ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 9965
レビュー : 1238
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048914277

感想・レビュー・書評

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  • 探偵小説が好きだ。でも猟奇的なものは苦手だ。
    だけど横溝正史は好きだ。なのに江戸川乱歩は苦手だ。

    いや、苦手というのも少し違う。
    おもわず目を覆いたくなるような描写があるにもかかわらず、覆った指の隙間から、そおっと覗き見てしまうような抗い難い魅力。

    横溝正史は好きだと言えるのに、江戸川乱歩が好きというのは何となく憚られる背徳感。
    自分の中の微妙な線引き。

    将来なりたい職業は探偵だった。
    それが無理ならスパイか泥棒だった。
    幼い頃の話だ。全く子供である。
    将来の夢は『仮面ライダー』もしくは『プリキュア』
    それと同じだ。

    ミステリマニアの方々のように、ドイルと乱歩の洗礼を受けた子供ではなかったが、学習雑誌に載っている推理クイズが大好きで、ダイイングメッセージや消える凶器にわくわくしていた。
    チェックの鳥打ち帽をかぶりパイプをくわえ、大きな虫眼鏡を片目にぎゅっと押し付け足跡をたどるイラストが、僕の探偵のイメージだった。
    浮気調査のために旦那のパンツにスポイトで試薬を垂らすのが仕事だとわかっていたら憧れたりはしなかっただろう。

    『ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さんと二つの顔〜』

    今回、目次のタイトルになっている本はすべて江戸川乱歩。

    『孤島の鬼』
    『少年探偵団』
    『押絵と旅する男』

    新刊なので内容に関しては詳しく触れないが、多面性を持つ乱歩の作風の如く、稚気に富んだわくわくするような感覚とぞっとするような手触り、そしてあっと驚く展開が味わえるだろう。

    まさに新章開幕といった感じである。

    毎回思うことだが、取り扱われる古書のテーマがうまく物語にフィードバックされている。
    普通に読んでも面白いが、今回は比較的入手しやすい本ばかりなので予習をしておくともっと楽しめるだろう。
    さらっと流してしまいそうなメタファーにも気づいてほくそ笑むかも知れない。

    震災の影響が色濃く反映されているのが印象的だった。
    物語の中の時間も確実に進んでいる。そして人も成長している。

    「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」

    もう4巻を読んでしまった。5巻が待ち遠しい。
    なんて物語に耽溺している僕だけが、学習雑誌のあの頃から成長が止まっている。

    • nico314さん
      謎解きというよりも、緩やかな完全犯罪とでもいうのでしょうか。「子どもたちの長い放課後」(仁木悦子 短編集だったかと・・。)という本の中の話で...
      謎解きというよりも、緩やかな完全犯罪とでもいうのでしょうか。「子どもたちの長い放課後」(仁木悦子 短編集だったかと・・。)という本の中の話です。

      本では女子高校生たちが担任の男性教師を追い詰めていく話でしたが、TVでは夫を妻が追い詰めていく話でした。TVは小学生が見るのにふさわしいものではなかったと思いますが、「名探偵入門」のトリックにはない、人の心理の怖さを感じたのでした。

      トイレットペーパーネタですが、数年前「トリック」(仲間由紀恵と阿部寛)使われていましたよ。kwosaさんがリアルタイムで見ていらしたら、ずいぶん驚かれたことでしょう。
      「トリック」では「トイレツマル」が裏から見ると「イトフシムラ」というヒントであったというもの。

      繋がりネタをもうひとつ。
      映画「Wの悲劇」(薬師丸ひろ子です。ご存知でしょうか?)のストーリーにアーウィン・ショーの「夏服を来た女たち」の一編が使われていたのです。確か、最近訳者の常盤新平さんが亡くなられて思い出しました。
      2013/03/02
    • kwosaさん
      nico314さん

      仁木悦子さん、いいですよね。
      僕は、まだ『私の大好きな探偵』『黒いリボン』『赤い猫』くらいしか読んでないのですが、人間...
      nico314さん

      仁木悦子さん、いいですよね。
      僕は、まだ『私の大好きな探偵』『黒いリボン』『赤い猫』くらいしか読んでないのですが、人間をみる眼差しのやさしさのなかに、時折見えるナイフのようや鋭さ。油断しているとヒヤリとさせられます。
      『子どもたちの長い放課後』読んでみます。
      教えてくださってありがとうございます。

      「トイレツマル」なんてネタがあったんですね。驚きました。
      『トリック』のイトフシムラのエピソードって観た記憶があるんですけど、いろいろ作業しながらTVを流し観していたようで、肝心のその部分は全く覚えていません。
      なんかもったいないことしました。残念。

      『Wの悲劇』観てないんですよね。もちろん存在は知っていますよ。
      nico314さんに御紹介いただくと、俄然、映画も本も気になってきました。
      これからもいろいろ教えてくださいね。
      2013/03/03
    • しろコシオさん
      レビューコンテスト入選おめでとうございます!あらためて「いいね!」させていただきました。私自身も思いがけずのことでビックリしました。
      レビューコンテスト入選おめでとうございます!あらためて「いいね!」させていただきました。私自身も思いがけずのことでビックリしました。
      2015/01/19
  • 今回は、江戸川乱歩の特集のようだ。全編を通して、乱歩作品がところどころに登場してくる。そして、乱歩作品の謎が、本編の謎となる。「うつしよ」の乱歩のあの言葉は、まさに物語にしたような構成であり、登場人物の配置がよくできている。
    母、智恵子が現れる。江戸川乱歩の蔵書についての謎と、売りたいという依頼。智恵子の過去とヒトリ堂との関係、それ以前の子ども時代、そして恩人である父と、娘との(本を解した)結び付きが明らかとなっていく。乱歩作品のトリックを巧妙に使いながら話は進んでいくが、人間の持っている心理については表現していない。現世の欲望を示しつつも、心が現れないところが、物足りなくも、面白いところ。やはり、原作を越えられないのだろうか?

    それにしてもこの作品をなぜ選んだのか?

  • 江戸川乱歩って小学生の時図書館で「少年探偵団」とか「怪人二十面相」とか借りてワクワクしながら読んだなぁー。
    あと明智小五郎が出るドラマも楽しみやった!

    でも大人になってからちゃんと江戸川乱歩って読んだかしら?
    今度ちゃんと読んでみよう。
    春陽堂書店の文庫の表紙の絵がおどろおどろしくていいな。

    今回はまるまる一冊江戸川乱歩。
    乱歩小説さながらに、いろいろ仕掛けが・・・
    小学生のころを思い出してワクワクしながら読んだ。

    ついに失踪中の母親登場。
    栞子さんと大輔くんとの仲もいい感じに進展してきてるし、
    いつまで続くんだろ?

  • 今回は1冊まるごと「江戸川乱歩」
    おもしろい。母と娘が対峙する。
    まるでスターウォーズ ルーク対ダースベイダーのようw

    お話は...
    ビブリア古書堂にもたらされた謎めいた依頼。
    それは江戸川乱歩の膨大なコレクションを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと依頼だった...

    「江戸川乱歩」が残した本、謎に絡めながら、金庫の扉へと迫っていく。
    謎へと迫る中、ヒトリ書房 井上、母、そして大輔さんへの向き合っていく。

    栞子さんと母 智恵子の闘いは緊張感あった。
    栞子さんの前に大きく立ちはだかる越えなくちゃいけない存在として。
    栞子さんの成長を確かめるような振る舞い。

    大輔さんを素直に応援したい!
    必要とし必要とされる2人が幸せな時間を過ごす話は、本に纏わる謎解きと同じくらい読みたい。

    あと「江戸川乱歩」の原作読んだことないんですよね...わたし。
    江戸川乱歩をオマージュしたり原典としたマンガで馴染み深いのですが、まだ読んでない。
    ビブリア読むと、出てくる本を読みたくなります。無性に。

    さて本巻は、母の謎、栞子と大輔さん、大きな余韻を残して終わる。
    次巻早く読みたいな。
    どうやら物語も後半に入っていくようなので結末はどうなるか。


    あとがき...ドラマは観てません。

    • kwosaさん
      desicoさん

      フォローありがとうございます。

      >まるでスターウォーズ ルーク対ダースベイダーのようw

      なるほど。
      暗黒面に引きずら...
      desicoさん

      フォローありがとうございます。

      >まるでスターウォーズ ルーク対ダースベイダーのようw

      なるほど。
      暗黒面に引きずられそうになった栞子さんを大輔がつなぎ止めた、って感じですかね。
      読み終えたばかりなのに、もう次回作が待ち遠しいです。

      乱歩は予習として『孤島の鬼』を読んだのですが、いやあ凄かったですよ。
      いろいろ圧倒されました。

      時々、本棚のぞきにきますね。
      どうぞこれからもよろしくお願いします。
      2013/02/28
    • desicoさん
      こちらこそフォローありがとうございます!
      『孤島の鬼』すごいんですね_φ(・_・

      これからよろしくお願いします(ぺこり
      こちらこそフォローありがとうございます!
      『孤島の鬼』すごいんですね_φ(・_・

      これからよろしくお願いします(ぺこり
      2013/02/28
  • 今回のテーマは乱歩。ということでこれまで以上にのめりこめました。でも知らないことがかなり多くて、目からうろこの連続。乱歩ネタなら、栞子さんの話もずっと聞いていられるかも(笑)。
    暗号にもわくわくしました。古書の隠し場所……さすが。乱歩ファンなら、やっぱりああいうことしてみたいよねえ。
    ようやくお母さん登場ですが。まだまだ不穏な謎も残っている印象です。これからもなおさら気になる。

  • ビブリア4巻。今回は乱歩一色です。
    私が推理小説にハマった江戸川乱歩一色ですよー!!(その割には最近は推理小説をあんまり読んでませんが)
    作者様もあとがきで書いていましたが「江戸川乱歩」といえばだいたいの方が一度は手に取ったことがある小説だと思うんですよ。
    私も小学生の頃にがっつり読みました。少年探偵団。
    でも、今回ビブリアを読んで、乱歩の世界の深さにただただ衝撃を受けました。
    うわぁ。なにこれ、めちゃくちゃ読みたい作品がガッツリっ!
    ああ。とりあえず全部読みたい。
    明智小五郎の話は網羅したい。

    って、本作品に関しての感想から離れてますね。
    正体をあらわしましたね、栞子さんの母。そして大輔さんとの関係も。
    個人的にあまり恋愛を絡めてほしくなかったので(ほんとに個人的に)ちょっとそこは残念な気もしつつ……。意外と手が早いしな。大輔君(笑)
    とりあえずお母さんのキャラがほんとに読めなくて。
    そして意外な人がつながっていて衝撃。そ、そうなのか……!
    実は一巻からすべてがつながっているのもすごくいいなぁ。
    とりあえず今回も面白かったです。
    そしてもう続きが気になるので引き続き読みますよー。がっつりビブリアにハマってます。

  • 今回のが1番好きかも。

    江戸川乱歩もすっごく読みたくなった。
    今まで実は読んだ事なくて。

    大輔くんの思いもドキドキしながら読みました。
    続きも楽しみだな~

  • 面白いことは、既に知っていた。読む前から。

    今回は長編。いつものように、色々なバラエティに富んだ作品とエピソードが散りばめられている形式とは異なる。
    違う、という言葉はどこか否定の色が強いので、異なるという言葉にしてみた。どうでもいいけど。

    さて、本作はずばり、あの有名な江戸川乱歩!
    好悪はともかく、聞いたことの無い人は少ないはず、特にこのビブリアのファンなら尚更。
    かくいう自分もそう。少年探偵というか、怪人二十面相が好きだった。

    具体的な内容には触れない。ネタバレは興ざめだろうから。

    ともあれ、一つに言えることはこのビブリアシリーズで、晩年や春と修羅のエピソードが好きな人はきっとハマるはず!
    私は読み始めた途端、寝る時間を削る羽目になった。

    名作と好奇心をくすぐる絶妙な解説。そしてビブリア古書堂そのものの物語が、絡み素晴らしい一つのストーリーを描いている。

    そして、今回は大きな展開が。

    古書にまつわるエピソードよりビブリア古書堂の物語の色が強い印象。


    個人的には、色々な作家の本と人々のエピソードが散りばめられている様が好みだったが、これはこれで面白いと思った。
    好みはあちらなのに、甲乙つけがたいという不思議な気分。

    先にも述べたとおり、晩年や春と修羅などのエピソードが好きな方は、期待して良いと思う。


    ああ、今回も面白かった!
    実に次巻が気になる、そんなエピローグ!

  • シリーズ初の長編。江戸川乱歩を題材にしていて、読んだことがなくてもなんとなく親しみやすい。読みごたえがあって面白かった。シリーズの中で、この4冊目は起承転結の「転」のような感じがする。栞子さんと五浦くん、栞子さんとお母さんの関係もそれぞれ転じてきており、そろそろどこかに落ち着くのかなと想像する。

  • 今回は江戸川乱歩を巡る長編。
    栞子と大輔は、互いの影響が無意識のうちに出始めたらしく、変化が訪れている。
    二人とも恋愛に対して免疫なさすぎじゃないのかしら。まるで中学生同士の初恋みたい。
    ちょっと引っ張りすぎじゃないかと。そろそろ落ち着いて欲しいものです。
    ベールに包まれていた栞子のお母さんの存在は、今巻で明るみに。
    神出鬼没で、自分の欲望に忠実。いわゆるフリーダム。
    こんなお母さん、そうそう居ないよね。ここら辺がファンタジーである。

    そういえば、小学生の時の読書感想画という課題があり、1枚だけ私の印象に残っているどなたかの作品があった。
    ダークカラーの背景にひとつ置かれた椅子。その真ん中にはカッと目を見開いて、口角が裂けたように不気味に笑う人間の顔。
    まさしくタイトルは「人間椅子」
    あぁ、乱歩の小説だったのか。
    あのおどろおどろしい絵は、ン十年経っている私の脳裏からも、消えることはない。
    小説もきっと、おどろおどろしいんだろうな……
    そういうのは苦手なので、私は読まないけれど。

    • kwosaさん
      永遠ニ馨ルさん

      小学生の読書感想画で、題材が『人間椅子』
      そして、その絵。すごいですね。

      江戸川乱歩『人間椅子』
      僕も読むまではもっとお...
      永遠ニ馨ルさん

      小学生の読書感想画で、題材が『人間椅子』
      そして、その絵。すごいですね。

      江戸川乱歩『人間椅子』
      僕も読むまではもっとおどろおどろしいものを想像していたのですが、独特の不穏な空気はあるものの意外にスマートで気の利いたミステリでしたよ。

      「永遠ニ馨ル」って素敵なお名前ですね。
      是非、フォローさせてください。
      2013/03/08
    • 永遠ニ馨ルさん
      >kwosaさま
      HNを褒めてくださり、ありがとうございます。

      それから私の文章が稚拙で、誤解を与えてしまったようです。申し訳ない。

      「...
      >kwosaさま
      HNを褒めてくださり、ありがとうございます。

      それから私の文章が稚拙で、誤解を与えてしまったようです。申し訳ない。

      「人間椅子」は、私が小学生当時に行われた学生向けの読書感想画コンクールに入賞していた作品で、中学生か高校生の方が描かれたものだったと記憶しています。
      すごい絵を描く先輩が居るんだなぁ……と、絵が下手の横好きな私は小学生ながらに自分の画が落書きに見えるくらい落ち込んだので良く覚えているんです。
      やっぱり才能がある人の作品というのは違うんですね。
      2013/03/08

著者プロフィール

1971年、神奈川県横浜市生まれ。 武蔵大学人文学部社会学科卒業。中古レコード店、古書店勤務を経て、『ダーク・バイオレッツ』で2002年デビュー。2011年に発表した古書ミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』が人気作になる。同作は2012年に本屋大賞にノミネート。2012年、「足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(鶴書房)」(『ビブリア古書堂の事件手帖2』に収録)で第65回(平成24年度)日本推理作家協会賞短編部門にノミネート。2014年3月14日、『ビブリア古書堂の事件手帖4』(メディアワークス文庫)で第67回(平成26年度)日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

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