絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫 み 6-1)

  • アスキー・メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048916141

作品紹介・あらすじ

妖怪に関する膨大な資料を蒐集する、長身色白、端正な顔立ちだがやせぎすの青年、絶対城阿頼耶。黒の羽織をマントのように被る彼の元には、怪奇現象に悩む人々からの相談が後を絶たない。季節は春。絶対城が根城にする東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室を訪れる新入生の姿があった。彼女の名前は湯ノ山礼音。原因不明の怪奇現象に悩まされており、資料室の扉を叩いたのだ-。四十四番資料室の怪人が紐解く伝奇ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 大学の古い建物の住人の絶対城阿頼耶は妖怪学を研究し、妖怪に悩まされる人の相談に乗るとは言うが、結構胡散臭い解決なのが面白い。絶対城に取り込まれる大学1年のノッポで少年ぽくて単純だが合気道の達人で意外と義理堅い湯ノ山礼音もいいねえ。べとべとさん、付喪神、馬鬼、ぬらりひょん、覚と、次々出てくる妖怪もなかなか興味深い。最後に礼音の隠された正体が分かる。さて、それをこれからどう生かしていくのかな。

  • 妖怪に関する膨大な資料と知識で怪奇現象に悩む人々の相談にのる絶対城先輩。

    登場人物の背景はまだまだ明らかになっていないところも多いですが、一巻としては色々と回収されていたのでこれからのストーリー展開に期待です。

  • 大学に進学したものの、幼少から悩まされている原因不明の耳鳴り(とそれ以外)のせいで、憧れの華やかなキャンパスライフとは程遠い生活を送っている『礼音(あやね)』。妖怪絡の悩み相談にのってくれるという噂を聞き、恐る恐る文学部資料室を訪れると・・・現れたのは、『絶対城』と名乗る怪しげな風貌の人物。横柄な態度ではあるが、たちどころに耳鳴りを封じてくれたのだが、対価として彼の仕事の仕掛け(インチキ)を手伝う羽目に・・・。

    この手のライトノベルはキャラ付けが重要というのは否めないのだが、どうしてこういつも表面的で突飛に振り切ってしまうのだろう。まず語り手の女の子。ボーイッシュを強調したいとは言え、さすがに大学のコンパにホットパンツはないだろう。ぬりかべ知ってるならぬらりひょんだって聞いたことぐらいはあるんじゃないかとか。なにより「きょとん」と「ポカン」とし過ぎ。
    ストーリーもお約束な展開で、もうちょっとほしかったなぁ。

  • 初めましての作家さんです。
    妖怪に関する膨大な資料を蒐集する、長身色白、端正な顔立ちだが
    やせぎすで傍若無人の絶対城阿頼耶。
    ルックスと性格は、お約束なんでしょうかねぇ~好みです。
    妖怪学の蘊蓄があって、何やら秘密があるらしいのだが
    これが楽しい。
    しかし、ヒロイン湯ノ山礼音の心の呟きがウザイ!
    これで全てぶち壊し。
    これがなければ楽しいのに・・・
    文句を言いながら、続きを読みます。

  • 表紙につられて買いました。
    タイトルからホラーがあるのかと思ったのですが、どっちかというと知識的な妖怪の話を現代のミステリ推理な感じに置き換えた、という印象。
    軽快なやりとりと読みやすさがあるので、ラノベ系で新しいのにも手を出してみたいな~という人にもおすすめ。

  • 【内容】不可思議な出来事を妖怪のせいにして当事者が納得できるかたちに決着してしまう絶対城先輩の活躍。通称ユーレイの女子大生との迷コンビ爆誕。べとべとさん、幽霊、付喪神、馬鬼、ぬらりひょん。他にも二種かな。
    【感想】こいつらいつか、ホンマモンの妖怪に復讐されるで。・・・あれ?なんか最近似たようなタイプの決着の付け方させるお話を他で読んだような気がする。なんやったっけ?まあ、とりあえず、内容よりもコンビの掛け合いを楽しむお話でしょう。

    ▼絶対城先輩についての簡単なメモ(あくまでもこの作品の内容による)

    【馬鬼】不慮の事故で死んだ馬の霊が妖怪化し不幸を招く。
    【織口乃理子】国文科准教授。28歳だが20歳そこそこにしか見えないお嬢様っぽい美女。大学創始者の一族だが今は没落。
    【杵松明人】理工学部の三年生。絶対城の友人。すごく聞き上手。元演劇部。
    【木村茂吉】小久保荘の営繕担当。節足動物ラヴァー。
    【小久保日奈美】礼音の友人。今はひなびたしかし通の温泉宿小久保荘の若女将。
    【絶対城阿頼耶/ぜったいじょう・あらや】文学部四号館四十四番資料室の怪人。ワイシャツに黒の羽織で黒色の長身の怪人。妖怪にくわしい大学生。
    【付喪神】長く使われた道具が変じた妖怪。
    【土蜘蛛】人を襲う蜘蛛妖怪。けっこう強力な妖怪として描かれることが多い。
    【東勢大学】舞台となる私立大学。古い施設を流用して創られており怪しい噂がいっぱい。
    【ぬらりひょん】頭が大きくて背丈の低い老人の姿の妖怪。「妖怪の総大将」的な言い方は後付けの設定だとか。
    【べとべとさん】足音だけがついてくる追跡系の妖怪。あるフレーズを唱えることで去ってゆく。
    【湯ノ山礼音/ゆのやま・あやね】語り手。大学一年、長身でツルペタ系の女性。絶対城先輩の相棒。絶対城先輩はユーレイと呼ぶ。趣味と特技は合気道。
    【妖怪の分類】井上円了が提唱したらしい。生物などを見誤った「誤怪」、捏造された「偽怪」、自然現象などを超自然と思い込む「仮怪」(その中でさらに物理的実体にゆらいするものを「物怪」、心理的要因に由来するものを「心怪」)、そして「真怪」はほんとうの妖怪。

  • 世界観、人物、めちゃくちゃどストライクで好みでした。
    妖怪大好きなのもあり、読みやすい構成でスイスイ読めました(^^)

  • 「べとべとさん」
    奈良県に伝わる妖怪。
    ベトベトでは無く、べとべとさんと呼ぶ事に意味がある。
    付きまとわれてたのは事実だが、身に覚えがあるからこそ彼の言葉を信じたのだろうな。

    「幽霊」
    恨みを残して死んだ人間の霊魂。
    今ある幽霊の姿は十八世紀にようやく確立したものである。
    本当に見える人間なら軽い気持ちで他人に話をし見せようなどと考えないのでは。

    「付喪神」
    長く使用された器物が化けた妖怪。
    矛盾多き伝承が数々実在する理由は隠された歴史背景にあり。
    人間に害は無いのかもしれないが、館内で飼っていて良い物ではあまり無いのでは…。

    「馬鬼」
    愛媛県などに伝わる妖怪。
    UMAであるジャージーデビルや牛鬼を元に作られた伝説。
    とても大切なものが亡くなったとしても、それを全ての原因にするのは良くないのでは。

    「ぬらりひょん」
    和歌山県に伝わる妖怪。
    絶滅を免れ暮らしていたがたった一つの一族により絶滅させられた。
    関わらせたく無かったのかもしれないが、彼女に少しでも知識を分けていれば長い期間苦しむ事も無かっただろうな…。

    「悟」
    全国各地に伝わる妖怪。
    集中力が散漫になった時に全ての聴こえてくる流れ込んでくる。
    ある意味いかさまだが、全て知ったうえで簡単に出来ることではないからな…。

  • 短篇集。
    子供の頃は「ゲゲゲの鬼太郎」がお気に入りだった気がする。
    母親に頼んで何度も何度も、飽きずにビデオを見ていた記憶がある。
    あんまり気に入っているので、母親がフェルトで「一反木綿」や「ぬりかべ」、「ねずみ男」といったキャラクターを作ってくれた。

    妖怪を学問的に系統だてて整理し研究をしている、絶対城阿頼耶が物語の中心人物である。
    歴史の中に埋もれてしまった妖怪たちの真の姿を掘り起こし、できる限りの方法でその痕跡を世に残すことを目的に日々過ごしているが、少々変わったところがある。
    本人は真摯に「妖怪学」に向き合っているのだけれど、周りから見るとどうにも胡散臭い。
    怪奇現象の相談に乗りながら、しっかりと相談料は頂いている。
    人には馴れないが、妖怪に関しては愛もあれば関心もある。
    人を近づけないオーラを放ちながらも、意外なことに人間的な情もあるらしい。
    ありがちなキャラクターだけれど、絶対城自身が意図的にそう演じている部分もあり、状況に応じて使い分けている点をみると、したたかなうえになかなか厄介な人物でもある。
    知っている妖怪が登場したり、絶対城が解説する「妖怪学」の講釈が面白い。
    妖怪が好きな人は、かなり楽しく読めるのではないか。

  • いやいやいや、面白かった!

    空前(?)の妖怪ブームにのったわけではないし(妖怪違い)、そのうえまったく妖怪には興味がないのに、面白かった。

    最近、椹野道流氏の本を読んで
    「なんで、このキャラを敢えて男子に?」
    と、思うことが多いけれど、この本ばっかりは

    「礼音ちゃんは男子でもよかったかも・・・」

    と、思ってしまったのはどっちかっていうとBL脳やからでしょうかネェ(笑)。

    いやいや、終盤のキュン展開は予想していなかったのでびっくりやったけど(・・・あれはキュン展開でよかったんだよね・・・)、おそらくここはこの先もラブキュンな展開にはならんでしょうね。いやいらんけども

    登場人物の名前がめちゃくちゃわかりにくいのも、構成上の都合なんやろう(と、思おう)。

    会話のリズムや、「妖怪と遭遇」または「妖怪がいるような演出」(←ミソ)が多いため動きがある文章ばかりなのに、読みづらくないし想像もしやすい。
    先日、ミナトシリーズを読んだときは
    「面白いんやけど、のめりこみにくい・・・」
    と、思ったので、今回はその逆でよかったです。

    (どちらがどうとかではなく、単なる好みやと思います)

    こちらは続きを早く読みたいので、リクエストしよう。
    絶対城先輩もそうやけど、明人さんも謎が多いし、今後の展開が楽しみ。
    妖怪うんちくもなかなか面白いと思います。

    しかし、こんなに「妖怪の末裔」? が、ゴロゴロしてるもんなんですかね・・・。
    あながちあのアニメも嘘じゃないと・・・。笑

    あと、挿絵不要派なんやけど、どうにも今回はイメージと違う~(笑)!
    絶対城先輩は「よくみたらイケメン」設定なんやろうけど、よく見ても「ちょっとエキセントリックな人」にしか見えないよ~!

    礼音ちゃんもTシャツであってタンクトップではないし、そこらへん、頼む!!!

    (2016.01.20)

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著者プロフィール

小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
○推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。

「2023年 『予言獣大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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