
    1日1フレーズ、2年数か月かけて、追悼の想いをこめて弾く母の真意に
    やっと思い至る娘がいたり

    前作から引きずってきた、母に対する七緒の拘り、
    父に対する響介の反発を、音楽がゆるやかにほどいて
    赦し、赦され、繋がっていく喜びを、竜ヶ坂商店街オーケストラが高らかに奏でます。

    音楽への信頼と愛情を、賑やかに楽しく伝えてくれる1冊です♪

    • しをん。さん
      まろんさんの素敵なエピソード♪
      家族皆が音楽一家っていいですね~(^^♪

      >いやいや演奏することが多くなってきて。。。

      だいぶ分かりま...
      まろんさんの素敵なエピソード♪
      家族皆が音楽一家っていいですね~(^^♪

      >いやいや演奏することが多くなってきて。。。

      だいぶ分かります(^^)v
      私の母も、まろんさんのお母様と同じような人だったので…。
      しかし、三世代コンサートはとっても素敵ですね~d(*⌒▽⌒*)b
      「音楽で繋がる」
      とっても素敵なことですねヽ(*'▽')/

      そのような素敵なエピソードが出てくるこの本を、読んでみようと思いますヽ(^o^)丿
      2013/01/28
    • まろんさん
      noboさん☆

      小学生のたどたどしいピアノが、ほんとに「音楽のおもてなし」になっていたのか
      今となっては、聴いてくださった上、気を遣って褒...
      noboさん☆

      小学生のたどたどしいピアノが、ほんとに「音楽のおもてなし」になっていたのか
      今となっては、聴いてくださった上、気を遣って褒めてくださったりしたお客様たちに
      こちらから感謝の言葉を捧げたい気分です(笑)

      おお、noboさんの息子さんは、ピアノが大好きなんですか!
      男の子はなかなかレッスンが続かないことが多いのに、
      一応やってます、じゃなくて大好きと言えるなんて、とても素敵なことです♪

      三世代コンサートは、いい思い出になっただけでもうれしいのに
      思った以上にお客様が来てくださって、温かい拍手や感想に、私のほうが力をもらいました。
      ありがたいなぁ、と思いました(*^_^*)
      2013/01/28
    • まろんさん
      紫苑さん☆

      お母様がピアノの先生をなさっている紫苑さんなら、
      きっとあの居心地の悪さ、わかってくださるだろうな~と思ってました!
      是非に、...
      紫苑さん☆

      お母様がピアノの先生をなさっている紫苑さんなら、
      きっとあの居心地の悪さ、わかってくださるだろうな~と思ってました!
      是非に、と望まれて弾くならまだいいのだけれど
      聴かせてと言われてもいないのに、母の言いつけで弾くのって
      自意識が育ってきてからだと、かなりつらいですよね(笑)

      父は、音楽の道に進みたかったところを、下に兄弟がたくさんいたのであきらめて
      教育大に進み、小学校の教師になったのですが
      おじいちゃんになった今でも歌うことが大好きで
      ずっと声楽の個人レッスンに通っています。
      反抗期の頃とは違って、三世代コンサートでは一応、
      気持ちよく歌ってもらえたようで、やっと少しは親孝行できたかな?と思ったりして。

      ドラフィル、音楽が好きで、商店街が好きで、人が大好きな人が集まって
      一生懸命奏でる音楽が素敵ですよ♪
      2013/01/28
  • あっちもこっちも親子の確執がいっぱい。にしても、冒頭からでまかせで演奏会を組んでしまうとは七緒も剛毅だ。

  • 人と人を切り離すのが、音楽ならば、人を結びつけるのもまた音楽。余計なエッセンスなしに、そのことを強く語りかけてくれる作品。

    前作と雰囲気は変わらず、良い作品に仕上がっている。

  • 前作では触れられなかった響介と父親の話が軸に据えられている。音楽を通して人と人がふれあいどんな形であれ成長していく姿には胸が熱くなる。物語としての濃度も高く、ラストに向けての盛り上がりは素晴らしい。非常に好きな作品だ。

  • クラシックを聴きたくなりますね。

  • 諦めることだったり、思い返させられることだったり、伝わらないことだったり。でも、ヘタレだヘタレだと言われてる割には、ずいぶん頑張ったじゃんということで滂沱。

  • 評価:☆4.5

    商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場!

    音楽で繋がっている住民達の温かい、微笑ましいエピソードは健在。
    3章の幸と840日毎に帰ってくるピアニストの母親の話が特に好きかな。

    今回は響介と七緒の家族について焦点を当てて物語は進行していく。
    徐々に謎が明かされていって先が気になるつくりになっているので凄く読みやすい。
    1巻でもそうでしたが、割と予想外な展開もあって驚かされるんですよね。そことそこが繋がってるの!?みたいな。
    物語が終盤に向けて収束して盛り上がっていく構成はお見事!
    演奏シーンの迫力も流石ですね。

    あとがきで作者の中では1巻で完結していた。とのことですが、確かに1巻で終わってても違和感はなかったw
    でも2巻も十分に完成度高いと思います。
    次で最終巻ですが期待できそうです。

  • 20140910

  • 前作で響介の見せ場や話が足りないことがとても気になったので、その辺りのお話が見れたのが良かったと。そして私は美奈川さんの描く夫婦の絆ネタにとても弱いです…。
    あとの心残りはゆかりさんやお母さん関連のお話だなと思うのですが。3巻に期待。

  • 【収録作品】序曲 鐘声/第一楽章 ブリュンヒルデの初戀/第二楽章 ライセッド・オン・ロック/第三楽章 840回目の嫌がらせ/第四楽章 MESSIAH/終曲 最も偉大なヴァイオリニストへ

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著者プロフィール

1983年千葉県生まれ。 第16回電撃小説大賞≪金賞≫受賞作『ヴァンダル画廊街の奇跡』(電撃文庫)でデビュー。著書に「特急便ガール!」シリーズ、「ドラフィル」シリーズ、『キーパーズ』『スプラッシュ!』『美の奇人たち』(いずれもメディアワークス文庫)。『ギンカムロ』『弾丸スタントヒーローズ』(共に集英社文庫)など。

「2018年 『星降プラネタリウム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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