青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.43
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本棚登録 : 741
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048922814

作品紹介・あらすじ

「わたしはね咲太君。大好きな人には幸せになってほしいんです」
 初恋の人、翔子から教わった優しさ。
「ふたりで幸せになるわよ」
 今を支えてくれる、恋人の麻衣から学んだ勇気。
 高校二年生の冬、今と過去を支えてくれた大切な人たちが幸せになれる未来を求め、咲太は歩み始める――。
 新たなる未来へ踏み出すシリーズ第7弾!

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わって心の底からホッとしている。
    よくぞこの結末に導いてくれたと作者に感謝したい。
    ほんとうによかった。

    翔子と咲太と麻衣の三者択一な苦しい苦しいお話の後編。
    麻衣を失った咲太の絶望に胸が締め付けられ、麻衣を見つけた悦びに心が震えてしまった。
    だから咲太が麻衣を選ぶ決断をしたこと自体は納得できる。
    辛い辛い決断をそれでも咲太はちゃんとし、翔子さんにも告げた。
    それはとても偉い。

    けれど、そのことの代償に翔子ちゃんがいなくなることが苦しくて苦しくて。
    だって翔子ちゃんはあんなにもいい子なのだ。
    あんなにも頑張り屋さんなのだ。
    あんなにも他人に優しい子なのだ。
    その子を救えずに終わるなら、この物語は辛い記憶だけで終わってしまう。
    そんなのはいやだ。
    それはダメだと心が叫んだ。

    だから、ラスト。
    確かに、すべての人を救うには、この結末しかなかったのかもしれない。
    それでも翔子を忘れ去ったままの未来もあっただろう。
    でも、そうではなく、ちゃんと翔子との全てを取り戻してくれた展開に深く感謝したい。
    これは僕の見たかった結末だ。

    それにしても、小さな希望が見えた先で、何度どんでん返しで絶望に落とされたことか。
    やっぱりこの物語は甘くない。
    一筋縄ではいかないなあ。
    それに今回の話を読んで、これまでのシリーズのすべてが、数々の思春期症候群の全てが、ここに繋がっていたのだと良くわかる。
    これを最初から企図していたのだとしたら、もう脱帽するしかないな。

    だからもうこれ以上のシリーズの大団円はないだろう。
    それをわかった上で作者よ!この先を続けようというのは、すごい勇気だな。
    そんじょそこらの展開ではこれまでの物語に太刀打ちできないと思うけど。
    それでも咲太や麻衣やとりわけ翔子ちゃんのこの先が見れるのだとしたら、たまらなく嬉しい。
    期待してるよ!

    胸が震える場面がいくつもある。
    咲太が生きている麻衣を見て涙を流す場面。
    そんな咲太を麻衣が抱きしめる場面。
    泣きながら翔子の将来スケジュール表に大きな花丸を書く場面。
    そして海岸で咲太と翔子が再び出会う場面。
    これからもそんな数々を、ううん、今度はもっと愉しい気持ちでいられる場面を、期待している。

     

  • 青ブタシリーズ第7弾!
    今巻のヒロインは前回に引き続き牧之原翔子ちゃん!
    これは感動回とかしか言いようがない
    前巻の続き、麻衣先輩事故
    そして死
    その死はとてもとても、咲太くんを追い詰める
    追い詰めて追い詰められて、未来を、そして過去を改変する
    でも、翔子さんとの2人の未来もとても素晴らしいものだとも思ってしまう
    でもやはり今は麻衣先輩の方が私も応援したい
    咲太くんから提示された未来を受け入れ、今を必死に生きてる翔子ちゃん
    彼女のことを思うと悲しく愛おしい
    咲太くんへの想いは凄く本物で1つの愛だから
    彼女の言葉は力強くて勇気を貰える

    だから、彼女が未来を歩んでいる姿は凄く嬉しかった

  • これが映画化した部分か……翔子さんには笑顔でいてほしい。

  • 前巻からこの間の前半まで悩みに悩んだ主人公咲太が、自分を含む全ての人を救うために走り回り、時を超える。この巻で終わりにしてもいいくらいきれいなラストシーンのためなら、多少のご都合主義はぜんぜん許せる。

  • 読んでるこちらまで人に優しくなれそうな話だった。最後がいい終わり方でホッとした。

  • 劇用版原作の後編。というか青ブタ一期シリーズのラストとも言える作品。
    映画で見てたんでストーリーは分かっていたんだけど思わず涙する名場面が続出。いささかご都合主義なところは否めないがラノベらしい終わり方ではないかと。
    次巻から新シリーズということでこれも楽しみ。

  • 鴨志田一先生の「青春ブタ野郎シリーズ」の第7巻です。2018年10月~12月にTVアニメが放送。青春ブタ野郎こと梓川咲太と思春期症候群を発症したヒロインの関係を描いた青春SF作品です。本巻は2019年公開の劇場版に相当し、ヒロインは麻衣さんと翔子さんです。前巻の衝撃的なラストからどうなってしまうのか重い気持ちのまま読み進めると、まだまだ底は深く、これ読み進めない方が良いのかなと思いましたが、今までの思春期症候群が全てここへの伏線だったことを知り驚きました。本当に素晴らしい第1部でした。早く劇場版が観たい。

  • ご都合主義も良いところなのかもしれないけれども、読み終えたときに「よかった」以上の感想が出てこなかった。

  • かえでの話も前回の話もキツかったけれど今回の話は輪をかけてキツイ話だった……

    これまでの話はどれだけ展開が悲惨でも何かしらの救いが有った
    けど、一度麻衣を失った事でその大切さを認識してしまった咲太にとって、今回の話で選べるのはどのように翔子を失うかだけ。
    それを知ってからの咲太の行動は痛々しいけれど覚悟に満ちている。きぐるみを来てクリスマスイブの街を徘徊しながら自分を見つけてくれる人を探し続けるその行動はこれまで以上に肝が座っていたように思う。それでも無力だった咲太を見つけ世界との繋がりを取り戻してくれた古賀をMVPと咲太は評するけれど、全体で見れば翔子の方が血を流すような想いで頑張ったように感じる
    全ての真実を知ってからこれまでの話を思い出せば、未来から来た翔子はずっと咲太の幸せのために自分の幸せを犠牲にしようとしていたわけだからなぁ
    そして、最後の最後にスケジュール帳から微かな希望を咲太は見つけたけれど、それは咲太には到底不可能な都合の良い妄想のような希望だったはず。それを形にすることができたのは翔子の強さも有ったのだろうけど、そこに中学で芸能活動を中断したはずの麻衣が臓器移植に関する映画に出演したことがささやかな助けになったのだと思うと何とも印象的な展開

    中学時代に多くの繋がりを失った咲太が麻衣と出会ったことで空気と戦い、思春期症候群に巻き込まれた少女たちのために奔走し、最後は麻衣と翔子のために運命と戦っていくことになる流れはとても美しい
    その結果、小さな幸せを手にしたことも。

    で、これで終わりだと思いながら読んでいたわけだけどまだ続くのかな?ラストが完全に最終回後のエピローグの空気感だったけれど、まだ続くとしてどのような問題が発生するというのだろう?

  • 良い最終回でした…これが☆5じゃないならどれがそうなのだ?それくらい良かった。ん?あれ?続く…の?嬉しいような蛇足なような不安。

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著者プロフィール

1978年生まれ、神奈川県出身の作家。代表作は『さくら荘のペットな彼女』、『青春ブタ野郎』シリーズなど。

「2023年 『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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