拝啓、十年後の君へ。 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 105
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048922074

作品紹介・あらすじ

「タイムカプセル」によって繋がる迷える高校生6人の青春物語。

十年前に埋めたタイムカプセル。忘れていたのは、離ればなれになるなんて想像もしていなかった時に交わした将来の約束。そして一つの後悔。今更思い出しても取り戻しのつかない、幼い頃の恋心。
嫌いじゃないけどドキドキしない、そんな曖昧な恋愛関係に悩む千尋。部活から逃げ出した元サッカー少年の冬弥。定時制高校に通う不良少年の優。慣れないギャル生活で息苦しい美夏。家から出たくない引きこもりの時子。そして小学校の頃に喧嘩別れした少女を、今も想い続けている耀。
十年前に記した「今の自分」への手紙が、彼らの運命を少しずつ変えていく。

感想・レビュー・書評

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  • 小学1年生の時に埋めたタイムカプセルが、全員集まって掘り起こすのが面倒だからと郵送で送られて来る所から始まります。十年前の自分からの手紙を受け取った彼らは何を想うのか。最初の千尋と最後の耀が気になりながら、二人目に入った時繋がりがなかったので、耀までランダムに選ばれた人を書いてるの?とちょっとテンション下がりました。でも読み進めていくうちにだんだんと繋がりが見えて来て楽しめました。ただなんとなく、高校生・大学生が描かれてる割には皆子供っぽいかな、と感じました。

  • う~んいい話だった。  
    過去、現在、そして未来。  
    世界は広いけれど、狭い世間でみんな生きている。  
    三歩進んで二歩下がりながら、上を向いて歩こう。

  • 6人のことなった“想い”が、タイムカプセルを通して繋がっていることが美しいと感じた。

    最後の場面で、小学校の頃の約束を信じてきた2人が出会えて本当に良かった。

    1人1人が抱えているそれぞれの事情が鮮明に描かれていて、とても面白いです。

  • ああ、これはいい!
    最近お気に入りの青春物語作家の天沢さん。
    そんな天沢さんの本作は、青春物語として百点満点の出来だと思う。

    小1のクラスで書いた「十年後の自分への手紙」、いわゆるタイムカプセルが十年経って郵送で順繰りに送られていく展開。
    もうタイムカプセルなんて言う題材からして青春だなあと思う(笑)
    だって、その手紙にはある種の郷愁と想いが付いてくるもの。

    別々の6人を主人公にした短編連作なのだけど、ある話に別の話の主人公がちょこっと顔を出したりして少しずつ繋がっている遊び心のある構成。
    さらに最初の主人公と最後の主人公には特別の縁があり、ラストで二人が再会することで綺麗にお話の円環が閉じるのは、短編連作ならではのよくできた構成だと思う。

    物語はほとんどの場合、十年前に夢見た姿から現実は違っていて、夢を諦めようとしていたり、やりたいことを見つけられなかったり、勇気が出せず言いたいことも言えなかったり、引きこもってしまったりと、子供のころ想像していた姿とは全くかけ離れていて、胸が痛くなる現実だったりする。
    けれどそんな彼ら彼女らは様々なきっかけでその現実から少し前に歩き出そうとする。
    それは言ってみれば十年前の自分への今の自分の矜持だと思うのだ。
    あの頃の自分に胸を張って今の自分を見せられるか。
    たとえ、夢に届かなくても、素敵な大人になれていなくても、ちゃんと努力して後ろめたくない生き方をしていたいという、そんな想い。
    だから物語の終わりはどれもみんな清々しい。

    そんな中、一番目とラストの物語は少し趣が異なっている。
    なぜなら彼らの手紙には十年後の自分へのお願いが綴られているのだ。
    個人的にはこの二人の物語が一番好き。
    喧嘩別れしてしまって引っ越してしまった相手に互いに謝ってほしいと綴られた手紙。
    千尋が十年前のアキラ君の手紙に自分と同じ気持ちが書かれているのを知る場面には胸が熱くなった。
    同様にアキラが千尋がタイムカプセルを読んだ後に彼宛に書いた手紙で、同じ想いを綴り約束の大学の地で待っていると告げられた場面には心が震えた。
    いやもう、こんな手紙をもらったら自分ならとるものも取りあえず、その場所へ走り出してしまうだろう。
    そう強く思う。
    でも、アキラは逆に彼女に会うことを恐れてしまうのだ。
    なんてアホなのか。
    どうしてそんなにへたれなんだよ!
    でも友人や彼に好意を持っている女の子に背中を押されてようやく約束の場所に走り出した時、胸がドキドキした。
    夜の桜の木の下での二人の再会。
    はっきりと自分の気持ちに気づくアキラ。
    そして十年前の手紙のお願いは果たされるのだ。
    この幸福感がなんとも心地いい。
    いや、いいお話だった。

    心に刺さる言葉がいくつもある。
    「才能がなかったら、好きなこともやっちゃいけないんですか?」
    「君がやろうとしたことを、君自身が笑ってやるなよ」
    「ちひろちゃんはきっと、こやまがおかびじゅつだいにきます」
    「あの時よりもずっと上手になったはずなのに、あの時よりもいいものが描けている気がしません」
    「君に預けたコバルトブルーのクレヨンは。まだそこにありますか?」

    いやほんとに、これまで読んだ作者のお話の中ではこれが一番好き。
    ますますお気に入りになりそうだ。

  • この本の初版発行は6月25日ですが,表紙通り春を感じさせる作品でした.一概に恋愛小説ということはできませんが,そういった側面が大きかったように思います.登場人物の6人,それぞれに個性があって,それぞれに物語があるので,作者(天沢夏月さん)はどんな人生を歩んできたんだろうと気になりました.

    十年前の自分を考えてみて,自分は十年先のことなんて考えていなかっただろうなってそう思います.この登場人物たちの高校での状況は,自分の分岐が違えばそうなっていたかもしれないようなものばかりです.だから,自分がこんな状況ならどうするだろう?自分は前を向いて歩けるだろうか?そう思いもしました.

    本を読んでいるときは楽しかったし,物語にのめり込みましたが,ふとその集中が途切れると,自分はどうなんだろうと考えされられていました.自分を振り返ったり,自分の未来を考えるのにも良い作品だと思います(こんなこと感じたの自分だけでしょうが).

  • 【「タイムカプセル」によって繋がる、迷える高校生6人の青春物語】

     十年前に埋めたタイムカプセル。忘れていたのは、離ればなれになるなんて想像もしていなかった時に交わした将来の約束。そして一つの後悔。今更思い出しても取り戻しのつかない、幼い頃の恋心。
     嫌いじゃないけどドキドキしない、そんな曖昧な恋愛関係に悩む千尋。部活から逃げ出した元サッカー少年の冬弥。定時制高校に通う不良少年の優。慣れないギャル生活で息苦しい美夏。家から出たくない引きこもりの時子。そして小学校の頃に喧嘩別れした少
    女を、今も想い続けている耀。
     十年前に記した「今の自分」への手紙が、彼らの運命を少しずつ変えていく。

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