悩み相談、ときどき、謎解き? 占い師 ミス・アンジェリカのいる街角 (メディアワークス文庫 な 3-2)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
3.32
  • (6)
  • (17)
  • (27)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 183
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048914284

作品紹介・あらすじ

昼間はOLにして鍵穴からの観察者、ミス・ブースカ。夜は街角の婚活占い師として人気の、ミス・アンジェリカ。女達の悩みのエネルギーを換金するために始めたインチキ占いだったが、いまやこの街角には、様々な悩みを抱える人々が集ってくる。恋愛相談をはじめ、結婚運や仕事運、さらには不倫関係まで悩みは尽きることがない。だがまれに一風変わった悩みを持ち込まれることがある。隣でキャンドルを売る誠司のおせっかいもあり、度々それぞれの事情に巻き込まれてしまい-。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  ミス・アンジェリカは、祖母譲りの霊感を持つ街占占い師。
     占いを勉強中の私としては、霊感を持つ設定はうらやましい。霊感や超能力にあこがれる平凡な私です。
     ネット上の意見を拝読すると、謎解きに霊感を出すなんて……というような意見も見受けられますが、こんな設定もありということでいいのではないでしょうか。
     押しかけ助手というか恋人というか、キャンドル売りの誠司、積極的ですねえ。男たるもの、これくらい強引でないと彼女ができないのだ。
             
     ミス・アンジェリカ、本名田中花子は、赤ん坊の頃から他人を寄せ付けない性格で、“心の中の秘密の部屋”と表現しています。
    「南半球の友人」は、高校時代に知り合った同じような部屋を持った友人についての回想です。
     マイペースで他人に煩わされずに心の中の秘密の部屋にこもる二人。
     こういった性格の人間にとって、そういう過ごし方は有りだと思います。
    「多くの友人を作らないといけない」
    「自分の殻を破らないといけない」
    なんていう無責任な言葉に乗せられるとひどい目にあいます。
     実は私もこの二人と似たような性格を持っていました。
     中学までは自分の殻にこもってうまくいっていたのですが、高校デビューに際し、これではいけない、明るくなって友達を作らなければいけない、と思って本来とかけ離れた言動を演じ、心身を病んでしまいました。
     結局、感情障害は治らず、人生に落伍し、御家も断絶の危機に。
     だから対人関係に悩む中高生は無理をせず、ミス・アンジェリカの生き方を学ぶべきです。
     秘密の部屋から出るのは、大学に入ってからでもいいのです。高校までの人間関係はある種の人にとって非常に難しい。まだ大学生以降になってからの方が対処しやすいところがあるものです(と、結局感情障害のために大学以降もうまくいかなかった私が言うのも何ですが)。
     閑話休題。南半球の友人・小川翠も、最後に無茶をして消息不明になりました。
     小川翠も無茶をせずにそのまま秘密の部屋でいたら良かったのにと思います。
          
     ストーリーの謎解き部分ですが、本格推理のようなあっと驚く大仕掛けやトリックがあるというわけでもなく、日常の生活や対人関係でありがちな誤解に基づくもの。いわば、“日常の人間関係ミステリー”。
     人生経験豊富なお年寄りなどに相談したら意外といいアドバイスをもらえそうな事件です。
     それこそ、ミス・マープルのような安楽椅子探偵なら、似たような事例を紹介しながら謎解きしてくれそう。
     私としては、人間関係が希薄なので、人間関係について考える勉強になりました。
           
     本書巻末の事件で、ミス・アンジェリカは最大の危機を迎えます。
     確かに占いは、他人の人間関係を左右する恐ろしい面も持っています。
     こんな話を読むと、いい加減な姿勢で占いなんかできないぞ、と思えてきます。
     私にとっては人間心理の勉強になったし良い作品だと思います。
      http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20151202/p1

  • 昼間はOLのミスブースカ(愛称)、夜は占い師ミスアンジェリカ。
    女たちの悩みのエネルギーに変えるために始めたインチキ占いだったが、今や人気の占い師に。
    恋愛相談を初め、様々な悩みを持ちかけられ色々と巻き込まれていく。

    成田さんの作品は読むのは2冊目なんですが、物凄く引き込まれる文体なんですよね。
    主人公の気持ちも上手く描けているしね。
    今回の主人公のミスブースカだが、前作「月だけが、私のしていることを見下ろしていた」に出てきた人だし、そういった繋がりがさらりと上手く出すあたりもいい演出だったな。

  • ラノベを漁って金塊を探すのが大好きなのだが、今回は紛れもなく失敗だった。駄目なアラサーが世界を開いていく「青い卵」的な話だと解釈するまでに時間がかかり、姿勢を変えて読み直すのに苦労した。漫画でも構わないと思うほどではない文脈の光が「南半球の友人」で感じられたことがまだ救いだ。これで幕が閉じたのならまだ良かったのだが、続きがあることに評価がさらに落ちた。昨今のラノベに見られる続きに頼らなければ良かったのに、さらに残念である。

  • ミス・アンジェリカさん意志薄弱すぎてイライラしますよ。  
    セイジさん空気読めなさすぎてイライラ爆発ですよ。   
    話としては、全体的に並々の面白さだった。  
    あとがきに次回からの展開をどうぞお楽しみにってあったけど、まさか続きが出るのかな……? 

  • ミス・アンジェリカとセイジの出会い、占い師なのに謎解きまであり!中々面白かった。

  • 凄い占いの才能があるのに上手く使えてないんだけど、唐突なお告げと性格のギャップが面白い。事件に巻き込まれて少しずつ変わって行ってるので、その変化も楽しい。

  • なかなか面白く。

  • コージーミステリーを期待してしまったのでやや肩透かしの感はあるものの、なかなか楽しく読み終えました。
    軽く読めるので、いずれ続きも読んでみようかな。。

  • 昼はOL、夜は人気占い師ミス・アンジェリカ、という顔を持つ田中花子。人々による騒音から遠ざかるため、自分の秘密の部屋に閉じこもり、そしてその部屋の鍵穴から世界を観察していた彼女。だが、占いを通して出会った人々や考えにより、少しずつその秘密の部屋の扉が開いていくことに。「秘密の部屋」という言葉の使い方が好き。秘密の部屋は自分にとっての避難場所、というのはすごく共感できた。続きの気になる終わり方。

  • 昼はOL、夜は街角の占い師をする花子。客を占っているうちに謎解きへと発展する。花子自身が謎がありながら他人を占っているので、その心の内が興味深い。次作も期待したい。

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1975年青森県生まれ。東京外国語大学卒業。『月だけが、私のしていることを見おろしていた。』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し作家デビュー。シリーズに『東京すみっこごはん』『今日は心のおそうじ日和』がある。著書に『ベンチウォーマーズ』『ハレのヒ食堂の朝ごはん』『坊さんのくるぶし 鎌倉三光寺の諸行無常な日常』『世はすべて美しい織物』『時かけラジオ 鎌倉なみおとFMの奇跡』『いつかみんなGを殺す』などがある。

「2023年 『月はまた昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

成田名璃子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×