好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048914109

作品紹介・あらすじ

七年前、年下の男の子に、好きだといわれた。それから、手も握らせないまま恋人のような関係をずっと続けている。そして、私はまた、彼とは別の人を好きになる-(好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く)。神戸の街を舞台に、一緒に暮らす三姉妹それぞれの恋の、始まりと、真ん中と、終わり。同じ時間を過ごす三人の恋を、三篇の短編で描く、切なくて優しいラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 同じ時間軸の三姉妹の恋愛模様をそれぞれの視点で描く。
    本命は別にいるくせに、自分に思いを寄せている年下の男の子をキープしつつ、この子を好きになれたらいいのにとか考えちゃう長女。
    いわゆるダメ男を好きになってしまって振り回されているのだが、好きになっちゃったものはしょうがないという二女。
    一度の失恋から次の恋愛に踏み出せずにいる三女。

    はっきり言ってめんどくさいやつら。
    どうも私には共感できないキャラクターの上に、恋の結末に感動するような出来事も用意されていない。
    ただ、同じ時間軸の出来事なので、長女の出来事の裏では次女の恋愛も進行していて、それに対する三女の言動がほかの人物に影響を与えて、それがさらに三姉妹それぞれに変化を生むというような構成のうまさは光っていた。

  • 三姉妹が魅力的。長女、次女、三女の順に視点が変わる。こういう形の物語はわりとあるが、他と違うのは、時間が章ごとに進んでいくのではなく、全く同じ時間のところを三回繰り返していること。

  • 神戸に暮らす三姉妹の恋愛のお話が、同時刻でそれぞれを主人公に進んでいく。しかし、ただの恋愛小説でない。姉妹それぞれの視点から、それぞれを見るなかで、姉の、妹の、末っ子のそれぞれの気持ちが描かれる。
    仲がよくなんでも話せていると思っていたら、そうでもなかったり。
    家族、特に兄弟姉妹は大人になると微妙な関係になる。決して仲が悪いわけではないけれど。
    そんな繊細な感情が描かれていて、二人の妹を持つ身としては、なんか痛かった。

  • 三姉妹の恋愛模様が描かれていました。この姉妹は全然性格が違うという設定で、恋の内容や仕方、考え方も違います。どの話も面白くて興味をそそられるのですが、著者が男性だからなのか純愛過ぎるなと思う面がありました。

  • 『「好きです」 私たちはきっと、この一言のために、気持ちとは関係のない余計なことを考えすぎている。』(『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』)  同じ部屋に住む三姉妹の「好き」の物語。それぞれの視点で、同時刻の流れを語る連作短編になっている。三人ともどこか不器用で、形のない「好き」に囚われながら、振り回されながら、必死に居場所を求めている。その場所が好きなわけじゃなく、好きな人のいるその場所が、彼女達の居場所になっているんだろうなぁと思う。

  • 姉妹の気持ちがとても丁寧に描いてあって、読みやすく、脳を休めるのにちょうどいい恋愛小説でした。こういう風にやわらかく物事を描くのはなかなか難しいと思うのです。

  • 神戸を舞台にした三姉妹の恋愛小説。
    作者の神戸愛を感じた。

  • アニメ「みなみけ」のような、タイプの違う社会人3姉妹の恋愛事情。
    衣食住を共にしているからこそ言えない、あの人との関係。

    男友達を振り回す長女、
    容姿を決め手に入れ込んで、されるがままの次女。
    子どもの頃の失恋をひきずり、ネット文通に心を揺らす三女。
    読んでて少し不安になる、他人の日記を覗いてる気分。

    表紙を見て、男性向けかと疑い、本編にも挿絵があったら嫌だな…なんて、躊躇したけど、読んでみてよかった。
    ただ、恋愛の絡まない日常描写が皆無だったので、星3つ。

  • 恋愛小説は少し苦手だが
    これは思ったより高評価。
    軽く読めたし
    視点も複数あって面白かった。

    神戸この前行ったなぁ…
    と思いつつ。

  • ☆4.5くらい。
    神戸の街を舞台に、自分の気持ちが良くわからない長女紗子、ダメ男ばかり好きになるけど恋愛に真っ直ぐな次女朝美、過去の恋愛を引きずっている三女結衣、と、三姉妹の三者三様な恋愛模様が描かれています。
    私、こういうお話読みたかった。
    好きだわー。
    ちょい大人向けでさらりと読める恋愛小説ってあんまり見かけないものね。
    MW文庫、こっち方面に伸びていったら良いのにー。

    ところで、作者さんはunder書かれてた方なんですね。
    あのダークな雰囲気からは、洗いたての白シャツみたいな空気感のこのお話、結びつかなすぎてすげえ。

    さて、中身に関してですが、表題作は長女・紗子のお話。
    これ女子の評価は分かれるんじゃないかなあ……。
    恋愛に不器用なようで、一番タチ悪いと思ったよ、正直。
    朝美と結衣の恋はまっすぐで素直に応援できた。
    結衣が過去の恋と向き合うために神戸の街をめぐっていく描写はほんのり切なくてツンときたねえ。
    好きな人に既に好きな人がいる難しい状況から始まる恋だけど、それを悲観的に書かずに、誰かを好きになった嬉しい気持ちを主に書かれてるのがすごく良いなあ、好きだなあ、って思った。

    他にも恋愛モノ書かれてるみたいなので、機会があったら読んでみたいなー。

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著者プロフィール

1983年兵庫県生まれ。2007年に第14回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『under 異界ノスタルジア』でデビュー。真っ直ぐで透明感のある文章、高い構成力が魅力の注目作家。他の著作に、「花魁さんと書道ガール」シリーズ、『雪には雪のなりたい白さがある』『フルーツパーラーにはない果物』『今日も君は、約束の旅に出る』『わたしたち、何者にもなれなかった』などがある。

「2021年 『パンダより恋が苦手な私たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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