神さまは五線譜の隙間に (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2016年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048921794
作品紹介・あらすじ
それは、ピアノに神さまをおろす仕事――
心に触れる「音」を作る調律師たちの物語。
念願かなって町の小さな調律事務所に就職が決まった幹太は、業界内で「エスピー調律師」と揶揄される時子の助手として働くことに。シンプルな黒スーツに鋭い目つき、無愛想な態度――時子の醸し出すエスピーのような雰囲気に最初は尻込んでいた幹太だが、彼女の天才的な手腕と真摯な仕事ぶりに尊敬の念を抱き始める。
依頼人たちが望むさまざまな「音」を作り上げるために奮闘し、ときにピアノと音に隠された謎を解き明かしてゆく時子たち。そして調律が終わり、ピアノに神さまがおりた瞬間、それぞれの依頼人の心に小さな奇跡が訪れる――。
感想・レビュー・書評
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ピアノやクラシックの奥深い世界を垣間見ることができました。
ちょうどピアノを習い始めたばかりなので、いろいろ想像を巡らせ楽しく読めました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スーパー調律師の時子さんと新米調律師の幹太くん。無愛想な先輩に気後れしていた幹太くんだけど、その手が作り出すピアノの音に憧れている。
「忘れられた周波数」
何度調律してもその音に納得出来ないピアノ演奏家。足りないのはピアノの音か、それとも演者の気持ちか
「小さなピアニストの憂鬱」
シとドの音が大きくズレている奇妙なピアノの調律を頼まれる。二人の少女の憂鬱
「家族に囲まれた旋律」
幹太くんの父親が亡くなった。遺されたピアノに遺言書が残されているというが…。
「上様は五線譜の隙間に」
時子さんを憎むピアニストからの依頼。
☆お仕事小説あるあるでデジャヴを感じる箇所も。第一話と第二話が好きだ。
☆地の文が、時子さんと幹太くんとで語り手が頻繁に変わり、少しややこしかった。
☆恋愛パートは抑えめのほうがお仕事パートをもっと描けたかも。
☆調律師のお仕事の緊張感が伝わってきた。 -
音楽が好きな私にとって、場面設定も含め斬新であり驚愕だつた。
文面から奏でる音が聴こえてくる、こんな経験は二作目かな。
人生挫折からの歩みを教えてもらった。 -
最初は知識的に難しいなぁ、と。3番目のお話は良かった。
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調律の仕事が丁寧に書かれていて興味深く読みました。
個々のキャラもちゃんと立っていて、皆真剣にピアノに向き合っているのが良かったです。 -
何気なく買って何気なく読んだら思いのほかよかった。
表紙のワン太がだいぶ若い印象だったけれど
読み進めるうちにしっくり来たし
どのキャラもとても人間味あふれていて印象に残る。
ピアノをやった人間ならば
エスピーの調律したピアノを弾いてみたい、聴いてみたい、
という気持ちにさせられるのでは?
わたしはそれらの音を夢中で想像して
あっという間に読み終えてしまった。
まだ読んでいないけれど
調律つながりで受賞して話題となった、
宮下さんの本も買おうかな、読んでみるかなと
そんな気持ちになるほどに
この本との出会いが嬉しかった。 -
調律師のお仕事小説。ソムリエみたいに音の表現がいろいろ出てくる。調律によってピアニストの悩みまで解消してしまう技の持ち主。筋トレを欠かさないとか、音楽の才能についてはかかれてるけど、どうやって調律の技術を師匠から学んだのか気になる。その辺を後輩君に伝授してほしい。